昼食後の眠気対策に!GI値を活用する、眠くならない食べ物&食べ方
食事をしてお腹がいっぱいになると、集中できなかったり眠気に襲われたりして仕事に支障が出ることがあります。食後に眠くならない「GI値」の低い食べ物や、血糖値を上げにくい食べ方を紹介します。
目次
食後に眠くなる理由とは?
誰でも、食べた後に眠くなった経験はあるのではないでしょうか。食後の眠気には、血糖値の変動が関係しています。血糖値とは血液中のグルコース、つまり「ブドウ糖」の濃度のこと。グルコースは、ご飯やパンなどの主食に多く含まれています。食後はこのグルコースの量が増えて血中濃度が上がるため、誰でも血糖値が上がります。
血糖値が上昇すると、次はこれを下げるために「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンの働きによって肝臓にブドウ糖が蓄積され、これがエネルギーとして消費されます。そして、余ったものが筋肉や脂肪に取り込まれることで、血糖値の低下が起こります。
通常はこのように血糖値の変動が起こるのですが、すい臓機能の低下などによってインスリンの分泌能力が衰えると、血糖値はうまく下がらず急上昇します。すると今度は、それを下げるために大量のインスリンが放出されます。その結果、血糖値がジェットコースターのように急激に下がり、「血糖値スパイク」という状態になってしまうのです。
血糖値スパイクによって引き起こされる低血糖の状態は、食後に眠くなる理由の1つと考えられています。もちろん食後の眠気の原因には、睡眠時間や疲労などさまざまな理由が考えられますが、血糖値スパイクは自分では気付きにくいものです。健康診断でも血糖値に異常が現れず見逃されやすいため、多くの人が知らない間に食後の眠気の原因になっていることがあるかもしれません。
食後の眠気対策のカギは「血糖コントロール」
このように、食後に眠くなる理由には、血糖値の変動が関わっていることがあります。原因不明の眠気が襲う場合は、血糖値のコントロールを行うと改善がみられる可能性もあります。血糖値の変動をできるだけ緩やかにするために、どのようなものを食べれば良いのかチェックしてみましょう。
「低GI食品」を選べば眠くならない
食後の血糖値の上げやすさを示す指数に「GI値」というものがあります。GI値の低い食品を意識して選べば、血糖値の急上昇を抑えることができ、食後の眠気を防げるかもしれません。
GI値(グリセミックインデックス値)とは?
GI値(グリセミックインデックス値)は食品に含まれる糖質の吸収度合いを数値化したもので、ブドウ糖や米飯を摂取したときの変動を「100」と設定しています。
GI値が高いほど食後の血糖値が急激に上がりやすく、低い食材ほど血糖値を緩やかに上昇させます。 GI値は1990年代頃から、肥満のほか、生活習慣病の1つである2型糖尿病の予防に役立つものとして注目されてきました。
食品はGI値によって大きく3つに分類できます。
- GI値が70以上:高GI食品(餅、パンなど)
- GI値が56〜69:中GI食品(パスタ、おかゆなど)
- GI値が55以下:低GI食品(さつまいも、そば、玄米など)
ごはんやパンなど主食となる食品のGI値は高くなる一方、食物繊維を多く含んでいる食材は低くなる傾向にあります。
血糖値の急上昇を防ぐ食物繊維をしっかり摂ろう
食物繊維には様々な働きがあります。その1つが血糖値の上昇を緩やかにさせるというものです。GI値の低い食材は食物繊維を多く含む傾向があり、普段の食事のなかでも食物繊維を意識して摂ることで血糖値スパイクの予防になります。
食物繊維を含む食材の代表例が、野菜や果物、海藻類。ところが日本人は野菜や果物の摂取が慢性的に不足していることが問題視されています。野菜の摂取目標量は「1日350g」とされていますが、厚生労働省の『令和元年国民健康・栄養調査報告(PDF)』によると、野菜摂取量の平均は300g以下。目標値を大きく下回っています。
GI値が高めの食品を摂るときは、血糖値の上昇を緩やかにするためにも、食物繊維の多い野菜や海藻類を一緒に摂りましょう。
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眠くならない食べ物は?
