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インナーマッスルとはどこ?鍛えるメリットと4つのエクササイズ
インナーマッスルを鍛えるといいとよく聞きますが、どんなメリットがあるのか知っていますか。今回はパーソナルトレーナーの藤本千晶が、インナーマッスルとは何か、鍛えるメリットや鍛え方を解説します。
インナーマッスルとは?
鍛えるとダイエットや健康にいいというイメージのある「インナーマッスル」。そもそもインナーマッスルとは「体の内側にある筋肉」のことで、体の外側にある筋肉とは違う役割を持っています。具体的にインナーマッスルとはどんな筋肉なのかをみていきましょう。
体の内側にあるのがインナーマッスル
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私たちの体にある筋肉は、いくつかの層になり重なっています。筋肉には表面にあるものと、その内側にあるものがあり、後者を「インナーマッスル」と呼びます。
例えば、お腹周り。腹筋といえば、“割れたお腹”や”シックスパック”といった言葉など、表面に見えるお腹の筋肉をイメージするでしょう。これをつくるのは、お腹の前側にある「腹直筋(ふくちょくきん)」という筋肉です。
腹直筋の上には、それに覆い被さって外側に広がっている「外腹斜筋(がいふくしゃきん)」があります。腹直筋の下には「内腹斜筋(ないふくしゃきん)」、さらに下には「腹横筋(ふくおうきん)」というお腹周りをコルセットのように囲む筋肉があります。そのまた下には、呼吸のたびに動く「横隔膜」が存在します。
お尻も同様に、ヒップアップに最も大切な筋肉である「大臀筋(だいでんきん)」が一番外側にあります。大臀筋の下にはお尻の横側についている「中臀筋(ちゅうでんきん)」や、お尻の奥底にある「梨状筋(りじょうきん)」などが存在しています。
このように筋肉はいくつかの層になって存在し、内側にある筋肉がインナーマッスル、外側にある筋肉がアウターマッスルと呼ばれています。
インナーマッスルとアウターマッスルの違い
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インナーマッスルとアウターマッスルは、それぞれ機能が違います。まずインナーマッスルの主な役割は、正しい姿勢の維持。そして、スムーズに関節が動くための補助なども行っています。
インナーマッスルは体の内側にあり、より骨や関節との密着度合いが大きくなるため、骨格の並びを正しく保ち、姿勢を維持させています。しかし、サイズが小さく、大きな力を発揮できない筋肉が多いのが特徴です。
一方アウターマッスルは、サイズが大きいため大きな力を発揮して、関節を力強く動かす役割を持っています。そのため、歩く、走る、階段を昇る、物を持ち上げるといったときに大きな役割を果たします。
しかしこのような動きをするときも、インナーマッスルが働いていなければ関節が正しく動かずに体を痛めてしまうなど、問題が発生します。
インナーマッスルとアウターマッスルは役割がかぶる部分があります。そのため、明確にインナーマッスルかアウターマッスルかに分類できるものではありません。お互いが正常に機能することで、正しく体が動くように働いているのです。
インナーマッスルと体幹との違い
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インナーマッスルのほかに、「体幹」という言葉もよく使われますよね。この2つは混同されがちですが、インナーマッスルは「全身にある内側の筋肉」のことを表し、体幹は「胴体全体」のことを指します。そのためこの2つは別の意味を表します。
インナーマッスルといえばお腹周りというイメージが強いかもしれませんが、お腹やお尻以外にも全身に存在します。例えば、肩の外側にある筋肉でポコッと膨らんでいる「三角筋(さんかくきん)」の下には、腕の骨と肩甲骨をつなぐ「棘下筋(きょくかきん)」という筋肉があります。
また、首の後ろ側にある「僧帽筋(そうぼうきん)」の下には、「多裂筋(たれつきん)」という背骨に張り付いている筋肉があります。インナーマッスルは、全身の多くの場所に存在しています。
