舌回しの効果は?ほうれい線改善・小顔対策にもなるやり方とコツ
口の中で舌を回して顔の筋肉に働きかける「舌回し」。ほうれい線や小顔対策にもなり、アンチエイジングに効果的な運動です。美容面のみならず、口臭やむし歯予防にもなる舌回しのやり方やコツを解説します。
目次
ほうれい線や小顔対策にも効果的な「舌回し」とは?
「舌回し」とは、名前の通り、舌を回す顔の運動のこと。口の中で歯をなぞるように舌を回して、口周りの筋肉を鍛えます。「ベロ回し体操」や「舌回し体操」などとも呼ばれ、ほうれい線や小顔など、美容面でさまざまな効果があります。
舌回しの効果は?
舌回しには、大きく分けて
- 美容効果
- 健康効果
の2つの効果があります。衰えた口周りの筋肉を鍛えることができるため、アンチエイジング効果や、摂食嚥下能力アップ(食べ物を飲み込む力)などのたくさんのメリットがあります。
次からそれぞれの効果をくわしく解説します。
舌回しの美容効果
女性なら、加齢と共に誰でも感じる肌の衰え。気になる肌悩みも舌回しで改善できます。表情のクセ、噛み合わせ、口呼吸によって顔の筋肉バランスが崩れていませんか。6つの美容効果をまとめました。
ほうれい線の改善
ほうれい線は、コラーゲンやエラスチンなどの美肌成分の減少や質の低下、筋肉や骨の萎縮などによる顔のたるみが原因で起こります。ほうれい線ができると顔に影ができ、一気に老けて見えてしまいます。
舌回しはあご周りの顎舌骨筋(がくぜっこつきん)や、口周りの口輪筋(こうりんきん)などの筋肉を鍛えて、ほうれい線の原因となるたるみに働きかけます。
同時に、顔の表情を作る表情筋も鍛えられるため、顔全体がキュッと上向きになり、老けて見えがちだった顔の表情が、若々しい印象に変化します。
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顔のたるみ・二重あごの改善
顔のたるみや二重あごは、唇からこめかみにかけて走る小頬骨筋(しょうきょうこつきん)や、大頬骨筋(だいきょうこつきん)などの筋肉や、噛むときに使われる咬筋(こうきん)、こめかみ辺りの筋肉の側頭筋、首の筋肉である広頚筋(こうけいきん)、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)など、さまざまな筋肉の衰えが関わっています。
また、あごの下にあるオトガイ舌骨筋(ぜっこつきん)や、顎舌骨筋(がくぜっこつきん)なども関係しています。その周辺の筋肉は「舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)」と呼ばれ、日本語の発音ではあまり使用が少ないため、加齢と共に衰えやすくなります。
衰えと共に血液やリンパの流れが悪くなると老廃物が溜まり、二重あごやたるみが発生してしまうのです。
舌回しをすると、口周りや頬、あご下、首まで広範囲にこれらの筋肉が鍛えられます。血液やリンパの流れがスムーズになり、顔のたるみや二重あごの改善にも効果的です。
小顔効果
舌回しは、顔全体に広がる表情筋や、あごにつながる筋肉を意図的に動かします。繰り返すことでこれらの顔の筋肉が鍛えられ、左右のアンバランスが改善。体と同じでキュッと引き締まると、小顔効果が期待できます。
それだけでなく、舌回しで血流やリンパの流れがスムーズになると、顔のむくみが改善。フェイスラインがすっきりして、小顔につながります。
シミ・シワの改善
舌回しは、顔のシミやシワにも効果があります。
顔のシミは、肌の新陳代謝=ターンオーバーが低下することが原因の一つです。古い角質や細胞は、一定の周期で新しい細胞へと入れ替わりますが、加齢やストレスなどで、このサイクルが乱れると、排出されるはずの色素が肌に残ってしまい、シミになります。
またシワは、紫外線や加齢でコラーゲンやエラスチンが壊れ、弾力が失われることや、表情筋がアンバランスになることで刻まれていきます。
舌回しは、顔全体の血流をアップさせて代謝を促したり、顔の筋肉そのものを鍛えたりすることで、シミやシワを改善。筋肉のバランスが整うことでシワの改善や、ハリのある肌を目指せます。
顔のゆがみ改善
表情のクセ、噛みグセや歯ぎしり、食いしばり、口呼吸など、さまざまな原因で起こる顔のゆがみも、舌回しで改善できます。
