がに股になる原因は?ストレッチと筋トレを理学療法士が解説!
歩くときにがに股になってしまうことを気にしている方も多いのではないでしょうか? 歩く度に足が外に開いてしまい、見た目が気になりますよね。今回は、がに股の原因や自分でできる対処法を解説します。
目次
がに股とはどんな状態?
女性で意外と悩んでいる人がいるのが「がに股」。無意識に足が外に向いてしまう、歩き方が格好悪くて気になるなど、人に言えない悩みの一つでもあります。はじめに、がに股とはどのような状態を指すのかを解説します。
がに股は正式名称ではなく通称
一般的に広くがに股という言葉が使用されていますが、実は医療的な正式名称ではありません。歩く姿がカニのような姿であることから、“がに股”という通称が生まれました。
がに股は英語では「bow legs」と表記されます。「bow」とは、弓矢の弓やたわむといった意味です。日本ではがに股をカニとイメージしていましたが、海外では弓のようだと表現しているわけです。
がに股は足が外に向いた状態
がに股は、股関節が通常よりも外側に回転して、足が外に向いた状態です。股関節が外側に回転しているので、ひざやつま先も外側を向いてしまいます。足が真っ直ぐではなく、外を向いているので見た目も気になるでしょう。
がに股はよく、O脚といわれる状態と一緒にされますが、厳密にはがに股とO脚は同じ状態ではありません。O脚は、ひざが外側に曲がってしまい、足を閉じたときにひざの内側同士がくっつきません。ただし、ひざは正面を向いています。
一方がに股は、股関節から外側に回転している状態。そのため、ひざやつま先が外側を向いています。一見すると、がに股とO脚は似ていますが、症状や原因が異なることに注意が必要です。
がに股のチェック方法
がに股は、ある状態の姿勢を意味する“通称”であるため、正式なチェック方法はありません。しかし、真っ直ぐ立って、かかと同士をつけたときにひざが外側を向いてしまう方は、がに股の可能性があります。すぐに確認できるので、自分ががに股かどうか気になる方はチェックしてみてください。
また、直立しているときは大丈夫でも、歩くときにがに股になっている場合があります。足を振り出すときにひざや足が外側を向いている方は、がに股になっている可能性があるでしょう。
がに股になる原因とは?
がに股になる原因には、生まれつきの骨格が影響する場合と、日常生活や体の使い方などが影響する場合の二つがあります。次から、日常生活や体の使い方などでがに股になる原因について詳しくみていきましょう。
姿勢の悪さ
一般的に悪い姿勢としてあげられる、猫背のような背中が丸まった姿勢は、がに股を引き起こす原因となる可能性があります。猫背のような姿勢の悪さは、骨盤が後ろに倒れやすくなる傾向があり、股関節が外側に回転しやすくなってしまうのです。
がに股は股関節が外側に回転した状態で生じます。そのためこのような姿勢の悪さは、がに股を引き起こす原因となります。
筋力の低下
人の体は、前後や内側と外側の筋肉がバランスを取ることによって安定した姿勢を保っています。そのため、特定の筋力が低下してしまうと釣り合っていたバランスが崩れてしまいます。
太ももの内側の筋力が低下すると、バランスが崩れて股関節が外側に回転しやすくなります。そのため筋力の低下はがに股の原因となるでしょう。
ケガや病気の影響
ケガや病気が影響して、がに股の原因となる場合があります。
がに股の原因となる可能性があるケガや病気は、ひざ関節や股関節の変形性関節症です。変形性関節症を発症すると、関節が本来の形から崩れてしまい、がに股になりやすい状態となるケースがあります。
また、足のアーチ構造の崩れも、がに股の原因として見逃せません。足にはアーチ構造があり、このアーチは歩いたり、走ったりしたときの衝撃を軽減するクッションのような作用があります。
しかし、土踏まずが潰れた扁平足(へんぺいそく)といわれる状態になると、アーチ構造が崩れてしまい、うまく衝撃を吸収できなくなってしまうのです。さらに、体重のかかり方が極端になることで、がに股のリスクとなります。
がに股を放置するとどうなるの?