一方体幹は、胴体全体のこと。そのためお腹周りのアウターマッスルである腹直筋も、インナーマッスルの腹横筋も体幹に含まれます。また、筋肉だけでなく肋骨や背骨などの骨も体幹です。このように、胴体に含まれるもの全てが体幹と呼ばれています。
インナーマッスルを鍛えるメリット
インナーマッスルを鍛えると、姿勢改善によるスタイルアップや、関節がスムーズに動くことによる体力の向上、疲れやすさの軽減など、たくさんのメリットがあります。次からくわしく解説します。
姿勢が改善しスタイルが良くなる
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インナーマッスルを鍛えると姿勢が改善し、スタイルを良くすることができます。
例えば、お腹のインナーマッスルである腹横筋。腹横筋は肋骨の内側にある筋肉で、コルセットのようにぐるりと背中からお腹を囲んでいます。
腹横筋が正しく働くと、コルセットのようにお腹に圧力が加わります。背骨の安定性が高まるため、背筋を真っ直ぐ保ちやくすなり、姿勢が改善されます。
また、股関節にありお腹と脚をつないでいる「腸腰筋(ちょうようきん)」という筋肉は、骨盤を正常な位置に保つ役割があります。腸腰筋を鍛えて骨盤が正しい位置に戻ると、お尻の筋肉が使われ始めるため、ピップアップに効果的です。
関節の動きが良くなり、体力が上がる
インナーマッスルを鍛えることで関節の動きがよくなり、疲れにくい体になります。
インナーマッスルがしっかりと働き、関節が正しい位置にあれば、アウターマッスルを使ったときに余計なエネルギーを使わずに、スムーズに体を動かすことができます。
しかし、インナーマッスルが正しく働いていなければ、体の関節はズレて、その分アウターマッスルが力を補わなくてはいけません。
インナーマッスルが正常に働くことで余計なエネルギーを使わずに済み、体を軽やかに動かすことができます。そのため体力アップにつながるでしょう。
筋肉への負担が減り、コリにくい体に
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インナーマッスルを鍛えることは、筋肉への負担を減らし、コリにくい体をつくるのにも有効です。インナーマッスルが正しく働かないと関節がズレて、動作に余計な力が必要になります。その結果、筋肉の疲労が大きくなりコリにつながってしまうのです。
みなさんが最もコリを感じているのは、肩コリや首コリではないでしょうか。肩コリや首コリは、主に首から肩にかけてくっついている「僧帽筋(ぞうぼうきん)」が固くなることで発生します。
コリを防ぐためには筋肉を疲れさせないことが大切です。そのためにもインナーマッスルを鍛えることをおすすめします。
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自分のメンタルの弱さをどうにかしたい。そんな女性にこそ、筋トレがおすすめです。今回は、筋トレがメンタルに与える効果や理由、いい影響をもたらすやり方などについて解説します。
インナーマッスルを鍛えるときの注意点
インナーマッスルを上手に鍛えるには、いくつかのポイントがあります。正しいやり方で行わないと効果が無いばかりか、ケガにつながってしまいます。次から、鍛えるときの注意点についてくわしく解説します。
ゆっくりとした動作で行う
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一つ目のポイントは、ゆっくりとした動作で行うこと。インナーマッスルを鍛えるときにすばやく行うと、しっかりと負荷が入らないうえに、ケガの原因になります。
また、インナーマッスルは小さくて繊細な筋肉が多いため、勢いのついた動作に弱く、痛めやすいと考えられます。そのためすばやく行うとインナーマッスルを痛めてしまう可能性があります。
しっかりと効果を出すためにも、そしてケガを予防するためにも、動作は勢いをつけずゆっくりと行うことを念頭におきましょう。
動かして痛みがあるときは控える
関節を動かして筋肉や関節に痛みがあるときは行うことを控えましょう。さらに痛めてしまう可能性があります。
筋肉を鍛えるには、筋トレで筋繊維にダメージを入れ、それを回復させる時間が必要です。そのため、筋トレでダメージを受け、筋肉痛などの痛みが出ているときにトレーニングを行うのはNG。すでにあるダメージが十分に回復せず、ますます痛みが出てしまうかもしれません。
