「やめたいクセ」はどうやめる?|玉井仁さん ラク生き相談室 出張版
雑誌『からだにいいこと』との連動企画である本連載。臨床心理士の玉井仁さんが、読者のみなさんのお悩みを通し、「ラク」に生きるための考え方・コツなどをお伝えします。今回のテーマは「やめたいクセ」です。
目次
今回のお悩み:「自分へのごほうび」がやめられなくて自己嫌悪
I・Jさん 48歳のお悩み
「ちょっと仕事が忙しかった」というだけで、すぐに自分にごほうびをあげてしまいます。
コロナ禍以前は、仕事帰りに時々、カフェでお茶をしていました。ところが、今はしょっちゅう、コンビニやスーパーで100~200円程度の飲み物やお菓子を購入。
週に3回程度ですが、「ちりも積もれば……」で金額がかさみ、体重も増えてきた気がしています。 コロナ禍のいろいろなガマンの反動という面もあるかもしれませんが、「つくづく自分に甘い人間だなぁ」と自己嫌悪に陥ってしまいます。
玉井さんから回答:“遊び”を取り入れ、自己嫌悪感を薄めて
「自分へのごほうび」「がんばったあとのごほうび」などという言葉は、最近よく耳にしますよね。「まずは、この“ごほうび”について考えてみましょう」と玉井さん。
偶然性があることで、ありがたさが維持される
「今日はがんばったから」と自分を励ますのは、悪いことではありません。好きなものを食べて元気が出るのは、素敵なことです。
ただ、相談者さんの場合は「週に3回」と、ちょっと頻度が高いことを気にしている様子。そこで、“ごほうび”の考え方を変えてみましょう。
ごほうびが嬉しいのは「やった! 今回はもらえた!」という偶然性やサプライズ感があるから。いつももらえるもの、これをやれば必ずもらえるものとなると、ごほうびのありがたみを求めて「もっと、もっと」となってしまうこともありますよね。
必ずもらえるわけではない、もらえるかどうかわからない。だから、もらえたときはすごく嬉しい。ごほうびって、本来そういうものではないでしょうか。
ありがたみを維持するには、「偶然性」や「サプライズ感」が必要です。こうした要素を取り入れる、具体的なやり方を紹介してみます。
まずは、サイコロを用意します。ごほうびを買いたくなった日は、そのサイコロを振ってみてください。そして、出た目の数が偶数だったら「買っていい日」、奇数だったら「買わない日」と決めるんです。
偶数が出ればラッキー! ごほうびを買って帰りましょう。
ただし奇数が出たら、その日のごほうびはお預け。また次回がんばって、サイコロを振ればいいんです。
「ごほうびのため」だけでなくなれば、罪悪感が軽く
こうして、ごほうびを買う前にひと工夫すれば、「必ずごほうびがある」といういつものパターンが崩れます。すると、ごほうびのありがたみを強く感じられるように。
サイコロを振る以外に、「タイムカードの時間表示が奇数かどうか」「職場を出て最初に見た車のナンバー」などで条件を決めてもいいですね。
大事なのは、がんばったときに得られるのが、ごほうびそのものではなく「サイコロを振る権利」だということ。
これなら「ごほうびのためにがんばっている」わけではなくなりますから、自己嫌悪感も薄まるのではないでしょうか。
相談者さんは、自分にごほうびを買うことに対して嫌悪感を抱いてしまうほど、真面目でがんばりやさん。
そんな相談者さんは、もし奇数が出たとしても「次は偶数だといいな!」と思うくらいで、きっとがんばることをやめないはずです。 毎日の生活にちょっとした“遊び”の要素を取り入れ、フッと力を抜いてみてくださいね。
今月のラク生きヒント:自分に合った方法で習慣化し、理想の自分に近づこう!
今回のテーマは「やめたいクセ」でした。「これはやめたい……」と思うクセがある一方、「これは続けていきたい!」という理想を持っている人も多いのではないでしょうか。
そんな理想があるとき、習慣化に最適な手段は人それぞれ。
日記をつけたり、身近な人に宣言したりすることでやる気が出る人もいるでしょう。一方、放っておいてほしい人もいますよね。 自分に合った環境や取り組み方を見つけ、「なりたい自分」に近づいていきましょう。
雑誌の「ラク生き相談室」もチェック
雑誌『からだにいいこと』では、毎号、玉井さんが別のお悩みにも答えています。人生をもっとラクに生きるためのヒントを知りたい方は、ぜひ、ご覧ください。
取材・文/馬渕綾子 イラスト/ARI
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