筋トレをしても女性に筋肉がつきにくいのはなぜ?原因と対処法を解説
女性で筋トレを始めてみたは良いものの、なかなか筋肉がつかないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。解決するには筋肉がつかない原因を理解して、適切に対処することが大切です。理学療法士が原因と対策をご紹介します。
目次
筋トレをしているのに筋肉がつかない!
ダイエットや健康のために筋トレを始めたのに、なかなか筋肉がつかないと感じている女性もいるのではないでしょうか。せっかく筋トレをしているのに、効果を感じられないとなればトレーニングを続けるモチベーションも低下してしまいますよね。
では、なぜ筋トレをしているのになかなか筋肉がつかないのでしょうか。それは、筋肉のつきやすさには性別の違いや個人差の影響があるからです。
女性は男性に比べて筋肉がつきにくい
一般的に、女性は男性に比べて筋肉がつきにくいのです。この性別による筋肉のつきやすさの違いには、体内のホルモンが影響しています。例えば、「テストステロン」というホルモンがあるのですが、筋肉の発達を促す「テストステロン」は女性より男性の方が多く分泌します。
このようにホルモンが筋肉のつきやすさに関係しているため、そもそも女性は男性よりも筋肉がつきにくい体といえます。そのため、女性が少し筋トレをしたくらいでは、目に見える変化はわずか。男性に比べ、筋肉が発達しにくいといえるでしょう。
筋肉のつきやすさには生まれつき個人差がある
筋肉は同じトレーニングをしたら、誰でも同じように筋肉が発達するわけではありません。筋肉のつきやすさには、男女差のほかにも生まれつきの個人差があります。
これはその人が持っている遺伝子が関わっていて、同じ負荷量で同じ回数の筋トレをしたとしても、筋肉が大きく発達する人もいれば、あまり筋肉が発達しない人もいるのです。特に日本人を含む黄色人種は、他の人種と比較して筋肉がつきにくいといわれています。
このように筋肉は、性別や個人差によってつきやすさに違いがあるということを頭に入れておきましょう。
筋トレをしているのに筋肉がつかない原因は?
筋肉のつきやすさに男女差や個人差があることは事実ですが、だからといって筋トレをして、まったく筋肉がつかないということはほとんどありませんのでご安心を。それでも、筋トレをがんばっている人が筋肉がつかないと感じるのには、原因があると考えられます。
筋トレの負荷量が適切ではない
筋肉をつけるためには、筋肉にある程度の負荷をかける必要があります。ダンベルなどの道具を使った場合も、自分の体重を活かして筋トレした場合も、どちらも負荷がかかった状態です。
しかし、本人の筋肉量や体型に対して、筋トレの負荷量が軽すぎるなど、適切な負荷量ではないと筋肉がつきにくくなります。
筋肉が発達するには、まず筋肉に負荷を与えて、筋肉の繊維にダメージを与えなければなりません。ダメージを負った筋繊維が修復される過程で、元の筋肉よりも大きく発達することにより、徐々についてくるというわけです。そのため、筋肉にダメージを与えられないような軽すぎる負荷量で筋トレをすると、筋肉がなかなかついてこないでしょう。
ただし、“負荷量が軽い”というのは単に“重量が軽い”ということではありません。軽い重量でも筋肉が疲労するまで十分な回数を行えば、筋繊維にダメージが加わり、筋肉が発達します。負荷量=重量ではないことに注意してください。
摂取するタンパク質量が不十分
筋肉を構成するために欠かせない栄養素といえば、タンパク質。食事によるタンパク質摂取が不十分だと、筋肉がつきにくくなります。タンパク質は、筋肉を構成する材料となる大切な栄養素です。
極端なダイエットや食事の好き嫌いなどで、偏った食生活を続けているとタンパク質の摂取量が足りなくなる可能性があります。タンパク質が不十分だと、せっかく筋トレで損傷した筋肉が修復しようとしても材料がないため、大きく発達することができません。このように摂取するタンパク質量の不足も、筋肉がつかない原因の一つといえます。