ゆがみは主に、顔を支えている筋力の低下が関係しています。舌回しは、ふだんの生活であまり使われないあご周りの舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)や、表情を作るときに使われる表情筋など、顔を支える筋肉を全体的に使います。
顔を支える筋肉をバランスよく鍛えられるため、ゆがみの改善や予防につながるでしょう。
くすみやクマの改善
舌回しは、血流やリンパの流れをよくする効果があります。体と同じで巡りがよくなると、肌に水分や栄養がスムーズに届き、必要なものは吸収が高まり、老廃物などの不要なものは排出されやすくなります。
そのため常に血行のいい状態が続き、くすみやクマの改善や予防効果が見込めます。
また、血流がよく健康な肌は、スキンケア効果も高まるでしょう。
舌回しの健康効果
舌回しはご紹介したような美容面のメリットが高いですが、それだけではありません。咀嚼や嚙み合わせなど、お口まわりの健康維持にもさまざまな効果があります。
噛む力が鍛えられる
舌回しには、噛む力を鍛える効果があります。何もしないと、誰でも口元の筋肉は衰え、噛む力が弱くなっていきます。
舌回しは、ふだんあまり使われていない表情筋や、あご周りの筋肉、口周りの口輪筋など、複数の筋肉に働きかけることができます。
また舌は、あごや首、口の中、くちびる、のどなど複数の筋肉とつながり、これらの筋肉を一気に繰り返し動かすため、口元の筋力がアップします。
舌回しを続けることで食べ物をよく噛んで、飲み込むはたらきが高まり、噛む力を向上させることができるでしょう。
噛み合わせの改善
舌回しは、あご周りの筋肉が鍛えられるほか、噛むときに使われる咬筋(こうきん)や、側頭筋なども動かします。
すると、食べ物を噛むときに左右均等に、バランスよく筋肉を使えるようになり、噛み合わせの改善効果が期待できます。
滑舌の改善
加齢と共に悪くなる滑舌。主な原因は、舌の筋力の低下によるものです。
舌回しを続けると、舌を動かす筋肉が鍛えられるため、話すときに舌をスムーズに使えるようになります。次第に、しゃべりづらさがなくなり滑舌もよみがえるでしょう。
いびきや睡眠時無呼吸症候群の改善
睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」や、慢性的ないびきは、喉の奥にある気道が狭まることで発生します。気道が狭まる原因のひとつに、舌の筋肉が低下して舌の付け根が気道を塞ぐことがあげられます。
舌回しは舌の筋肉が鍛えられるため、舌の付け根が気道を塞ぐことを防止します。舌の筋力アップに伴い、睡眠時無呼吸症候群やいびきの改善が見込めるかもしれません。
ただし、睡眠時無呼吸症候群は舌回しだけで改善するわけではありません。専門医への相談をおすすめします。
口臭・むし歯・歯周病の予防
舌回しは、口呼吸の改善から、口の渇きを防いだり、唾液の分泌が増えたりすることにより、口臭や虫歯、歯周病の予防にも効果が期待できます。
人間の唾液には、口内の汚れを流す働きや抗菌効果があり、口臭や虫歯などを予防する役目があります。逆に、口呼吸によって口が乾いたり、唾液の分泌が減ると、口臭や虫歯、歯周病が発生しやすい口内環境になります。
舌回しを続けると唾液がしっかり分泌され、お口のトラブルを改善・予防してくれるでしょう。
舌回しのやり方を紹介
舌を口の中で回すだけなのに、こんなにも美容・健康効果の高い舌回し。次から、具体的なやり方を紹介します。
【舌回しのやり方】
- 口を閉じ、舌先を左上の外側の歯茎に当てる。歯茎に沿って右回りで上側をなぞるように回し、下側も続けてなぞる。右回りをゆっくり10回繰り返す。できる人は20回行う。
- 同じように、今度は左回りに10~20回、歯茎をなぞるように回す。
歯茎に沿って、舌を大きく動かしてぐるぐる回してください。回数に決まりはありませんが、できる人は右回り・左回りともに20回を目指すとよいでしょう。
ただし、筋肉が衰えている人ほど、予想以上に口や舌周りに負担を感じ、疲れてくるはずです。10回以下でもいいので無理のない回数からスタートして、徐々に増やしていきましょう。
効果的な舌回しのポイント
1日数回でも、続ければ効果が実感できる舌回し。効果を高めるためのポイントを紹介します。
スピードは出さずにゆっくり頬を押すように舌を回す
