糖質制限中に便秘になったら?今すぐスッキリする方法と食事のコツ
やせたい、健康になりたいと思って糖質制限ダイエットを始めたら、なぜか便秘になってしまった…。糖質制限をしても便秘にならないための食事の摂り方と、今すぐお腹をスッキリさせる腸活テクを、医師・松本和隆さんに聞きました。
目次
糖質制限をすると便秘になるのはなぜ? 原因を解説
ごはんやパンなどの炭水化物を減らす「糖質制限ダイエット」。太らないためにふだんから糖質を摂るのを控えている、夜は糖質を摂らないといった女性も多いのではないでしょうか。
ダイエットや健康維持目的で糖質制限を始めたものの、気づいたら便秘になってしまった、という人は少なくありません。やせたくて始めたのに、便秘のせいでお腹がスッキリしない、体重が落ちないなど、逆に悩みが増えてしまうようでは本末転倒です。
極端に糖質を制限したり、糖質制限を始めてすぐの頃は便秘になる場合もあります。それには、次のような原因が考えられます。
水分が減る
糖質制限を始めようと思って真っ先に減らすのが、ごはんやパン、麺などの炭水化物。その中でもごはんは、水分を多く含んでいます。
ごはんを炊くときに、米に対してたっぷりの水を入れて炊きますよね。その水が米に吸収されて炊きあがるわけですから、主食の中でも水分が豊富に含まれているといえます。
ごはんは約60%が水分といわれます。茶碗1杯分で水分量は約100グラム。これが糖質制限により1日3食分、ごはんを抜いたとすると、糖質制限前よりも300グラムの水分が不足することになります。
食物繊維が減る
炭水化物(ごはんやパン)には、食物繊維もたくさん含まれています。糖質を制限することで、これまで自然と食事から摂っていた食物繊維も不足。
食物繊維には、便をつくる、善玉菌を増やして腸内環境を整える、排便量を増やすといった役割があります。糖質制限によって気づかないうちにこれらの働きが低下。これまではスッキリとお腹の調子が良かった人も、毎日の排便がなくなったり、便が出にくくなったりします。
便のかさが減り、ぜん動運動が低下
便はある程度かさになる量がないとつくられません。炭水化物が減ることで便となるものが少なくなり、そのため腸がうねうねと動いて便を押し出す、ぜん動運動も低下。少ない量が腸内で動かずにとどまってしまう時間が長いため、便秘になったと感じます。
ゆるやかな糖質制限であれば、すぐに便秘になるといった症状はあらわれないかもしれません。しかし、このようなことが原因で、便秘になることが考えられます。
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糖質制限による便秘を防ぐには?
糖質制限を始めてもなるべく便秘にならないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。いま糖質制限中で悩んでいる人も、これから始める人も、次から紹介する食事のコツを参考にしてみてください。
食物繊維を減らさない
炭水化物を減らすと、同時に食物繊維の摂取量も減ってしまいます。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、便秘改善・予防のためには、どちらもバランスよく摂ることが大切です。
水溶性食物繊維
「水溶性食物繊維」とは、水に溶けやすい食物繊維のこと。水分を吸収してやわらかい便をつくります。また、腸内の善玉菌を増やしたり、血糖値の上昇をおさえたりする働きも。果物やいも類、海藻類(昆布やワカメなど)、こんにゃくなどに多く含まれます。
不溶性食物繊維
「不溶性食物繊維」は、反対に水に溶けにくい食物繊維です。便のかさを増やして大腸を刺激し、腸のぜん動運動をサポート。ごぼうや大豆、穀類などに多く含まれます。
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食物繊維が豊富な主食に置き換える
糖質制限で便秘にならないためには、極端に糖質を排除するのではなく、炭水化物などの糖質が多い食材を、食物繊維が豊富な食材に上手に置き換えるのがおすすめです。
例えば、白いごはんではなく、もち麦や大麦、押し麦などを混ぜた雑穀ごはんにする、パンや麺も全く食べたいのではなく、食物繊維豊富な全粒粉入りのものに置き換えるなどの工夫を。
水分をしっかり摂る
ごはんを減らしたことで食事から摂取する水分がいつもより減っています。糖質制限中はいつもより多めに水分補給することを心がけましょう。3食ごはんを減らすと、約300グラムの水分が不足します。その分、1日にペットボトル1本弱は水分を補うように意識を。
また、大腸では水分が吸収され、食べ物の残りかすが便となって排出されます。このように便がつくられる過程でも水分を必要としますので、しっかり摂っておくことをおすすめします。
植物性油を減らさない
油分の不足も便秘になる可能性があります。糖質制限中は動物性の油ではなく、オリーブオイルなどの植物性の油を少量摂り、腸に溜まった便がスムーズに排出できるようにしましょう。
つらい便秘を今すぐスッキリさせるには? 医師おすすめの方法
便秘になると「今日も出なかった…」「出そうなのに出ない」などと、一日中気になって仕方がないですよね。体にいいと思って始めた糖質制限なのに、排便がないことが不安になることでしょう。つらい便秘は一刻も早く解消したいもの。おすすめの方法を紹介します。
腸を刺激する「のの字」マッサージ
おすすめは腸のマッサージです。大腸は、おへそをぐるっと囲むような位置にあります。右下から左下へ向かって「のの字」にマッサージすることで、排便を促します。
【のの字マッサージのやり方】
仰向けもしくはトイレに座った状態で、両手を重ね、お腹の右下から“のの字”を描くように左下へ向かってマッサージする。気持ちいいと感じる程度の強さで、ゆっくり呼吸をしながら行う。回数は何回繰り返してもOK。
このマッサージは腸を刺激して排便を促すだけでなく、リラックス効果もあり、緊張状態がゆるむことでも便秘を改善します。今すぐスッキリしたいときは、試してみてください。
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まとめ:糖質制限中の便秘は食物繊維と水分不足によるもの
極端に糖質を抜いて制限したり、糖質制限を始めたばかりの頃は便秘になることがあります。
これは、糖質をカットしたことによる食物繊維や水分の不足によるもの。糖質制限中でも便のかさになる食物繊維、便をスムーズに排出するための水分はしっかり補給しましょう。
また、完全に炭水化物を抜くといったハードな糖質制限は、食事から摂れる栄養バランスがかたより、便秘だけでなく、体に必要なさまざまな機能が低下してしまうことも考えられます。糖質は、摂り過ぎもよくありませんが、体にとっては必要な栄養素です。健康のためには、極端に始めるのではなくゆるやかな糖質制限がおすすめです。
[ 監修者 ]
- 医療法人松徳会 松本クリニック
- https://www.matumoto-clinic.jp/