ストレスを和らげる食べ物|コンビニでも買える“心にいい”食材は?
ストレスや不安などの負の感情に振り回されていませんか? そのメンタル不調は、食生活を見直すことで改善するかもしれません。今回は、ストレスを和らげる食べ物とコンビニで買える食材、暴飲暴食のコツを紹介します。
目次
ストレスに効果的な食べ物と栄養素
「ちょっとしたことでイライラしてしまう…」「ストレスがたまってつらい…」。メンタルが不安定なときは、趣味や運動でストレスを発散させるのもいいですが、食事で必要な栄養素を摂ることも大切です。
ストレスを和らげるさまざまな栄養素と、それらを多く含む食べ物を紹介します。心がお疲れ気味のときこそ、食事に取り入れてみましょう。
精神を安定させる「トリプトファン」
バナナや卵、乳製品などに多く含まれるトリプトファン。体では作れない必須アミノ酸の一つで、“幸せホルモン”と呼ばれる「セロトニン」の材料になります。
セロトニンは気持ちを安定させる効果があり、メンタルの健康には欠かせません。また、夜になると眠りを誘うホルモンの「メラトニン」に変化して、質のいい睡眠をサポート。不安感が強いと睡眠にも影響しますが、メラトニンの作用で熟睡でき、心と体の疲労を取り除いてくれるでしょう。
トリプトファンを含む食べ物
- バナナ
- 卵
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
- 肉類(牛、豚、鶏)
- ナッツ類(くるみ、アーモンド、カシューナッツ)
- 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳) など
卵1個(約50g)にはタンパク質が6.2g含まれています。“完全栄養食”ともいわれる卵は、タンパク質以外にもさまざまな栄養素がつまっています。卵の栄養価と効率よく栄養摂取できる調理法を解説します。
気持ちを正常に保つ「ビタミンC・B・E」
さまざまな体の機能をサポートするビタミン。中でも「ビタミンC・B・E」はメンタルの健康にも関係し、気持ちを安定させる脳の伝達物質の合成や材料として働きます。
サプリメントなどで一つの種類だけを摂取する人がいますが、ビタミンはどれか一つを摂ればいいというものではありません。バランスよく摂ることで、お互いが助け合ってはじめて効果を発揮します。
ただし、ビタミンCとBを含む食材の調理にはポイントがあります。水に溶ける性質があるので、茹でると栄養が流れ出てしまいます。蒸す、もしくはレンジで調理するか、煮汁ごと摂れるスープで食べるのがおすすめです。また、ビタミンCは熱に弱いため、生で食べられるものは加熱せずに食べる方が効率的に栄養素を摂取できます。
ビタミンC・B・Eを含む食べ物
ビタミンC
- 生の果物(みかん、キウイフルーツ、いちご、レモン)
- 野菜(ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草)
- 芋類(じゃがいも、さつまいも) など
ビタミンB
- 赤身の魚(カツオ、マグロ)
- 赤身肉(牛、豚、レバー)
- 玄米
- 雑穀米
- 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)
- 豆類(あずき、ひよこ豆、落花生)
- 卵 など
ビタミンE
- ナッツ類(くるみ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)
- 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)
- 卵 など
栄養に関する研究で世界をリードするDSM社の“ビタミン博士”こと乾泰地さんが、栄養が深く関わっている不調について教えてくれるこの連載。第4回のテーマは「マルチビタミン」です。私たち女性の生理不順にも関係しているという、ビタミンのパワーを教えてもらいました。
興奮やイライラを抑えてくれる「カルシウム」
カルシウムは、脳の神経の興奮を抑える効果が期待でき、イライラや不安が強いときに摂りたい食材です。乳製品や小魚など、カルシウム豊富な食材を食事に摂り入れましょう。
カルシウムを含む食べ物
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
- 卵
- 小魚
- 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)
- 乾物(切り干し大根、干し椎茸)
- 小松菜
- ほうれん草 など
カルシウムの補助役「マグネシウム」
せっかくカルシウムを食べるなら、マグネシウムも一緒に摂るのがおすすめです。海藻やナッツ類に多く含まれるマグネシウムは、カルシウムの吸収を高めて、ストレスを和らげる効果があります。マグネシウムは、体の中で合成できない必須ミネラルなので、食べ物からしっかり摂るようにしましょう。
マグネシウムを含む食べ物
