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ビールを飲む女性

禁酒を無理なく成功させるには?5つのポイントとメリットを解説

「禁酒しよう」と思ってもなかなかやめられないお酒を飲む習慣。お酒は少量ならば体によい面がありますが、飲みすぎは体の負担や病気のリスクに。今回は、禁酒によるメリットと成功させるためのポイントを紹介します。

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禁酒によるメリットとは?

「禁酒をしたほうが健康に良い」とわかっていても、お酒好きの人にとっては完全にやめるのはなかなか難しいもの。「禁酒は明日から…」「今日だけはOK!」などと、つい先延ばしになっていませんか?

やる気スイッチを入れるためにも、まずは禁酒による体や心へのメリットを5つ紹介します。

糖質の摂取量が減りダイエットに

ビールと家庭料理

一つ目はダイエット効果です。お酒には糖質が含まれるため、お酒を減らすことで自然と糖質の摂取量が減ります。糖質とは、炭水化物などにも含まれる栄養素で、エネルギーになるもの。糖質が多ければ当然カロリーも高くなります。

カクテルや果実酒のような甘いお酒が高カロリーなのは想像できますが、ビールや日本酒には糖質が多く含まれるため、飲み物とはいえカロリーが高くなります。

例えば日本酒一合は、糖質が約8g(193kcal)、ビール500mlは糖質が約15g(195kcal)も含まれています。一方、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は、糖質を含みません。蒸留酒とは、液体を熱してアルコールの蒸気を冷却して作ったお酒です。

焼酎100mlは糖質0g(110kcal)、ウイスキー30mlも糖質0g(70kcal)、ブランデー30mlも糖質0g(65kcal)と、糖質は含まれておらず、カロリーも日本酒やビールに比べれば低めとなります。(※1)

このようにお酒は、糖質を摂取することになり、蒸留酒であってもカロリーはあります。禁酒をすることで糖質の摂取量が減り、ダイエットにつながるといえます。

(※1)文部科学省 食品成分データベース

睡眠の質が上がる

二つ目は睡眠への影響です。「お酒を飲んだ方が眠くなる」と思っていませんか? 実は、アルコールは睡眠の質を悪化させるため、飲酒は逆効果です。

アルコールには睡眠を誘う作用があり、寝酒を飲み始めたばかりの頃は眠くなると感じますが、次第に慣れて効果は薄れます。だんだんお酒を飲んでも寝つきが悪くなり、夢を見ることが増える人も。(※2)

また、寝ている間はアルコールの代謝が遅くなるため、飲みすぎるとアルコールが分解されず体に残り、朝スッキリ起きられなくなります。さらにアルコールによる利尿作用の影響で、夜中に目が覚めてしまうことも多くあります。

  • 寝つきが悪くなる
  • 眠りが浅くなる
  • アルコールが残りやすくなる
  • 途中で目が覚める

このような理由から、アルコールは睡眠に悪影響を及ぼします。反対に、禁酒をすることでこれらの影響が減り、ぐっすり眠れるように。お酒を飲まないほうが朝の目覚めも快適になります。

(※2)内村直尚. アルコール依存症に関連する睡眠障害. 精神経誌 (2010) 112巻8号

血糖値上昇が抑えられ中性脂肪が減る

女性のお腹

三つ目の禁酒のメリットは、中性脂肪の減少です。糖質の高いお酒は、中性脂肪を増やす原因に。禁酒によって中性脂肪を減らすことができるでしょう。

ビールや日本酒などの糖質の高いお酒は、血糖値を上昇させます。血糖値とは、血液中のブドウ糖の量を表したもの。血糖値が上がると、それを下げるためにインスリンというホルモンが分泌。インスリンには、過剰に摂取した糖質を中性脂肪に変えて、肝臓に蓄えるという働きがあります。

禁酒をすることで、過剰な血糖値の上昇が抑えられ、中性脂肪の増加を抑えることが期待できます。健康診断などで「中性脂肪の値が高い」と指摘された場合は、お酒を減らすことを考えてみませんか。

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美肌になる

禁酒は、体の健康のみならず、美容にもいい影響があります。アルコールを飲むと、肌のハリの低下、黄ばみやシミなどの原因となる「AGEs」という物質が作られます。AGEsは、体内の過剰な糖分とタンパク質が結びついて生じる“老化物質”です。

この老化物質は、加齢によって自然と増加するものではありますが、アルコールの大量摂取でも増加が加速します。しかも老化物質は、体内の“コゲ”のようなもので、なかなか分解されません。体に蓄積され、肌の老化を進めてしまうのです。

肌のハリを維持したり、シミや黄ばみを予防したりするためには、紫外線対策やスキンケアはもちろん、禁酒・減酒も重要。禁酒は、肌の老化が気になる人や、若々しい肌をキープしたい人にもメリットがあるといえます。

