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トマト

リコピンの“すごい”効果とは?トマトの美肌パワーと効率的に摂る方法

トマトやトマトジュースに含まれる「リコピン」。女性にうれしい美肌効果はもちろん、その他にもダイエットや健康をサポートする働きもあります。リコピンの効果と効率的に摂る方法を、管理栄養士が解説します。

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トマトにたっぷり含まれるリコピンとは?

リコピンを含む代表といえばトマト。「リコピンは体にいい」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。まずは、リコピンの効果と効能について解説します。

リコピンは赤い色素成分

リコピンとは、トマトやすいか、ピンクグレープフルーツ、柿、アンズ、グアバなどの野菜や果物に含まれる赤い色素成分。特に真っ赤なトマトには、リコピンがたっぷり含まれ、完熟するにつれて含有量が増えていきます。

体や肌を老化させたり、病気を引き起こしたりする「活性酸素」の働きを防ぐことを「抗酸化作用」といいます。

リコピンは、強い抗酸化作用を持つ「フィトケミカル」の仲間です。 「フィト」は「植物」、「ケミカル」は「化学物質」という意味があり、植物が紫外線や外敵から身を守るために作り出した物質。色や香り、苦味、渋みなどのもとになっています。

フィトケミカルは、人の体の中で抗菌、抗炎症、抗酸化作用、免疫力の向上など、さまざまな働きをしていることがわかってきました。“第7の栄養素”として注目を浴び、野菜や果物、豆類に多く含まれています。フィトケミカルの種類は、明らかになっているものだけでもおよそ1500種類ともいわれています。

リコピンの効果・効能は?

トマト

最近の研究で、リコピンにはβカロテンの2倍以上、ビタミンEの10倍以上の抗酸化作用があることがわかってきました(※1)。リコピンは、血管や皮膚にダメージを与える活性酸素を抑える働きがあります。

活性酸素の発生原因は、呼吸やストレス、喫煙、排ガス、紫外線など日常生活のいたるところにあり、すべてを防ぎようがありません。

しかし、食事で抗酸化成分を摂ることで、活性酸素の発生を抑えたり、取り除いたりすることができます。肌や体に対して増える活性酸素の害を、リコピンでブロックしましょう。

(※1)参考:https://www.kagome.co.jp/company/nutrition-health/tomato-univ/medical/index.html

美肌効果も期待できるリコピンの抗酸化作用とは?

トマトを食べている女性

トマトに含まれるリコピンは抗酸化パワーにすぐれ、高い美肌効果が期待できます。その他にも、生活習慣病の予防・改善やダイエットのサポートなど、さまざまな働きが考えられます。

次から、リコピンの抗酸化作用が、私たちの体にどのような働きがあるかを解説します。

紫外線による肌トラブルから細胞を守る

リコピンは、紫外線によって発生する、メラニンの生成を抑える効果が期待できます。メラニンとは、シミのもとになる物質。

皮膚は紫外線による活性酸素や加齢の影響によりシミやシワができ、ハリがなくなっていきます。紫外線の肌への影響を例えるなら、ガラス窓の枠に使われているゴムが、長期間にわたって紫外線にさらされて劣化してしまい、ボロボロにヒビが入った状態。それほど、長年の紫外線による影響は怖いものです。

トマトは紫外線から細胞や種を守るためにリコピンを蓄えています。リコピンは、人間の体の中でも、同じように紫外線による肌トラブルから細胞を守るといわれています。シミやシワ、ハリ低下を予防するためにもリコピンの力が役立つでしょう。

ダイエットをサポートする

リコピンを継続的に摂ることで、体内の血中HDL(善玉)コレステロールを増やす機能があることが報告されています。また、中性脂肪が肥満細胞に蓄積されるのを抑える作用も期待できます(※2)。このためリコピンはダイエットの味方になるでしょう。

さらにトマトにはカリウムも多く含まれ、むくみ改善にも効果的。バランスの良い食事を摂ることや適度な運動習慣といったダイエットの基本とあわせて、リコピンを摂ることが健康的な体型維持につながります。