- 海藻(ひじき、わかめ、昆布)
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、松の実)
- 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)
- ココア
- チョコレート など
1日の栄養摂取量の目安
紹介したトリプトファン、ビタミンC・B・E、カルシウムを含む食材は、それぞれ1日に握りこぶし1個分(70〜80g)以上は食事に摂り入れてください。
マグネシウムは、1日にたくさん摂る必要はありません。例えば、1日にナッツ1粒を摂るだけでもOK。先ほどあげた食材を1日に1回は食べることを意識しましょう。
コンビニで買えるストレス緩和におすすめの食べ物
ストレス緩和に効果的な食材は、コンビニでも手に入ります。イライラ、うつうつして、メンタルが不安定なときにコンビニに立ち寄ったら、次のような食べ物を手に取ってください。
おすすめは、材料に「牛乳」か「大豆」か「卵」が入っている物を選ぶこと。これらは、先ほど紹介したトリプトファン、ビタミンC・B・E、カルシウム、マグネシウムなどの栄養素がまんべんなく入っている優秀食材です。
ヨーグルト
ヨーグルトの原料になる牛乳は、「トリプトファン」と「カルシウム」を含んでいます。
トリプトファンは、気持ちを安定させてくれる伝達物質「セロトニン」の原料。カルシウムはイライラを抑えてくれる効果があります。
プレーンのヨーグルトでもOKですが、果実入りを選ぶと、「ビタミンC」も一緒に摂ることができます。ヨーグルトは、小腹が空いたときのおやつにも最適ですし、食事にプラスして食べるのもおすすめです。
健康のためにヨーグルトを習慣にしている人も多いのでは? 実は乳酸菌には様々なタイプがあり、その効果や相性はいろいろ。自分にぴったりの「マイ乳酸菌」を見つけて、効率のよい腸活で体質改善を!
たんぱく質が入ったサラダ
ゆで卵や肉などのたんぱく質が入ったサラダで、「トリプトファン」を補給できます。また、サラダの生野菜にはビタミンCも含まれています。ビタミンCは、セロトニンの合成に必要な栄養素。コンビニで買うならサラダも有効活用しましょう。
たんぱく質が豊富なおつまみ
コンビニのおつまみコーナーも、ストレス緩和に優秀な食材が並んでいます。
唐揚げやゆで卵、枝豆などのたんぱく質が豊富なおつまみには、「トリプトファン」が含まれています。特におすすめしたいのは、枝豆。枝豆は栄養価がとても高く、トリプトファンのほかに「ビタミンB」や「ビタミンE」、「カルシウム」、「マグネシウム」も豊富に含んでいる、ヘルシーな食材です。
ホットココア
ココアに含まれるカカオには、「マグネシウム」が含まれており、「カルシウム」と一緒に摂ることで相乗効果を発揮します。そのためコンビニで買うなら、牛乳が入ったペットボトルや缶のココアを選んでください。パウダーのココアを買って作る場合は、お湯ではなく温めた牛乳で割り、マグネシウムとカルシウムの両方を摂りましょう。
また、温かい飲み物には、気持ちを落ち着かせてくれる効果があります。ストレスを感じたらホットココアで一息ついてくださいね。
スムージー
スムージーには、野菜や果物がたっぷり。これらには「ビタミンC」が入っています。材料に牛乳や豆乳、小松菜、ほうれん草が入っている物を選ぶと「カルシウム」を、バナナが入っている物を選ぶと「トリプトファン」を摂れます。コンビニでスムージーを選ぶときは、パッケージを見て、ストレス緩和におすすめの食材が入っているかどうかをチェックしてください。
やる気がでない、イライラする、落ち込みやすい…そのメンタル不調の原因は、“栄養不足”かも? 忙しくても、やる気がなくても大丈夫。そんな栄養不足は手軽にコンビニ食で改善しましょう!
ストレス緩和に甘い物は逆効果!
ストレスがたまると、どうしても甘い物に走ってしまう、スイーツ欲が抑えられないという人も多いのではないでしょうか?
人はストレスを感じると、脳が糖分を欲します。糖分を摂ることで血糖値が上がり一時的にイライラが和らぎます。しかし摂った糖分を消化するために、体内の「ビタミン」や「カルシウム」が必要になります。ストレスを緩和させるビタミンやカルシウムが失われてしまうので、食べれば食べるほど結果的にストレスがたまってしまうのです。こうして、甘い物を食べるとイライラするという悪循環に陥ります。
どうしても我慢できないときは、マグネシウムが摂れるチョコレートや、トリプトファンが摂れるバナナがおすすめ。栄養が少なく糖分ばかり入っている飴やグミは、ストレス緩和のためには逆効果です。
特に炭酸飲料は要注意。500mlペットボトルで角砂糖10個以上の糖分が含まれているといわれています。喉越しがよくつい飲み過ぎてしまいますが、1本飲むだけで糖分過多に。その結果、体内の「ビタミン」や「カルシウム」がたくさん使われます。ストレスがたまっているときは、甘い飲み物は控えましょう。
ストレスによる暴飲暴食を防ぐには?
