四十肩や肩こりが軽くなる「ファシアゆるめ」|整形外科医が考案
肩こりや四十肩に悩む人がやりがちな「肩たたき」や「肩もみ」には、実は症状を悪化させてしまう危険も。筋肉と骨を繋ぐ組織を覆う「ファシア」を緩める2つのエクサで、肩のコリや痛みを軽くしましょう!
目次
肩の痛みには「ファシア」をゆるめる
肩に痛みや違和感があったときにたたいたり、強くもんだりするのは、多くの人がやりがちな行動。
「この方法で得られる効果は一時的なもの。それどころか、症状が慢性化してしまうことも。そこで、注目してほしいのが『ファシア』です」と整形外科医の遠藤健司さん。
「ファシアとは筋肉や、筋肉と骨をつなぐ腱などを覆う組織のこと。正常だとゆるんでいて、筋肉や関節は滑らかに動きます。ところが、筋肉を動かさないとファシアはむくんで硬くなります。筋肉や関節の滑らかさが失われ、痛みを感じるのです」
「しかも、この状態でたたいたり、強くもんだりすると、ファシアは傷ついてさらに硬くなるため、痛みが解消されません」
首や肩、脇のむくみを解消し、ファシアをゆるめること。これが肩の痛みを撃退する根本的な解決法なのだそうです。
「ファシアのむくみは、脇を伸ばすなどといった簡単な動きで改善します。肩の軽さを手に入れるだけでなく、快適な状態をキープしておくためにも、ぜひ続けてみてください」
ファシアがゆるんでいると、肩はスムーズに動く!
ファシアとは、全身の筋肉や臓器などの間に張り巡らされた組織のこと。僧帽筋(そうぼうきん)、肩甲挙筋(けんこうくきょきん)、菱形筋(りょうけいきん)など肩周辺の筋肉もファシアに覆われています。
ファシアは、本来、水分を含むやわらかい組織ですが、悪い姿勢で筋肉に負担がかかると血流が悪化。水分が滞ってむくんで硬くなるため、動かすと痛みを感じます。
体を伸ばしてファシアをゆるめると、肩はスムーズに動くように。
ファシアをゆるめるエクサのやり方
エクササイズ1 肩筋肉のコリ流し
【やり方】
腕を上げた状態で肩の筋肉のファシアをゆるめ、コリを押し流します。
腕を横に上げて壁に手をつき、肩のコリを押し流す
肩の痛みがある側を壁に向け、横に立つ。壁側の腕を肩の高さまで横に上げ、ひじをのばして壁に手をつく。反対側の手を、痛みのあるほうの首のつけ根に指をそろえて当てる。当てた手を壁に向かって肩のコリを手で押し流す。
腕が上がらない人はここをゆるめる
棘上筋(きょくじょうきん)は肩甲骨と上腕の骨をつなぐ筋肉。三角筋は肩を覆う大きな筋肉です。いずれも、体の横で腕を上げるときに働きます。腕を横に上げにくい人や痛みがある人は、これらの筋肉のファシアがむくみ、硬くなっている可能性があります。
エクササイズ2 両脇のばし
【やり方】
ひじを上げて、肩の深部のファシアをゆるめ、動きやすい状態に。筋肉から肩甲骨をはがすイメージで5秒×6回行って。
1. 曲げたひじを上げる
手を軽く握る。ひじを曲げ、手を鎖骨の前に置く。背すじを伸ばし、上げられる高さまでひじをゆっくり上げる。
2. ひじを引き肩甲骨を寄せる
上げたひじをゆっくり後ろに引く。ひじはできるだけ下げず、左右の肩甲骨を中心に寄せるように。
3. ひじを下ろす
肩甲骨を寄せた状態のまま、ひじを下ろす。ひじを伸ばして脱力したら、ここでひと呼吸。
1〜3を5秒を目安に行い、これを6回繰り返す。
からだにいいこと読者もやってみました!
肩に痛みがある読者が10日間やってみた結果、それぞれに改善の効果がありました。
「思った以上に効果が! 肩が軽くなり、腕がラクに上がるようになりました」(T・Aさん)
撮影/福島章公 モデル/中田奈沙 イラスト/サトウヨーコ
(からだにいいこと2021年6月号より)