(※2)参考:https://www.kagome.co.jp/products/brand/tomatojuice/kinousei/functional-claims/

血圧の改善と血糖値を正常に保つ

明るい元気な女性

リコピンは、動脈硬化の予防や血糖値を正常に保つ作用もあるともいわれています。体には活性酸素によるダメージを抑えるシステムがもともと備わっていますが、加齢とともに働きが低下してしまいます。

若い頃は弾力のあるしなやかな血管であっても、活性酸素により老化し、動脈硬化が進みます。動脈硬化の進行を抑えるのに役立つのが、先ほどご紹介したフィトケミカルです。

フィトケミカルの仲間であるリコピンには強い抗酸化作用があるため、血管の老化を防ぎます。そのため動脈硬化の予防や、血圧の改善、血糖値を正常に保つといった働きが期待できます。

リコピンの効果を高めるためには?効率よく摂る方法

トマトを食べるとき、生で食べますか? それとも火を通すことが多いですか?

リコピンの抗酸化作用を高めるには、調理法やトマトの選び方を工夫することが大切です。次に紹介する方法でリコピンを効率よく摂り、さらに美肌効果を高めましょう!

油と一緒に摂る

オリーブオイルとトマト

リコピンは加熱しても壊れにくい成分です。そのためトマトは、火を通して食べるのがおすすめ。リコピンは油に溶ける脂溶性のため、油と一緒に摂ることで吸収力が高まります。熱に強いので調理してもほとんど失われません。

トマトを調理するときは、にんにくや玉ねぎと一緒に炒めるメニューにするのがおすすめ。にんにくや玉ねぎを調理することで生成される、香り成分の「ジアリルジスルフィド」と一緒に加熱すると、リコピンの構造が変化して体内への吸収率アップが期待できます。

生で食べる場合も、ドレッシングやオリーブオイルと一緒に摂りましょう。

またリコピンは、牛乳の脂肪分によっても吸収率が高まるのがわかっています。トマト料理と乳製品を一緒に摂ったり、トマトと乳製品を合わせたトマトクリームなどのレシピもいいでしょう。

トマトジュース・トマト水煮缶から摂る

トマトが体にいいことはわかっていても、毎日生で食べるのは大変。そこで活用したいのがトマトジュースやトマト水煮缶です。

リコピンは、主に生食用のトマトをはじめ、トマトの水煮缶や、トマトソースといったトマト製品にも多く含まれています。加工されることでさらにリコピンの吸収率が高まることがわかっています。

ジュース用トマトに含まれるリコピンは、生食用トマトの約2~3倍吸収率も高いといわれています(※3)。トマトジュースはそのまま飲んでもいいですし、スープや煮込み料理などにも使えて便利です。

水煮缶は、トマトを新鮮なうちに湯むきして、トマトジュースを注いで加熱殺菌加工したもの。生で食べるトマトと品種が違い、「赤系トマト」と呼ばれる色の濃いタイプが多く使われているようです。

リコピンは色が濃いほど抗酸化作用が高いといわれるため、効率よく摂るなら缶詰を活用しましょう。1缶100円前後からという価格も魅力です。

(※3)『カゴメトマトジュースレシピ』(カゴメ株式会社/朝日新聞出版)

市販の高リコピントマトから摂る

トマトを生で食べる場合は、一般的なトマトより「高リコピントマト」がおすすめです。スーパーで買うときに、袋に「高リコピン」と書いてあるものを選ぶようにしましょう。

一般的な生食用トマトのリコピン含有量は3~5mgですが、「高リコピントマト」として売られているものは、8.0mgも含まれています(カゴメ高リコピントマト栄養成分表示より)。

