1. Top
  2. >元気になる
  3. >体の健康
  4. >首・肩・腕の悩み
  5. >筋肉が硬い原因は?理学療法士がすすめる体をほぐす4つのストレッチ
ストレッチする女性

筋肉が硬い原因は?理学療法士がすすめる体をほぐす4つのストレッチ

年齢とともに体が硬くなってきた…。そのせいか、肩や首、腰が痛くて、運動をしても体がカチコチ。それは筋肉が硬いせいかもしれません。筋肉が硬いことで起こる不調や、体をほぐすストレッチなどの対処法を、理学療法士が解説します。

この記事をシェアする

筋肉が硬い原因は?

「最近、肩こりがつらい」「もともとあった腰痛がひどくなってきた」。誰にでもあるこんな体のプチ不調は、筋肉が硬いことで起こっている可能性があります。

では、なぜ筋肉は硬くなってしまうのでしょうか。その原因について、確認していきましょう。

運動不足

筋肉が硬くなる1つ目の原因は、運動不足です。私たちの体は運動をすることで関節が動き、筋肉が伸び縮みします。

逆に運動をする機会がないと筋肉が伸び縮みする回数が減少。つまり筋肉が使われない状態になります。使われなくなった筋肉はやせ細り、動かないことで筋肉本来の機能が損なわれていきます。

ソファに寝そべる女性

例えば血流の滞り。筋肉が使われないせいで血流が滞ると、栄養が行き渡らなくなり、さらに筋肉の動きが悪くなります。そのためますます筋肉が硬くなる、という悪循環に。必ずしもこうなるわけではありませんが、運動不足が続くと筋肉が硬くなってしまう方がほとんどと考えられます。

姿勢の影響

筋肉が硬い原因として、姿勢も影響しています。同じ重力でも、頭の位置がどこにあるかによって負担がかかる筋肉が変わります。

例えば、デスクワークのときに猫背でパソコンを見ている姿勢。このとき、体より頭を前に出して画面を見るという方がほとんどですよね。

この姿勢では、頭を支えるために首の後ろに力が入ってしまいます。すると、疲労が蓄積して筋肉が硬くなるのです。

このように体は常に、重力に負けないようにバランスを取っています。正しい姿勢で良いバランスを保つことができれば、使われる筋肉は均等になり、硬さやこりにはつながりにくいのですが、悪い姿勢が続くと、使われる筋肉に偏りが生じ、硬さにつながります。

けがの影響

けがの影響も、筋肉が硬くなる原因にあげられます。けがによって関節が動きづらくなり、その周辺についている筋肉の動きも減るため、硬さが出てしまうと考えられます。

例えば、関節が脱臼したとします。関節から骨が外れて脱臼することで、関節の周囲に炎症が起こります。すると関節が動かしにくい状態になり、それに加えて筋肉まで動きが悪化。その結果、筋肉が硬くなる、という悪循環が起こります。筋肉の硬さを防ぐためにも、けがをした後は徐々に動かしていくことが重要です。

筋肉が硬くなると起こるデメリット

肩こりを感じている女性

筋肉が硬いと、体のこりや冷え、むくみなど、女性とって身近な不調につながりやすくなります。具体的にどんなデメリットがあるのかを、次から見ていきましょう。

体のこりや痛み

筋肉の硬さで悩んでいる方の多くは、体のこりや痛みの自覚があるのではないでしょうか。その原因は、筋肉が硬くなることで疲労物質が滞るためです。

運動や姿勢の維持で筋肉を使うと、体の細胞を酸化させる「活性酸素」などの廃棄物が発生します。これらが疲労物質の正体。

疲労物質が筋肉に溜まることで、必要な栄養が行きわたらなくなり、次第にこりや痛みにつながります。

デスクワークで肩こりや首こりに悩まされている方は、まさに頭を支えるために筋肉が疲労した状態といえます。

また、硬くなった筋肉は血流も滞らせて、どんどん硬さがひどくなります。そしてこりが大きくなると、筋肉が硬直し、痛みがあらわれます。肩こりがひどい方が頭痛を訴えるのも、筋肉の硬直によるところが大きいと言われています。