精神面が安定する

朝日を浴びる女性

禁酒は、気分の安定にも効果的です。「ストレス解消のため」や「嫌なことを忘れたい」という理由でお酒を飲む人も多いですが、お酒は気分を落ち込ませたり、イライラさせたりすることがわかっています。飲みすぎると、お酒そのものがうつ病や不安障害を引き起こすといわれています。(※3)

嫌なことを忘れるために飲むお酒は、どんどん量が増えてしまいがち。次第に量に慣れて耐性がつき、酔いにくくなります。そのため、同じ量のお酒では満足できなくなり、「飲んでもスッキリしない」「かえってイライラする・落ち込む」と感じることも。

気を紛らわすためにお酒を飲んでいる人は、少しずつ量を減らしましょう。徐々に禁酒を試みて、お酒以外のストレス解消法を見つけたほうが、長期的に見ると精神的な安定が得られます。

(※3)厚生労働省. e-ヘルスネット:アルコールとうつ、自殺

お酒は適量ならメリットも

お酒は飲みすぎると、心や体に悪影響を及ぼしますが、適量ならばメリットもあります。節度を守った飲酒は、リラックス効果や病気リスク軽減などにつながる面もあります。

リラックス効果

少量でアルコール度数の低いお酒には、リラックス効果が認められています。(※4)

アルコール度数3%くらいまでの低濃度のお酒を飲むことで、脳内で心身をリラックスさせる物質が分泌されたり、筋肉がほぐれたりといったメリットがあるとわかっています。ただし、大量に飲むと、ストレスホルモンといわれる「コルチゾール」が分泌されてしまうため、リラックスとは逆効果に。(※5)

「今日は疲れたから、リラックスしたい」というとき、缶チューハイなどのアルコール度数が低めのお酒をコップ1杯たしなむ程度であれば、心の健康によい効果が得られるでしょう。

(※4)William R. Corbin et al. Contextual Influences on Subjective Alcohol Response. Exp Clin Psychopharmacol. 2021 Feb; 29(1): 48-58.

(※5)Ellena Badrick et al. The Relationship between Alcohol Consumption and Cortisol Secretion in an Aging Cohort. J Clin Endocrinol Metab. 2008 Mar; 93(3): 750-757.

心筋梗塞などのリスクが低下する

心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病は、少量の飲酒をする人が最も発症しにくいといわれています(※6)。少量の飲酒で、健康によい効果があるといわれているのはこのためです。

ただし、その他のほとんどの疾患は、飲酒量が増えるほど発症リスクが高まることがわかっています。高血圧、脂質異常症、脳出血、がん、肝臓病などが、飲酒と関わりのある代表的な病気。基本的には、病気の観点から言えばお酒は少ないほどよく、禁酒できるのであればその方がよいでしょう。

(※6)厚生労働省. e-ヘルスネット:飲酒とJカーブ

骨密度の低下がゆるやかになる

ビールを飲む女性 ビールを注ぐ

1日にアルコール20g程度の飲酒をする女性は、骨密度の低下がゆるやかになる可能性があります。(※7)

女性は男性に比べて骨粗鬆症になりやすいといわれています。骨密度は20歳ごろから徐々に低下し、特に女性は閉経前後で大きく低下することがわかっています。骨粗鬆症は骨折しやすくなるほか、痛みを伴ったり、背骨が曲がるなど外見上の変化を伴ったりすることもあります。

節度ある飲酒で骨密度の低下がゆるやかになるという情報は、女性にとっては嬉しいものですが、飲みすぎには注意が必要です。

(※7)Jill A Marrone et al. Moderate alcohol intake lowers biochemical markers of bone turnover in postmenopausal women. Menopause. 2012 Sep;19(9)974-9.

お酒の適量、節度ある飲酒とはどのくらい?

禁酒をはじめようと思っても、急にお酒を断つのは難しいものです。先ほど紹介したように、お酒は適量であればメリットもあります。

健康に悪影響を与えない適量を守りながら、徐々にお酒の量を減らしていき、禁酒を目指すのがおすすめです。適度な飲酒量は、国によって多少変わりますが、日本では、1日20gのアルコール量を目安としています。

以下の表を参考に、飲み過ぎていないか確認してみましょう。

種類アルコール換算
ビール500ml20g
日本酒1合(180ml)22g
チューハイ(7%)350ml20g
焼酎1合(180ml)29g
ワイングラス1杯(120ml)12g
ウイスキーシングル(30ml)10g

厚生労働省. e-ヘルスネット:飲酒量の単位

ビール・チューハイは500mlを1缶、日本酒は1合、焼酎は120ml、ワインはグラス1杯までが1日の適量ということに。これ以上飲んでいる人は、心と体の健康のためにも、この機会に飲酒量を見直してみましょう。

