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「やる気が出ない」は病気?セルフチェックと気力をとり戻す方法

がんばりたいのに「やる気が出ない」といった無気力な状態が続くと、心の病気ではないかと心配になりますよね。今回は、やる気が出ない原因や考えられる病気、セルフチェックなどについて解説します。

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やる気が出ないのはなぜ?

やるべきことはたくさんあるのに、やる気が出ない……。そんな無気力な状態には、「病気には至っていない程度の状態」と、「病気の症状としてあらわれる状態」があります。

まずは「病気には至っていない程度の状態」についてご説明します。

(1)無気力症候群

疲れて机に伏せる女性

その人の「本業に対してだけ」無気力になっている状態を無気力症候群といいます。たとえば、学生であれば学業、社会人であれば仕事、主婦であれば家事や育児に対してやる気が出ない状態のことです。

なかでも女性は、仕事で任されていたプロジェクトを達成した後や、家庭でのイベントを終えた後、子どもたちが自立して子育てが終わった後など、何かひとつの目標を達成した後に、次の目標がわからず無気力に陥りやすい傾向があるといわれています。

(2)慢性的な疲労

疲労がたまり過ぎて無気力になることもあります。心と体は密接につながっているため、どちらかひとつに疲れがたまってしまうと、やる気が出ない状態に陥りやすくなるのです。

そのため、自分ではメンタルが強いほうだと思っていても、日々の仕事や家事、育児などのスケジュールを詰め込みすぎたり、心と体を休める時間がとれなかったりすると、疲れがたまってやる気が出なくなることがあります。

(3)睡眠不足

睡眠不足や睡眠の質が悪い状態が続いていることが原因で、やる気が出ない場合もあります。

一般的に、睡眠時間が6時間未満になると睡眠不足になります。日中の眠気や疲れやすさなども出やすくなり、日常生活に支障があらわれます。

また、1日6時間程度の睡眠で自分では問題がないと思っている人でも、体にとっては睡眠時間が足りておらず、「睡眠負債」が蓄積していることがあります。自分では気づかないうちに仕事や家事のパフォーマンスが落ちてしまったり、うつ病などにつながったりすることもあるため、注意が必要です。

やる気が出ないのは病気のサイン?考えられる病気とは

次に、無気力な状態のうち、「病気の症状としてあらわれる状態」について解説します。

やる気が出ない状態は、次のような「病気の症状」としてあらわれることがあります。

(1)うつ病

疲れている女性

やる気が出ない状態は、うつ病の可能性もあります。うつ病は、精神的・身体的なストレスを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。

具体的には、次のような症状がみられます。

<心の症状>

  • 何ごとにも意欲や興味がなくなる
  • 憂うつになる
  • 気分が落ち込む
  • 不安感がある
  • 仕事の能力が低下する
  • 何をしても楽しくない

<体の症状>

  • 眠れない
  • 起きられない
  • だるい
  • 疲れやすい
  • 食欲不振

うつ病では、上記のようなさまざまな心身の症状があらわれますが、体の症状は自覚しやすく、心の症状は自覚しにくい傾向があります。

(2)自律神経失調症

やる気が出ない状態は、自律神経失調症でもみられることがあります。

自律神経失調症では、ストレスや疲労などによって、交感神経(体を活動モードにする神経)と、副交感神経(体を休養モードにする神経)のバランスが崩れることで、次のような症状があらわれます。

<心の症状>

  • 落ち込み
  • やる気が出ない
  • 憂うつ感
  • 不安感
  • 焦り
  • イライラ
  • 何ごとにも興味がわかない

<体の症状>

  • だるさ
  • 疲労感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 動悸
  • 息切れ

自律神経失調症の症状は幅広く、個人差が大きいことが特徴です。

(3)更年期障害

眉間にシワを寄せる女性

閉経前後の更年期障害でも、やる気の出ない状態が起こることがあります。

更年期障害では、閉経によって卵巣ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、次のような症状が起こるといわれています。

