「フェムテック」が当たり前の世の中を目指して|私のためのフェムテック(1)
女性の健康課題を解決する「フェムテック」の連載。初回は、日本のフェムテックのパイオニア・fermata(フェルマータ)の中村寛子さんをゲストに迎え、「からだにいいこと」なりのフェムテックについて考えました。
目次
fermata 中村寛子さん
「誰にも言えない悩み」を解決し、多くの女性を助けたい
日本でいち早く「フェムテック」に着目し、起業した中村さん。そのきっかけは、自身の経験だったといいます。
「私は生理痛がひどいのですが、留学先のイギリスで低用量ピルを飲んだら人生が変わるほどラクになりました。でも、日本でピルを買うには医師の処方が必須。受診するために仕事を休むなど、『なぜ、女性というだけでつらい思いをしないといけないんだろう』と、ずっとモヤモヤしていました」
ドイツでフェムテックを知って学ぶうち、こうした悩みがほかの多くの女性にも共通すると気づいたことで会社設立を決意。しかし当時、フェムテックという言葉を知る人はほとんどいませんでした。
「まずはフェムテックの商品を実際に見て、触ってもらい、市場を知る必要があると実感し、2019年秋に日本初のフェムテック体験イベント『Femtech Fes!(フェムテック・フェス)』を開催。定員枠を超える多くの人が集まり、大きな自信につながりました」
新しい商品を、ワクワクしながら選んでほしい
fermataの合言葉は「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」。
生理や更年期など女性特有の健康課題は、これまでタブーとして扱われることも珍しくありませんでした。しかし「フェムテック」という言葉のもと、さまざまなアイテムやサービスが登場したことで“選ぶ楽しさ”が生まれたといいます。
「月経カップや吸水ショーツを買ったお客さんから、『初めて次の生理が楽しみになった』と言ってもらえることがあります。そんなふうに、ワクワクしながら商品を手に取ってもらえるのはとてもうれしいことです」
一方、初めてのアイテムを使うときには不安もつきもの。自分に合ったアイテムを選ぶコツはあるのでしょうか?
「たとえば吸水ショーツを初めて使う場合、『漏れると怖い』という不安がありますよね。そういう人に対しては、最初から多い日に使うのではなく、『もうすぐ生理が来そう』という日に使い始めることをおすすめしています。薄手ではきやすい商品もあるので、気軽に試してほしいですね」
「セクシャルウェルネス」も、大切で当たり前のこと
フェムテックでは、さまざまなジャンルを扱います。その一つが「セクシャルウェルネス(性の健康)」。とはいえ、大っぴらに話すのは恥ずかしいと感じる人も多いのではないでしょうか。中村さんたちは、こうした情報の伝え方にも工夫をしているといいます。
「私たちは、セクシャルウェルネスの話をするときに『笑わない』ことを決めています。私たちが照れ笑いをした瞬間、自分たちも周りも『これは気軽に話してはいけないこと』と捉えてしまうからです。恥ずかしがらず、声のトーンも変えず“当たり前”の話題として話すことを大切にしています」
性交渉やセルフプレジャーは、自分の心や体と向き合う大切な時間。だからこそタブー視せず、気軽にアイテムを手にとってほしいという願いが込められています。
フェムテックNEWS:女性向けの防災グッズが登場
女性のカラダとココロに関する情報を集めて発信する研究所「からだにいいことLab」のI調査員が、フェムテックに関するニュースをリサーチ。今回は、女性向けに特化した防災バッグを紹介します。
災害時に月経を迎えた人が少しでも快適に過ごせるように、と開発された防災備蓄キット。3日分の生理用品やショーツのほか、止血帯としても使えるコンドームなどの衛生用品がセットになっています。
からだにいいことLab発の連載は「からだにいいこと」本誌をチェック!
雑誌『からだにいいこと』では発売中の2022年12月号から、「フェムテック」にまつわる連載をスタートしました。
「からだにいいことLab」の所長・奥谷を中心に、みなさまに役立つ情報をお届けします。
12月号誌面でも、中村さんのインタビュー記事をお読みいただくことができます。112~113ページを、ぜひご覧ください!
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からだにいいこと キャンペーン | 雑誌/定期購読の予約はFujisan
撮影/福島章公 イラスト/町田李句
女性の健康課題を解決する「フェムテック」の連載。第2回は、更年期に特化した情報提供、オンライン相談サービスを行うTRULY(トゥルーリー)の二宮未摩子さんを迎え、更年期のフェムテックについて考えました。