「がに股はクセだからもう仕方ない」と、あまり気にせず放置しているという方もいるかもしれません。しかし、がに股をそのままにしておくと、見た目の問題だけではなく、体に悪影響が生じる場合があります。次から、がに股を放置することで生じる悪影響について詳しくみていきましょう。
筋力が低下しやすくなる
がに股を放置すると、筋力が低下しやすくなります。本来の姿勢とは異なり、がに股はバランスの崩れた状態であるため、体の中で負荷がかかりやすい部位とかかりにくい部位が生じてしまいます。
がに股は股関節が外側に回転した状態のため、太ももの内側の筋肉が使われにくく、筋力が低下しやすくなります。太ももの内側の筋力低下は、ご説明したようにがに股の原因となるため、さらにがに股を悪化させる可能性があります。
体に負担がかかりやすくなる
がに股は、体に負担がかかりやすくなることに注意が必要です。がに股になると姿勢が崩れた状態になるため、負担がかかりやすい部位が生じて、ケガや痛みにつながる可能性があります。
悪影響は痛みだけではありません。がに股は、O脚や変形性関節症の原因となる可能性があり、「自分は健康」と思っていても、知らない間に症状を進行させているケースも考えられます。また、足が疲れやすくなるといった症状も考えられるでしょう。
がに股の対処方法
がに股で悩んでいる方は、次に紹介する対処方法を試してみてください。日常生活や体の使い方が影響している場合であれば、対処方法で改善する可能性があります。
ストレッチで柔軟性アップ
1つ目の対処方法は、ストレッチで柔軟性をアップさせる方法です。がに股は股関節が外側に回転した状態であるため、太ももの外側やお尻の筋肉が短縮して、硬くなる傾向があります。
筋肉の柔軟性が低いと、本来の姿勢に修正することが難しくなります。そのため、ストレッチで柔軟性をアップさせることにより、がに股を改善しやすくなります。
がに股の対処方法としておすすめのストレッチは、お尻の筋肉を伸ばすストレッチです。
【がに股の対処法としておすすめのストレッチ】
- 椅子に座る。片方の足首を反対のひざの上に置く。
- 上にのせた方の足が、床と水平になるようにひざを床方向へと押す。
ストレッチの強さと時間は、お尻の筋肉が伸びて、イタ気持ちいいくらいの強さで、1回30秒程度を目安にしましょう。
筋力トレーニングで筋肉を強化
2つ目の対処方法は、筋力トレーニングで筋肉を強化する方法です。がに股は、筋力が低下して体のバランスが崩れることが原因と考えられています。そのため、筋力トレーニングでがに股の原因となっている筋肉を強化することで、改善が期待できます。
がに股の対処方法としては、太ももの内側の筋肉を強化するトレーニングがよいでしょう。
【がに股の対処法としておすすめの筋力トレーニング】
- 椅子に座る。ひざの間にボールやクッションなどをはさむ。
- ひざで潰すように、ボールやクッションに力を入れる。
10〜30回を目安に力を入れ、筋肉を使っている感じや疲労する感じを覚えるまで行うと、効果が期待できます。
また、スクワットも下半身の筋肉を全体的に強化できるトレーニングです。余裕がある方は取り入れてみてください。
インソール・サポーターで整える
3つ目の対処方法は、インソールやサポーターで整える方法です。がに股は、関節や足のアーチ構造の崩れが原因となっている場合があります。
インソールやサポーターは、関節やアーチをサポートして整えることが可能です。崩れを整えることにより、がに股が改善する可能性があります。
インソールやサポーターは、ドラッグストアやインターネットショップで市販されているものがあり、比較的簡単に入手可能です。
しかし、市販のインソールやサポーターは、どんな方にも合うとは限りません。がに股を改善したいのならば、整形外科などの医療機関や専門の靴店などでみてもらい、自分に適したものを購入するのがおすすめです。
まとめ:がに股の原因を知りストレッチや筋トレの実践を
がに股は、股関節が外側に回転して、足が外を向いた状態のことです。がに股で悩んでいる人は、主に見た目や歩き方などが気になっているかもしれませんが、影響はそれだけではありません。がに股は、筋力低下や体への負担など、悪影響をおよぼす可能性があります。
がに股が気になっている方は、今回紹介した対処方法を実践してみてください。ただし、がに股は状態によっては、自分でできる対処法だけで改善を目指すのは難しい場合もあります。対処法を実践してもなかなか改善しない、ひざに痛みがあるといった方は、整形外科に相談してみましょう。
[ 監修者 ]