リコピンがたくさん摂れる簡単レシピ

ミネストローネ

トマトにはリコピンがたっぷり含まれているとはいえ、毎回生で食べるのは飽きてしまいます。中には「トマトの皮や種が苦手」という方もいることでしょう。

リコピンを効果的に摂ることができて、飽きずにトマトを食べられる、簡単レシピを3つ紹介します。

ミネストローネスープ

トマトをたくさん買って食べきれないときは、スープの具材にしましょう。トマトを余すことなく使い切れますよ。トマトは真っ赤に熟したものを使えば、リコピンがたくさん摂ることができます。

おすすめレシピ~ミネストローネスープ~

【材料(4人分)】エネルギー量:177kcal(1人分)
・トマト(あれば完熟のもの)…3個(600g)
・ウィンナーソーセージ…6本(90g)
・じゃがいも…1個(100g)
・玉ねぎ…1/2個(100g)
・にんじん…1/2本(80g)
・キャベツ…2枚(100g)
・にんにく(みじん切り)…2かけ(12g)
・オリーブオイル…大さじ1(12g)
・水…2カップ(400ml)
・コンソメスープの素…1個(5g)
・塩…小さじ1/2(2.5g)
・こしょう…少々
・粉チーズ…適宜

【作り方】
(1)トマト、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、キャベツは1cm角切りにする。ウィンナーソーセージは小口切りにする。にんにくはみじん切りにする。
(2)鍋ににんにくのみじん切りとオリーブオイルを入れ、中火で炒める。にんにくの香りがしてきたら、(1)のじゃがいも、玉ねぎ、にんじんを炒める。野菜がしんなりしたらトマトを加えて炒め、水とコンソメスープの素を加え、フタをして15分煮る。
(3)ウィンナーソーセージとキャベツを入れてさっと煮る。塩・こしょうで味をととのえてでき上がり。器に盛り、お好みで粉チーズをかける。

ラタトゥイユ

夏野菜をたくさん使ったラタトゥイユは、夏バテ予防に最適のおかずです。ポリフェノールが豊富ななすとズッキーニ、リコピンが豊富なトマトを使った抗酸化作用の高い一品です。オリーブオイルで炒めて煮込むことで、リコピンの体内吸収率がアップしますよ。

おすすめレシピ~ラタトゥイユ ~

【材料(4人分)】エネルギー量:148kcal(1人分)
・カットトマト缶…1缶(400g)
・なす…2本(300g)
・ズッキーニ …1本(200g)
・玉ねぎ…1個(300g)
・パプリカ(黄)…1個(100g)
・にんにく…1かけ(6g)
・コンソメスープの素…小さじ1(5g)
・白ワイン…1/4カップ(50ml)
・ローリエ…1枚
・塩…小さじ1/2(2.5g)
・こしょう…少々
・オリーブオイル…大さじ2(24g)

【作り方】
(1)にんにくは薄切り、なすとズッキーニは3cm幅の半月切りにする。玉ねぎはくし切りに、パプリカは乱切りにする。
(2)鍋にオリーブオイルを熱し、にんにく、玉ねぎ、なす、ズッキーニの順に炒める。全体に油が回ったら、パプリカを加えてさらに炒める。
(3)カットトマト缶を汁ごと加えて混ぜ合わせ、白ワイン、ローリエを入れる。フタをしてときどき混ぜながら、弱火で20~30分煮る。汁気が足りないようであれば、水(分量外)を加える。フタを取り、1~2分軽く混ぜてつやが出たら、塩・こしょうで味をととのえてでき上がり。

チリコンカン

チリコンカンは、アメリカテキサス州で生まれたメキシコ風のアメリカ料理。紹介するレシピは、ひき肉の量を半分にしてエリンギでボリュームアップした、低カロリーなチリコンカンです。カットトマト缶を使うことでリコピン量がアップ。常備おかずにもおすすめですよ。

おすすめレシピ ~チリコンカン~

【材料(4人分)】エネルギー量:179kcal(1人分)
・カットトマト缶…1缶(400g)
・玉ねぎ…1/2個(100g)
・エリンギ…1パック(100g)
・牛ひき肉…100g
A
|大豆水煮…100g
|コンソメスープの素…小さじ1(5g)
|ケチャップ…大さじ2(36g)
|ローリエ…2枚
・オリーブオイル…大さじ1(12g)
・塩・こしょう…各少々

