メンタルが弱い女性こそ筋トレを!不安やイライラを鎮める理由とは?
自分のメンタルの弱さをどうにかしたい。そんな女性にこそ、筋トレがおすすめです。今回は、筋トレがメンタルに与える効果や理由、いい影響をもたらすやり方などについて解説します。
目次
筋トレがもたらすメンタルへの4つの効果
「筋トレがメンタルに良い影響を与える」ということを聞いたことはありませんか? 実際に筋トレは、数々の研究からメンタルに良い影響を与えることが報告されています。
次から、筋トレがもたらすメンタルへの4つの効果を解説します。小さなことでクヨクヨしたり、いつもイライラしたりしてしまうなど、自分のメンタルを安定させたいという方におすすめです。
イライラや不安などの改善
1つ目は、イライラや不安などを改善する効果です。2017年に発表された論文では、筋トレを行うことにより、不安症状が改善したと報告されました(※1)。健康な方だけではなく、身体的・精神的に障害がある方にも効果があったということです。
さらにその効果は、年齢や性別に影響を受けませんでした。つまり、年齢や性別、体の健康状態などに関わらず、筋トレには不安を改善する効果が期待できるということです。
(※1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28819746/
睡眠の質の改善
2つ目は、睡眠の質の改善です。メンタルと睡眠は密接に関わりがあり、短い睡眠や質の悪い睡眠などで睡眠不足になると、メンタルに悪影響が生じます。そのため、心の健康を保つためには睡眠がとても大切になります。
ある研究では、筋トレで睡眠の質が改善したと報告されています(※2)。さらにその効果は、有酸素運動をおこなったときよりも高かったことがわかりました。これらの結果から、筋トレは睡眠の質を改善して、メンタルに良い影響を与えると考えられます。
よく眠れない、寝つきが悪いといった不眠症状で悩んでいる人にもおすすめです。
しっかり寝ているはずなのに疲れが取れないのは、眠りが浅いからかもしれません。睡眠の質を上げるための食事や生活習慣、眠りが浅い人がやってしまいがちな行動を、睡眠専門医の坪田聡さんに聞きました。
慢性的な痛みの緩和
3つ目は、慢性的な痛みの緩和です。慢性的に感じる痛みは、痛みに対する不安や嫌悪感から心身にストレスを与え、メンタルの不調やうつ症状を引き起こす原因となることがあります。
慢性的な痛みをともなう線維筋痛症の方を対象とした研究では、週2回の筋トレを15週間継続したことで、痛みが減少したと報告されました(※3)。筋トレをおこなうことで、つらい痛みをやわらげ、メンタルへの負担を軽減させられる可能性があります。
(※3)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4574136/
認知機能の向上
4つ目は、認知機能の向上です。意外かもしれませんが、認知機能とメンタルは関連があるといわれています。
なぜなら、脳が老化して認知機能が低下すると、頭の回転が遅くなったり、物事の理解が悪くなったりして、精神的にストレスがかかりやすくなるからです。認知機能を高めるには、運動がいいといわれていますが、筋トレでも効果が報告されています。
2010年の報告によると、65歳〜75歳の女性を対象に、週1〜2回筋トレを12カ月間おこなったところ、認知機能が向上したという結果に(※4)。このように、筋トレには判断力や思考力を高めて、精神的なストレスを軽減させる効果が期待できます。
(※4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20101012/
筋トレがメンタルに良い影響をもたらす理由
筋トレがメンタルに良い影響をもたらすのには、さまざまな理由があります。次から、くわしくみていきましょう。
テストステロンが分泌される
筋トレをすると、「テストステロン」といわれるホルモンが分泌されます。テストステロンとは、骨や筋肉の成長を促進したり、意欲を向上させたりする働きがあるホルモンです。男性に多いホルモンであることから、一般的に「男性ホルモン」と呼ばれます。
