鉄分は体と心に必要不可欠な成分。だるさや疲れやすさを感じている人は、鉄分が不足しているかも。今回は鉄分が足りているかどうか、セルフチェックの方法をご紹介します。

提供／六甲バター株式会社

今感じている不調は何ですか？ 読者271名にアンケート

からだにいいこと読者にアンケートをとると、約半数が疲労感や倦怠感に悩んでいることがわかりました。ハツラツと元気に過ごしたいのに、体が重い・だるいなどの理由で、やる気がでないと、ツラいですよね。

その体や心の不調、もしかすると「隠れ貧血」が原因かもしれません。

不調は「隠れ貧血」の可能性も！ 症状をセルフチェック

原因がはっきりせず不調に悩んでいる人は、鉄分不足を疑ってみましょう。鉄分が不足しても体は「なんとかがんばらなくちゃ！」と平然を保ち、鉄分が不足している状態に慣れていってしまいます。これが「隠れ貧血」の状態です。

「隠れ貧血」が続くと、体のエネルギーが不足して、夕方になるとだるくなったり、階段を上ると息切れ、足を重く感じることがあります。これを鉄分不足とは知らずに、家事や仕事で疲れている、運動不足と思い違いをしたり、「歳のせい」と見過ごす人が多いのが問題。放っておくと、深刻な鉄分不足に陥ってしまうことがあります。

また、鉄分は精神の安定や意欲にかかわる脳内物質の代謝に必要な栄養素でもあります。「疲れてるだけかな…」と見過ごしてしまいがちの「やる気がでない」「常にだるい」といった精神的な症状も、隠れ貧血が原因の可能性が。他にも、肌荒れ、髪のパサつきなど見た目にも不調が現れます。

また、女性の場合は生理があるため、赤血球に含まれる鉄分が流れ出て、男性より鉄分を失いやすいといえます。

あなたは鉄分が足りていますか？　セルフチェックをしてみましょう。

セルフチェック（１）爪が弱くなった、欠けやすい、爪が白い、スプーン爪

●爪は鉄分不足が目に見えてわかる場所

爪が弱っている、爪が割れやすい、欠けている、反り返っているスプーン爪の人は、鉄分不足の可能性が考えられます。また、爪の下の皮膚の赤みがなくなり白っぽい人、爪を強く押した時にすぐに元の色に戻らず数秒白い色のままの方も隠れ貧血の可能性があります。

セルフチェック（２）「あっかんべー」で、まぶたの裏が白い

●まぶたの裏の色が白くなるほど鉄分不足度大

まぶたや唇の裏側が白くなっていたり、赤みが薄くなっていたりする場合も、鉄分不足かもしれません。白ければ白いほど、鉄分不足が深刻で貧血の可能性が高くなります。

ヘモグロビンは赤血球に含まれている赤い色素。爪とまぶたの裏、どちらも体内の「赤み」が抜けて白っぽくなっている＝鉄分不足を疑うと覚えやすいかもしれません。

同様に、顔色にも注意が必要。貧血でヘモグロビンがつくられなくなると、皮膚や粘膜の赤味が抜けて、白や黄色っぽいくすんだ顔色になります。

セルフチェック（３）疲れやすい、だるい、やる気がでない

●鉄分が不足すると、体中が酸欠状態に！

体内が鉄分不足になると「鉄欠乏性貧血」という貧血の状態になりやすくなります。

体内の鉄分は、血中ヘモグロビンの材料となる大事な栄養素。ヘモグロビンは体中の細胞に酸素を届けるという大切な役目を果たしていますが、材料となる鉄分が不足するとヘモグロビン量が減少して体中が酸欠状態に。すると、体はエネルギーを産み出すことができないため、なんとなくだるい、疲れがとれない、やる気がでないといった心と体の不調につながります。

こうした不調は、真面目な人ほど「ちょっと疲れてるだけ、がんばって乗り切ろう！」「だらしないのは自分の気持ちが弱いせい」などと、鉄分不足に気がつかずに無理をしてしまいがちです。

セルフチェック（４）集中力がなくなった

●貧血状態にあることで、脳の酸素供給量が低下してしまうことが！

先ほど述べた通り、鉄分不足で赤血球が減ると酸素を体のすみずみまで運べなくなり、酸欠状態に。脳の細胞にも酸素が行き渡らなくなるため、思考力の低下やボーっとして集中力が続かないなど、仕事や勉強に影響がでることがあります。

セルフチェック（５）冷え症、寒がり

●鉄分は身体中に酸素を供給し、正常な体温を維持する役割も

冷えの原因のひとつが、血流の悪さです。血流と体温は密接な関係にあり、鉄分不足で酸素を体のすみずみに送れなくなることで、血行不良に。すると手先足先など体の末端まで熱エネルギーが届けられなるため、体が冷えてしまいます。

また粘膜を作る働きも弱まり、免疫力が低下し、風邪を引き起こしやすくなったり疲れを溜め込みやすい体にも。

セルフチェック（６）すぐにイライラしてしまう

●鉄分は、精神の安定や意欲に関わる脳内物質の代謝に必要

鉄分が精神の安定に関わるということが、近年に研究で明らかになっています。鉄分が足りない状態だと、精神的にイライラしやすくなることがあるのだとか。理由は、精神を落ち着かせる「セロトニン」や「ドーパミン」といった成分の生成にも鉄分が関わっているから。イライラする他に、興奮しやすくなるなど、精神的に不安定になる可能性があるとして、改めて鉄分の大切さに注目が集まっています。

不調の改善&貧血予防に、おやつで「鉄分」を補うのが◎

アメリカやイギリスでは、小麦粉に鉄を入れることが一般化していたり、メキシコではトウモロコシに鉄分がプラスされていたりと、鉄分のミネラルを重要視した上で、鉄分が不足しないように日常的に食べる食品に添加している国も多くあります。そのため、日本人は欧米諸国などの先進国に比べ、鉄分が不足しているといわれます。

鉄分を意識的に摂るだけで、「病院に行くほどではないから」と見過ごしていた不調がラクになることも。「そういえば最近階段を登っても息が切れなくなったな」「歳のせいと思っていたけれど、鉄分が足りていなかっただけだったんだ！」と思えたら、嬉しいですよね。

鉄分不足を補うために大切なのは、やはり毎日の食事。偏った食生活や、ダイエットのしすぎで過度に食事制限をすると、鉄分不足に拍車をかけます。とはいえ、毎日のようにレバーやカツオ、頭から内臓まで食べられる魚など、鉄分の多い食材を食べ続けるのは難しいもの。

そこでおすすめなのが、おやつ感覚で食べられる鉄分の多い食品を、補食としてプラスすることです。

そもそも鉄分には2種類あり、
・レバーなどの動物性食品に含まれている「ヘム鉄」
・小松菜やほうれん草などの植物性食品に含まれている「非ヘム鉄」
があります。どちらか片方ではなく両方バランスよく摂るのがベストです。

小腹が空いた時は、おやつ代わりに煮干しや卵（ヘム鉄）、チーズやきなこ（非ヘム鉄）などを、食べて鉄分補給をするのがおすすめです。

監修／川口美喜子さん（大妻女子大学教授）イラスト／香川尚子