管理栄養士が解説。水を飲む習慣がダイエットのカギになる理由とは?
ダイエットをしているけど、うまくいかない…。そんなときは水の飲み方を見直してみてください。正しい水分補給は、ダイエット成功の鍵を握っています。管理栄養士の篠原絵里佳さんにくわしくお聞きしました。
目次
水を飲む習慣がダイエットにいい理由
ダイエットでは水分補給がとても大切です。しっかりと水分補給をせずにダイエットを続けると、思ったようなやせ効果が得られなかったり、便秘のように不調を伴った状態で不健康にやせたりします。
体内の水分は、栄養素を運ぶ、老廃物を排出する、代謝や消化吸収などの化学反応の基盤となる、体温調節をするなど、重要かつさまざまな役割を担っています。
人間の体重の60%は水分で成り立っているため、水分が不足するとこれらの働きがうまくいかなくなります。こうした基本的な働きが低下することで、ダイエットも停滞してしまうのです。
次から水を飲む習慣が、健康的なダイエットに欠かせない理由をご紹介します。
基礎代謝がアップ
水分摂取は、体の代謝アップにかかわります。体に十分な水分があれば、血流は常にスムーズになり、必要な栄養がすみずみまで行き渡ることで基礎代謝がアップ。反対に、水分不足で代謝が下がると、体が冷えて脂肪が溜まり、太りやすさの原因になります。
むくみがとれる
水分を摂り過ぎるとむくんでしまうのではないか、と飲むのを控える人がいますが、実は不足しすぎてもむくみの原因になります。
体に必要な水分が足りていれば、水の働きで老廃物をしっかり排出してくれます。そのため適度に水を摂取できている人ほど、むくみがなく、体や顔もスッキリします。
お通じがよくなる
便は大腸で水分が吸収されますが、このとき水分量が少なすぎると固くなり、スムーズに排出されず、便秘気味に。
適度に水分を摂っていると、便が柔らかくなり、するっと出てきます。水分補給は、便秘を解消する働きもあります。
それだけでなく、便秘で腸内環境が悪くなり悪玉菌が増えると、栄養素の吸収が低下したり代謝が落ちたりします。すると、脂質や老廃物をため込んで太りやすい体に。十分な水分摂取は便秘を改善し、体型キープに役立ちます。
食欲を抑える
水分を摂取すると、その分お腹も満たされます。食事の前にコップ一杯の水を飲めば、食べ過ぎを抑えることができます。暴飲暴食をストップするのにも水分補給は大切です。食べたい! と衝動的に思ったときこそ、水をひと口飲んでみましょう。
運動や食事制限よりも続けやすい
ダイエットのために行う運動や食事制限よりも、水分摂取は手軽にできる習慣です。日頃から習慣化するのも難しくないため、ダイエットに効果をもたらしてくれるでしょう。
いま実践しているダイエット効果をさらに高めるためにも、代謝を上げる水分補給は大切。水を飲むことを習慣にした上でチャレンジするとよいでしょう。
肌トラブルを解決
無理なダイエットをすると、食べ物から摂る水分や栄養素が偏ったり、肌の代謝が落ちて、肌トラブルに悩むことも。水分補給は栄養素を体中に届けて老廃物の排出をスムーズにするため、肌の代謝がアップ。ターンオーバーが整い、肌荒れやニキビなどを防いで、肌を美しく保ってくれます。
ダイエットにおすすめの水の飲み方
ダイエットに水分補給が必要だからと言って、ガブガブ大量の水を一気に飲むのはNGです。健康的にやせるためには、次のように水分を補給しましょう。ダイエットに効果的な水の飲み方をまとめました。
こまめに飲む
水は一気に飲むのではなく、こまめに少しずつ飲みましょう。体を常に水で満たしてあげることがポイントです。喉が渇いてからでは遅いので、仕事や家事の合間にちょこちょこ水分を補給しましょう。
1日の中で水を飲むタイミング
まず、朝起きたらコップ一杯の水を飲んでください。寝ている間に汗で失われた水分を、朝一番に補給します。
続いて、3食ごはんを食べるときに、それぞれコップ一杯程度を飲みましょう。食事を摂りながら水を飲みます。
夜、お風呂に入る前後も水分を失われやすいので、コップ一杯ずつ口にします。最後に、寝る前にコップ一杯の水を飲み眠りにつきます。トイレが気になる人は、コップ半分程度に調整してください。
運動中と運動後はしっかり水を飲む
ダイエット中に運動するときも水分補給は大切です。特に、運動中や終わった後は、水分不足になりがちなので必ず水を飲むようにしてください。喉が渇くのに備えて、運動前にも水分補給をしておきましょう。
空気が乾燥している季節も水分を忘れずに
夏は熱中症対策で水分補給への意識が高くなりますが、秋や冬も忘れてはいけません。秋や冬は空気が乾燥しているため水分が奪われやすいうえ、目に見えなくても汗をかいています。仕事や家事をしながら、こまめに水を飲んでください。
量は500mL~1.5L
みなさんは1日どれくらいの水を飲みますか? 1日に必要な水分量は「1.5~2.5L」と言われています。そのうち1Lは3食の食事から摂取できるので、水分補給で飲む量は「500ml~1.5L」を目安としましょう。500mlのペットボトルなら、1~3本でOKです。
500mLのペットボトル数本を職場に持参したり、普段使っているコップやタンブラーの容量をチェックしたりすれば、その日にどれくらい飲んだか確認することができます。ふだんあまり気にしていない人は、まずはチェックしてみてください。
冷たい水より白湯がおすすめ
水を飲むときは、冷たい水よりも白湯がおすすめです。温かい白湯は、内臓の働きを活発にして代謝を上げてくれます。
また、喉が渇いていて、すぐに水分を摂取したいときは、冷蔵庫で冷やした5~6度くらいの冷水のほうがすばやく吸収されます。
ただし、そのときに氷は入れないこと。氷の入った水は冷たすぎて体が冷えてしまいます。代謝が下がるため、ダイエットにはおすすめできません。
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おすすめの水の種類は?
