顔のむくみがスッキリ!解消のカギは食べ物や簡単マッサージ
朝、鏡を見ると顔がパンパン…。顔のむくみは食生活の悪さや体の冷えなど、主に生活習慣が関係しています。今回は顔のむくみの原因や、すぐに解消したいときのマッサージ、食べ物などを医師がくわしく解説します。
目次
顔のむくみとは?
目元やフェイスラインがむくんで、顔がパンパンに。朝起きて顔のむくみがあると、メイクの前にがっかりしてしまいますよね。顔のむくみは、今すぐ何とかしたいものです。
そもそもむくみとは、余分な水分が皮下に溜まってしまっている状態です。顔のむくみの原因には、体内の水分のバランスが影響しています。
人間の体は約60%が水分です。細胞内や、細胞と細胞の間、血管、リンパなど、あらゆるところで水分により体内のバランスを保っています。細胞に栄養や酸素を送る、老廃物や二酸化炭素を回収して排出するほか、肌のターンオーバーを促すのも水分の働きが関係しています。
しかし、生活習慣や食生活の悪さ、冷えなどで血流が低下すると、このバランスが崩れてしまいます。すると、細胞や血管、リンパなどの中を巡る血液の流れが停滞。細胞と細胞の間の水分がうまく排出されずに溜まってしまい、顔や体にむくみとしてあらわれます。
顔のむくみの主な原因は生活習慣の乱れ
朝起きて顔のむくみがあっても、しばらくすると解消する場合は、一時的な軽いむくみと考えられます。このようなタイプの人は、次のような生活習慣の乱れが原因かもしれません。NG習慣に思い当たる人は、少し気をつけてみましょう。
塩分や糖分の多い食事を摂っている
むくみの大きな原因の一つに塩分の多い食事があげられます。人間の体には体内で一定の塩分濃度を保つ働きがあります。そのため塩分を摂取しすぎると、塩分濃度を薄めようとして体内に水分を溜め込みます。それが顔のむくみの原因に。
また糖分を過剰に摂取したときも、同じように糖分を一定に保とうとする作用が働き、むくみが起こります。炭水化物や甘いものも摂り過ぎに注意しましょう。
体が冷えている
体の冷えもむくみにつながります。もともと冷え体質の人や、薄着や冷たいものの食べ過ぎで体が冷えていることが多い人は、常に血流が滞っています。血行不良が続いて細胞や細胞間に水分が溜まると、顔がむくみやすくなります。
よく眠れていない
朝起きてもスッキリしない、一日中ずっと眠いというように、睡眠不足が続いている人もむくみやすくなります。心臓には血液を全身に送り出す役割がありますが、睡眠が足りずに十分に疲労を回復できないと、この働きががうまくいかず、血流が滞ります。その結果、体の水分代謝のバランスが崩れ、顔のむくみに。
また、睡眠中は内臓の働きにより、老廃物や余分な水分が細胞の外に排出されます。しかし、睡眠時間が短いとその働きが不十分になり、細胞内に老廃物や余分な水分が蓄積。そのため寝不足の日は、朝起きると顔がむくんでしまうのです。
体を動かす習慣がない、運動不足
忙しいと、体を動かす機会はなかなかありませんよね。運動不足も血流が悪化するため、顔のむくみにつながります。さらに、運動習慣のない人ほど加齢と共に筋肉量が減るため体全体の水分代謝が悪くなり、よりむくみやすくなります。
筋肉のなかでも、ふくらはぎには下半身から心臓に血液を戻すためのポンプのような働きがあります。筋力が落ちると“ふくらはぎのポンプ作用”も低下。血流が停滞して、むくみが顔や体にあらわれます。
お酒を飲み過ぎている
お酒を飲んだ翌日に顔がむくんだという経験がある人も多いのではないでしょうか。もちろんお酒も顔のむくみに直結します。アルコールをたくさん摂取すると、血液中のアルコール濃度が高くなります。すると血管が広がって、そこから水分が漏れ出し、細胞の間に停滞。お酒を飲んだ翌日に顔がむくみやすくなるのはこのためです。
長時間デスクワークをしている
長時間のデスクワークによって体の筋肉が固まることでも、血流が悪くなりむくみを引き起こします。
長時間同じ姿勢をキープしていると、運動不足と同様に“ふくらはぎのポンプ作用”が弱くなり、体の循環が悪くなります。
また、パソコンやスマホをずっと見つめていて、目が疲れやすい人も注意が必要です。目が疲れると、目の奥や周りの筋肉が固くなり、頭や首、肩の筋肉まで連動して凝り固まります。
筋肉が固くなると、顔まわりの血液の流れが滞り、顔のむくみもできやすくなります。
水分が足りていない