むしゃくしゃすると過食気味になる、好きな物を好きなだけ食べてストレスを発散する人も多いはず。ただし、後になってから「食べすぎてしまった…」と後悔して余計に落ち込むことも。また、メンタル面だけではなく、長い間食べ物が体内にとどまることで、胃腸にも負担がかかります。
やけ食いが続いている人は、このあと紹介する暴飲暴食を防ぐ方法を試してみてください。
ストレスがたまると暴飲暴食をしたくなるのはなぜ?
人はイライラすると、抗ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が分泌され、ストレスから体を守る働きがあります。しかし、このコルチゾール は食欲抑制ホルモンの「レプチン」を減少させてしまいます。その結果、ストレスがたまるほどコルチゾールの分泌量が増え、過食しやすくなるのです。
ここでドカ食いしてしまうと、血糖値が一気に上昇。体は血糖値を抑えるブレーキをかけますが、急激に下がると、その反動で、また「糖」を欲して、食事を摂り続けてしまいます。
暴飲暴食がやめられないときの対処法
「ストレスで食欲が止まらなくなる」「イライラすると、お腹が空いていないのに食べてしまう」という人は、危険信号。暴飲暴食が体の負担になっています。
食べたい衝動に駆られる前に、これから紹介する方法を試してみてください。
温かい飲み物を飲む
どうしてもストレスを感じて暴飲暴食したくなったときは、一旦温かい飲み物を飲んでください。メンタルを落ち着かせてくれる効果があります。
温かい飲み物をゆっくり飲んでいる間に、本当に食べたいのかどうかを冷静に考えましょう。
おすすめの飲み物は、「ホットココア」や「チョコレート入りのホットミルク」。精神を安定させる「トリプトファン」や、一緒に摂るとストレス緩和に効果を発揮する「カルシウム」と「マグネシウム」が摂取できます。
温かい飲み物を飲むことで、気持ちが安らぎ、結果的に食欲を抑えられるでしょう。
息抜きでたまったストレスを吐き出す
暴飲暴食の原因になっているストレスを、こまめに発散することも効果的です。
おすすめの発散法は、気持ちを外に吐き出す「アウトプットする行動」を取ること。
例えば…
- 絵を描く
- 誰かと話す
- 歌を歌う
- SNSに今の感情に合った写真を投稿する など
ストレスがたまりやすい人は、ネガティブな感情を表現するのが苦手な傾向にあります。このような「アウトプットする行動」で、イライラや心のモヤモヤを発散してみましょう。ストレスが消えると、自然と食べることへの執着が減り、暴飲暴食も防ぐことができますよ。
食べても食欲が抑えられない…今すぐなんとかしたいですよね。過食の原因にはストレスが考えられますが、それ以外にも理由があるかもしれません。今回は、食欲が止まらない原因や病気のリスク、対処法を解説します。
ストレスによる不調が続いたら? 受診の目安
イライラが続いても忙しいとその感情をため込んで、発散するのを忘れてしまいます。気づいたころには、ストレスによる心身の支障が起こる…なんてことも。
ストレスが原因で、次のような不調が続いていないかチェックをしましょう。
- 眠れない
- 楽しく続けていた趣味すら面倒に感じる
- 憂鬱な気分が続く
- 何も興味が湧かない
- 食欲がない
このように、前と比べて困りごとが増えてきたら受診の目安。精神科や心療内科で相談してください。
「精神科や心療内科=薬を使った治療」と考える人が多いのですが、基本的に最初はカウンセリングからはじめます。医師は一番困っていることを聞いて、今置かれている環境を変える提案や、ストレスに対する考え方を変えるアドバイスをします。
それでも改善がみられない場合、症状の程度によっては薬を併用した治療を行います。最初から薬を大量に処方することはないので、ストレスで悩んでいるなら「相談してみる」くらいの気持ちで受診してみましょう。
まとめ:食べ物を見直してストレスの緩和を!
ストレス緩和のために「この栄養素だけを摂ればいい」というものはありません。この記事で紹介した栄養素を食事からバランスよく摂ることで効果が発揮されます。
たくさんある食材の中でも、「牛乳」「大豆」「卵」はストレス対策にいい栄養素がまんべんなく入っているので、特におすすめです。
また、摂取した「ビタミン」や「カルシウム」を逃さないためにも、イライラしているときの甘い物選びには要注意。飴やグミなどの栄養価が少ない糖分は控え、生の果物やチョコレートに置き換えるだけでも、ストレス緩和に効果がありますよ。
普段の食べ物を見直して、ストレスに強い心と体を作りましょう。
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