飲む前・飲みながら・飲んだ後に!医師がすすめる「二日酔い対策」
ついお酒を飲みすぎて、二日酔いに…。翌日のつらい症状に悩まされる前に、お酒を飲む前の対策が大切です。今回は、お酒を「飲む前」「飲んでいる最中」「飲んだ後」におすすめの二日酔い対策を紹介します。
二日酔いの原因は?
飲み会の翌日に、頭痛や気分の悪さ、吐き気、胃痛、体の疲労感など、つらい二日酔い症状に悩まされた経験のある人は多いと思います。それらはアルコールによる症状で、お酒の飲み過ぎが主な原因だと考えられます。
しかし、同じ量のお酒を飲んでいても、次の日元気な人がいるのも事実。二日酔いになってしまう原因と、個人差について解説していきます。
アルコール分解で発生するアセトアルデヒド
お酒を飲むと、アルコールが体内に入ります。二日酔いの主な原因となるのは、アルコールが代謝されるときに発生する「アセトアルデヒド」という成分だといわれています。アセトアルデヒドが血液中に溶け込むと、顔の赤みや吐き気、頭痛などの症状を引き起こすのです。
人の体内でアルコールは、「アセトアルデヒド」→「酢酸(さくさん)」→「炭酸ガス・水」というように分解され、最終的には体外に排出されます。
アセトアルデヒドは人体に有害な成分で、酢酸への分解が追いつかないときに体内にとどまり、影響を受けてしまいます。
アルコール分解には個人差がある
お酒の席で同じ量のアルコールを飲んでも、二日酔いになる人とならない人がいます。これは肝臓の働きの差によるもので、お酒に強い人と弱い人がいるのもこのためです。
アルコール分解が遅い人と早い人では飲めるお酒の量が変わりますし、同じ量を飲んだとしても二日酔いの程度が変わってきます。
日本人は世界的に見てもアルコールに弱いとされています。飲酒の際に顔が赤くなることを、「オリエンタルフラッシング」あるいは「ジャパニーズフラッシング」と呼ぶこともあるそうです。
からこと発信部ライターの廣瀬です。コロナウイルスによる自粛生活で、家でお酒を楽しむも増えたはず。そこでキリンのセミナーで学んだ正しいお酒の量や、体に負担をかけない飲み方をレポートします!
二日酔い対策【飲む前編】
二日酔いになっているということは、翌日の体にも大きな負担がかかっている証拠です。体調不良でつらい翌日を過ごさないためにも、まずは「飲む前」に二日酔い対策をしましょう。
栄養ドリンクで肝機能を高める
飲む前に肝臓の働きを助けてくれる栄養ドリンクを飲みましょう。ウコンやしじみの成分が配合されたドリンクは、コンビニでも簡単に手に入るのでおすすめです。価格帯は商品によりますが、300円前後で購入することができます。
お酒の前に飲んでおくことで、ウコンに含まれるクルクミンやしじみに含まれるオルニチンが、アルコール分解を助けてくれたり、胃腸の負担を軽減してくれる働きがあります。
少しだけ食事を摂る
飲み会の前に少しだけ食事を摂るのもおすすめです。アルコールは胃から小腸へ入った瞬間に吸収率が高くなります。胃の中に何も入っていない状態でアルコールを飲むとすぐに小腸へ運ばれてしまうため、二日酔いになる確率が高くなります。
飲み会の30分から1時間くらい前に、コンビニで小さめのおにぎりやミックスナッツ、ヨーグルトなどを食べ、空腹のまま参加しないようにしましょう。
漢方薬を飲んでおく
飲み会前に漢方薬を飲んでおくのも効果的です。漢方薬は西洋薬と違い、処方箋がなくてもドラッグストアなどで手軽に購入することができます。
飲み会の30分ほど前に「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬を飲んでみてください。体外に水分を排出する働きがあるので、二日酔いの原因となっているアセトアルデヒドなどの毒素を排出してくれます。
「飲みすぎて太った…」とよく聞きますが、本当に原因はお酒なのでしょうか? お酒好きで名誉ソムリエでもある、医師の秋津壽男さんに、太らない飲み方や食べ方のコツを聞きました。
二日酔い対策【飲みながら編】
何の対策もせずに飲み会に来てしまった…という方も、お酒を飲みながらでも二日酔い対策ができます。お酒を楽しんでいる最中に、二日酔い予防のための食べ物を摂ったり、飲むペースを調整したりすることで、二日酔いにならずに済むでしょう。
サラダを食べる
飲み会の最初には、まずサラダを食べましょう。野菜に含まれるビタミン類とドレッシングの油が二日酔い防止に役立ちます。
野菜に豊富なビタミンB1やビタミンCは、アルコールの分解に役立つ栄養素です。また、ドレッシングの油が胃や小腸などの粘膜を保護することで急なアルコール吸収、刺激を防ぎ、負担を軽減してくれます。
居酒屋には必ずと言っていいほどサラダのメニューがありますよね。先に注文をして飲み会の始めのほうに食べるのがポイントです。コース料理の場合でも、サラダや前菜が早めにでてくることが多いので、飲みはじめに必ず食べるようにしましょう。
水分を摂りながら飲む
お酒を飲むときは、同時に水を飲むことも忘れずに。アルコールには利尿作用があるため、体内の水分がものすごいスピードで失われます。飲み会のときにトイレに行く回数が増えるのはそのためです。
また、水を飲みながらお酒を飲むことでアルコール分解を助け、脱水予防にもなります。冷たい水ではなく、できれば常温、もしくは白湯がおすすめです。
豆腐、枝豆などの豆類を食べる
二日酔い予防になるおつまみの代表といえば、豆腐や枝豆などの豆類です。豆腐に含まれるタンパク質は、アルコールの吸収を穏やかする働きがあります。
また、枝豆に含まれる「メチオニン」という成分には、肝機能の働きを助けてくれる効果があります。さらに、アルコールの分解を助けるビタミン類も多く含まれているため、おつまみとしては最高です。
