「頬のたるみ」の原因は?美容皮膚科が教えるリフトアップケア
頬のたるみが気になってくると、ほうれい線などのシワも目立って、一気に年齢を感じますよね。頬のたるみの原因となる習慣やリフトアップするセルフケアを、美容皮膚科医が解説します。
目次
頬のたるみの原因は?
加齢と共に気になり始める頬のたるみ。たるみがあると、口角が下がって暗い印象になったり、疲れているように見えたり…。ふとトイレで鏡を見たときや、電車の窓に映った自分を見たときに、ハッとすることもありますよね。
また、頬のたるみはほうれい線をはじめ、マリオネットラインと呼ばれる口元のシワや、ゴルゴラインと呼ばれる目の下のシワなど、大きな“老けライン”につながります。そのため、より一層“老け見え感”が出てしまいます。
頬のたるみの原因は、加齢はもちろん、そのほかに普段の生活習慣も大きく関係しています。
加齢による表情筋の衰え
頬のたるみの大きな原因は、加齢による表情筋の衰え。年齢とともに体の筋肉が衰えていくように、肌を支えている表情筋も少しずつゆるんでいきます。
表情筋とは、顔に30種類以上ある筋肉で、目や口、鼻などを動かし、喜怒哀楽のあらゆる表情を作る筋肉。特に口まわりの表情筋がゆるむと、重力によって口元が下がり、その上にある頬のたるみが生まれやすくなります。
また、肌の奥にある真皮には、ハリや弾力を作る「コラーゲン」や「エラスチン」といった美肌成分が存在。その間を肌の水分を保持する「ヒアルロン酸」が、隙間を埋めるようにして細胞を支えています。
しかし残念ながら、加齢によってこれらすべての美肌成分を作る力が衰えてきます。すると肌の土台が崩れてうるおいがなくなり、ハリや弾力が次第に失われ、頬のたるみにつながるのです。
前かがみが続くことによる姿勢の悪さ
頬のたるみの二つ目の原因は、姿勢の悪さ。スマホやパソコンをのぞき込むとうつむきがちになり、気づかないうちに前かがみの姿勢がクセづいていませんか? 現代人の多くの人が、当てはまるのではないでしょうか。
前かがみの姿勢が続くと、顔が下を向いている時間がな長くなります。すると重力によって皮膚が下に引っ張られ、頬のたるみが生まれやすくなります。
また、前かがみの姿勢で猫背になると、体が頭を支えようとして首や肩まわりの筋肉が緊張。表情筋と一緒に顔の皮膚も下に引っ張られやすくなります。
乱れがちな食生活
ふだんの食生活も、頬のたるみに影響を及ぼします。炭水化物や甘い物を摂り過ぎてしまう人は、肌が「糖化」して頬のたるみができやすくなります。
「糖化」とは、体の中で余った糖がたんぱく質と結びつき、コラーゲンの質を低下させて肌老化を招くこと。糖が多く含まれている炭水化物や甘い物は、肌が「糖化」しやすい食べ物です。
また、暴飲暴食にも注意。食べ過ぎると、体だけでなく顔もふっくらしてきますよね。過食によって顔の脂肪が一気に増えると、表情筋が皮膚を支えきれなくなり、頬のたるみが生まれる原因に。ダメな食生活が続いて急に太ることも見た目年齢に関わっています。
睡眠不足
食事以外では、睡眠の質も関係しています。寝入りばなの深い睡眠は、体の成長を促進させる「成長ホルモン」が脳から分泌されます。
成長ホルモンは、子どもの成長期だけに必要なホルモンではなく、私たち大人にもとても重要なホルモン。コラーゲンやヒアルロン酸などの美肌成分の分泌を促す、傷ついた細胞を修復する、肌のターンオーバーを促進するなど、肌の老化を防ぐためには欠かせません。
しかし、睡眠不足が続いたり、ぐっすり眠れず睡眠の質が落ちたりすると、成長ホルモンの分泌量が減少。よく眠れなかった翌日は、肌がカサカサして化粧ノリが悪いといった経験はありませんか。
これが続くと、コラーゲンやヒアルロン酸といった美肌成分の恩恵を受けられず、頬のたるみができやすくなります。
頬のたるみにおすすめの対策
頬のたるみ改善には、まずセルフケアでできることを始めましょう。ここからは頬のたるみにおすすめの対策をご紹介します。
衰えた顔の筋肉を鍛えるトレーニングやマッサージなど、日々のスキンケアのついでやすきま時間に試してみてください。
顔の筋肉を鍛える「割りばしエクササイズ」
衰えた表筋を鍛えるのに有効なのが、顔の筋トレ。なかでも、割りばしを口にくわえるだけの「割りばしエクササイズ」が簡単です。ぜひちょっとした休憩時間に、テレビを見ながらやってみましょう。
※危ないので、割りばしを加えたまま動かないように注意を。
【割りばしエクササイズのやり方】
用意するもの:割りばし1本