しかし、テストステロンは男性だけのホルモンではありません。男性よりは少ないですが、女性の体にもテストステロンは存在しています。
そのため、女性も筋トレをすることでテストホルモンが分泌され、気持ちが前向きになり、メンタルの改善が期待できるわけです。
セロトニンが分泌される
筋トレをすると、テストステロンのほかに、「セロトニン」というホルモンも分泌されます。セロトニンは、精神の安定に関係する脳内の神経伝達物質のひとつです。一般的には“幸せホルモン”と呼ばれています。
セロトニンは精神の安定に関わるため、不足すると気持ちのコントロールが不安定になり、メンタルの不調を引き起こす原因となります。筋トレにはセロトニンを分泌させる働きがあり、筋トレを習慣にすることで、心が安定しやすくなるでしょう。
自己肯定感が高まることで自信につながる
筋トレは自己肯定感を高め、自信をつける効果が期待できます。自己肯定感が低いと、小さいことでも悲観的になり、「自分はダメだ……」といったネガティブ思考に陥りやすくなるでしょう。筋トレは体に負荷をかけるため、トレーニングをやり切ったときに、「自分はやれるんだ!」という達成感や成功体験を得られます。
また、継続して筋トレをおこない理想の体型へと変化していくことで、さらに自己肯定感がアップして、自信につながるでしょう。このように筋トレは、体だけでなく前向きな自分をつくり、メンタルも強くすることができます。
脳に軽い刺激を与える
筋トレなどの運動をおこなうと、筋肉が動くことにより脳に軽い刺激が与えられます。過度な負荷は負担になってしまいますが、軽い刺激は脳を鍛えて、ストレス耐性を高めてくれる効果が期待できるのです。
そのため、筋トレを続けることで小さなストレスは過剰に気にすることが減り、メンタルが安定しやすくなる可能性があります。
メンタルに良い影響を与える筋トレ方法
メンタル強化のために筋トレをはじめようと思っても、どんなやり方が正しいのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。メンタルに効果のある筋トレ方法について、ポイントをまとめました。
1回45分以上・週3〜5回が目安
メンタルに良い影響を与えるために筋トレをおこなうのであれば、1回45分、週3〜5回を目安におこなうとよいでしょう。
2018年の論文では、1回あたり45分以上の筋トレを週に3〜5回おこなったところ、20.1%の方にメンタルの改善効果があったと報告されています(※5)。もちろん個人差はありますが、メンタルの安定を目的に筋トレを始める際には、1回45分以上、週3〜5回を目安にしてみることをおすすめします。
(※5)https://medicine.yale.edu/news-article/18044/
軽い運動を週に60分するだけでもOK
メンタルを強くしたいけれど、「1回45分以上の筋トレを週に3〜5回もできない!」という方も多いでしょう。では、目安以下の筋トレではメンタルに良い影響を与えられないかというと、そんなことはありません。
週に軽い運動を60分おこなうだけでも、メンタルが悪化するリスクを12%下げる効果が報告されています(※6)。1日あたり10分弱の軽い運動をおこなえば、メンタルに良い影響をもたらしてくれるわけです。
また、この場合の軽い運動とは、早歩き程度の運動のこと。筋トレではなくても普段の生活に取り入れやすい「早歩き」で、メンタルを強くすることができます。
(※6)https://ajp.psychiatryonline.org/doi/10.1176/appi.ajp.2017.16111223
多くの人が一度はやったことがあるラジオ体操。実はさまざまな効果が期待できることを知っていますか? しっかりと行えば、私たちの心と体の健康に役立ちます。今回はラジオ体操の効果やコツ、注意点を解説します。
筋トレによるメンタルへの効果を高めるコツ
筋トレはメンタルに良い影響をもたらしますが、効果を高めるためには押さえておきたいコツがあります。
無理のない範囲で続ける
