40代からの「肝臓老化」を防ぐストレスとの付き合い方
40代以降になると肝機能にも衰えが出てきます。全身の若さを保つカギ、肝臓の老化を遅らせる方法を知っておきましょう。
ストレスが肝臓の老化にもつながっていた!
人間はストレスを受けると「活性酸素」が発生します。活性酸素とは過剰に発生すると自分の細胞や内臓を傷つけ、老化や病気のモトとなるもの。精神的なストレスだけでなく過度な運動などでも、この活性酸素を増やしてしまいます。
「肝臓には代謝や解毒などのために血液が大量に流れ込み、その際に酸素を消費するので、活性酸素が多く発生しやすい臓器なのです」と話すのは、肝臓専門医の島田昌彦さん。
40代以降になると、若いときに持っていた活性酸素に対抗する抗酸化力が低下していきます。特に脂肪肝になっていると、肝臓にたまった中性脂肪が活性酸素を発生させ、炎症をおこすので要注意です。
必要以上に活性酸素が増え続けて肝機能が衰えると、全身へのエネルギー供給がうまくいかなくなることも。ほうっておけば肝臓の病気だけでなく、動脈硬化などほかの病気や老化の引き金になってしまいます。せめてストレスなどによる活性酸素を増やさないよう心掛けることが肝心です。
ストレスを食や飲酒で解消するのは肝臓に負担
ストレスがたまってお菓子をヤケ食いしたり、お酒を飲みすぎた……という経験はありませんか? どちらも脳の働きが大きく関係してきます。
ストレスを感じたとき、ヤケ食いをしてしまうひとつの要因は、食欲を刺激するホルモン「コルチゾール」が過剰に分泌されるため。アルコールは脳の興奮を抑える成分の分泌を活性化しますが、それは問題の解決にはつながりません。
ストレスによる自律神経の乱れは肝臓にも影響を与えます。肝臓には毎分1.5リットルと大量の血液が流れ込んでいます。ストレスに対処するために交感神経の緊張が続くと、肝臓の血液量を減少させ、肝臓に過度な負担をかけることにつながります。
「かといってストレス解消のために『ヤケ食い』や『飲みすぎ』をすれば、肝臓を酷使することになってしまい、当然、肝臓によくありません。趣味の時間をもってリラックスするなど、ストレスケアを習慣に取り入れましょう」(島田さん)
また、質の高い眠りをとることはストレスケアになるだけでなく、肝臓のリカバリーを促す効果が期待できます。夜、寝る前にスマホなどを見る習慣は、交感神経を優位にしてしまうので控えたほうがよいでしょう。
抗酸化力を高める食事で、肝臓を元気に!
食事では、活性酸素の働きを抑える作用のある抗酸化成分を摂るようにしましょう。
「NASH(非アルコール性脂肪肝)の治療では、ビタミンEを処方しています。ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、アーモンドに多く含まれます。ただ、アーモンドには脂質も多いので摂りすぎには注意を。ほかにビタミンEが豊富な食材には、うなぎやニジマス、かぼちゃなどがあります」(島田さん)
肝細胞の細胞膜が活性酸素によって酸化されると、細胞膜を傷つけて働きを低下させる「過酸化脂質」という有害物質ができます。この過酸化脂質ができるのを防いでくれるのが、ビタミンEの抗酸化作用なのです。
「ほかにも緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれるβカロテンやリコペン、鮭や蟹など甲殻類に含まれるアスタキサンチンなどの抗酸化成分も積極的に摂りましょう」(島田さん)
食事面から抗酸化力を高め、肝臓の老化を防ぐことが大切です。
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