また、痛みが出ているときは筋肉だけでなく関節が傷んで、炎症している可能性もあります。
筋肉や関節に痛みがある場合は、整形外科の医師や理学療法士などから指示を仰ぎ、エクササイズを行うようにしましょう。
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インナーマッスルを鍛えるエクササイズ
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それでは次から、インナーマッスルを鍛えるために効果的なエクササイズを4つ紹介します。自宅で手軽にできて、スタイルアップやコリの解消などにおすすめのエクササイズです。インナーマッスルを鍛えたい人は、どれか一つでもいいのでぜひやってみて下さい。
呼吸によって鍛える「ドローイン」
仰向けに寝転がった状態で深く呼吸をするエクササイズ。お腹のインナーマッスルを効率よく鍛えます。
【やり方】
- 仰向けに寝転がり、両ひざを曲げて立てる。両手はおへその上に合わせて置く。
- 腰を床に向けて押しつけ、背中を平らな状態にする。
- 鼻から空気を吸い、お腹を大きく膨らませる。目一杯膨らませたら、1秒キープ。
- 口からゆっくりと空気を吐き切り、お腹を凹ませる。凹ませたら、1秒キープ。10回を1セットとして行い、1分休みを入れて2〜3セット繰り返す。
腕を上げたまましゃがみ込む「オーバーヘッドスクワット」
腕を頭の上に上げてしゃがみこむエクササイズ。お腹だけでなく背中のインナーマッスルも鍛えます。
用意するもの:フェイスタオル
【やり方】
- フェイスタオルの両端を持ち、ひじを伸ばして頭の上に上げる。脚を肩幅に開き、つま先は30〜45度くらい外に開く。
- 鼻から息を目一杯吸いながら、お尻を後ろに突き出して胸を張り、ドローインのようにお腹を凹ませる。
- 呼吸を止めたまま、ゆっくりと太ももが地面と平行になるまでしゃがみ込む。このとき、足の裏が床から離れないように注意。
- 呼吸を止めたままゆっくりと立ち上がり、口からゆっくりと息を吐く。
- 2〜4を10回繰り返し、1分休みを入れて2〜3セット繰り返す。
脚を上げて下腹部を鍛える「ヒップフレクション」
股関節のインナーマッスルである腸腰筋を鍛えるエクササイズ。仰向けに寝転がった状態から脚を上げて鍛えます。
【やり方】
- 仰向けに寝転がり、腰の下に手のひらが入るように少し反らせる。
- 右ひざを伸ばしたまま、右脚を上げられるだけ上げる。腰は反った状態を保つ。
- 右脚をゆっくりと下げて、元の位置に戻る。
- 2~3を10回繰り返し、終わったら左脚も同様に行う。1分休みを入れて2〜3セット行う。
二の腕をねじって伸ばす「アームローテーション」
背筋を伸ばして手のひらを内・外にねじり、肩のインナーマッスルを鍛えるエクササイズです。
【やり方】
- 立って背筋を伸ばし、胸を張る。お腹はドローインのように凹ませる。
- 両ひじを伸ばしたまま、こぶし一つ分くらい腕を体から離し、手のひらを正面に向ける。
- 鼻から息を吸いながら、腕をねじって手のひらを外側に目一杯開き、1秒キープする。
- 口から息を吐きながら、腕をねじって今度は手のひらを目一杯内側にむけて、1秒キープする。
- 3~4を10回繰り返す。1分休みを入れて2〜3セット行う。
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筋トレをがんばっても痩せない、1カ月たっても変化がない、逆に体重が増えた…。行き詰っているダイエットに悩んでいませんか? その原因や解決策、筋トレで挫折しないためのコツを、専門トレーナーが解説します!
まとめ:インナーマッスルを鍛えて健康的にスタイルアップを
運動習慣のない人は、ふだんあまり意識することのないインナーマッスルですが、姿勢改善やスタイルアップ、疲れにくい体をつくるなど、鍛えることでさまざまな健康効果があります。しかしインナーマッスルは、何もしなければいつのまにか衰えて、正常に働かなくなります。
ご紹介したような簡単エクササイズでインナーマッスルを鍛えれば、今よりもっと若々しい体に。毎日のすきま時間を活用してインナーマッスルを鍛え、いつまでも活発に動ける元気な体をつくりましょう。
[ 監修者 ]
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