漢方で内臓を温め不調追放!夏の「薬膳スープかけご飯」レシピ
暑い季節は冷たいものばかり食べがちに。胃腸が弱り、冷えからの免疫力低下や代謝力の低下で疲れやすくなります。夏こそ、手間なくおいしい「薬膳スープかけご飯」で、内臓から体を温めて不調知らずに!
目次
スープは漢方薬の起源。手軽に作れる“健康ご飯”
「木や草など自然の原料をじっくり煮込み、スープやお茶として飲んだのが漢方薬の始まりです」と、漢方カウンセラーの大久保 愛さん。
「足りないものがあれば補い、健康を守るために必要な『気・血・水』を整えることが漢方や薬膳の考え。疲れやむくみなどの不調を感じたとき、温かいスープを飲むと内臓が温まり、栄養補給や代謝がスムーズに行えるようになります」
特に夏は、冷たい飲み物やそうめんなど、冷えたものを食べがち。内臓の温度が37.2℃を下回ると、臓器の働きや血流、老廃物の流れに影響が出て、疲労感や免疫力の低下につながることも。
「内臓が冷えやすい夏こそ、『薬膳スープかけご飯』を取り入れてみて。簡単でおいしいだけでなく、揚げたり炒めたりするときに発する“老化物質”の摂収量も自然に減らせます。不調の改善、生活習慣病や老化の予防にも効果的ですよ!」
「薬膳スープかけご飯」は理にかなった一品!
1. 体を元気にする
漢方でいう「気・血・水」を補給する食材をふんだんに使用。免疫力を高め、自律神経を整えるなどの効果が。胃腸が弱っているときに無理なく食べられるのも魅力。
2. うまみと栄養たっぷり!
食材のうまみが抽出される温度は約60℃。中弱火で水からスープを作ることで、グルタミン酸などうまみ成分だけでなく、栄養も逃がさずにたっぷり摂り込めます。
3. 1食1品で満足
おかずになるスープをご飯にかけて完成。スープは火にかけて放っておいても焦げにくく、失敗しません。献立いらずで調理が簡単なうえ、具だくさんで食べ応えも◎。
夏バテ・疲れに
さばとオクラのトマトスープかけご飯
ほどよい酸味が食欲をそそる
●薬膳MEMO
胃腸の粘膜を強化するオクラ、抗酸化成分のリコピンを含むトマトなど、バテない体に必要な食品が大集合。
【材料】(2人分:1人分 458kcal)
ご飯…300g
さばの水煮缶…1缶
オクラ…3本
トマトジュース(無塩)…200ml
A |醤油…小さじ2
|みりん…小さじ2
塩、こしょう…各少々
しらす干し…適量
【作り方】
(1)オクラは塩(分量外)をまぶしてこすり洗いし、輪切りにする。
(2)鍋にトマトジュースを入れ、オクラとさばの水煮缶を汁ごと入れる。中弱火で煮立たせたらAを加える。塩、こしょうで味をととのえる。
(3)ご飯にかけ、好みでしらす干しを散らす。
疲労やだるさを感じたら、「もう、かきこんだ」の食材を食べて。も(モロヘイヤ)、う(梅干し)、か(かぶ)、き(キャベツ)、こん(昆布)、だ(大根)の6個。胃腸を労わる代表食材です。
豚肉とキャベツのスープかけご飯
お腹がホッとする優しい味
●薬膳MEMO
豚肉のビタミンB1とキャベツを一緒に摂って胃腸をサポート。栄養が吸収されやすい体に。
【材料】(2人分:1人分 500kcal)
もち麦ご飯…300g
豚こま切れ肉…150g
にんにく…2かけ
キャベツ…4枚
昆布…5cm
オリーブオイル…大さじ1/2
酒…大さじ1
水…400ml
A |しょうゆ…大さじ1と1/2
|みりん…小さじ2
|塩、こしょう…各少々
大葉…適量
【作り方】
(1)にんにくは薄切り、キャベツはざく切りにする。昆布はハサミで細かく刻む。
(2)鍋にオリーブオイルを入れ、豚こま切れ肉とにんにくを弱火で炒め、酒を入れる。
(3)キャベツ、昆布、水を加え、弱火で10分程煮込む。
(4)Aで味をととのえたら、もち麦ご飯にかけ、刻んだ大葉をちらす。
※もち麦ご飯は米1合にもち麦50gを入れて炊飯します。食物繊維たっぷりのもち麦ご飯にすると、血糖値の急上昇を抑えられてさらに健康的!
ポイントは4つ。(1)ながら動作をしない「一回一動作」を心がけてゆっくり食べる(2)姿勢を正して消化器官を圧迫しない(3)片あごで最低15回ずつ噛んで消化しやすく(4)薄味のものから食べると、調味料が減らせる。
むくみ・便秘に
アボカドのリゾット風スープかけご飯
スパイス×みそで風味豊か
●薬膳MEMO
カリウム、ビタミンB群が水分代謝をUP。繊維質が豊富な切り干し大根としょうがが排泄をサポート。
【材料】(2人分:1人分 415kcal)
もち麦ご飯…300g
アボカド…1個
しょうが…1かけ
くるみ…大さじ1
切り干し大根…10g
水…400ml(戻し汁含む)
みそ…大さじ1
カレーパウダー…小さじ2
塩…少々
【作り方】
(1)アボカドは一口大に切り、しょうがとくるみはみじん切りにする。
(2)切り干し大根は水で戻す。鍋に水と切り干し大根を戻し汁ごと入れ、中弱火で加熱する。
(3)(1)を加えひと煮立ちさせたら火を止め、みそを溶き入れる。カレーパウダーと塩で味をととのえ、もち麦ご飯にかける。
夏は、ミネラルを多く含む麦茶やルイボスティーがおすすめ。水分代謝を助け、毒素や老廃物の排泄を促します。特に、温かいルイボスティーは毛細血管の老化を防ぐ効果も。
のりとキムチのオイルスープかけご飯
相性ピッタリ! ご飯がすすむ
●薬膳MEMO
腸を正常に動かす発酵食品と食物繊維。腸を温めて潤すオリーブオイルで便秘をスッキリ解消!