筋トレによるメンタルへの効果は、継続することでより効果が発揮されます。そのため、一時的に無理をして筋トレをおこなうのではなく、自分ができる範囲で続けることが重要です。
「気分が乗らない」といって1日でも休んでしまうと、休みグセがついてしまい再開させることがむずかしくなります。とりあえずジムへ行ってみたり、10回だけでも自宅でスクワットをしたり、最低限の筋トレを少しの時間でも毎日続けることが大切です。
一緒に筋トレをするパートナーを見つける
自分一人で筋トレをしていると、つらいときや気分が乗らないときなど、壁にあたったときに断念してしまうかもしれません。なかなか一人では継続できないという方は、一緒に筋トレをするパートナーを見つけることがおすすめです。
例えば、家族や友人など、身近な周りの人に声をかけてみると、意外と「運動を習慣にしたかった」という人がいるかもしれません。パートナーと一緒に筋トレをすることにより、一人で行うよりもサボりにくくなります。ともに目標に向かって筋トレをするというモチベーションにもつながるはずです。
メンタルに良い影響を与える筋トレ以外の運動
メンタルに良い影響を与えるのは筋トレだけではありません。ヨガやエアロビクスなど、女性に人気の運動も心を健康に保つのにおすすめです。
ヨガ
ポーズをとりながら呼吸や瞑想をおこなうヨガは、メンタルヘルスとの関連がこれまでに数多く報告されています。ヨガがメンタルに良い理由は、呼吸による自律神経の調整や瞑想による精神の安定などが影響していると考えられています。
ヨガは種類にもよりますが、呼吸に注目したヨガやひとつのポーズをゆっくりとるヨガなどがあります。激しい運動や筋力に自信がない方、筋トレが苦手な方は、ヨガを試してみてはいかがでしょうか。
嫌なことにイライラしたり、落ち込んだり。抑えられない感情に疲れていませんか? そんな時には、お尻や首の筋肉で感情をコントロールする「表情筋リセットヨガ」でストレスリセットを!
エアロビクス
音楽にあわせて、みんなで体を動かすエアロビクスもメンタルに良い影響を与えると報告されています。メンタルの安定に効果が高い運動は、筋トレ以外に有酸素運動があげられます。エアロビクスは音楽にあわせて、体を動かすダンス形式の有酸素運動であることから、メンタルへの良い影響が期待できます。
また、エアロビクスは基本的に集団でおこなうため、一緒に参加している方とのつながりを感じやすいといえます。その結果、安心感を得られるようになり、より気持ちの安定につながるでしょう。
チームスポーツ
バスケットボールやサッカーなど、チームでおこなうスポーツ全般は、メンタルヘルスに特におすすめです。2018年に発表された論文では、チームスポーツをおこなっていた方は、メンタルヘルスが悪化する日数が22.3%減少したと報告されています(※7)。
チームスポーツは自分ひとりではできないため、始めるハードルが高いかもしれません。チームスポーツを始めてみたい方は、友人を誘ってみたり、地域のスポーツコミュニティに参加してみたりすると良いでしょう。
(※7)https://medical-tribune.co.jp/kenko100/articles/180906529353/
筋トレで体はもちろんメンタルも健康に!
筋トレは体の健康だけではなく、メンタルにも良い影響をもたらしてくれる運動です。心の不調は、体調や環境の変化、人間関係など、さまざまな原因によって、誰にでも起きる可能性があります。
「自分は心が弱いと感じている」「イライラ・クヨクヨする自分を変えたい」など、メンタルを改善したいと考えている方は、筋トレをはじめてみるのがおすすめです。1日10分弱の運動でもメンタルに良い影響を与えるという報告があるため、まずは軽い筋トレからはじめてみてはいかがでしょうか。
ただし、メンタル不調は自分の努力だけでは改善がむずかしい場合もあります。例えば、イライラや不安が続いていて、眠れなかったり、疲れが取れなかったりして日常生活に支障が出ている場合は、心療内科を一度受診してみた方がよいでしょう。自分の心の声を聞いて、健康的な生活を送ってください。
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