肌のターンオーバーを整えるには?スキンケアと美肌をつくる食べ物
乾燥や肌荒れなど、さまざまな肌トラブルの根底には、ターンオーバーの乱れがあるかもしれません。肌のターンオーバーの仕組みや周期を整えるためのスキンケア、食事について、皮膚科医に聞きました。
目次
肌のターンオーバーとは“細胞の生まれ変わり”のこと
女性なら誰しも聞いたことがある「ターンオーバー」とは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わることを言います。肌は表面にある「表皮」、表皮の内側にある「真皮」、さらにもっと内側の「皮下組織」と3つの層になっていて、ターンオーバーは表面の表皮で起こります。
さらに表皮の中でも4層に分かれ、肌の一番表面から順に「角層」「顆粒層(かりゅうそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「基底層」という4つの層に分かれます。
表皮では、一番内側の基底層でつくられた細胞が分裂して新しい細胞をつくり、少しずつ形を変えながら角層に向かって押し上げていきます。ターンオーバーによって角層にたまった古い細胞は、やがて垢となって剥がれ落ち、新しい細胞に生まれ変わります。これが肌の表皮で日々行われている、ターンオーバーの仕組みです。
周期は30代で約40日、40代で約55日
例えば、子供の頃にケガをしても早く治ったのに、大人になると治りが遅くなったと感じることはありませんか。年齢を重ねるにつれて、細胞の生まれ変わりはだんだん遅れていきます。
当然ターンオーバーの周期も、年齢によって変わっていきます。20代の肌の生まれ変わり周期は約28日、30代は約40日、40代は約55日、50代は約75日、そして60代は約100日と言われています。40代を過ぎると、周期は20代の約2倍になります。
ターンオーバーが乱れると肌トラブルに
ターンオーバーが乱れると、角層を構成している古い「角層細胞」がうまく剥がれ落ちなくなり、角層に蓄積。古い角層のままだと肌のキメ細やかさが出なくなります。
また、くすみもターンオーバーの乱れが関係しています。角層に押し上げられる途中の角層細胞はデコボコしており、光をうまく反射できません。そのため肌が全体的にくすんで見えるのです。
このように、ターンオーバーが乱れると肌トラブルや悩みにつながります。
肌のターンオーバーが乱れる原因
肌が正常に生まれ変わるには、まず健康な体を維持できているかがカギになります。ターンオーバーが乱れる大きな原因に、生活習慣や食生活があげられます。
睡眠不足だと細胞の生まれ変わりに必要な「成長ホルモン」が十分に分泌できません。また、ストレスを感じると自律神経のバランスが崩れて、肌のターンオーバーにとっても悪い状況に。
その他、便秘で腸内環境が悪くなることや偏った食生活、無理なダイエットで十分な栄養素を摂取できないこともターンオーバーに影響を及ぼします。
生理前はターンオーバーが乱れやすい
女性の肌は、生理周期によっても変化があります。生理の1週間ぐらい前になると、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減少し、肌が敏感になります。この生理前の時期はターンオーバーが乱れやすくなり、肌トラブルを感じることがあるでしょう。
反対に生理から排卵前はエストロゲンの分泌が増えるため、肌の調子が良くなります。生理の前後でスキンケアを変えてみるとよいでしょう。
ターンオーバーの乱れをセルフチェック
気になるのは、自分の肌のターンオーバーが乱れているか、ということ。肌トラブルが多く、ターンオーバーが乱れているかもと感じる人は、以下の項目をチェックしてみましょう。
□肌の乾燥やごわつきを感じる
□いつもより傷が治るのに2週間くらいかかる
□以前よりも肌が敏感になった
□化粧ノリが悪い
いかがでしたか? 2つ以上当てはまる場合は、ターンオーバーが乱れている可能性があります。
ターンオーバーを整えて肌を健康に保つには?
