女性ホルモンを知れば、更年期は怖くない|私のためのフェムテック(2)
女性の健康課題を解決する「フェムテック」の連載。第2回は、更年期に特化した情報提供、オンライン相談サービスを行うTRULY(トゥルーリー)の二宮未摩子さんを迎え、更年期のフェムテックについて考えました。
目次
TRULY 二宮未摩子さん
事前の知識があれば、更年期は怖くない
閉ざされてきた更年期の不安、悩みを、様々な形で解決するためのサービスを展開する二宮さん。
二宮さん自身は更年期をまだ経験していませんが、妊娠時につわりに苦しみ、女性の心と体はホルモンの影響を大きく受けることを痛感したそうです。
「ひどいつわりによって仕事を続けられなくなったり、パートナーとの関係がギクシャクしたり、自分の人生に想定外のことが起こりました。のちに女性ホルモンの影響だと知ったとき、『知識があればもっと適切な対応ができたのに』と悔やんだことが起業の原動力となっています」
日本では、更年期の情報、サービスは想像以上に不足しているのが実情。情報を得にくいことが、女性たちを過剰に怖がらせている面もあります。 「更年期の症状には個人差がありますが、更年期自体は誰にでも必ずやってきます。当事者だけでなく、これから更年期を迎える人こそ正しい知識を身に付け、備えておくことで心構えは大きく違ってきます。事前の知識があれば、更年期は怖くありません」
更年期は女性だけの問題ではない
TRULYが重視しているのは、更年期は男女共通の課題だということ。更年期を乗り越えるには男性の理解、協力が不可欠ですが、「更年期は女性のもの」という思い込みが大きな妨げになっています。
「更年期は男性にもあるものですし、男性が当事者意識を持つための情報発信、啓蒙も積極的に行っています。実は不調を抱える女性への接し方がわからず、戸惑っている男性も多いです。そもそも、女性と男性では体の構造やホルモンのメカニズムが異なります。“わかりあえない”と距離を置くのではなく、お互いの違いを理解しようと歩み寄ることが大切で、共に更年期に前向きに取り組んでいけたらいいですね」
TRULYのサイトを見ると、ブランドロゴやサイトのデザインなどからジェンダーレスな雰囲気が伝わってきます。
「当初は女性の更年期に焦点を当てており、サイトの配色をピンクにするなど女性を意識していた部分がありました。ですが、TRULYの構想時から更年期は男女の共通課題だという思いがあったので、社会全体で更年期に向き合っていこうというメッセージを前面に出しています」
更年期の対策では、モノより「教育・啓発」が大事
多くの女性が悩みを一人で抱え込み、耐えてきた更年期の問題。閉経、デリケートゾーン、性、セックスの悩みがあっても、話す場がなく、どう話していいかわからない人も多いのではないでしょうか。
「日本の性教育は遅れており、世代によっては自分の体の仕組みや性のことをよく知らない人もいます。また女性ホルモンのメカニズムについて知らない人は大勢おり、そのことが『更年期は恥ずかしいこと』『女性ホルモンが減ると女性でいられなくなる』といったネガティブな先入観につながっているように思います。まずは更年期のネガティブなイメージを取り払い、悩みや不安をオープンに話せる社会にするための手助けをしていきたいです」
また、フェムテックが注目されるのは良いこととしながらも、“モノ”が先行し、“モノ”に頼りすぎることで健康を害する危険性もあると二宮さんは警鐘を鳴らします。
「正しい知識がないとフェムテックのどの商品を選べばよいか判断がつかず、合わないものを使えば自分の体を傷つけることになりかねません。フェムテックを世の中に正しく浸透させていくためにも、医師や専門家と連携しながら、本当に正しい情報の提供や啓発をきめ細かく行っていくことが重要と考えています」
一人ひとり異なる悩み、不調に寄り添い、医療機関への橋渡しや、医療の手前で女性に寄り添う情報、サービスを提供するTRULY。今まさに不調に苦しんでいる人から、将来に向けて自分の体を知りたいという人まで、全ての女性がより健やかに、ハッピーに生きるためのサポートをしています。
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雑誌『からだにいいこと』では、「フェムテック」にまつわる連載を掲載。
「からだにいいことLab」の所長・奥谷を中心に、みなさまに役立つ情報をお届けします。
2023年2月号誌面でも、二宮さんのインタビュー記事をお読みいただくことができます。42~43ページを、ぜひご覧ください!
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取材・文/武田京子 撮影/福島章公
女性の健康課題を解決する「フェムテック」の連載。初回は、日本のフェムテックのパイオニア・fermata(フェルマータ)の中村寛子さんをゲストに迎え、「からだにいいこと」なりのフェムテックについて考えました。