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歯と口が健康なら、一生元気でずっとキレイ!「若返るお口ケア」
消化器の入り口である「お口」は全身の健康と美容に深い関係があり、唾液には免疫力や若返りに役立つ成分が含まれています。お口から全身の美と健康を守る3つのポイントや、歯科医おすすめのケアを紹介します。
目次
こんなお口の悩みはありませんか?
雑誌『からだにいいこと』の読者に「お口の悩み」についてアンケートを行ったところ、様々な回答が寄せられました。その中から代表的な3つをご紹介します。



お口が健康なら、全身も健康・キレイに!
「意外と気付きにくいのですが、お口はすべての消化器の入り口。全身の健康とも深い関係があります」と、歯科医師の坂本紗有見(さゆみ)さん。
ところが、コロナ禍が長引く今、お口のトラブルに悩む人が増加中。たとえばマスク下の口が開きっぱなしだと口の中が乾き、口臭の原因になります。
歯科受診を控えている人も多いようですが、口の中の異変を放っておくと全身の不調につながることもあります。
お口の健康を保つカギは、「唾液を増やす」「食いしばりをやめる」「磨き残しを減らす」の3つ。
「特に唾液は虫歯や口臭、着色汚れ予防に加え、免疫力アップや若返りに効果がある成分も含みます。全身の“守り神”ともいえる存在なので、しっかり分泌することが大事です」
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定期的な歯科検診も必要ですが、それ以上に大切なのが毎日のセルフケア。お口だけでなく全身の健康と美をキープして若返らせる、歯科医おすすめのケアを紹介します!
お口をキレイにする3つのカギ
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口臭、虫歯、歯周病……悩ましいトラブルの大半は、やりがちな3つのクセが原因でした。次から紹介するお口ケアで、“汚口”のモトになる悪いクセを一掃しましょう!

【クセ・その1】マスク下の“ポカン口”で唾液が減り口が乾く
マスクをしていると、息苦しさからつい口が開きっぱなしに。口の中が乾燥するうえ、口元を動かす機会も減るので、抗菌・自浄作用を持つ唾液が減少。口臭や虫歯など、さまざまな不調の原因に。
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「ベロ回し」を実践して!
お口の乾燥を防ぐには、唾液そのものを増やすことが大事。「ベロ回し」で唾液をたくさん出せば、口臭や虫歯の原因菌を撃退! 唾液が食べ物の色素を流してくれるので、着色汚れの予防効果も。

【クセ・その2】ストレスがたまると“食いしばり”がち
ストレスや疲労がたまる人は、奥歯をぐっと食いしばりやすくなります。歯を離すクセをつけないと、無意識のうちに歯が強くぶつかり合うことですり減り、噛み合わせが変わってしまうことも。

「口コリほぐし」を実践して!
食いしばりグセが続くとあごまわりの咬筋(こうきん)がこわばり、引き上げる力を失って顔たるみの原因に。「口コリほぐし」で筋肉の緊張を取れば、たるみが解消が期待できます! 咬筋がゆるめば、食いしばり自体も改善。

【クセ・その3】丁寧なつもりでも“磨き残し”が多発!
丁寧に磨いたつもりでも、歯ブラシの届かない歯間には歯垢(しこう)が残りがち。さらに、磨いている間に歯ブラシの動きが雑になることも多く、“ほとんど磨けていない歯”があるケースも珍しくないとか。
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磨き方を一工夫してむし歯&歯周病を防ぐ"
「一筆磨き」を実践して!
磨き方にはクセが出やすく、きちんと磨いたつもりでも触れていない歯が生じるもの。どの歯もまんべんなく磨ける「一筆磨き」なら歯垢をしっかり除去し、虫歯や歯周病の原因菌を一掃できます。

実は、唾液はお口の中を守るだけでなく、全身の健康にも深く関わっています。
噛む段階から消化力もアップ
唾液は、口の中に入った食べ物を消化する“最初の消化液”。噛んだものが口の中で唾液と混ざり、飲み込みやすい形状になって胃の中へと送られます。唾液の分泌量が増えれば、より消化しやすく!
「免疫グロブリン」が免疫力を上げる
唾液中には、抗菌作用を持つさまざまな物質が含まれており、口の中の悪玉菌を退治しています。なかでも「免疫グロブリン」は、細菌やウイルスの侵入を防ぐ成分。全身の免疫力も上げてくれます。
「パロチン」でお肌が若返る
唾液に含まれる物質「パロチン」は“若返りホルモン”と呼ばれ、骨や筋肉の成長を促します。また、皮膚の新陳代謝を活発にして肌細胞が生まれ変わるサイクルを整えるので、アンチエイジングにも◎。
[お口ケア1]唾液を増やす「ベロ回し」
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唾液を増やすには、舌をしっかり動かすことが大切です。1日3回、食事の前に行うのがおすすめ。口を閉じた状態で試してみて。