筋トレを始めてからの期間が短すぎる
筋肉は筋トレを始めてすぐに、目に見えてつくわけではありません。もちろん筋トレを始めたばかりでも筋肉は発達しますが、見てわかるほどの変化ではないでしょう。見た目で筋肉がついてきたかな? と実感できるほどになるには、継続的な筋トレを大体2〜3カ月くらい行う必要があります。
もちろん、筋肉のつき方には個人差があるため、もっと早く実感する方もいれば、長い期間がかかる方もいるでしょう。
筋肉がなかなかつかないときの対処法
筋肉がつかない原因には、さまざまな要素があります。では、筋肉をしっかりつけるためにはどんなことをすればよいのでしょうか。筋肉がつかなくて困ったときの対処法を紹介します。
筋肉をしっかりと追い込む
筋肉をつけるためにまず大切なのは、筋トレのときに筋肉が疲労するまでしっかりと追い込むこと。筋肉を発達させるには、筋繊維にダメージを与える必要があります。
軽すぎる負荷量で少ない回数をやっても、筋肉に十分なダメージが加わらず、筋肉が大きく修復されません。筋トレは、負荷をしっかりとかけて、十分な回数を行って筋肉を追い込むことを意識しましょう。
タンパク質を積極的に摂取する
筋肉をつけるためには、タンパク質を積極的に摂取しましょう。筋肉の材料となるタンパク質が不足していると、十分な負荷量で筋トレをしていても材料不足で筋肉が発達しにくくなります。材料となるものがなければ、物をつくることができないのは当然のことです。
筋肉をつけるには、普段の生活で摂るよりも多めにタンパク質を摂取するように意識しましょう。タンパク質は、肉や魚、卵、大豆食品などに豊富に含まれています。
最低でも3カ月は筋トレを継続する
筋トレを始めたばかりでは、筋肉の変化がわかりにくいかもしれません。せっかく、始めたのですから最低でも3カ月は継続することをおすすめします。
筋肉が発達するには、筋トレで筋肉にダメージを与えて、修復する過程が必要となります。すぐに筋肉がつくわけではありませんが、十分な負荷量の筋トレを3カ月ほど継続して行うことで、自分で実感できるくらいに筋肉が成長してきます。
変化が乏しいとモチベーションを保つことが難しいですよね。でも、3カ月ほど継続して行えば、筋肉の変化に気づくでしょう。
トレーニングメニューを変えてみる
筋肉がなかなかつかないときには、トレーニングメニューを変えてみるのも一つの方法です。毎回同じトレーニングメニューを行っていると、体が慣れてきてしまい、無意識に手を抜くようになってしまうことがあります。筋トレの手を抜くと、十分に筋肉を追い込むことができなくなってしまうため、なかなか筋肉がつきません。
筋トレのメニューは体が慣れてしまわないように、今日は上半身、明日は下半身など日によってトレーニングする部位を変更するとよいでしょう。
筋肉をつけるためのトレーニングのポイント
筋トレはただ漫然と行っていては、効果的とはいえません。筋肉をつけるためには、トレーニングのポイントを押さえる必要があります。次からは、筋肉をつけるための効果的なトレーニングのポイントを解説します。
回数ではなく、筋肉が疲労するまでトレーニングする
筋肉をつけるために筋トレは、やる回数を決めるのではなく、筋肉が疲労するまで行うのが効果的です。筋肉に最適な負荷量には、個人の筋肉の質や量によって差があります。すべての人が同じ回数で効果的に筋肉が成長するとは限りません。
効果的に筋肉を発達させるためには、「この筋トレを何回やる」と最初から決めずに、筋肉が疲労するまで行うようにしましょう。筋肉が疲労した目安としては、スクワットや腹筋運動の場合であれば、筋肉がつらくなってやり始めたときほど動かせなくなったタイミングです。行えていた動作が行えなくなるくらいまで、筋肉を追い込むとよいでしょう。