血流が悪くなることで冷えやむくみにつながる

脚のむくみ

ご説明したように、硬い筋肉は血流を悪化させます。これは筋肉が血管を圧迫してしまうため。そのため血流の滞りは、冷えやむくみに直結します。

血流が良い筋肉は老廃物をしっかり排出できるのに対し、循環がスムーズではないと、これからが蓄積。老廃物がむくみとなってあらわれます。

また、筋肉は関節を動かすだけでなく、熱を生み出す働きもあります。そのため、筋肉によって熱がつくれずに、体の冷えにつながってしまうのです。

さらに筋肉は、血液を貯蔵する器官でもあります。温かい血液を貯めておくことができなくなり、冷えに拍車がかかります。

代謝が悪くなり疲れやすくなる

筋肉が硬くなることは、代謝の低下にもつながります。細胞内の古いものを排出し、新しいものを取り入れるのが代謝の働き。血流が悪化すると、この代謝の働きが悪くなり、ダイエットや美肌にも悪影響を及ぼします。

また、私たちの体に取り込まれた栄養は、血流にのって運ばれます。血流が悪化すると新鮮な栄養が筋肉に届かなくなることに加え、溜まった疲労物質を排出できなくなります。

そのため疲労がどんどん蓄積。疲れやすくなって動くのがおっくうになり、また筋肉が硬くなる、という負のループに…。そうなる前に、筋肉は常に柔らかく保つことが欠かせません。

筋肉が柔らかくなると、疲れにくくやせやすい体質になる

元気な女性

ご紹介したように、筋肉が硬くなるとさまざまな不調につながります。年齢を重ねても筋肉を柔らかく保つことは、“美と健康の基本”といえます。

筋肉が柔らかくなると、次のようなメリットがあります。

  • 体のこりや痛みが軽減する
  • 血流が良くなり、冷えやむくみが改善
  • 代謝が良くなることでやせやすくなり、疲れにくくなる

柔軟な筋肉は、血管を圧迫することがなくなるため血流が改善。栄養が行き届くことで代謝もアップしてやせやすくなります。さらに、疲労物質も蓄積されにくく、こりにくい・疲れにくい体になるでしょう。

筋肉を柔軟にするための方法は記事後半で説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

硬い筋肉をほぐすのにマッサージは意味がない?

筋肉を柔らかくするために自分で揉んだり、マッサージをしてもらうという人は多いと思います。しかしマッサージは、筋肉を柔軟にする効果はあまり期待できません。

なぜなら、力任せのマッサージや自己流の間違ったマッサージをすると、筋肉が損傷してしまう可能性があるから。損傷した筋肉は修復過程で硬くなります。こりをほぐそうと思ってやったマッサージが、逆効果の場合もあるのです。

マッサージは、指圧によって血管が一時的に圧迫され、その後解放されることで、少しの間だけ血流が良くなります。

施術してもらうとすっきりはしますが、効果は一時的。硬い筋肉をしっかり柔らかくするには、それよりもストレッチを習慣にするのがおすすめです。

柔軟性がアップ! 硬い筋肉をほぐすおすすめの方法

ストレッチする女性

硬い筋肉をほぐすのに効果的なのはストレッチ。筋力がなく筋トレが苦手な女性や、運動不足の方、運動が久しぶりの方も、ストレッチならば始めやすいでしょう。

また、しっかり筋肉を伸び縮みさせる有酸素運動、筋肉が硬くならないように防ぐ姿勢改善なども、あわせてご紹介します。筋肉の硬さで悩んでいるなら、どれか一つでもいいので、今日から始めてみましょう。

体をまんべんなくほぐすストレッチ

筋肉の柔らかさを出すためには、伸び縮みする力を引き出すことが重要です。そのためには、ストレッチが効果的。

ここでは体の中でも“大きな筋肉”をほぐすための4つのストレッチを紹介します。筋肉が大きい分、体に与える影響も大きくなるため、特におすすめのストレッチです。ぜひ習慣にしてみてください。

腹筋と背筋を使って背骨を動かす「キャット&ドッグ」

猫のポーズ

腹筋と背筋を使って背骨を動かすストレッチ。運動神経や血管が多く出ている背骨を動かすことで、体全体の血流改善や、お腹のシェイプアップにもつながりやすいでしょう。

【やり方】
(1)肩・股関節それぞれ90度になるように四つ這いになる。
(2)腹筋を使ってお腹を引き上げ、背中を丸める。
(3)背筋を使って背中をそらす。
(4) (2)(3)を自然な呼吸を続けながら、10回ずつ繰り返す。

ポイントは首を大きく動かさないこと。首を動かしすぎると、最も動かしたい腹筋・背筋を十分に使えなくなります。注意しましょう。

股関節から体をひねる「股割りストレッチ」

内ももの筋肉や腹筋、背筋など幅広く伸ばすことができる、股関節のストレッチです。股関節は腰痛に大きく関わっています。デスクワークなどで同じ姿勢が続いて腰痛で悩んでいるという方におすすめです。

