「僧帽筋ストレッチ」で首・肩こりを改善|自宅でできる3つの方法
背中側に広がる僧帽筋。ここが硬くなることで起こる肩こりや首こり、猫背やボディラインの崩れを、ストレッチで改善。座ったまま、寝たままできる僧帽筋ストレッチを、フィットネストレーナーが紹介します。
目次
僧帽筋(ぞうぼうきん)とは?
肩こりや首こりに関係している筋肉のひとつが僧帽筋(ぞうぼうきん)です。僧帽筋とは、首の後ろや肩、背中、肩甲骨、鎖骨にも広がる大きな筋肉。背中側の筋肉の中でもっとも表面に近い表層にあります。
僧帽筋は首、肩、肩甲骨まわりの様々な動きに関わっています。姿勢の維持にも重要な筋肉で、多くの人が感じている肩こりの症状は、この僧帽筋が原因となっていることがほとんどです。
僧帽筋の役割
僧帽筋は肩や肩甲骨まわりを動かすことのほかに、姿勢の維持や腕の重みを支える役割もあります。そのため常にある程度の負荷がかかっており、疲労が溜まりやすい筋肉ともいえます。
首や肩に近い僧帽筋の上部は、鎖骨や肩甲骨を引き上げ、肩をすくめる働きがあります。それより少し下の僧帽筋中部は、肩甲骨を引き寄せて胸を張る、肩甲骨を正しい位置にキープする、腕を上げるなどの役割。
さらにその下の僧帽筋下部は、肩を落とす動作や、腕を上げる動作を行います。このように、肩や肩甲骨まわりの多様な動きを担っています。
僧帽筋が硬くなる原因は?
僧帽筋は肩こりや首こりなどの症状が出やすい筋肉です。ではなぜ僧帽筋が硬くなってしまうのか、4つの原因をまとめました。
(1) 姿勢が悪い
まず考えられるのが姿勢の悪さ。スマホやパソコン作業で猫背になると、重たい頭を支え、正しい姿勢に戻そうとする僧帽筋に負担がかかります。
また、背中が丸まると肩甲骨が広がり、僧帽筋が引っ張られて緊張状態に。その悪い姿勢を長時間続けたり、繰り返したりすることで、僧帽筋は疲労して次第に硬くなり、肩こり・首こりといった不調につながります。
(2) 血流が悪い
僧帽筋の硬さには、血流も関係しています。血流が悪いと、体温が下がり筋肉は冷えて硬くなります。すると疲労が溜まりやすく、疲労で硬くなった筋肉が血管を圧迫して、さらに血流を妨げるという悪循環に。
血流が悪くなる原因は運動不足が考えられますが、筋肉を使いすぎている場合もあります。特に僧帽筋は姿勢を維持する役割があるため、崩れた姿勢が続くと負担が大きくなります。
デスクワークやスマホ操作など前かがみの姿勢で長時間座っていると、体全体としては運動不足になりますが、部分的には使い過ぎているということになります。
(3)ストレス
僧帽筋が硬くなる原因の一つに、精神的ストレスもあります。人は緊張すると無意識に肩に力が入りますが、その肩をすくめる動作は僧帽筋を収縮させている状態になります。
そして、精神的ストレスは自律神経を乱して、血流を悪化させます。それによりさらに僧帽筋が硬くなってしまうのです。
(4)寒さ
寒さも肩・首まわりが硬くなる原因になります。寒さを感じると、自然と体を丸めた姿勢になり、肩に力が入りませんか。この状態が続くと僧帽筋が緊張して、血行不良や筋肉疲労からどんどん硬くなります。
僧帽筋が硬いと、健康にも美容にもデメリット
僧帽筋が硬い人のほとんどが、肩こり・首こりのほか、背中のこり、腰痛などの不調に悩まされます。僧帽筋が硬いと正しい姿勢を維持しにくいからです。また、悪い姿勢によって慢性的に疲労が溜まり、その凝り固まった僧帽筋が血管を圧迫すると、脳への血流が不足して「筋緊張型頭痛」を引き起こすことも。
さらに、スタイルにも悪影響が出ます。猫背のまま僧帽筋が固まることで、見た目も老けた印象になります。背中が丸まると胸が下向きになり、下腹部が出っ張るため、バストラインが下がりポッコリお腹に。
加えて背中やデコルテまわりの血流、リンパの流れが悪くなるため脂肪がつきやすく、むくみやたるみにつながることも。僧帽筋の硬さにより、背中のぜい肉がはみ出す、首が短く見える、二重あごになるなど、ボディラインが崩れる原因になります。
僧帽筋が硬いときの改善法は?