ところで、水を飲むときに気になるのが、ミネラルウォーターじゃないとダメなのかということ。また、お茶やジュースも1日の水分摂取量に入れてもいいのかも気になるところです。そんな疑問をまとめてみました。
好みの水を選ぶ
口当たりがやや硬い硬水は、「マグネシウム」や「カルシウム」といったミネラルが豊富に含まれています。マグネシウムにはお通じをよくする作用がありますが、飲み過ぎるとお腹を壊してしまうため注意しましょう。
口当たりがやわらかい軟水を買ってもいいですし、手軽に飲める水道水でもOK。この水じゃないとダメということはありませんので、ミネラルウォーターでも水道水でもお好みで選んでください。
お茶でもOK
大切なのは水分を補給することなので、お茶やコーヒーでも問題ありません。お茶やコーヒーは、カフェインによる利尿作用はありますが、大事なのはなんでもいいので水分を補給すること。
ただし、カフェインには眠気を覚ます作用があるため、お茶やコーヒーは日中に飲んで、夕方以降は水を飲むなどバランスを考えるとよいでしょう。
ちなみに、ジュースのような甘い飲み物やアルコールは、水分補給としてカウントしないでください。甘い飲み物は、水分というよりも「糖」を摂り過ぎてしまい、病気のリスクを高めます。
アルコールは、飲んだ翌日に利尿作用で脱水を引き起こす恐れがあるため、むしろいつもよりも多めの水の摂取が必要になります。
適度な運動と正しい食生活も大切
当たり前ですが水を飲むだけではダイエットは成功しません。水分補給のほかに、適度な運動や正しい食生活も必要です。
日ごろから体を動かす習慣をつける
30代後半から代謝が落ち始めるため、運動習慣がまったくない人は日ごろから体を動かすことを意識してください。ちょっとした買い物は歩いて行ったり、家事で体を動かしたりと、日常的にできる範囲の運動で構いません。
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ダイエットのためには1日3食
ダイエットをするなら、3食バランスよく食べるのが基本。1日2食しか食べない生活を送っていると、食事の間隔が空くため、次の食事を摂ったときに血糖値が急激に上昇して、食事から摂った糖があまり、食べたものが脂肪に変わりやすくなります。
このように食事の間が空いてしまうと、次の食事で摂ったエネルギーは消費しないで体内に溜めて置こうと働き、脂肪になる原因に。ほかにも1日2食は、1日に必要な栄養素が摂りきれないため、代謝が落ちてしまいます。
特に朝食を抜くと、寝ている間に失われた水分が不足したまま1日をスタートすることになり、便秘や脱水症状につながります。
21時以降に食べるものに注意
21時以降に食べるのも要注意。血糖値が上がりやすくて下がりにくい時間帯のため、脂肪が溜まりやすくなります。
ダイエットを意識した食事をしたいなら、水分が多いメニューにするとよいでしょう。水分を多く含むごはんはパンよりも腹持ちがいいため、空腹を抑えてくれます。味噌汁やスープなど汁物もおすすめです。
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まとめ:正しく水を飲むことでダイエットをサポート
水分を補給するクセをつけると、お通じがよくなったり、むくみが改善したり、体の調子がよくなっていくのを実感できます。
また、水分補給で巡りが良くなると代謝が上がるので、汗をかけなかった人がかけるようになります。水を飲むことはダイエットをしっかりサポートしてくれるので、やせ体質になりたい人におすすめの習慣です。
コップ一杯の水をちょこちょこ飲むだけでいいので、ぜひ今日から始めてみてくださいね!
文/廣瀬茉理
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