おつまみのお供といえば枝豆ですし、お酒を飲むときに枝豆を食べたくなるのも、理にかなっているといえます。サラダと合わせて始めの方に食べましょう。
会話を楽しみながらゆっくり飲む
飲み会では、会話を楽しみながらゆっくりお酒を飲んでください。アルコールを短時間で大量に摂取しないように、ゆっくり飲むことが大切。急に多くのアルコールを摂ると、内臓に負担がかかるだけでなく、ひどい場合には急性アルコール中毒になることも考えられます。
ゆっくりお酒を飲めば、飲みすぎを防ぐことができ、アルコールの吸収スピードも抑えられます。友達や家族との会話、料理も楽しみながら飲みましょう。
二日酔い対策【飲んだ後編】
飲み会が終わり、ほろ酔い気分で帰る途中も、二日酔いにならないためにやったほうがいいことがあります。
お酒を飲んだ後は気分がよく、すぐに寝たい気持ちもわかりますが、寝る前に対策をしておくことで次の日もスッキリと起きることができます。
水分をしっかり摂る
飲んだ後は水分をしっかり摂りましょう。アルコールには利尿作用があるため、水分不足になっています。
水は常温もしくは白湯がおすすめ。冷たい水は胃に負担がかかってしまいます。その他、脱水予防のためにはスポーツドリンクもいいでしょう。
アルコール分解を助けるビタミンCやビタミンBを摂る
アルコールの分解にはたくさんの酵素が必要になりますが、その他にビタミン類も使われます。失われがちな栄養素を補うために、飲んだ後はビタミンCやビタミンBを摂取しましょう。
コンビニで簡単に手に入る食材として、ビタミンBを含むアーモンドフィッシュや、ビタミンCを含むカットフルーツ、干し芋などがおすすめです。飲み会の帰りはコンビニで、これらの食材を買って食べましょう。
なるべく酔いをさましてから就寝する
帰宅後、ほろ酔いでベッドに入りたい気持ちがあるかもしれませんが、水を飲んだりリラックスして過ごしたりして少し酔いをさまし、落ち着いた頃に眠るようにしましょう。
早く寝て体を休ませたほうがアルコール分解が早くなりそうですが、実は真逆。就寝時は血液の流れもゆっくりになるため、分解速度は落ちてしまいます。そのためすぐに寝るより、体の中のアルコール分解が進んでから寝るほうがいいでしょう。
また、飲酒後のお風呂にも注意が必要です。よくお風呂で汗をかいてアルコールを抜くという方もいますが、それはNG。飲酒後は水分が失われています。脱水予防のためにも汗をかく行為は控えましょう。温泉施設などでも飲酒後の入浴やサウナは固くお断りされているはずです。
お酒を飲んだ日はぬるめのシャワーで軽く済ませ、あまり体を温めすぎないように心がけてください。
二日酔い対策には漢方もおすすめ
どうしても二日酔いの症状が出てしまった場合には、漢方薬の活用も効果的です。
二日酔いはアルコールの飲み過ぎによって、体の水分の巡りが悪くなっていることが原因と考えられます。漢方薬は、水分の巡りを改善することで、体の中の老廃物や毒素を便や尿と一緒に排出。頭痛や胸焼け、体のだるさ、吐き気、むくみなどを改善します。
漢方薬を二日酔いの予防薬として活用されている方もいますよ。二日酔い対策におすすめの漢方薬はこちら。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
二日酔いの胸焼けや吐き気、消化不良におすすめの漢方薬です。また、アルコールを摂取するとお腹がゆるくなる、下痢をしやすくなるといった方にもおすすめです。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
一般的にのぼせやほてりを抑えてくれる漢方薬で、暴飲暴食で荒れた胃腸の炎症も抑えてくれます。アルコールを飲む前に飲むのもおすすめで、顔のほてりを抑えてくれる効果も期待できます。
漢方薬は体質に合ったものを選ぶことが大切
漢方薬を選ぶときは、体質に合ったものを選ぶことが大切です。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方にくわしい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
最近では、症状と体質に合った漢方薬を漢方に精通した薬剤師に選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」という、AIを活用したオンライン相談サービスも登場しているので、利用してみるのもいいでしょう。
スマホから、専門家への個別相談を気軽に申し込むことができます。
まとめ:二日酔いは飲む前、飲みながら、飲んだ後それぞれの対策を
楽しくてつい飲みすぎてしまうお酒の席ですが、翌日二日酔いになってしまっては、楽しい時間も台無しになってしまいます。何より一日中体調が悪く、つらい思いをしてしまいます。
飲む前、飲みながら、飲んだ後、それぞれの段階で二日酔いにならない対策を。コンビニにちょっと寄るだけでできる対策や、飲食しながらできる対策があります。
体に負担にならない程度にお酒を楽しんで、しっかりと二日酔い対策をしながら飲みましょう。
お酒を飲んで悪酔いしたり、二日酔いになったりするのはなぜ? お酒が大好きで名誉ソムリエでもある、医師の秋津壽男さんに、悪酔いしないための飲み方や食べ方を聞きました。
[ 監修者 ]
- あんしん漢方(オンラインAI漢方)
- https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=22143zd5kara0001