僧帽筋に関わらず筋肉が凝り固まっているときは、筋肉を「ほぐす」「あたためる」ことが効果的です。血流が良くなり、疲労が軽減します。ストレッチやマッサージ、軽めのウォーキングのほか、ゆっくりとお風呂に浸かるなどのセルフケアがおすすめ。筋肉の硬さが取れるうえにリラックス効果もあり、緊張を和らげてくれますよ。
「僧帽筋ストレッチ」の効果やメリット
ご紹介したセルフケアの中でも、僧帽筋の硬さをとるにはストレッチがおすすめです。僧帽筋の柔らかさをキープするためにも、できるだけ毎日行いましょう。僧帽筋ストレッチの5つの効果やメリットをまとめました。
(1)肩こりや首こりの改善・予防
首から肩にかけて広範囲で広がる僧帽筋。ストレッチによって、首や肩まわりの血行がスムーズになると、疲労で硬くなった筋肉がほぐれます。つらい肩こりや首こりを改善し、予防することにもつながります。
(2)姿勢改善、猫背もリセット
僧帽筋が凝り固まっていると、正しい姿勢を維持するのが難しくなります。僧帽筋ストレッチを行い動きやすくなると、自然と肩甲骨を引き寄せて胸を開くことができ、背筋の伸びた姿勢をキープしやすくなります。猫背が改善することで、腰痛予防にも効果的です。
(3)首、肩、背中をスッキリ見せる
僧帽筋ストレッチによって、首や肩まわりの血流、リンパの流れが良くなると、デコルテまわりや背中のむくみ、たるみが目立ちにくくなります。僧帽筋が動きやすくなることで背筋の伸びた美しい姿勢が復活、後ろ姿もスッキリしますよ。
(4)バストラインを引き上げる
ストレッチによって僧帽筋が動きやすくなると、理想的な姿勢を保ちやすくなります。すると下向きだったバストが上向きになり、バストラインの引き上げにもつながります。加齢で垂れ下がった胸元の対策に効果的です。
(5)リラックス効果
僧帽筋ストレッチは筋肉をほぐすだけでなく、ストレッチ中にゆっくり呼吸を繰り返すことで、精神的なリラックスにもつながります。緊張で固まった肩の力が抜け、同時に自律神経を整えます。ゆったりストレッチを続けて、心の緊張も和らげましょう。
自宅でできる「僧帽筋ストレッチ」
肩こり、首こり予防のためにも、ストレッチは毎日続けると効果的です。自宅でいつでもできて、継続しやすい「僧帽筋ストレッチ」を3つご紹介します。ゆっくり呼吸を繰り返しながら行う、吐き出すときに脱力する、痛みのない範囲で行うことがポイントです。
座りながら僧帽筋ストレッチ
イスや床に座りながらできる僧帽筋ストレッチです。自宅でも職場でも、すきま時間に行えます。
【やり方】
- イスや床に、楽な体勢で座る。両手を組んで後頭部に添える。息を吸って、吐きながらゆっくり下を向くように頭を前に倒す。
- 首~背中を丸め、上半身の力を抜いて、両手の重みで首の後ろ側を伸ばす。そのままゆっくりと呼吸を3回繰り返す。
- 両手を後頭部に添えたまま、頭を起こして顔を斜め上の天井方向に向ける。ひじを少しずつ外に開きながら、ゆっくり息を吸って胸を開く。
- 息を吐いて脱力し、顔を正面に戻して両手をほどく。
- 右手を左の側頭部に当てて、息を吸って吐きながら、ゆっくり頭を右に倒す。左肩は力を抜いて下に下ろし、ゆっくりと呼吸を3回繰り返す。反対側も同様に行う。
寝ながら僧帽筋ストレッチ
寝る前にベッドの上でできる僧帽筋ストレッチ。リラックスして僧帽筋を十分に伸ばしましょう。お風呂あがりに行えば、さらにストレッチ効果がアップしますよ!
【やり方】
- 布団やマットに仰向けに寝て、息を吸って吐きながら、ゆっくり頭を右に倒す。右のこめかみを下に押すようにして、左側の耳と肩を遠ざける。
- 息を吸って頭を真ん中に戻し、吐きながら反対側も同様に行う。ゆっくり頭を真ん中に戻す。
- 両手を組んで後頭部に添えて、息を吸って吐きながら、ゆっくり頭を持ち上げる。首の力を抜いて首の後ろに伸びを感じながら、目線を胸元へ。
- 息を吸って頭を下ろし、吐きながら頭を少し右に傾けて持ち上げる。首の力を抜いて首の左斜め後ろに伸びを感じながら、目線は右の脇の方向へ。
- 息を吸って頭を下ろし、吐きながら頭を少し左に傾けて持ち上げる。首の力を抜いて首の右斜め後ろに伸びを感じながら、目線は左の脇の方向へ。
ストレッチポールを使った僧帽筋ストレッチ
ストレッチポールを使って、肩甲骨まわりをほぐし、胸を広げるストレッチです。余計な力を抜いて、ポールに上半身の重みをあずけるのがポイント。自宅にストレッチポールがある人は試してみましょう。
【やり方】
- ストレッチポールを置き、ポールの上にお尻から頭まで乗せて仰向けに寝る。両ひざを立てて足でバランスをとる。腕は体の横に下ろして力を抜き、手のひらを上に向ける。
- 手の甲を床に滑らせながら、鳥が羽ばたきするように、両腕をゆっくり上下に動かす。痛くない範囲で少しずつ大きく動かし、10往復繰り返す。
- 背中をポールに押し当てながら、ポールを左右に転がす。肩甲骨まわりをほぐすように、ゆっくり10往復繰り返す。余裕があればお尻を浮かせて、肩甲骨をさらにポールに押し当てながらほぐす。
まとめ:僧帽筋ストレッチで正しい姿勢をキープ! 肩こり・首こり改善にも効果的
背中側に広範囲にわたって広がる僧帽筋は、背筋の伸びた正しい姿勢を保つために大切な筋肉です。スマホやパソコンを使う作業が多い現代人。猫背や前かがみといった悪い姿勢が続くと、僧帽筋は慢性的に疲れが溜まり、どんどん硬くなります。
僧帽筋ストレッチで筋肉をほぐすと、姿勢改善はもちろん、肩こり、首こりの改善、予防につながります。また、心身のリラックスのほか、肩や首、背中まわりのたるみをスッキリさせて、きれいなボディラインへと導きます。
ストレッチは少しずつでもいいので、毎日続けると効果的です。肩こりや首こりのない快適な体、いつまでも美しいスタイルのためにも、僧帽筋ストレッチを習慣にしましょう。
[ 監修者 ]
- https://www.instagram.com/ayu.fitfit/