【作り方】
(1)玉ねぎ、エリンギはみじん切りにする。
(2)鍋にオリーブオイルを熱し、(1)を入れて塩をふり、水気がなくなるまで中火でじっくり炒める。
(3)牛ひき肉を加えてよく炒め、カットトマト缶とAを入れる。沸騰したらフタをして弱火で10~15分煮る。塩・こしょうで味をととのえてでき上がり。

▷トマトを使ったおすすめレシピはこちら

睡眠の質を高めるおすすめレシピ「いわしトマトカレー」

ラクに作れる大満足豚汁「チーズ&トマトン汁」

リコピンに関する疑問Q&A

トマトを食べている女性

リコピンをもっと効率的に摂るにはどうしたらいいの? 最後に、そんな素朴な疑問にお答えします!

Q.リコピンを摂るならいつがよい?

リコピンは1日の中でいつ摂るかで、吸収率が変わることがわかっています(※4)。

「トマトジュースを飲むとき、朝昼晩どの時間帯がリコピンの吸収率が良いか」を試験研究したところ、1日の中で朝がもっともリコピンの吸収率が良いことが明らかになりました(*夜就寝し、朝起床する方を対象とした試験結果に基づく)。

朝食でトマトジュースを飲む、サラダにトマトを添える、トマト缶やトマトジュースを使ったスープを摂るなどして、続けやすい方法でリコピンを取り入れるとよいですね。

(※4)参考: https://www.kagome.co.jp/vegeday/nutrition/201704/6751/

Q.リコピンをサプリメントで摂ってもよい?

リコピンを摂るならサプリメントからよりも、トマトやトマトジュース、トマト缶から摂ることをおすすめします。サプリメントはあくまで足りない栄養を補うものとして使いましょう。

リコピンは通常の食品に含まれる量を摂る分には安全ですが、サプリメントなどの成分が凝縮された場合の安全性に関しては、まだ信頼できる情報が少ないようです。妊婦中や授乳中の方、お子さんの摂取は避けましょう。

日頃から規則正しく、バランスの良い食事を心がけて、食品からリコピンを摂るようにしましょう。

Q.リコピンは摂り過ぎるとダメ?

トマト

美肌効果が期待できるリコピン。残念ながら、リコピンたっぷりのトマトだけをたくさん摂ったからといって、肌が劇的にきれいになるわけではありません。

リコピンは、三大栄養素やビタミン・ミネラル類のように、「日本人の食事摂取基準2020」で摂取量を決められてはいませんが、「1日の目安量は15mg程度」といわれています。

体に良いからと、トマトだけをたくさん食べるのはおすすめできません。東洋医学の薬膳の考え方では、トマトは体を冷やす食べ物に分類されています。体を冷やす食べ物は、胃腸の働きを鈍くすることもあるため、体調がすぐれないときは食べすぎないようにしましょう。

肌の健康を保つためには、普段から日焼け止めや日傘を利用して紫外線を浴びないようにする、ビタミンA・C・Eを含む食品も摂る、質の良い睡眠をとるなども意識して生活をすることが大切です。

まとめ:リコピンの効果を活用して体と肌のアンチエイジングに役立てよう

トマトに含まれるリコピンの美肌パワーと、効率的に摂る方法を解説しました。リコピンを効率的に摂るなら油と一緒に摂ったり、トマトジュースやトマト缶を利用したりと調理でもひと夫するのがおすすめです。

リコピンだけをたくさん摂っても劇的にシミやシワが改善できるわけではありません。美肌効果を高めるなら、日傘や日焼け止めを利用するなどして、活性酸素のもととなる紫外線から肌を守ることも心がけましょう。

また、日常生活では1日3食バランスよく食べて、しっかり睡眠をとることも大切。トマトを上手に取り入れて、美容と健康に役立ててくださいね。

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