同じトレーニングではなく、負荷量や回数を変える
筋トレは毎回同じトレーニングではなく、負荷量や回数を変えると、効果が高くなるケースがあります。いつも同じトレーニングでは、体が慣れてしまったり、筋肉に刺激が加わりにくくなったりすることがあります。
このような筋トレの停滞期には、負荷量や回数を細かく変えて行うと、より高いトレーニング効果が得られると報告されています。例えば、毎日10回×3セットのトレーニングを行っているとしたら、月曜日は15回×2セット、火曜日は5回×6セットといったように、細かく回数や負荷量を変更してみましょう。
正しいフォームでトレーニングする
適切な効果を筋トレで出すためには、正しいフォームでトレーニングすることが大切です。当たり前のことのようで、これがなかなか難しいですよね。
間違ったフォームで行うと、鍛えたい筋肉に十分な刺激が加わらないことがあります。また、負荷がかかる部位に偏りが出て、ケガにつながる可能性もあるでしょう。
特にトレーニングマシンや筋トレグッズを使った筋トレは、自分ではできているように思えても実際には不適切なフォームなっていることがあります。正しいフォームでトレーニングをして筋トレの効果を出すためにも、できれば始めはトレーナーや筋トレの知識がある方に、トレーニングを見てもらうとよいでしょう。
休息をとって筋肉を休ませる
早く筋肉をつけたくて筋トレを毎日がんばろうとしているかもしれませんが、実は休息をとって筋肉を休ませることもポイントです。筋肉が疲労している状態で筋トレを続けても、しっかり力を発揮することができずにいつもの負荷量を加えることが難しいでしょう。
十分に筋肉に負荷を与えることができなくなると、効果的に筋肉が発達しません。また、オーバートレーニングで体がストレスを感じると、ストレスホルモンが分泌され不眠やメンタル不調などにつながることがあります。
筋肉をつけるためには、筋トレをがむしゃらにがんばるだけではなく、しっかりと筋肉を追い込んだら2〜3日ほど休息をとることも忘れないようにしましょう。
筋肉をつけるために最適な食事
筋肉をつけるためには、筋肉の材料となる栄養素を食事で摂ることも重要です。筋トレの効果を最大限にし、筋肉をつけるために最適な食事について解説します。
最低でも体重1kg当たり1gのタンパク質を摂取する
筋トレをしている方は、最低でも体重1kg当たり1gのタンパク質摂取を目指しましょう。厚生労働省の報告によると、推奨する成人のタンパク質摂取量は、「体重1kg当たり0.66g」と報告されています。
しかし、この数値は健常な成人がタンパク質を維持するために必要な量ですので、トレーニングを行って筋肉を成長させようとしている方はこれよりも多くのタンパク質が必要です。そのため、最低でも体重1kg当たり1gのタンパク質を摂取しましょう。
例えば、体重50kgの方であれば、50gのタンパク質を摂取が求められます。50gのタンパク質を摂取するには、コンビニで売っているサラダチキンだと約2つ分です。
全体的にバランスの良い食事を心がける
筋肉の発達にはタンパク質が必要ですが、全体的にバランスの良い食事を心がけることも大切です。筋肉を大きくしようとしてタンパク質だけに偏った食生活をしてしまうと、体を動かすエネルギーとなる炭水化物や体の調子を整えるビタミンなどが不足してしまう可能性があります。
一部の栄養素が不足してしまうと、体調を崩す原因にもなり、筋トレ自体が行えなくなってしまうことがあるでしょう。健康的に筋トレを続けるためにも、食事はタンパク質の摂取量を増やしつつ、主食や野菜なども含め、バランスの良い食事を心がけてください。
なるべく筋トレ後1時間以内にタンパク質を摂取する
筋トレをした後は、なるべく1時間以内にタンパク質を摂取しましょう。なぜ、筋トレ後1時間以内がいいかというと、筋トレ後は体のタンパク質の吸収率がアップするとされているからです。このタンパク質の吸収がよいタイミングを「アナボリックウィンドウ」といいます。
