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眠れない女性

疲れているのに眠れないのはなぜ?寝つきをよくする7つの方法

「体はヘトヘトなのに眠れない…」「明日の朝早いのに、考え事がやめられず寝つけない」。こんな不眠の悩みを持つ人は多いのでは? 疲れているのに眠れない原因や対処法について、睡眠専門医の坪田聡さんに聞きました。

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疲れているのに眠れない原因は?

疲れていても眠れないのは、脳が興奮していて“おやすみモード”に入っていないからです。

次のような精神状態のとき、寝ようとしても脳は覚醒しています。

  • 目を閉じても考え事が止まらない
  • 明日やらなければいけないことを考えると焦る、緊張する
  • 人からいわれた言葉に落ち込んでクヨクヨする
  • 過去の失敗を悔やんでいる
  • 将来の漠然とした不安に押しつぶされそうな気持ち
  • イベントが楽しみで仕方がない

このようなときは、自律神経の中でも心身を活動モードにする「交感神経」が優位になっていてなかなか寝つけません。

また、精神面以外でも、スマホやテレビなどの液晶画面から出る強い光の「ブルーライト」が眠気を妨げます。

次から疲れていても眠れない原因をくわしく説明します。

原因1.不安やストレス

不安やストレスを感じると、一時的に寝つきが悪くなります。悩んでいるときは眠れなくても、その悩みが解消したら多くの人は自然と眠れるようになるものです。

ただ、不安やストレスで眠れない日が続くと、「眠れないこと」に対してますます焦ってしまい眠れなくなる人がいます。

こういった人は、布団に入ると「寝なきゃいけない!」と緊張してしまい、さらに不眠が慢性化してしまいます。

原因2.寝る前にブルーライトを浴びている

寝る前にスマホを触る女性

現代人が疲れているのに眠れない原因のひとつとしてあげられるのがスマートフォン。液晶画面から出る「ブルーライト」を浴びることで、眠気が妨げられます。

ブルーライトは、空と同じ青色をしています。浴びすぎると脳が「今は昼だ」と錯覚。心身をリラックスモードにしてくれる睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を減らします。

さらに、スマホなどの液晶画面以外にも、寝室の蛍光灯や電球をブルーライトが含まれる「昼光色」や「昼白色」にしている人は要注意。これらの光は仕事や作業をするときには適していますが、夜は脳を覚醒させてしまいます。

眠れない夜におすすめ! 今すぐできる対処法

「疲れているのに眠れなくてどんどん焦ってしまう」。そんな夜におすすめの対処法を紹介します。

ゆっくり深く呼吸する

人は気持ちが落ち着いているときは、自然とゆっくり深く呼吸するのに対して、緊張しているときは速く浅い呼吸になります。心が落ち着かなくて眠れない人は、意識的に大きく呼吸をしてみましょう。

リラックスできるおすすめの呼吸は、「4・7・8呼吸法」。

【4・7・8呼吸法のやり方】

(1)息を完全に吐き切る。
(2)鼻から息を吸いながら、心の中で「4秒」数える。
(3)息を止めて心の中で「7秒」数える。
(4)心の中で「8秒」数えながら、口からゆっくりと息を吐き出す。

これをベッドの上で何回かくり返してみましょう。息を吐く時間を吸う時間の約2倍にすることでリラックス効果が高まります。

ただ、あまり秒数にはこだわらず、自分が一番落ち着く時間配分で呼吸をしましょう「4・7・8呼吸法」を行う前とした後で、心身の緊張がどれくらい軽減するかを感じながら試してみてください。

一旦寝室から出てみる

寝る前に本を読む女性

眠れないとき、無理やり目をつぶって寝ようとしますが、ストレスで交感神経が刺激され、かえって寝つきが悪くなります。

そんなときは一旦寝床を離れ、リビングなどで眠気を感じるまで好きなことをして過ごし、また寝床に戻りましょう。

このとき、スマートフォンやテレビをみたり、ゲームをしたりすると、ブルーライトで脳が覚醒するのでNG。紙の本や漫画を読んだり、音楽を聴いたりしているうちに、リラックスできます。

それでも眠れない場合は、「寝床を離れる→好きなことをする→ベッドに戻り目を閉じる」をくり返してください。

眠れずに朝を迎えてしまったら、翌日は日中起きているのが辛いと思いますが、できる限り夜まで昼寝を我慢して、その日は早めに布団に入ってください。ここで昼間に眠ってしまうと、体内リズムが乱れ、また夜眠れない可能性があります。

羊を数える

「羊を数えると眠れるようになる」というのは、英語圏の言い伝え。羊は英語で「sheep(シープ)」。英語で寝るという意味の「sleep(スリープ)」と発音が似ているので、脳に暗示をかけるために、数えるようになったといわれています。

脳は単純なので、一つのことしか集中できません。考え事をしていても、羊を数えるうちにそちらに気をとられます。数えることに夢中になっていると、次第に単調な作業に脳が飽きて眠くなってきます。

ただし、「羊を1000匹まで数えるぞ!」と意気込むと、交感神経が高ぶってしまうので、構えずにのんびり頭の中で数えてみましょう。

夜になると自然と眠くなる「快眠ルール」

次から、快眠のためにふだんから取り入れたい生活のコツを紹介します。寝つきがよくなるだけではなく、睡眠の質が高まりぐっすり朝まで眠れるようになるでしょう。

夜に適度な運動をする

走る女性

夜、夕食後からお風呂に入る前に、ウォーキングや散歩などの軽い運動をするのは快眠に効果的です。激しすぎる運動ではなければ、どんなものでもOK。人は体温が下がるときに自然と眠くなります。

