抹茶に含まれる栄養素やその効能は?美容と健康への効果を解説
抹茶は健康に良いとされ、飲むだけでなく様々な料理に使われています。実際にどのような効能があるのでしょうか。今回は、抹茶に含まれる栄養素やその効能、効率的な取り入れ方について管理栄養士が解説します。
目次
抹茶とはどんなお茶?
抹茶は、急須やティーバッグを使って茶葉の抽出液を飲むお茶と違い、粉末にした茶葉をそのままお湯に溶かして飲むお茶です。
日光を遮った環境で育てられた茶葉を蒸して乾燥させ、余分なものを取り除いて作られた「碾茶(てんちゃ)」を石臼などで挽いて粉状にしたものが抹茶と呼ばれています(※1)。
(※1)「公益社団法人 日本茶業中央会」より
緑茶の一種である「抹茶」とは?
抽出液を飲む玉露や煎茶などのお茶とは飲み方が異なる抹茶ですが、基本的には、他のお茶と同じように緑茶の仲間です。
抹茶は茶葉をそのまま体内に取り入れるため、茶葉に含まれる成分をより多く摂取することができます。そのため、他のお茶に比べて多くの効能を得ることができます。
抹茶と煎茶の違いは何?
同じ緑茶の仲間である抹茶と煎茶ですが、大きな違いは原料となる茶葉の栽培方法です。煎茶は日光を浴びて栽培された茶葉から作られるのに対し、抹茶は日光を遮った覆下(おおいした)栽培と呼ばれる方法で作られています。
お茶は、日光を浴びると旨味成分である「テアニン」が渋味成分の「カテキン」に変化します。日光を遮った環境で育てられた抹茶はテアニンが増えるため、渋味が少なく甘味と旨味を強く感じることができるお茶になります。
抹茶と煎茶の成分を比較(可食部100gあたり)
同じ緑茶の仲間である抹茶と緑茶の成分(※2)を比較しました。
抹茶 | 煎茶 | |
カリウム | 54mg | 27mg |
カルシウム | 8mg | 3mg |
マグネシウム | 5mg | 2mg |
ビタミンC | 1mg | 6mg |
ビタミンE | 0.6mg | 0 |
カテキン | 200mg | 16.3mg |
カフェイン | 64mg | 4.7mg |
(※2)食品成分データベースより
抹茶は、抽出液ではなく茶葉そのものを飲むため、煎茶に比べてより多くの栄養成分を摂取することができます。
ただしビタミンCは水に溶けやすい性質を持っているため、抽出液に溶け出した煎茶に多く含まれています。
抹茶に含まれる6つの栄養成分と効能を解説
緑茶の中でも栄養価が高い抹茶、具体的にはどのような効能があるのでしょうか? ここでは、抹茶に含まれる栄養成分とその効能について解説していきます。
「カテキン」がダイエットに効果的
まず代表的なのはカテキン。カテキンはポリフェノールの一種で、お茶の渋味・苦味のもとになる成分です。脂肪燃焼をサポートする効能により、ダイエットに効果的と言えます。
カテキンには、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑える働きも。これは、生活習慣病の予防にも役立つとされています。
「ビタミンC」が美肌作りをサポート、免疫力もアップ
ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲン合成に不可欠な栄養素です。ビタミンC が働くことで生成されたコラーゲンは、肌にハリと弾力を与え若々しさを保ちます。
メラニンの沈着を防いでシミそばかすを予防する効能もあり、美肌作りに効果的な栄養素です。
さらに、ビタミンCには免疫力を高める効能もあります。上で紹介したカテキンも同様に免疫力を上げてくれるので、抹茶は風邪などの予防にも効果を持つ飲み物だと言えます。
「ビタミンE」の効能でアンチエイジング
ビタミンEには、血管を広げて血流を良くする効能があります。これにより、細胞が新しく生まれ変わる新陳代謝をサポートします。
強い抗酸化作用を持つのもビタミンEの特徴。老化の原因となる活性酸素を減らし、アンチエイジングに効果を発揮します。
「テアニン」の効能で脳と心をリラックス
お茶の旨味や甘味に関わる成分・テアニンは、緑茶の中でも、抹茶に特に多く含まれています。テアニンには興奮を鎮めて緊張を和らげる効能があり、それにより心身をリラックスさせる効果が期待できます。
抹茶には神経を興奮させる成分・カフェインが含まれていますが、テアニンにはカフェインによる興奮作用を抑える効能もあるので、カフェインの作用を緩和してくれます。抹茶がコーヒーに比べて覚醒作用を感じにくいのは、テアニンの作用によるものです。
「食物繊維」が腸内環境を改善
便秘に悩んでいたり、「腸活」に興味があったりする人にも抹茶はおすすめ。抹茶に含まれる食物繊維には、体内の有害物の吸収を妨げ、便として排泄することで腸内環境を整える効能があります。さらに、食物繊維が水分を含んで膨張することで腸を刺激し、ぜん動運動を活発にするため、お通じの改善にも効果的です。