口を閉じ、歯茎の表面を右上から右下へ、舌で反時計回りにゆっくりなぞる。上下それぞれ6秒ずつかけて舌を動かす。右下についたら、折り返して右上へ。

口を閉じたまま、歯茎の裏側を右上から右下へ、1と同様に舌で反時計回りになぞる。上下それぞれ6秒ずつかけて、右下についたら折り返して右上へ。

上あごの一番右奥の歯に、舌で3秒間タッチする。このとき、舌を思い切り伸ばすよう意識する。左奥の歯も同様に、舌で3秒間タッチ。

3と同様に舌を伸ばし、下あごの一番右奥と左奥の歯にそれぞれ3秒ずつタッチする。最後に、下あごの内側にたまった唾液で軽く口をゆすぐ。

食事中は、唾液を増やすチャンス! 食べ方を少し工夫すれば、唾液が大量に分泌されます。

食事中は、口の中の食べ物を“味わう”ことを意識すると、噛む回数が増えます。すると、唾液の分泌量も増加。噛む回数を数える必要はなく、食べ物の食感や味を楽しめば、唾液は十分に出てきます。

茶わんと箸を手に持つと、背すじが自然と伸びやすくなります。あごの可動域が広がり奥歯でしっかり噛めるようになるため、唾液も増加。洋食の日は、小さめの皿に料理を盛りつけ、皿を手で持って食べると◎。
[お口ケア2]食いしばりを減らす「口コリほぐし」

食いしばり続けてこり固まった口まわりの筋肉は、マッサージでほぐして。若々しく引き締まった顔立ちになれて、食いしばりグセ自体もやわらぎます。

日中は、マスクの上からでもできるコリほぐしがおすすめ。“イタ気持ちいい”くらいの強さで行いましょう。

あご中央の下のくぼみに両手の親指を差し込む。親指で顔を支えながら、残り4本の指を頰に添える。

親指で顔を支えたまま、4本の指を外側へと動かし、頰をやさしくなでる。手の位置を変え、何カ所かで同じように行う。

手が清潔な入浴中は、内側からコリをほぐして。頬の内側に痛みを感じたら、それがコリのサイン。しっかりほぐす必要あり。

口の中に親指を入れる。頰の内側、上の歯茎の少し上まで指を差し込んだら、頰の筋肉を内側から、上下に軽くさすってコリをほぐす。イタ気持ちいい程度の強さで行う。

親指は1の位置のまま、ほか4本の指を頰の外側に添え、頰を軽くつまむように持ってほぐす。手の位置をずらしながら、何度か行う。爪を立てないよう注意。

緊張やストレスでつい噛みしめてしまう人は多いもの。リラックスしつつ気分転換にもなるテクで、食いしばり予防を。

家事や仕事で根を詰めすぎると、つい食いしばりがちに。そんなときは、合間に深呼吸を。鼻から息を吸い、口を開けて思い切り息を吐き出せば、噛みしめていた歯が離れるだけでなく、体のこわばりも取れます。

食いしばりを常に意識するのはムリなので、定期的に思い出せる仕掛けづくりがおすすめ。机まわりなど目につく場所に「歯は離す」と書いたふせんを貼り、それが目に入ったら食いしばりをやめるよう心がけて。
[お口ケア3]磨き残しを防ぐ「一筆磨き」

時間をかけて歯を磨くのは1日1回でOK。そのかわり、その1回はすべての歯をしっかり磨きましょう。最後はフロスや歯間ブラシで歯間をケアすれば、磨き残しをさらに減らせます。

右下の歯からスタート。まずは歯列の裏側を右から左へじっくり磨き、左端に到達したら表面に折り返して右へ。右端に到達したら、今度は上の歯を同じように裏側→表側とまんべんなく磨く。

歯茎を傷つけないよう、歯ブラシは歯に対して垂直に当てて。力の強さは、ブラシがつぶれない程度で十分です。
歯科医&編集部のおすすめ! 歯磨きグッズの選び方・使い方
巷にあふれるオーラルケア用品。正しい使い方や、編集部イチオシのアイテムを紹介します。

歯磨き粉は、自分の悩みに合ったものを選べばOK。ただし、つけすぎると研磨剤で歯や歯茎を傷つけることも。歯ブラシの上に1cm程度出せば十分です。

「毛先が極細になっている歯ブラシは、歯周病用。健康な人が使うと歯茎が削れることも」(坂本さん)。歯茎が腫れていないなら、普通の形の歯ブラシを選んで。

歯を磨かずにいると、食べかすに菌が集まり、虫歯や口臭の原因に。時間がないときは、マウスウォッシュですすぐだけでも菌は激減。お口の中もさっぱりします。
編集部のおすすめ! オーラルケア用品

【左】薬用ポリリンデンタルリンス
500ml 3,080円/リジェンティス
有効成分「EXポリリン酸」が、歯の汚れを浮かせてはじき飛ばします。また、次の汚れがつきにくくなるよう、歯の表面をコーティング。保湿成分がお口のうるおいをキープするので、口臭対策にも。
【右】クラプロックス CS 5460
990円/クラデンジャパン
弾力性のある「クーレン繊維」を使った歯ブラシ。5,460本もの極細繊維が、歯垢をごっそり絡め取ります。毛先がとてもやわらかいので、歯茎を傷める心配なし! 3カ月と長期間使えてコスパも◎。
イラスト/CHINATSU
(からだにいいこと2021年12月号より)
[ 監修者 ]