<心の症状>

  • 無気力感
  • イライラ
  • 不安感

<体の症状>

  • 何となくだるい
  • 不眠
  • のぼせ
  • めまい
  • 異常な汗

女性はこのような症状が、閉経をはさんだ前後5年(約10年)にあらわれやすくなります。

(4)適応障害

適応障害でも、やる気の出ない状態が続く場合があります。

適応障害は、強いストレスによって日常生活を送ることが困難になるほどの心の不調があらわれる病気です。

「ストレスの原因が明らかなこと」が特徴で、一般的には、原因となる出来事が起こってから3カ月以内に発症し、ストレスがなくなれば6カ月以内に改善するといわれています。

<症状>

  • 憂うつになる
  • 気分が落ち込む
  • 不安感がある
  • 神経質になる
  • 焦りやすくなる

ストレスの原因が明らかでこのような状態が続く場合は、適応障害ということも考えられます。

(5)慢性疲労症候群

やる気が出ない状態は、慢性疲労症候群の症状のひとつでもあります。

慢性疲労性症候群は「原因不明の強い疲労感が長期間続く病気」です。6カ月以上にわたって疲労感の発症と再発を繰り返し、一向によくならない場合には、慢性疲労性症候群と診断されます。

やる気が出ないレベルをチェック! 無気力診断テスト

ここまでご紹介したように、やる気が出ない状態は、病気に至らないものから、病気の可能性があるものまでさまざまです。「病気の可能性があるかも?」と少しでも感じた人は、早めに医療機関へ相談しましょう。

以下に、うつ病のチェックリストと受診の目安をご紹介しますので、参考にしてみてください。

食欲がない女性

<うつ病チェックリスト>
次の症状のうち、あなたはいくつ当てはまりますか?

A 憂うつ
B 興味や喜びの喪失
a 食欲の異常
b 睡眠の異常
c 「そわそわする」または「体が重い」
d 疲れやすい
e 自分を責める
f  思考力や集中力の低下
g 死にたいと思う

「当てはまる数が多い」あるいは「症状が強く出ている」場合は医療機関に相談を

上記のチェックリストで、次のいずれかに当てはまった人は、うつ病の可能性があります。すぐに医療機関を受診しましょう。

上記のチェックリストで、次のいずれかに当てはまった人は、うつ病の可能性があります。すぐに医療機関を受診しましょう。

<医療機関受診の目安>

  • AかBのどちらか1つ以上に当てはまり、かつ、a~gのうち5つ以上の症状がほとんど1日中、2週間以上続いて仕事や家庭に何らかの問題が生じている。
  • 「g 死にたいと思う」の症状が強く出ている。
  • 当てはまる症状の数は少なくても、いずれかの症状で生活に著しい支障をきたしている。

上記の目安に当てはまらなかった場合でも、症状が続いて苦痛を感じるようになったり、日常生活が思うようにいかなくなったりしたら、早めに医療機関に相談を。

何科を受診すればいいかわからないときは、まずは一番つらい症状に合わせて受診科を選ぶといいでしょう。

心の症状が一番つらい場合は、心療内科や精神科を受診します。腹痛などの消化器の症状がつらければ、消化器内科などを初めに受診することをおすすめします。また、閉経前後の女性は婦人科を受診してみるのもいいでしょう。

やる気が出ないときの対処法と過ごし方

ここまでご紹介したように、やる気が出ないときは日々の生活によって心身の疲れがたまっていることが考えられます。そのため、次のような方法で心と体を整えて、リフレッシュさせることが大切です。

(1)生活リズムを整える

カーテンを開ける女性

当たり前のようですが生活習慣を整えることは、心身の健康を守るセルフケアの基本となります。

次のような生活習慣を心がけ、実践できていない人は今日から始めてみてください。

<心と体の健康を保つ生活習慣>

  • 日光をしっかり浴びる
  • 適度な運動をする
  • 就寝時間や起床時間を一定に保つ

日光を浴びることや、就寝時間・起床時間を一定に保つことは、人間に本来備わっている体内時計をリセットして、生活リズムを整えることにつながります。

また、適度な運動はストレスを解消し、精神の安定につながるといわれています。

(2)質のいい睡眠をとる

心身の健康には十分な睡眠も欠かせません。質のいい睡眠をとると、生活リズムが整いやすくなり、体内のホルモンバランスも保たれやすくなるため、ストレスやうつ症状の緩和につながります。

