脂肪の多い食事で「胃がもたれて辛い」それは肝臓の不調かも?
食欲の秋、ついつい食べ過ぎていませんか。脂肪分の多い食事で胃もたれを起こすのは、年齢ではなく肝臓の不調が原因かもしれません。
脂肪の摂りすぎで、胃もたれを起こすわけ
最近、揚げ物や洋菓子を食べたあとに胃がもたれる……そんな人も多いのではないでしょうか。
「食事をすると脂肪は小腸で吸収されますが、肝臓が主成分を作った「胆汁」が消化・吸収をサポートします。肝臓が悪くなると胆汁が不足して脂肪の吸収ができず、胃もたれを感じたり、下痢をしやすくなったりするのです」と話すのは、肝臓専門医の島田昌彦さん。
とくに疲れていたり、お酒を飲んだときなどは肝臓の機能も低下しているので、脂質の多い食事をとれば不調も生じやすくなるのだそう。
「ただ、肝臓の調子がよければ、脂肪を多く摂ったときでも胆汁が胃の消化酵素の分泌を抑えてくれ、胃は通常通りの働きができます。こってりしたものが食べたいときは、体調を整えてから食べてはいかがでしょうか」 (島田さん)
意外にも胃もたれや膨満感の症状は、肝臓に大きく関係していたのです。
また、肝臓は胃や腸と門脈という太い血管でつながっています。消化管で吸収されたいろいろな栄養素は、この門脈を通って運ばれてきます。肝臓では栄養素を体が利用しやすい物質に作り替えたり、栄養素の貯蔵や供給をしています。このように肝臓と胃や腸は密接に関わっています。
肝臓を休ませて、もたれない胃に!
よく胃もたれをする人は、まず肝臓を休ませることを心がけましょう。
「調子が悪いと思ったときは、まず食生活の見直しを。たとえば、脂質の多い食事や飲酒を控えたり、夜は食事の量を摂りすぎないよう心掛けてください」 (島田さん)
また、肝臓の再生は睡眠中に行われると言います。
「肝臓は生体リズムを整える『体内時計』の影響を受けているので、なるべく夜10時には就寝を。質のいい睡眠をとることもポイントになります」(島田さん)
市販の胃薬も症状に合わせて飲もう
市販の胃薬にもじつは種類があることをご存じですか。胃もたれの症状があるとき、家にある胃薬をなんとなく飲んでいる人もいるのではないでしょうか。
「胃もたれや消化不良などは、『胆汁製剤』などが入っているものが向いています。肝臓を保護して脂肪の消化吸収をよくし、結果として胃の働きを整える効果が期待できます」(島田さん)
胃が痛いと感じたり、胃酸が上がって「げっぷ」が出るようなときは、また別の作用が必要になります。
「胃酸を抑える『制酸剤』や、胃の粘膜を保護する『粘膜保護剤』の入った胃薬がよいでしょう」(島田さん)
市販薬は飲む前に必ず「効能・効果」や成分などをチェックすることが大切です。ご自身の症状と照らしあわせて確認しましょう。また、症状が続くようでしたら専門医の受診をおすすめします。
[ 監修者 ]