【やり方】
(1)立った状態で可能な限り股関節を開き、腰を落とす。
(2)手を両ひざに当て、背筋を伸ばす。
(3)体を捻りながら、片方の肩を股関節の前に入れる。
(4)太ももの内側に伸びを感じながら、自然に呼吸をして30秒ほどキープ。反対側も同様に行う。

ポイントは肩を前に入れたときに息を止めないこと。力が入って息を止めてしまうと筋肉がゆるみません。リラックスしながら行いましょう。

肩こりに効く「肩甲骨周りのストレッチ」

首の筋肉から肩甲骨周り、胸の筋肉まで、多くの筋肉を伸ばすことができるストレッチです。肩こりや頭痛といった肩・首周りの不調改善に効果的です。

【やり方】
(1)ひじを曲げたまま、肩の位置まで腕を上げる。胸を開いて、左右の肩甲骨を背骨側に寄せる。
(2)肩甲骨を背骨側に寄せたままひじを下ろす。
(3)(1)(2)を10回繰り返す。

ポイントは腕だけでなく肩甲骨を大きく動かすこと。肩こりを改善するためには、肩甲骨を動かさなければいけません。腕だけを動かすと、むしろ肩に力が入りやすくなるので注意しましょう。

むくみ改善に効果的な「アキレス腱ストレッチ」

アキレス腱周辺の筋肉が硬くなると、むくみの原因になります。足がむくみやすい人におすすめのストレッチです。じっくり伸ばして心地よさを感じましょう。

【やり方】
(1)壁に両手をつき、足を前後に開く。前側の足のひざを軽く曲げる。
(2)後ろに引いた足のかかとからお尻、頭までまっすぐにしたまま、体を前傾させる。
(3)アキレス腱を30秒ほど伸ばす。左右を入れ替えて反対側も同様に行う。

ポイントは、かかとをつけたまま体をしっかりと前傾させること。前傾が大きくなるほどアキレス腱が伸びますので、試してみてください。

筋肉が伸び縮みして柔軟性がアップする有酸素運動

散歩をする女性

ここまで大きな筋肉をほぐすストレッチを紹介しました。筋肉の柔軟性を引き出すためには、ウォーキングのような有酸素運動も重要です。なぜなら、大きく体を動かすことで、筋肉が伸び縮みするため。

筋肉は2つある筋繊維が滑ることでスムーズに動きます。ストレッチでこの筋繊維が固まっているところはほぐれますが、さらに動きを柔らかくしていくためには、自ら体を動かす必要があります。そこで有効なのが有酸素運動です。

ウォーキングなどの有酸素運動は、負荷が小さく、疲労物質も溜まりにくい運動。血流をスムーズにする効果は高く、筋肉の柔軟性をアップさせるには最適です。

毎日10分程度のウォーキングでも構いません。慣れてきたら少しずつ時間を延ばし、「良い汗かいた!」と思うくらいを目安に続けてみましょう。

筋肉が硬くなることを防ぐ姿勢の改善法

ご紹介したように、筋肉が硬くなる原因は姿勢の悪さにもあります。最後に、筋肉が硬くならないようにするための姿勢改善テクをご紹介します。

姿勢改善に重要なのは、体の重心の位置。立っているときも座っているときも、つま先に体重を乗せるように意識しましょう。姿勢が悪い人の多くは、重心が後ろに傾いています。

例えばデスクワークで座っているときに猫背になっている姿勢。重心が後ろに、骨盤も後ろに傾いていますよね。すると太ももの裏の筋肉は短くなり、硬くなってしまいます。

ですが、つま先に体重を乗せるだけで骨盤が立って前傾に。もも裏の筋肉が伸びて硬くなりにくいでしょう。このように、今日から「つま先重心」をイメージして、筋肉が硬くならない予防を心がけてください。

伸びをする女性

まとめ:硬い筋肉を柔軟にするには生活習慣の改善が大事

筋肉が硬くなる原因は、運動不足や姿勢の悪さなど、普段の生活にひそんでいます。ご紹介した大きな筋肉をほぐすストレッチを習慣にすると、硬い筋肉が柔らかくなり、肩こりや首こり、腰痛など、感じている不調も次第に和らぐでしょう。

また、ストレッチだけでなく、ウォーキングなどの有酸素運動で筋肉を動かし、血流をアップさせることも大切。健康な体は柔軟性のある筋肉から、といっても過言ではありません。ストレッチを日々の習慣にしてみてくださいね。

この記事に興味を持ちましたか?
はいいいえ

この記事をシェアする

こちらの記事も読まれています

編集部オススメ記事

Recommend Article Recommend Article オススメ記事

オススメ記事をもっと見る