舌回しは、歯茎をなぞりながら、ゆっくりと内側から頬を押し上げるように回すことで、口周りの筋肉をまんべんなく鍛えます。早く舌を回せば効果が出やすくなるわけではありません。逆に筋肉に負担をかけてしまう可能性があります。
スピードを出さなくていいので、ゆっくりと口周りの筋肉を使うことを意識しながら回してください。
まずは1カ月を目標に継続する
舌回しの効果を感じるまでには個人差がありますが、衰えた筋肉を目覚めさせるためにも、一定期間の継続は必要です。最初は少ない回数でもいいので毎日続けて行い、習慣化を目指しましょう。
効果を感じるには、最低でも1カ月間続けることを目標にするのがおすすめです。1カ月経ってもまったく効果が感じられない場合は、やり方が間違えている可能性があります。再度、見直してみましょう。
鏡で顔をチェックしてモチベーションアップ
どんな美容法も続けているのに効果や変化を感じにくいと、モチベーションがダウンしてしまいますよね。
舌回しも即効性よりも継続することで効果を感じられる運動ですので、毎回鏡を見ながら変化をチェックするのがおすすめです。
また、舌回しを始める前の顔写真を撮影しておき、1カ月後に見比べるのもよいでしょう。顔が若返っていく様子がわかると、モチベーションを保つことができ、楽しく続けられます。
舌回しの注意点
舌回しは誰でも手軽に行える顔の運動ですが、以下のような人や症状がある場合は、控えましょう。
顎関節症の方は控える
舌回しは、口周りの筋肉やあごの動きに負荷がかかります。そのため、普段からあごやその付近に痛みや違和感があったり、音がしたりする顎関節症の方は控えた方がよいでしょう。症状が悪化する可能性もあります。
歯科矯正治療中の方の舌回しも推奨されます。歯並びは舌の筋力と頬の筋力のバランスで決まってきます。矯正治療が必要な方は、舌の筋力が弱いなど、筋肉がアンバランスなことが多く、顔の筋力を鍛えることは、矯正治療にとっても効果的で、治療後の後戻りの防止にも繋がります。
矯正をしている歯科医院で効果的な舌回しを教えてもらえることもありますので、相談してみてください。ただし、矯正装置で舌が傷ついたりしない程度に行いましょう。
自分に合った回数からスタートする
効果を早く出したいからと、いきなり多くの回数をこなすのはおすすめできません。
舌回しは、普段あまり使われていない筋肉を動かします。そのため最初からやりすぎると筋肉痛になったり、口内やあごに痛みが発生したりする場合もあります。
また、やりすぎることであごや口内のトラブルつながったりするリスクもあります。まずは、自分ができる回数をこなすことからスタートして、少しずつ回数を増やしてみましょう。
痛みが出た場合は中止する
もし舌回しを行い、顔や首などに継続的な痛みを感じる場合は、いったん中止しましょう。無理をせず、数日お休みをして、痛みがおさまってから再開してください。筋肉痛ならば、次第に落ち着いてくるでしょう。
また、口内炎ができているときや、口内や唇に傷や荒れがある場合も注意が必要です。無理せず中止し、口内環境が整ったときに再開しましょう。
舌回しのデメリットはある?
美容・健康効果がある舌回しですが、デメリットもあります。自分に合っていないやり方を続けると逆効果になることも。
しかし、原因を知っておくことでデメリットを回避することもできるでしょう。顔の筋肉に詳しい医師に相談しながら行うと、さらに効率的にできるでしょう。
ほうれい線やシワが目立つリスクがある
舌回しにはほうれい線やシワの改善効果がありますが、やり過ぎは逆に目立たせてしまう原因になります。
何度も舌回しをして表情筋を酷使し過ぎると負担がかかり、筋肉の動きが定着してしまいます。すると、若返りのためにやっているのに、反対にほうれい線やシワが深く刻まれてしまうことに…。やり過ぎには注意して行いましょう。
まとめ:舌回しにはアンチエイジング効果が期待できる
舌回しは、美容面と健康面の両方に良い効果がある運動です。普段あまり使われていない顔や首の筋肉が鍛えられるため、ほうれい線や小顔効果、シミ・シワ改善効果、見た目と機能のアンチエイジングに役立ちます。
まずは無理のない回数からスタートして、最低でも1カ月は続けてみてください。今回紹介したやり方やポイントをふまえて、効果的に舌回しを行いましょう。
[ 監修者 ]
- 逗子メディスタイルクリニック
- https://medi-style.jp/