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禁酒を無理なく成功させるためのポイント

禁酒したいけれど続けられる自信がない、今まで禁酒に失敗してきたという人のために、無理なく禁酒を成功させるためのポイントを紹介します。禁酒がストレスにならないためにも、徐々にアルコール断ちをしていきましょう。

ノンアルコール飲料に置き換える

まずは、アルコールをノンアルコール飲料に置き換えてみることを試してみましょう。最近ではビールのみならず、カクテル、チューハイ、ワインなど、ノンアルコール飲料の種類が増えており、自分好みの飲料を選べるようになってきました。

1日に何杯もお酒を飲んでいる人は、1杯目だけアルコールを飲み、2杯目以降はノンアルコール飲料にするなど、少しずつ置き換え、体を慣らしていくとよいのではないでしょうか。

喉ごしの良い飲料に置き換える

炭酸水

ビールやサワーなどの「喉ごしが好きでやめられない」という人は、甘くない炭酸飲料に置き換えてみてください。

ノンアルコールビールは、ビール党の人にもおすすめです。喉ごしを味わいたいときには、無糖の炭酸水もいいでしょう。レモンやグレープフルーツなど、甘みのない味付き炭酸水も多く売られていますので、好みの味を探して、禁酒にチャレンジしてみてください。

太りにくいお酒に置き換える

減量目的で禁酒したい人はは、糖質の少ないお酒に置き換えるのがおすすめです。

焼酎やウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒は、糖質が含まれないためカロリーも低め。ただし、ビールに比べるとアルコール度数が高いので、飲み過ぎには注意が必要です。先にご紹介した「お酒の適量」を参考にしてみてください。

コーラやジンジャーエール、オレンジジュースなどの割りものにも気をつけましょう。割りものを炭酸水に置き換える、ノンカロリーのドリンクを使うなどで対応してください。

お酒を目に入れない生活をする

スーパーに行って「お酒を見るとついカゴに入れてしまう」という経験はありませんか? 「何となく」でお酒を買ってしまう、ストックがないと不安になる人は、生活の中でなるべくお酒を目に入れないようにすることも効果的です。

例えば、買い物でお酒売り場を通らない、家族にも晩酌を控えてもらうなど、禁酒のためになるべくお酒を遠ざけた生活を送るようにしましょう。家にお酒を買い置きする習慣をやめると、意外と簡単に禁酒生活を送ることができます。

運動などで気分転換をはかる

伸びをする女性 屋外散歩

ストレス解消のためにお酒を飲んでいる方は、別の方法で気分転換をしてみましょう。

ウォーキング、サイクリング、ランニング、ダンスなどの有酸素運動は、ストレス解消に効果的なことがわかっています。運動によってホルモンの分泌や血流に変化が起こり、ストレスがもたらす心身の症状を軽減してくれるのです。(※8)

1日に20分、疲れすぎない程度に汗ばむ運動がおすすめ。運動をする時間が取れないときは、歩くときに歩幅を広めに早歩きすることでも十分な運動になります。

運動で気分がリフレッシュされることで、ストレス発散のために習慣になっていた飲酒に頼らなくてもよくなるでしょう。

(※8)Andrea Deslandes et al. Exercise and mental health: many reasons to move. Neuropsychobiology. 2009;59(4):191-8.

禁酒がダイエットに効果的な理由は?挫折しないための4つのポイント

どうしても禁酒できない人は?

「医師から控えるよういわれているのにやめられない」「昼から飲んでしまう」など、どうしても禁酒できずに悩んでいる方は、医療機関の力を借りましょう。もしかすると、アルコール依存症になりかけているかもしれません。

アルコール依存症は、女性の方がなりやすいといわれています(※9)。一般的に女性の方がアルコールの代謝能力が低く、同じ飲酒量なら男性よりも早く依存症になってしまいます。意志が弱いから、だらしない性格だからなどは関係ありません。

行動療法や内服治療の手助けを受けて、禁酒・減酒を目指しましょう。お近くの精神科や心療内科、アルコール専門外来などを調べてみてください。

(※9)厚生労働省 e-ヘルスネット

まとめ:無理なく禁酒をして健康体を手に入れよう

アルコールには、体によい側面もありますが、健康面でのデメリットがたくさんあります。

禁酒によって、ダイエットや美肌、生活習慣病の予防、睡眠の質改善などのメリットが得られます。目に見えなくても、数日お酒をやめることで「体が軽い」「目覚めがいい」といった、ちょっとした変化が感じられる可能性があります。

他の飲み物に置き換える、家にお酒を置かないなど、今回ご紹介した禁酒するためのポイントを実践し、無理なくお酒を減らしていきませんか。将来の健康のために、今からできる禁酒生活を始めましょう。

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