- 背筋を伸ばしてイスに座る。割りばしを真横にした状態で口にくわえる。
- そのまま、「イー」と6秒間声を出す。
- 次に、「ウー」と6秒間声を出す。
- 2、3を3回繰り返す。
ポイントは姿勢を正して行うこと。猫背でこのエクササイズをやっても、表情筋が下に引っ張られてしまい、効果が半減します。
頬を引き上げるマッサージ
スキンケアのついでにマッサージをするのもおすすめです。顔の表情筋は意外と凝っています。マッサージで凝り固まった表情筋をほぐしてリフトアップを狙いましょう。
摩擦によって肌にダメージを与えないよう、乳液やクリームを顔に塗ってから、手でやさしくマッサージするのがポイントです。
【頬を引き上げるマッサージのやり方】
- 人差し指を軽く曲げ、第一関節と第二関節の間を小鼻の横に押し当てる。
- 気持ちがいいくらいの力加減で、小さく円を描くようにほぐす。
- 同様に、頬骨の下で、口角と耳を結んだ真ん中の位置に押し当てる。
- 気持ちがいいくらいの力加減で、小さく円を描くようにほぐす。左右両方とも行う。
正しい姿勢になる「背筋リセットストレッチ」
ご説明したように、悪い姿勢が続くと顔の皮膚が垂れ下がり頬のたるみを引き起こします。とはいえ、気づかないうちに姿勢は崩れていきますよね。
そこで、ちょっとした休憩時間にストレッチで正しい姿勢にリセット。背筋がピンと伸びて、美しい姿勢をキープできます。
【背すじリセットストレッチ】
- 足の間はこぶし1個分あけて、背筋をまっすぐにして立つ。
- 両手を組んで、手の平を外側に向け、背伸びをするように頭の上までゆっくり持って行く。
- そのまま手の平で天井を押し上げるように思い切り背伸びをする。このとき、できる人はつま先立ちに。
- 組んだ手をゆっくりほどき、体の横から両腕をゆっくり下ろす。3でつま先立ちした人はかかとをゆっくり下ろす。
このストレッチを、仕事の合間や立ったついでに行ってください。1回をゆっくり10秒ほどかけながら行うと、十分背筋が伸びて効果的です。
スマホを見るときは顔の目の前で
頬のたるみを予防するために特に注意したいのが、スマホを見ているときです。スマホを見ていると、気づいたらうつむいた姿勢になっていませんか?
スマホを使うときは、画面を目線と同じ高さまで持ち上げて、うつむかないようにしましょう。スマホを持っていない手を脇の下に挟んだり、スマホを持っているほうのひじを支えたりすると画面の位置をキープしやすくなりますよ。
肌のハリに効果的な基礎化粧品を選ぶ
頬のたるみを感じたら、スキンケアアイテムを見直してみるのも手です。化粧水や乳液、美容液などの基礎化粧品を選ぶときは、ハリや弾力を補う美容成分に着目しましょう。
ハリアップに効果的な成分は、「ビタミンC誘導体」や「レチノール」、「ナイアシンアミド」などがあげられます。これらは肌の真皮層でハリや弾力を支えるコラーゲンの生成を促します。コラーゲンは年齢とともに失われていくため、スキンケアでサポートしていきましょう。
また、「ヒアルロン酸」や「セラミド」などの保湿成分も大切。肌にうるおいがあればふっくらハリが出て、たるみを防ぐことができます。肌の水分を保つこともたるみ防止につながります。
毎日のスキンケアは同じ化粧品ばかりに頼りがちですが、頬のたるみが気になり始めたら年齢肌にあうものを使うタイミングです。
食生活を見直す
コラーゲンを壊してしまう「糖化」は、頬のたるみはもちろん、ほうれい線やシワなどの肌老化に直結します。特に、間食にお菓子をたくさん食べてしまう人や、炭水化物だけに偏った食事で済ませてしまう人は要注意。
糖がたくさん含まれた食べ物は、糖化を進みやすくさせます。糖化による頬のたるみを防ぐためには、まずは甘い物や炭水化物を摂り過ぎないようにすること。
また、食物繊維をたくさん摂ることで、糖の吸収をゆるやかにすることができます。食物繊維の多いさつまいもなどをおやつにしたり、食事にきのこや海藻、野菜など食物繊維の多い食材のサラダをプラスするだけでもOK。毎食どれか一品に食物繊維を多く含む食材を取り入れましょう。
睡眠環境を整える
コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す「成長ホルモン」は、眠り始めの90分に最も分泌されます。睡眠の質が上がると、この分泌量がもっと増えることが分かっています。
睡眠の質を上げるのにおすすめなのが、寝室の環境や寝る準備を整えることです。
パジャマを着て布団に入る
Tシャツやスウェットなどの部屋着のまま布団に入るという人も多いでしょう。しかし、ぐっすり眠るには部屋着ではなく、パジャマを着ることが大切です。