便秘は肌荒れの原因にもなるので、食物繊維で腸内環境を改善することで、美肌作りにもつながります。
茶葉そのものを取り入れる抹茶を飲めば、他のお茶に比べ、たくさんの食物繊維を摂取できます。食事を変えるのは大変ですが、抹茶は飲むだけで手軽に食物繊維を摂ることができるのでおすすめです。
「カフェイン」の効能で疲労回復、集中力アップ
カフェインには脳の覚醒作用があり、疲労回復や眠気を覚まして集中力を高める効能があります。また、血管を広げて血流を良くすることで代謝を促進し、冷え性やむくみを改善する効果も期待できます。
さらに、カフェインには脂肪の燃焼を促す効能もあり、ダイエットにも効果的です。
抹茶の効能を高めるためには? 取り入れ方のポイント
美容と健康に良い成分を多く含む抹茶ですが、たくさん飲めばよいわけではありません。ここでは、その効能をより高めるための取り入れ方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1回に飲む量は「2g程度」が適量
抹茶は、1回に2g(小さじ1杯)程度が適量とされています。抹茶の粉末はとても軽く、小さじ1杯でちょうど2g程度です。
抹茶の飲み方には2種類あり、2gの抹茶を60~80mlのお湯で点てたものを「薄茶(お薄)」といいます。また、薄茶の2倍の濃度で練ったものは「濃茶(お濃)」と呼ばれます。毎日の生活に取り入れる場合は、濃度が濃すぎない薄茶を取り入れることをおすすめします。
体に良い効能がたくさんある抹茶ですが、飲めば飲むほど良いというわけではありません。特に、カフェインは摂り過ぎると不眠やめまいなど体調不良の原因となることがあるため、注意が必要です。 抹茶1gには約32㎎のカフェインが入っているので、多くても1日3~4杯程度に留めましょう。
抹茶は朝食後に飲むと効果的
抹茶の効能をより活かすために、1日の活動が始まる直前、つまり朝食後に飲むのがおすすめです。抹茶を飲んでから活動することで、脂肪の燃焼を助け、ダイエット効率を上げることができます。
さらに、カフェインの作用により脳を目覚めさせ、作業効率が良くなる点からも、朝食後に飲むのが最適です。 ただし、抹茶の効能は2~3時間程度しか継続しません。そのため、1杯の抹茶を数回にわけてこまめに飲むことで効能を持続させることができます。食後はリラックス効果も得られやすいので、昼食後に飲むのも良いでしょう。
簡単な方法でもっと抹茶を取り入れよう
健康のために抹茶を取り入れようと思っても、毎回抹茶を点てるのは手間がかかります。ここでは、より手軽に抹茶を取り入れる方法を紹介します。
混ぜて料理のアクセントに!
まずは、塩と抹茶を混ぜるだけの「抹茶塩」を紹介します。塩と抹茶を1:1の割合で混ぜるだけでかんたんに作ることができます。
でき上がった抹茶塩は、天ぷら、刺身、焼き魚、野菜サラダなどにかけて食べることで、手軽に抹茶を摂取できます。抹茶の香りが効いて料理のアクセントにもなるので、ぜひ試してみてください。
抹茶は、普段のおやつにも手軽に取り入れることができます。市販のホットケーキミックスに抹茶を混ぜて焼くだけで、お手軽抹茶スイーツの完成です。
ホットケーキミックス以外にも、抹茶と小麦粉を混ぜた粉でクッキーやケーキを作れば、抹茶クッキー、抹茶ケーキを楽しむことができます。 どちらも簡単な方法で抹茶を取り入れられるので、ぜひ試してみてください。
いろいろな抹茶ドリンクにアレンジ
抹茶を飲む場合も、お湯で溶かして飲むだけに限らず様々なアレンジで楽しむことができます。
少量のお湯で2gの抹茶を溶かした後、お湯の代わりに牛乳や豆乳でのばせば、抹茶ミルクや抹茶豆乳の完成です。そのままでもおいしいですが、苦味が気になる場合は、お好みで少量の砂糖を加えるとさらにおいしく飲むことができます。
また、スムージーを作る際に他の材料と一緒に抹茶の粉を入れるだけで、簡単に抹茶スムージーができます。おいしいだけでなく、体に良い栄養成分も摂ることができるのでおすすめです。
まとめ:抹茶には美容と健康に良い効能がたくさん!
古くから日本人に親しまれてきた抹茶には、美容と健康に良い効能を持つ栄養成分がたくさん含まれており、ダイエットや美肌作りにも効果的です。しかし、体に良いからといって摂り過ぎると、体の負担になることがあるので注意が必要です。
今回紹介した取り入れ方のポイントや工夫を参考にして、日々の生活に上手に抹茶を取り入れ、健康をキープするために役立ててみてください。
「体にいい」と言われる食べ物はたくさんあるけれど、本当に必要なのはどれ? と、疑問に思うことはありませんか。ダイエットにも美容にも効果的で、健康維持にも役立つ、毎日食べた方が良い食べ物をご紹介します。