首の筋肉がこる原因とは?こりを揉みほぐす4つのマッサージと予防テク
首の筋肉が痛い…、こりが取れない…。首こりは長時間の悪姿勢や目の疲れなどがきっかけで起こります。首がこりはじめたら早めの対処が大切です。首の筋肉がこる原因や改善するマッサージ、予防法をまとめました。
目次
首こりに関係する4つの筋肉
肩や首のこりを感じることはあっても、ふだんの生活で「首の筋肉」を意識することは少ないですよね。実は首の筋肉は、一つではなく複数の筋肉で構成されています。
首の筋肉は、頭部の重さを支えるほか、頭を前後左右に傾けたり回したりする役割があります。首の筋肉のうち、首こりに関係する筋肉は、次の4つがあります。
- 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
- 僧帽筋(そうぼうきん)
- 板状筋(ばんじょうきん)
- 後頭下筋(こうとうかきん)
それぞれの筋肉の場所や働きについてくわしく解説します。
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
胸鎖乳突筋は、鎖骨の内側から耳の後ろにかけて縦に伸びている筋肉です。首を横に回したときにグッと縦長の筋が浮き出ますよね。それが胸鎖乳突筋です。
おもに頭を前後に傾けたり首を回したりするときに働く、首の主要な筋肉といえます。また、すっと伸びた首元やフェイスラインの美しさにも関わっており、首こりだけでなく美容にも関係しています。
僧帽筋(ぞうぼうきん)
僧帽筋は、後頭部から腰の上側あたりまでついている、大きな菱形の筋肉です。その中でも上部・中部・下部の3つに分かれており、首こりに関係しているのは僧帽筋の「上部」になります。
僧帽筋の上部は、後頭部から鎖骨の外側(肩のあたり)にあり、肩をすくめたり頭を後ろに傾けたりする動きで使われます。肩こりが起こる筋肉でもあり、全身の中でもこりやすい筋肉といえます。
板状筋(ばんじょうきん)
板状筋は、僧帽筋上部の奥にある筋肉であり、首の後ろ側から首の骨や背骨に向かって縦に伸びています。くわしくご説明すると「頭板状筋(とうばんじょうきん)」と「頸板状筋(けいばんじょうきん)」という筋肉に分かれています。
頭板状筋は後頭部から首の骨(頚椎)、頸板状筋は後頭部から背骨(胸椎)に向かって伸びています。どちらも頭を後ろに傾けたり横に回したりするときに働きます。
後頭下筋(こうとうかきん)
後頭下筋は、板状筋のさらに奥にある筋肉で、首の筋肉の中でも深いところにあります。その名の通り、後頭部の下側についている筋肉です。
先に解説した胸鎖乳突筋や僧帽筋上部、板状筋は頭の動きの大部分を担っているのに対し、後頭下筋は細かな動きに反応することが特徴です。例えば、細かい文字を目で追うとき、後頭下筋によって眼球の動きが調整されます。つまり目の動きは、首の筋肉の中でも後頭下筋が司っているのです。
首の筋肉がこる原因とは?
生活の中で首の筋肉を意識することは少ないですが、首の筋肉は無意識に使われていて、ほかの筋肉に比べてこりやすいといえます。首こりの原因の大半は、日常生活にあります。首の筋肉がこりやすい人は、次から解説する内容に当てはまっていないか、確認してみましょう。
頭が前に傾いた姿勢が長時間続いている
頭が前に傾いた姿勢が長時間続くと、慢性的な首の筋肉のこりや痛みにつながります。これは、頭の重さを支えるために首の筋肉が常に緊張することが原因です。
緊張した筋肉はやがて硬直し、後頭部にある神経を圧迫します。その結果、首のこりや痛みを引き起こしてしまうのです。
実際、慢性的な首こりで悩んでいる人の多くは、デスクワークやスマホの操作などで無意識に頭が前のめりになっています。
睡眠中に首に負担がかかっている
朝起きたときに首筋が痛かったり違和感があったりする場合は、睡眠中に寝違えている可能性が高いでしょう。姿勢が悪いまま寝ると、首の筋肉に長時間負荷がかかり続けることになります。
枕の高さが合わなかったり寝ているスペースが狭かったりすると、寝返りを打ったとしても睡眠時の姿勢は悪くなる一方です。睡眠中の首への負担を減らすことも、首こり改善へとつながります。
日頃から目を酷使している
パソコンを長時間使うなど、目を使う作業が多い人は、眼精疲労になっている場合があります。眼精疲労は頭痛や肩こりのほか、首こりにも影響します。
目のピントを調整する筋肉である「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉は、自律神経によって支配されています。そのため目を使いすぎると、毛様体筋が疲労し、自律神経の乱れにつながるのです。その結果、筋肉が緊張しやすくなり、首こりが症状としてあらわれます。
首の筋肉を揉みほぐす「首こり改善マッサージ」