パジャマを着ることを寝る前のルーティンにすると「今から寝る」というスイッチが入り、心と体が睡眠モードに。脳に記憶させることで、入眠をスムーズにします。
またパジャマは、寝るときのことを考えて作られている衣服。無駄な装飾がなく締め付けも感じないため、寝返りがしやすくなります。すると疲労回復も早く、睡眠の質も上がります。
さらに、パジャマの素材にもこだわると、もっと良いでしょう。特に吸湿・吸水性が高い綿は、寝ている間の汗を吸収。保温性もあるため、寒い季節も心地よい温度で、ぐっすり眠ることができます。
寝る前は明るい光に注意
私たちの体は、夜になると「メラトニン」というホルモンが分泌されます。メラトニンは、睡眠を促すホルモンですが、明るい光を浴びると分泌が抑制されてしまいます。さらに明るい光は脳を覚醒させ睡眠を妨げます。
そのため、夜になったら室内の照明を落とし、寝室はできるだけ真っ暗にして眠りましょう。真っ暗が苦手な人は、顔に光が当たらない足元に間接照明を置くのがおすすめです。
また、モニターの強い光も同様です。寝る1時間前にはスマホやパソコンの画面を見ないようにしましょう。
適切な室温を心がける
スムーズな入眠には寝室の温度も大切です。エアコンや加湿器などをうまく活用して、眠りに適した室温に。夏は25℃、冬は15℃くらいが目安です。湿度は1年中50〜60%程度がいいとされています。
夏の熱帯夜は、エアコンに加えて、扇風機やサーキュレーターを使い、部屋の空気を巡回。効率よく快適な温度に調節しましょう。また、乾燥しがちな冬は、加湿器を使って部屋の湿度を保つことも忘れずに。
このように、頬のたるみは睡眠や食事を見直すことが大切です。
頬のたるみを目立たなくするには?
頬のたるみを改善する筋トレや姿勢リセット法は、毎日続けることが大切。しかし、効果があらわれるまでは一定の時間が必要になります。
いますぐ頬のたるみを目立たなくさせたいという場合は、メイクでカバーしましょう。
メイクで頬のたるみをカモフラージュ
頬のたるみが目立つと、同時にほうれい線もくっきりしてきます。ほうれい線を目立たなくするメイクテクで、たるみをごまかしましょう。
【頬のたるみを目立たなくするメイク】
- 下地を塗ったあと、リキッドタイプのファンデーションをほうれい線の上に薄くのせて指先でなじませる。
- Tゾーンの仕上げで使うハイライトを、ほうれい線をぼかすようにのせて、ブラシで軽く広げて肌になじませる。このとき、ハイライトをのせすぎると悪目立ちするので、少量でOK。
ハイライトは、自分の肌より少し明るい色味がおすすめ。ほうれい線の影を光で飛ばしてカモフラージュを。
頬が上がって見える表情を作る
口角が下がった状態では、頬も余計にたるんで見えます。口角をキュッと上げ、それに合わせて頬の高い位置に保った表情をつくることで、上がった印象に。
これを仕事中もキープすることで、表情筋が鍛えられます。習慣化すれば、垂れ下がった肌のリフトアップに!
ただし、やり過ぎると筋肉が鍛えられすぎて他の部分のシワにつながる場合もあります。表情豊かに過ごすことを意識するのが良いでしょう。
すぐ解消したいなら美容皮膚科に相談を
頬のたるみを今すぐに根本から解決したい人は、美容皮膚科のクリニックで相談を。頬のたるみを治療する方法として「ハイフ」という治療があります。
ハイフは、専用の機械を頬のたるみに当て、超音波を一点に集め照射。その熱で皮下脂肪や皮下脂肪と筋肉の間、皮膚を収縮させて肌を引き締めたり、コラーゲンの生成を促したりする効果があります。クリニックによってはそれ以外の方法もあります。
まとめ:頬のたるみ対策にはセルフケア+食生活の見直しを
気になる頬のたるみは、できるだけ早いうちからセルフケアで対策しましょう。ご紹介したように、主な原因は加齢による表情筋の衰え。加齢を食い止めるのはなかなかむずしいですが、顔の筋肉を鍛えるトレーニングやマッサージ、姿勢の改善ストレッチが有効です。
頬のたるみを改善してリフトアップできれば、若々しく明るい印象に。すると、メイクやおしゃれがますます楽しくなりますよ。
文/廣瀬茉理
顔のたるみやほうれい線は、加齢だけが原因ではありません。たるみやむくみには、女性特有の生理周期や首の冷えも原因に。「耳上げさすり」で血液やリンパ液を押し流して、たるみや肩コリをスッキリさせましょう!
[ 監修者 ]
- LonaLona CLINIC
- https://lonalona.jp