塩野義製薬がケニアで行っている「Mother to Mother SHIONOGI Project」
薬の会社として知られる塩野義製薬が、ケニアの母子の健康向上を支援して、子どもたちがすくすくと育つための活動を行なっています。今日はその活動の一部をご紹介します。
水を確保して医療・保健施設を作る
製薬会社として知られる塩野義製薬は、日本をはじめ世界の人々の健康のための支援活動を行なっています。
その活動の1つ「Mother to Mother SHIONOGI Project」の報告会に行ってきました。
塩野義製薬は、アフリカ・ケニアの新生児・乳幼児・妊産婦の死亡率が大変高いことから、国際協力団体(NGO)の「ワールド・ビジョン・ジャパン」とタッグを組んで、2015年から支援を行ってきたそうです。
そのプロジェクト名は「Mother to Mother SHIONOGI Project」。
まず、この活動が始まる前からケニア内で国際協力活動を行っていた「ワールド・ビジョン・ジャパン」と相談し、乾季には水不足になり、女性や子どもたちは何度も水汲みの道を往復しなければならないナロク県イララマタク地域に援助の手を差し伸べました。
安全に飲める水が少なく、衛生面での教育も行き届かない中、病院の数が少なく、病院スタッフの能力不足もあって、女性たちが妊娠し、出産するのは命懸けの仕事。出産後も、乳児・幼児のうちに死亡する子どもも後を絶ちませんでした。
そこで塩野義製薬は、井戸を掘り、貯水タンクやトイレを設置し、病院や保健医療施設を建設するなど、ハード面での支援を行いました。
保健・衛生・栄養の教育をする
それと同時に、学校での手洗いの指導や、母親たちへの保健指導・衛生教育・栄養指導などを行いました。
遠い場所に住んでいる人のところへは、巡回診療による保健医療サービスが提供できるようにもしました。
そこで大きな助けになったのが、母親たちの、子どもが健康に育ってほしいという思い。それが「Mother to Mother」というコミュニティ育成プロジェクトを実現できる大きな力になりました。
どんなに難産であろうとも、不衛生な自宅で出産してきた母親が、7人目の子は施設で出産。「衛生的な診療所で出産でき、すぐに予防接種も受けることができました」と、喜びのコメントを寄せています。
自立的かつ持続的な活動になるように
イララマタク地域に続き、キリフィ県ガンゼ準県での支援も行っています。
特に、地域住民が主体となって、自立的かつ持続的に衛生面・栄養面・保健面などの教育が行われるように、地元の保健人材を育てることは大切です。
それらは、以前から地域に根付いて活動している「ワールド・ビジョン・ジャパン」が中心となって、読み書きができる女性を軸に、コミュニティーを作り、「Mother to Motherグループ」を運営しています。
伝統的風習の影響が強く残るこの地域において、これらの活動は、地元のお年寄りや、男尊女卑社会の中心にいる家長たちにはなかなか受け入れられ難いものです。
その頑なな思いを和らげ、子どもたちが健康に育つ社会を築くことに気づいてもらうのは並大抵の苦労ではないと思います。
しかし、「塩野義製薬」と「ワールド・ビジョン・ジャパン」の現地メンバーたちは、地元の生活習慣の中に溶け込みながら、辛抱強く、地道に説得を続け、ナロク県イララマタク地域の人々、キリフィ県ガンゼ準県の人々に、栄養・衛生教育を根付かせています。
これらの活動は、SDGsの活動にも直結。これからも「Mother to Mother SHIONOGI Project」の活動に注目したいと思います。