ただし、必ずしもこの間に摂取しないとまったく意味がないわけではありません。タンパク質を吸収するのに最も効果が高いとされているのは、筋トレ後1時間ですが、筋トレ後のタンパク質の吸収率アップは、筋トレをしてから24〜48時間継続するともいわれています。そのため、筋トレ後1時間以内に摂取できなくとも、できるだけ可能なタイミングでタンパク質を摂ることを意識しましょう。
睡眠不足を避ける
筋肉を発達させるためには、睡眠不足は大敵です。筋肉を発達させる「成長ホルモン」は、睡眠中に分泌されます。つまり、十分な睡眠が取れていないと成長ホルモンの分泌が乏しくなり、筋肉の発達に悪影響が生じるのです。
そのため、眠る時間をけずってまで筋トレをがんばらないようにしてください。必要な睡眠時間には個人差がありますが、目安としては翌日の日中に眠くならない程度には、毎日睡眠を取るようにしましょう。
睡眠のゴールデンタイムはいつ?成長ホルモンを促す睡眠のとり方
なかなか筋肉がつかないときはサプリメントも活用
筋肉がなかなかつかないと感じたら、サプリメントを活用するのも一つの方法です。筋肉の発達に効果が期待できるサプリメントと成分について解説します。
プロテイン
プロテインとは、日本語で「タンパク質」と訳されます。しかし、一般的にプロテインといえば、水や牛乳に溶かして飲むタンパク質補給のサプリメントとして知られているでしょう。
プロテインはその名前のとおり、豊富にタンパク質を含んでいます。タンパク質は筋肉を発達させるために重要な栄養素ですが、食事から必要な量を摂取するためには多くの食材を食べなければいけません。
プロテインは食事からのタンパク質摂取だけでは不十分なときに、補助的にタンパク質を摂るために最適なサプリメントです。プロテインにはタンパク質が豊富に含まれていますが、そのほかにもビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素が含まれている商品もあります。
クレアチン
「クレアチン」とは、筋肉を動かすエネルギー源に関わるアミノ酸です。クレアチンを摂取すると、エネルギー源の再活用を助けるため、摂取しなかったときよりも高い負荷量の筋トレができると報告されています。
通常よりもハードな筋トレで、筋肉に負荷を与えることができるため、筋トレの効果をより高めるわけです。高い負荷量の筋トレをがんばりたいという方は、クレアチンを試してみるのもおすすめです。
カフェイン
コーヒーやお茶などに含まれている「カフェイン」。筋トレにカフェインが関係するのか疑問に持つ方もいるかもしれませんが、筋トレの効果を高めるという研究結果が報告されています。カフェインを筋トレの前に摂取することで、摂取しなかった時と比べて、負荷量の高い筋トレが行えたとのこと。
また、カフェインには筋肉痛を和らげる効果が期待できるとの報告もあるため、筋トレを継続的に行っている方にとっては摂取したい成分といえるかもしれません。
このように筋肉の発達に効果が期待できるサプリメントもあります。筋肉がつかないことに悩んでいる方は、活用してみるのもよいでしょう。
ただし、持病がある方や薬を服用している方は、サプリメントを摂取する前に医師に相談するようにしてください。
まとめ:筋肉がつかないときは筋トレや食事の見直しを
筋トレの効果には個人差があり、同じ筋トレをしても誰でも同じように筋肉がつくわけではありません。また、不適切なやり方やタンパク質が不十分だと、筋肉がつきにくくなってしまいます。
筋トレをしているのに、なかなか筋肉がつかないとお悩みの方は、ご紹介したトレーニング方法や食事を参考にして、見直してみましょう。
文/平井一真
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