水の飲みすぎがむくみにつながるのは一般的に知られていますが、実は水分が不足することもむくみの原因になります。体が「水が不足している」と感じると、余計に水分を溜め込もうとしてむくみやすくなります。
むくみを防ぐには、適度に水分摂取をして、常に体の巡りを良くしておくことが大切。水は、飲みすぎも飲まなさすぎもNG。1日に摂取する水分の目安は、「体重×30ml」がおすすめです。
タイプ別「むくみ対策」 原因と対策を東洋医学で解説!|田中友也さん 季節の養生法
生理前・生理中の顔のむくみはホルモンの影響かも
生活習慣の影響のほかに、女性の場合は生理も関わっています。生理前や生理中に顔のむくみが気になるという人は、「PMS(月経前症候群)」が関係しているかもしれません。
生理前から分泌される黄体ホルモンには、体に水を溜め込む作用があります。また、生理前は過食になったり、濃い味のものを食べたくなったりする人も多いと思います。塩分や糖分を摂り過ぎから、さらに顔がむくみやすくなることも考えられます。
すぐに実践できる! 顔のむくみを解消する方法
顔のむくみが気になると、メイクをするにも気分が下がりますよね。むくんだ顔を今すぐ解消する方法をまとめました。食べ物やマッサージ、ツボ押しなどでむくみをケアしてみてください。
むくみ解消に効果的な食べ物を摂る
むくみ解消に効果的な食べ物は、カリウムやビタミンB2を多く含むもの。カリウムは果物に多く、体の余分な水分をスムーズに排出する働きがあります。
カリウムの多い食べ物
むくみやすい人は、次のようなカリウムの多い果物やそのほかの食べ物を食べてみましょう。
- バナナ
- すいか
- 夏みかん
- メロン
- 干し柿
- 里芋
- とろろ昆布
- 牛乳 など
ビタミンB2の多い食べ物
肉類の中でもレバーに多く含まれるビタミンB2は、新陳代謝の向上や血行アップをサポートします。ただし、これだけを食べたからといってむくみが簡単に解消するわけではありません。食事はバランス良く食べることを基本にしましょう。
- 豚レバー
- 牛レバー
- 焼きのり
- 干しシイタケ
- カマンベールチーズ など
セルフマッサージをする
むくみ解消には、顔のマッサージも有効です。セルフマッサージで表情筋や頭の筋肉をやさしくほぐすと、血流やリンパの流れが改善。むくみがすっきりするはずです。
【セルフマッサージのやり方】
セルフマッサージは、心地よく感じる程度の力でゆっくり行うのがポイント。力加減が強くなりすぎないように注意しましょう。
(1) 両手の指をそろえて、手のひらでおでこから耳に向かい、髪の毛の生え際に沿ってなでる。
(2) 頬骨の上から耳に向かってやさしく圧をかけながらなでる。そのまま続けて、頬骨の下からあご先に向かってなでる。
(3) あご下のくぼみに両方の親指の腹を当てる。親指の腹でくぼみから耳に向かってなでる。
(4) リンパが集まる耳の後ろから首→鎖骨までを、手のひらでなでる。
(5) 人差し指と中指を重ねて、指先で鎖骨のくぼみを押す。(1)~(5)までを2~3回繰り返す。
顔のむくみに関係するツボを押す
フェイスラインのむくみが気になるなら、顔にあるツボ押しも有効です。2つのツボを紹介します。ツボは血行を良くするため、顔のむくみもすっきりするはずです。
上廉泉(かみれんせん)
あご下のくぼみにあるツボで、あご周りや首のまわりのぜい肉をすっきりさせます。
ツボの場所:あごの真下にあるくぼみ。
押し方:あごを上げて、首の筋を伸ばす。親指の腹をツボに当てて、5秒間ゆっくり押して、徐々に力をゆるめる。これを5回程度繰り返す。
頬車(きょうしゃ)
水分の代謝を促す作用があります。
ツボの場所:耳の下のエラの骨の角から、指1本分内側。歯を噛み締めたときに、ボコッと膨らむところ。左右同じ位置にある。
押し方:左右のツボに両手の中指の腹を当てる。皮膚を持ち上げるように5秒かけてゆっくり押して、徐々に力をゆるめる。これを5回程度繰り返す。
朝は冷えたスキンケア化粧品を使う
寝起きで顔が火照っていると、むくみがあらわれやすくなります。朝起きて顔がむくんでいるときは、化粧品や乳液を冷たくして使うのがおすすめ。顔の熱を取り去ることで、むくみを解消します。
特に夏は湿度が高いため、肌から水分が蒸発しにくい季節。そのため血液の流れが滞り、顔がむくみやすくなります。
むくみが気になる人は、前の日から化粧水や乳液を冷蔵庫で冷やしておきましょう。ひんやり冷たい化粧品が肌に触れると、むくんでいた顔が引き締まるだけでなく、気分もリフレッシュできます。