毎日7~8時間の睡眠を確保することに加えて、次のような方法で睡眠の質を高めることが大切です。

<睡眠の質を高めるポイント>

  • 昼寝は30分以内にとどめる
  • 湯船につかる
  • 寝室の環境を整える
  • 就寝前、スマホやパソコンは早めにOFFにする
  • 就寝前はリラックスタイムを楽しむ

就寝前のリラックスタイムでは、テレビを見ることは避け、音楽を聴いたり、アロマテラピーで香りを楽しんだりして、ゆったりと過ごしましょう。

(3)栄養バランスのとれた食事を摂る

食生活も、心の健康と深いかかわりがあるといわれています。偏った食事を続けていると、栄養バランスが崩れ、心の病気につながるおそれがあります。

食生活のポイントをご紹介します。

<食生活のポイント>

  • 1日3食を規則正しくとる
  • 朝食は必ず食べる
  • 間食はあまり摂らないようにする
  • バランスよく食べる
  • 飲酒はほどほどにする

食事ではとくに不足しがちな、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などを意識して摂りましょう。

(4)マイペースを心がける

長い人生、誰でもやる気が起きないときがあるものです。周りの人と自分を比較せず、マイペースを心がけることも大切です。

やる気が出ないときに、精神面で気をつけるべきポイントをご紹介します。

  • 自分を責めない
  • 無理にやる気を出そうとしない
  • 他人を気にしない
  • リラックスして過ごす

(5)何もしないで過ごす

ソファーでくつろぐ女性

やる気が出ずダラダラしてしまうと、劣等感や罪悪感を持ってしまう方もいるでしょう。しかし、やる気が起こらないときは、あえて何もしないで過ごすのもひとつの手です。

何もしないことは悪いことではありません。日中はできるだけぼんやり過ごして、夜はよく眠るようにすると、脳の十分な休息につながり、心が安定してくるでしょう。

やる気が出ないときは漢方薬でのケアもおすすめ

意欲低下などのメンタル面の不調には、心療内科で自然由来の治療薬として使われている、漢方薬でのケアもおすすめです。漢方薬は、ストレスなどによって自律神経のバランスが乱れ、免疫力が低下している状態の改善を得意としています。

さらに、漢方薬は体質改善を目的とするため、心の不調のほか、体の不調も同時に改善することが期待できます。

「やる気が出ない」でお悩みの方におすすめの漢方薬

漢方では、意欲低下は気(き:生命エネルギー・気力・元気)が不足している状態(気虚・ききょ)と捉えられます。意欲低下には、次のような気を補う漢方薬がおすすめです。

<意欲低下にお悩みの方におすすめの漢方薬>

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):気力がわかず、だるくて疲れがとれない人におすすめです。胃腸の働きを整えて、元気を補ってくれます。
  • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):疲れやすさや貧血、手足の冷えなどが気になる人におすすめです。血行をよくしたり、気力・体力を補ったりしてくれます。

漢方薬を選ぶときのポイント

漢方薬を選ぶときは、体質に合ったものを選ぶことが大切です。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

最近では、症状と体質に合った漢方薬を、漢方に精通した薬剤師に選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」という、AIを活用したオンライン相談サービスも登場しているので、利用してみるのもいいでしょう。

スマホから、専門家への個別相談を気軽に申し込むことができます。

まとめ:「やる気が出ない」は病気の可能性も。心配なときは受診しよう

無気力になる原因や考えられる病気、対処法についてご紹介しました。

やる気が出ないときは、「それでもがんばらなくちゃ!」と焦るのではなく、生活習慣を振り返ることや、自分を甘やかして少しでも休息を取ることも大切です。

やる気が出ないことで日常生活に大きく支障が出ていたり、長期間にわたって心身の不調が続いたりする場合は、早めに医療機関を受診してください。

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