体を動かす習慣がない人は、まずはストレッチやヨガなど室内でできるものからはじめましょう。

寝る前に運動をして体温を上げておくことで、血流がよくなり皮膚の表面で冷えた血液が内臓や脳に戻って体温を一気に冷やします。そのため、寝る頃にはちょうど体温が下がり眠気を誘います。

寝る直前に息が上がるほどの筋トレなど激しい運動をするのはNG。交感神経が高ぶってしまい、目が覚めてしまいます。寝る直前にやるのであれば、肩や腰などコリや痛みが気になる場所を中心にストレッチしましょう。

湯船に浸かる

入浴中の女性

運動と同じく、湯船に浸かると一時的に体温が上がり、一気に下がったときに眠気が訪れます。

寝る1時間前に、40度以下のぬるめのお風呂に10分程度入るのがおすすめ。お湯の温度が高すぎると、交感神経を優位にして体を覚醒させてしまいます。

湯船に入るのが難しい場合は、シャワーだけでもいいですが、温浴効果が減ってしまいます。シャワーは、水圧で筋肉を刺激しリラックスできますが、一時的に体温を高めて寝つきをよくする効き目はありません。スムーズに眠りたいなら、10分でもいいので湯船に浸かりましょう。

湯船に入らなくても快眠効果を高める「クナイプ水療法」

忙しくて湯船に入る時間がないときや、夏の暑い日におすすめなのが、「クナイプ水療法」。

「クナイプ水療法」とは、自然療法士のセバスチャン・クナイプが行ったドイツで100年以上続く伝統的な自然療法。お湯と冷水の温冷効果で血流を高めます。

いつものシャワーにこれから紹介する工程をプラスするだけで、睡眠の質が高まります。

【クナイプ水療法のやり方】

(1)43℃くらいのお湯をシャワーで出し、2〜3分間、交互に左右の脚にかける。
(2)20℃くらいの冷水を20秒程度、交互に左右の脚にかける。


心臓から遠い脚にかけることで、全身の血流が改善し、温浴効果が高まります。また、交互に温冷刺激を与えることで副交感神経が優位になり、自然な眠気を誘います。

パジャマに着替える

ジャージやスウェットなどのラクな部屋着を着て寝ている人は、知らず知らずのうちに寝つきを悪くしているかもしれません。

パジャマに着替えたときと、部屋着のまま寝たときとで比較した実験では、寝るまでにかかる時間が部屋着よりもが9分短いことがわかりました。(※1)

これは「眠る前にパジャマを着る」などの決まった行動をとると、脳が「今から寝るのだ」と準備をはじめ、自然と眠くなるからと考えられます。

おすすめの素材や色をまとめましたので、パジャマを選ぶときの参考にしてみてください。

【パジャマを選ぶときのポイント】

  • 素材…肌ざわりがよく吸水性や速乾性が高いもの。コットンやシルクがおすすめ。
  • 色や柄…シンプルなもの。特に青は、副交感神経を優位にしてくれる。
  • 着心地…ゴムの締めつけは交感神経を高めるので、強くないもの。
  • 形…夏でも冬でも、長袖・長ズボンがおすすめ。汗を吸収し、蒸発してくれるので体温が下がり眠気が強まる。

着てみて心身ともにリラックスできるものを選んでください。

(※1)…2013年 ワコールとオムロンヘルスケアの「パジャマと眠りに関する共同実験」より

寝る前のスマートフォンやテレビをやめる

寝る前の少なくとも30分間は、スマートフォンやテレビなどの液晶画面を見るのをやめましょう。先ほど説明したように、液晶画面から出るブルーライトは寝つきを悪くするだけではなく、睡眠の質を下げてしまいます。

また、寝る直前に仕事のメールをチェックするのは言語道断。夜に仕事関係のメール対応をするのは、エスプレッソコーヒー2杯分の覚醒効果があるともいわれています。1日の終わりはスマホやパソコンを控えてお風呂でリラックスした状態のまま、眠りについてくださいね。

反対に、朝ブルーライトを浴びると、睡眠ホルモン「メラトニン」が抑制されシャキっと目覚めることができます。仕事のメール対応は朝に回して、夜はぐっすり眠る方が日中のパフォーマンスを上げることにつながります。

病院の受診のタイミング

ここ3~4週間で、半分くらいまともに眠れていない人は、まずは市販の睡眠改善剤を試してみるのもいいでしょう。市販薬を飲んでも眠れない場合は、睡眠専門医を受診してください。お近くに睡眠専門医や睡眠外来がない場合は、精神科に相談してください。

そうでなくても、今眠れていなくてふだんの生活が辛いと感じている人は、専門機関で受診してみましょう。

睡眠障害の専門機関では、最初に患者さんと相談しながら、生活習慣の改善や認知に働きかける心理療法「認知行動療法」をします。

来院される方の多くは「睡眠の質が悪いのは生活習慣が乱れているせいだ」と自覚されています。

しかし、実際に治療で睡眠時間を計測したり、いつもの習慣を振り返ってみると、改善すべき点を自分で実感でき、改善につながります。

それでも疲れていても眠れない症状が続く場合は、睡眠薬が処方されます。ストレスが原因の場合は、抗うつ剤など医師の診断の上、適切な方法で薬を処方します。

まとめ:疲れているのに眠れないときは、心身をリラックスモードに

眠れないときほど、「寝なければ」と心が焦ってしまいます。その間にもストレスで交感神経が刺激されます。

疲れているのに眠れないときこそ、意識を「心身のリラックス」に向けて、今回紹介した方法を試してみましょう。

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