【材料】(2人分:1人分 325kcal)
ご飯…300g
のり…1枚(10×18cm)
まいたけ…1/2パック
キムチ…80g
水…400ml
みそ…大さじ1/2
塩…少々
オリーブオイル…大さじ1
白ごま…適量
【作り方】
(1)のりは細かく刻む。まいたけは食べやすい大きさにさく。
(2)鍋に(1)、キムチ、水を入れる。中弱火で10分程度煮込んだら火を止め、みそを溶き入れる。
(3)塩で味をととのえ、オリーブオイルを一回しかける。ご飯にかけ、白ごまを散らす。
干しえびと納豆のとろろ出汁かけご飯
出汁が香り、のどごしも◎
●薬膳MEMO
整腸食品である干しえび、納豆、かつお節、白ごまがたっぷりとれて、老廃物を流せます。
【材料】(2人分:1人分 344kcal)
もち麦ご飯…300g
A |干しえび…大さじ1
|納豆…1パック
|かつお節…2つかみ(5g)
|白ごま…大さじ1
|みそ…大さじ1
|とろろ昆布…2つかみ(3g)
水…300ml
しらす干し、大葉、梅干し…各適量
【作り方】
(1)鍋にAを入れ、水を加えひと煮立ちさせる。
(2)ご飯にかけたら、好みでしらす干し、刻んだ大葉、梅干しを盛る。
更年期症状に
あさりと玉ねぎの豆乳スープかけご飯
まろやかなコクの和風スープ
●薬膳MEMO
ミネラル、大豆イソフラボン、ビタミンB群が満点の最強の組み合わせ。女性ホルモンの味方。
【材料】(2人分:1人分 324kcal)
もち麦ご飯…300g
玉ねぎ…1/2個
あさり…1パック(200g)
たらこ…1/2腹
水…200ml
豆乳…200ml
塩…少々
【作り方】
(1)玉ねぎは薄切り、たらこは皮から身を取り出す。あさりは砂抜きをする。
(2)鍋に水と(1)を入れ、中弱火で10分程度煮る。
(3)豆乳を加え、煮立ったら塩で味をととのえ、もち麦ご飯にかける。
植物に含まれる香りや色などの成分。植物が紫外線や虫などから身を守るために作り出すもの。セロリやパセリなど香り高い野菜には、抗酸化作用があり、イライラと活性酸素を抑える働きがあります。
鶏ひき肉とセロリの香味スープかけご飯
さっぱりもりもり食べられる♪
●薬膳MEMO
自律神経を整えるセロリと、抗酸化作用の高いビタミンAを含む鶏肉で、心と体がキレイに!
【材料】(2人分:1人分 365kcal)
ご飯…300g
鶏ひき肉…100g
セロリ…1本
赤パプリカ…1/4個
しょうが…1かけ
昆布…5cm
水…400ml
酒、しょうゆ…各大さじ1
みりん…小さじ1
塩、こしょう…各少々
【作り方】
(1)セロリと赤パプリカは粗みじん切り、しょうがはみじん切りにする。昆布はハサミで細く切る。
(2)鍋に、鶏ひき肉、水、(1)、酒を入れ、中弱火で10分煮込む。
(3)しょうゆ、みりん、塩、こしょうで味をととのえ、ご飯にかける。
パセリと卵とあたりめのスープかけご飯
薬味たっぷり! クセになる味
●薬膳MEMO
卵といかには、女性に不足しがちな血を補う働きが。パセリは鉄の吸収を助け、体調が安定します。
【材料】(2人分:1人分 290kcal)
もち麦ご飯…300g
パセリ…1束
あたりめ…5本(5g)
干ししいたけ…2つまみ(5g)
水…400ml(戻し汁含む)
卵…1個
しょうゆ…大さじ1
みりん…小さじ2
塩、こしょう…各少々
【作り方】
(1)パセリは細かく刻む。ハサミで食べやすい大きさに切ったあたりめと干ししいたけは水で戻す。
(2)鍋に水、あたりめと干ししいたけを戻し汁ごと入れ、中弱火で加熱する。沸騰したら溶き卵を流し込む。
(3)パセリを加えたら、しょうゆ、みりんを入れ、塩、こしょうで味をととのえる。もち麦ご飯にかける。
撮影/阿部吉泰
(からだにいいこと2021年8月号より)
東洋医学で生殖機能に深く関わるとされる「腎」は、若さの象徴。腎のエネルギー=「腎気」を補い、脂肪を燃焼してくれるのが、黒とネバネバ食材のコンビ。薬膳食材たっぷりのレシピをご紹介します。