お風呂上りに冷たいシャワーをかける
むくみ対策のため、お風呂上がりには顔に冷たいシャワーをかけるのも有効です。
肌を温めたり冷やしたりすると、血管が拡がったり縮んだりして、血行が促進されます。余分な水分や老廃物の排出がスムーズになり、顔のむくみがすっきりします。
夜はゆっくりバスタイムを過ごしたら、最後に顔にだけ冷たいシャワーをかけてむくみケアを。寝起きの顔むくみが気になる場合は、朝のシャワーの後、同様に顔だけに冷水を浴びてむくみを引き締めましょう。
すぐに顔のむくみを解消したいなら保冷剤を顔に当てる
すぐに顔のむくみをとりたい人は、保冷剤をタオルやハンカチで包み、むくみやすい目の周りや頬などに当てて冷やしてみてください。
肌を局所的に冷やすと血管が収縮しますが、しばらくすると一時的に血管が拡張します。すると、血流が改善して水分や老廃物が流れ、むくんだ顔が引き締まります。
また顔のむくみがとれるだけでなく、肌のトーンやハリがアップする効果も期待できます。
顔を温めたり冷やしたりする
お風呂のあとの冷たいシャワーと同じですが、顔を温めたり冷やしたりをくり返す「温冷ケア」も、血管の拡張・収縮で血行が促進。顔のむくみを和らげるのに効果的です。タオルがあれば手軽にできるので、ぜひ試してみてください。
【温冷法のやり方】
(1) タオルを水で濡らして軽く絞り、電子レンジで20~30秒ほど温めて蒸しタオルを作る。
(2) 蒸しタオルで顔全体を覆い、1分ほど温める。
(3) 顔全体を冷めたい水で洗い流して冷やす。これを2~3回くり返す。
顔のむくみは病気の可能性も?
ご紹介したように顔のむくみは、主に食事や生活習慣が関係しています。しかし顔のむくみがずっと治らない場合は、稀ですが、腎臓や心臓、肝臓の病気のサインとしてあらわれている可能性もあります。病気によるむくみの場合、押すと指の跡がついたり、顔だけではなく全身にむくみがあらわれることも。
次のような病気や不調の可能性もあるため、心配な人は医師に相談しましょう。
腎機能障害(腎臓病、腎不全)
腎臓には、血液をろ過して老廃物を尿として体の外に排出する機能があります。しかし、腎機能が低下して腎機能障害になると、老廃物がうまく排出できなくなり、むくみがひどくなります。
心不全
心不全は、心臓のポンプが働かなくなる状態です。心臓の機能が低下し、血液がうまく循環できなくなるため、血流が滞ってむくみにつながります。
肝硬変
肝硬変は、肝臓内に線維組織が増え、肝臓が硬くなる病気です。肝臓全体が硬くなって代謝異常が起こったり、タンパク質が合成できなくなったりします。水分を血管内に保持する「アルブミン」が血液中で不足すると、水分が血管外へ移動し、全身がむくみやすくなります。
栄養失調
健康な体を維持するうえで必要な栄養素が足りない状態を栄養失調といいます。栄養が不足して体内のタンパク質が足りなくなると、血液中のアルブミンも足りなくなり、体のむくみにつながります。
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
下肢静脈瘤とは足の血管の病気です。足の静脈が膨れてコブのようになり、足がむくみます。ふくらはぎのだるさや痛みが症状としてあらわれます。
リンパ浮腫
がん治療などでリンパ節を取り除く手術などをすると、リンパの流れが停滞して、むくみが起こりやすくなります。むくんだところが重くなったり、関節が曲げづらくなったりと、生活にも影響することも。
まとめ:顔のむくみを解消してすっきりフェイスに
「朝起きたときに、いつも顔がパンパン」「マスクを外すと、顔のむくみが気になる」という人は、まずはむくみの原因が何かを考えてみましょう。
日頃から顔のむくみで悩んでいる人は、むくみが出たときの対処だけではなく、塩分の多い食事を見直したり、運動を始めたりと生活全体を見直すことが有効です。
顔のむくみに気づいて今すぐ何とかしたいときは、マッサージやツボ押しを試してみましょう。もちろん、むくみの予防にもつながります。
セルフケアで顔のむくみを解消して、すっきりメイク映えするフェイスラインを目指しましょう。
文/廣瀬茉理
顔のたるみやほうれい線は、加齢だけが原因ではありません。たるみやむくみには、女性特有の生理周期や首の冷えも原因に。「耳上げさすり」で血液やリンパ液を押し流して、たるみや肩コリをスッキリさせましょう!
[ 監修者 ]