首こりによって固まった筋肉はマッサージで改善できます。首のこりに関係する4つの筋肉ごとに、マッサージ方法をまとめました。ガチガチに固まった首の筋肉をほぐして、こりを緩和させましょう。
胸鎖乳突筋のマッサージ
まずは耳の後ろから鎖骨にかけて伸びる、胸鎖乳突筋のマッサージ。耳の後ろにある筋肉のはじまり部分を揉みほぐします。位置が分かりにくい場合は、顔を横に向けると、胸鎖乳突筋が浮き出て分かりやすいでしょう。
【やり方】
- 右耳のすぐ後ろ側に、人差し指・中指・薬指を縦方向に押し当てる。
- 右方向に首を傾けながら、3本の指でさするように20秒間マッサージする。
- 左側も同様に行う。
僧帽筋のマッサージ
首の後ろから肩、背中と広がる僧帽筋のマッサージ。後頭部の真ん中にあるくぼみから、少し横にずれた部分を揉みほぐします。なお、僧帽筋は肩にも広がっている筋肉なので、首こりだけでなく肩こり改善にも効果的です。
【やり方】
- 頭の後ろ、頭蓋骨の出っ張った部分の下のくぼみを見つけ、そこから右側に指3本分ずれた位置に、人差し指・中指・薬指を縦方向に押し当てる。
- 首を後ろに傾けながら、3本の指でさするように20秒間マッサージする。
- 左側も同様に行う。
板状筋のマッサージ
首の後ろ側の深いところにある板状筋をほぐすマッサージ。耳の後ろから指3本分の位置を揉みほぐします。
【やり方】
- 右耳の後ろから指3本分左側にずれた位置に、人差し指・中指・薬指を縦方向に押し当てる。
- 首を後ろに傾けながら、3本の指でさするように20秒間マッサージする。
- 反対側も同様に行う。
後頭下筋のマッサージ
後頭部と首のつなぎ目部分にある後頭下筋のマッサージ。後頭部中央のくぼみから耳に向かってずれた位置を揉みほぐします。
【やり方】
- 頭の後ろ、頭蓋骨の出っ張った部分の下のくぼみを見つけ、そこから右側に指2本分ずれた位置に、人差し指・中指・薬指を縦方向に押し当てる。
- 首を後ろに傾けながら、3本の指でさするように20秒間マッサージする。
- 反対側も同様に行う。
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首こりを予防する方法
首こりは、ご紹介したようなマッサージで改善することができます。しかし、できれば未然に防ぎたいもの。実はちょっとした工夫で首の筋肉を柔らかく保つことができます。首こりを予防する3つの方法を紹介します。
頭を肩より前に出さない姿勢を意識する
頭の正しい位置は、立った状態のときに耳と肩が地面に対して垂直になる位置です。この位置から頭が前に出ると、頭の重さを支えるために首の筋肉が緊張して首こりや肩こりにつながります。
そのため、頭は常に肩の真横に位置させることが大切です。背筋をすっと伸ばした姿勢だと頭が前に倒れにくくなるので、座っているときも立っているときも意識してみましょう。
枕の種類を変える
睡眠中の首への負担を軽減するには、自分に合った枕を選ぶことが重要です。仰向けで寝たときに目線が天井よりもやや下を向いていれば、適切な枕の高さといえます。一方、目線が真上を向いたり、あごが下に引かれすぎている場合は、枕を変えた方がいいでしょう。
ただし枕は素材によって硬さや弾力性などが異なり、その人に合う・合わないがあります。そのため首こりで悩んでいるなら、寝具店で相談をして寝姿勢や枕の高さなどを測ったうえで購入することをおすすめします。かかりつけの整形外科があれば、医師に相談しても良いでしょう。
ブルーライトカットで眼精疲労を防ぐ
眼精疲労も首こりにつながるとご説明しました。目の疲れを防ぐためにも、液晶画面などから発する「ブルーライト」をカットしましょう。ブルーライトは、光の波が小さいために、細かなピント調整が必要になり、眼精疲労の原因になります。
ブルーライトをカットするには、専用のメガネやコンタクトレンズ、モニター画面などにつけるフィルムなどを活用するのが効果的です。また、スマホやパソコンを見る時間を減らしたり、目元を温めたりすることも眼精疲労の予防になります。ぜひ実践してみてください。
まとめ:首の筋肉をほぐして首こりの改善を!
首の筋肉がこるおもな原因は、長時間の悪姿勢や眼精疲労によるものです。ご紹介したように首の筋肉は複数あり、とてもこりやすい部分です。
首こりを放ったままにしておくと首の筋肉はさらに硬直し、やがて慢性化します。そうならないためには、早い段階で固まった筋肉をほぐすこと。首こり改善マッサージでケアすることが大切です。
首の筋肉が固まっていると自律神経にも影響し、さまざまな不調の原因になります。首の筋肉がほぐれると、今より日常生活が楽になるでしょう。
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