家の中でも外でも足の疲れを防ぐ 話題の「装着型インソール」とは?
「Dr.insole Any(エニー)」は、サポーターで足に装着する画期的なインソール。開発の経緯やメリットについて、開発者にからだにいいこと編集部がインタビューしました。
目次
お話を伺った方:中山憲太郎さん
足が疲れる人は、靴を履かない時もインソールのサポートが必要
── インソールは、靴を履く時にだけ必要なものだと思っていましたが、なぜ靴を履かない時にも装着できるインソールを作られたのですか?
中山さん 中山靴店ではこれまで、解剖学の知識に基づいたオーダーメイドインソールを3万人以上の方に作ってきましたが、多くの方から室内でも使えるインソールが欲しいというリクエストをいただいていました。
特に足のお悩みを抱える方は女性が多いのですが、「靴を履いている時間より室内で過ごす時間が長いので、何とかしてほしい」というお声が多かったのです。
そこでインソールを装着できる室内履きも作ってみたのですが、どうしてもゴツくなってしまうので敬遠される方もあり、もっと簡単にサポートできるものができないかと長年、検討を続けてきました。
── 足のお悩みがある人は、靴を履いていない時でもインソールの支えがあったほうが楽なのですね。
中山さん 靴を履くと痛い、疲れるという人は、足のアーチが崩れていることが多いのです。だから、靴を履いていない時でも床との接地面が少なく、足裏全体で体重を支えられないので、疲れやすかったり転びやすかったりします。
よく、足のアーチが崩れている人は足裏を鍛えなさいと言いますが、それは視力が低下した人に目のトレーニングをして視力を上げろと言うようなもの。裸眼で過ごすのは苦痛ですよね。
インソールは足のトラブルを抱える人にとって、目が悪い人のためのメガネのようなものだと思ってください。
室内で過ごす時も、そのまま靴を履いても、足のアーチをしっかり支える
──「Dr.insole Any」は、素足でも、その上から靴下を履いても、また、靴下の上からも装着できます。そのまま靴を履くこともできるので、家の中でも外でも、どんな靴を履いている時でも、インソールがアーチをしっかり支えてくれるということですね。
中山さん 私も毎日使っているのですが、本当に足が楽ですよ。私はプロのサッカー選手を目指してサッカー留学中にケガをして、いまだに足にトラブルを抱えています。
だから、たとえば体育館などの硬い床の上にペラペラのスリッパを履いて長時間立っていたりするとつらいのですが、「Dr.insole Any」を履いていればそうしたシーンでも疲れ方が全く違います。
── 編集部でもサンプルを試し履きしてみたところ、立っている時だけでなく、座っている時でも足が疲れにくいのに驚きました。どんな方におすすめですか?
中山さん 室内で過ごす時間が長い人。主婦の人やテレワークで家の中で過ごすことが多くなっている人にもおすすめです。また、長靴や安全靴などを履くお仕事の方、靴を脱いだり履いたりする機会が多い人。旅行や、参観日などの行事でも、足の疲れを防ぐ効果を実感していただけると思います。
── 最初からこのような形をイメージされていたのですか?
中山さん 最初はヌーブラのような素材で足裏にくっつけることも考えたのですが、安定しないし、柔らかすぎる。義手や義足の装具をヒントにマジックテープで固定してみたら、中で動くしストッキングやタイツが破れてしまう。
そこでサポーターのようなものにできないかと思いついたんです。アイディアだけはずっとあったのですが、これまで世の中になかったまったく新しい製品なので、なかなか踏み切れずにいました。
そんな時に、祖母が99歳で亡くなりまして。あと少しで100歳、本当に元気いっぱいだったのですが、部屋の中で転倒したことがきっかけでした。これは室内でしっかり歩けず困っている人を助けなさいと、祖母が背中を押してくれたのだと思い、開発を本格的にスタートしたのです。
3万人以上の足データから「いつでも、どこでも、誰でも」を既製品で実現
──「Dr.insole Any」の「Any」には、いつでも、どこでも、すべての人の足を支えるという意味が込められているそうですね。
中山さん これまでオーダーメイドのインソールを作ってきましたが、これはできるだけ多くの人に気軽に使ってもらいたいと思って開発しました。
3万人以上の方のインソールを作ってきた経験とデータに基づいて、既製品ながら、どんな方でも足裏にある3カ所すべてのアーチをサポートすることができるよう設計されています。このハーフインソールが「Dr.insole Any」の心臓部です。材質や硬さにもこだわりました。
── これを専用サポーターにセットするのですね。
中山さん 専用サポーターにはポケットがあり、そこにインソールを納めます。これによってハーフインソールの欠点だった「ずれ」を克服しました。
このフットサポーターは地元岡山の医療機器メーカー「ダイヤ工業」と共同開発したものです。伸縮性と弾力性、耐久性を兼ね備えており、サポーターそのものにも横アーチをサポートする機能があるので、高い相乗効果を生み出すことができました。
── インソールとサポーター、それぞれどのくらいもつのでしょうか。
中山さん 使い方にもよりますが、インソールは約1年、サポーターは約半年です。サポーターは洗い替えを2、3足用意するのがおすすめです。インソールは基本は既製品ですが、オーダーメイドでオリジナルなインソールを作ることもできるんですよ。
オーダーメイドインソールを家にいながら手に入れられる「Dr.insole 3D」
── オーダーメイドのインソールはどうやって作るのですか?
中山さん 「Dr.insole 3D」というキットを使います。これはコロナ禍でお店に行くのはちょっと、という方や、遠方の方でも、自宅で足形をとって送り返していただくだけで足にぴったりのインソールができるというものです。
「Dr.insole 3D」は、足型はとりたいけれど、素足を見せたくないという女性に特に好評です。一人で型を取るのが不安な方は、専門のスタッフとZoomでつないでお話ししながら取っていただくこともできます。1回型をとれば、あとは何度でも追加注文できますし、「Dr.insole Any」のハーフインソールも同じ型からオーダーメイドで作ることができます。
── 自分の足に合ったインソールでお悩みを解消したいという人にはぴったりですね。
日本で唯一、保健学博士で靴職人という中山さんが編み出した「Dr.insole Any」と「Dr.insole 3D」。どちらも足に悩む人にとっての新たな答えになりそうです。