食後の眠気を防ぐためには血糖値のコントロールが有効です。そのためにはGI値の低い食品を選ぶことが大切。低GI値食品にはどのようなものがあるのか、詳しく見てみましょう。
主食は非精製のものがおすすめ
主食となるごはんやパン、麺類はGI値が高めですが、ものによってはGI値の低い食品もあります。その大きな違いは「精製」しているかどうかです。精製とは、もみ殻を取り除く作業のこと。わかりやすくごはんで例えると、白米が精製されたもの、玄米が非精製の食品となります。
白米は玄米の「もみ殻」を取り除く作業を経てできますが、このもみ殻に食物繊維が多く含まれているためGI値が低くなっているのです。同じように、精製された小麦粉から作られるパンよりも、ライ麦パンや全粒粉を使用したパンの方がGI値が低く、血糖値を上げにくいとされています。ランチのメニューに迷ったら、精製されていない食品を選ぶと良いでしょう。
メニューとしては、うどんよりもそばやパスタ、白米よりも玄米、食パンよりもライ麦パンや全粒粉パンを選ぶと眠くなりにくいでしょう。
食事には野菜料理をプラス1品
日本人の野菜の摂取量が慢性的に不足していると紹介しましたが、厚生労働省の『令和元年国民健康・栄養調査報告(PDF)』によると、平均的な不足量は約70g。これは、ちょうど小鉢1皿分程度の量です。毎日の食事のなかで野菜のおかずをあと1品増やすように意識すると、推奨量の350gに近づけることができます。
野菜には食物繊維が豊富に含まれています。特に、ごぼうやレンコンなどの根菜類には食物繊維がたっぷり。煮物やサラダなど、食べやすい形で料理に取り入れてみましょう。
脂質の少ない豆類に注目!
大豆やひよこ豆などの豆類は、たんぱく質源となる食品です。さらに豆類は植物性の食品のため、動物性の食品と比べて脂質が少なく、カロリーを抑えられるためダイエット中でも安心して食べられます。
できるだけ避けたい! 眠くなりやすいメニュー
ここまで、「眠くなりにくい食べ物」を紹介してきました。一方、反対に眠くなりやすいものとしては、糖質を多く含む単品メニューが挙げられます。例えば、おにぎりやハンバーガーセット、菓子パン、うどん、ラーメンなどです。
また、砂糖をたくさん使ったチョコレートやケーキなどの洋菓子にも要注意。おやつに甘いものが食べたくなったら、GI値が低い果物などを食べるようにしましょう。
食後の眠気をやわらげる食べ方とは?
血糖値の急上昇を防ぐためには、低GI値の食品を選ぶだけではなく、食べ方にも気を付けてみましょう。血糖値の上がりにくい食べ方をすれば、食後の眠気を和らげられるかもしれません。次のポイントを意識してみてくださいね!
「ベジファースト」なら食べ過ぎ防止にも効果あり
食事をするときには、野菜から食べるように心がけましょう。食物繊維には血糖値の急上昇を防ぐほか、コレステロールの排出をサポートする作用があります。また、野菜を食べると噛む回数が自然と増えるため、満腹中枢が刺激されやすく食べ過ぎ防止にも効果的です。食事のときは「野菜料理優先」、つまりベジファーストを意識して習慣付けていきましょう。
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朝食からメニューを意識して「セカンドミール」効果を活用
1日の最初にとった食事(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の後の血糖値にも影響を及ぼすという考え方があります。これは「セカンドミール効果」と呼ばれています。
ファーストミールが血糖値を上げにくいものであれば、次の食事後の血糖値も上がりにくくなります。昼食後に血糖値の上昇を防ぐためにも、朝食には血糖値が上がりにくいものを選ぶのがおすすめです。
早食いをやめれば眠気予防にも
食欲は、脳の視床下部にある満腹中枢と摂食中枢にコントロールされています。満腹になると食べるのをやめるように指令が出されますが、ここまでには食べ始めてから20分かかるとされています。この20分までの間に食べ終わってしまうと、脳が「満腹」と感じることがないので食べ過ぎてしまいがち。早食いの人が太り安いのはこのためです。
さらに、早食いをすると血糖値が上がりやすいため、インスリンの分泌が促進されます。すると血糖値スパイクが起こり、低血糖に陥りやすいため眠気に繋がる場合があります。よく噛むことを意識すればゆっくり食べることができるので、噛みごたえのある食材を選んだり一口を少なくしたりなど、工夫しながら食事をとりましょう。
まとめ:食後に眠くならないよう血糖値のコントロールを意識して
体の疲れがあるときや睡眠時間が足りないときは、日中でも眠くなるもの。でも、食後はいつも眠くなってしまうという場合、血糖値の急上昇や急低下が大きく関係しているかもしれません。
眠気の起こりやすい低血糖を防ぐためには、まずは食後の血糖値を急に上げないことが大切。低GI食品を選んだり、食べ方を工夫したりして、血糖値の上がりにくい食生活をしてみてくださいね。