いま感じている肌トラブルやお悩みの中には、ターンオーバーが原因となっている場合があるかもしれません。肌のターンオーバーを整えることは、美肌づくりの基礎となります。ここからは、ターンオーバーを整えるためにできる対策をご紹介します。
紫外線ケアをこまめに
紫外線は、量に関わらず浴びることで肌にダメージを与え、老化を早めます。紫外線は1年じゅう降り注いでいます。夏に限らず、秋や冬でも紫外線ケアを習慣にして、肌を守りましょう。
朝から日焼け止めをしっかり塗ることはもちろん、帽子や日傘、UV素材の上着などで強い日差しをカット。紫外線による肌の炎症を防ぐことが大切です。
スキンケアは保湿を重視
紫外線同様に肌が乾燥することもターンオーバーの乱れにつながります。スキンケアの際は化粧水をたっぷりつけて、保湿をすること。乾燥が気になる部分には重ねづけをしましょう。
そして、化粧水によるうるおいが蒸発しないように、乳液やクリームを塗って蓋をすることもお忘れなく。乳液やクリームのこってりとしたテクスチャーが苦手な人やテカリが気になる人は、油分が少なめでテクスチャーの軽い乳液やクリームを選びましょう。
スクラブやピーリングで角質ケア
ターンオーバーが遅れると、古くなった角質が肌に残った状態になります。そのままにしておくと、ますますターンオーバーが乱れる原因に。
そこで試したいのが、肌に負担がない程度のスクラブやピーリング。細かい粒子のスクラブや、ソフトなピーリングジェルを使って優しく角質を取り除きましょう。剥がれおちるべき角質が除去されると、肌の生まれ変わりが次第に整いますよ。
ただし、頻繁に行ったり強くこすったりするのは逆効果。肌を傷めて、角質を厚くしてしまいます。角質オフの後は乾燥しやすいので、しっかり化粧水や乳液で保湿を。
十分な睡眠時間を確保
肌の新陳代謝は寝ている間に行われるため、睡眠はとても大切です。理想的な睡眠時間は、7時間前後と言われています(※1)。また、眠りはじめの30〜60分に深い眠りの「ノンレム睡眠」に入ることができれば、美肌をつくる成長ホルモンの分泌につながります。
深い眠りに入るためには、就寝前にリラックスするよう体を整えることが大切です。寝る1時間前くらいにぬるめのお風呂に浸かったり、ストレッチや瞑想を行ったりするのもいいでしょう。
一方、寝る前の強い光は脳を刺激して体を覚醒させてしまいます。布団に入る1時間前には、スマホやパソコンの画面を見るのをやめましょう。
(※1)健康長寿ネット 第1回 世界最大級の睡眠負債大国日本より
水分補給をこまめに
こまめに水分を補給して体の内側からうるおいで満たすことも、美肌づくりに欠かせません。水分の摂取は、乾燥によってターンオーバーが乱れるのを防ぎます。
また、便秘になると、便が滞留することで腸内に有害物質が発生。腸内環境は“肌の鏡”とも言われています。水分補給をしたり食物繊維を多く含んだ食べ物を摂取したりして、お通じをスムーズに保ち、腸内環境を整えることもおすすめです。
体を動かしてストレス発散
ストレスが多くなると、自律神経のバランスが崩れて肌にも影響。ターンオーバーが乱れる要因になります。
そのためストレスはため込みすぎずに、その日のうちに発散を。おすすめなのが、体を動かして気分をリフレッシュすることです。ゴロゴロと横になってばかりいるよりも、外に出て散歩をする、掃除をする、近所に買い物に行くなど、少しでも体を動かす時間を持ちましょう。
心と体はつながっています。運動をすると血流がアップして、“幸せホルモン”とも呼ばれる「セロトニン」の分泌が増えると言われています。また、体を動かすと血流が良くなり、肌にもいい効果があります。気持ちがモヤモヤしたときこそ、体を動かしてみましょう。
肌のためにはたばこやお酒を控える
肌のターンオーバーを気にかけるなら、たばこやアルコールは控えましょう。たばこは血管を収縮させるため、血流を悪化させます。肌細胞に十分な栄養と酸素が行き渡らなくなるため、ターンオーバーに悪影響を及ぼすことに。
たばこに加えて、アルコールは、利尿作用によって体の水分や必要な栄養素が不足。ターンオーバーの乱れの原因となる乾燥を引き起こします。
禁煙したいと思っても続かない人、やめるのに一歩踏み出せない人は、禁煙外来を活用するのも有効です。自分や家族にまつわる記念日や、「1のつく日」などの分かりやすい日を禁煙開始日にするのもよいでしょう。
また、お酒が好きな人も肌や体を健康に保つために、週に数日は休肝日を。ストレスを感じたらウォーキングなどの軽い運動をするのがおすすめ。お酒にたよらずにストレスを発散して、飲酒の機会を減らすことから始めるとよいでしょう。
肌のターンオーバーを整える食べ物
きれいな肌を保つには、体の内側が健康であることが欠かせません。そのためふだんの食生活も関係してきます。ここからは、肌のターンオーバーを整える作用がある栄養素や食べ物をご紹介します。
たんぱく質
たんぱく質は体をつくる必要不可欠な栄養素です。肉類や魚類、卵、乳製品、大豆製品に多く含まれています。
- 牛もも肉
- 豚ロース肉
- 鶏ささみ
- まぐろ
- 鮭
- 卵
- 豆腐
- きな粉 など
ビタミンA
ビタミンAには、肌や粘膜を健康に保つ働きがあります。主にレバーや緑黄色野菜などに多く含まれます。
- 豚レバー
- 鶏レバー
- うなぎの蒲焼
- 干しのり
- モロヘイヤ
- にんじん
- ほうれん草 など
ビタミンB2
ビタミンB2は肌や粘膜の保護をして代謝をサポートする働きがあります。ビタミンA同様に豚レバーやのりに多く含まれています。
- 豚レバー
- のり
- 魚肉ソーセージ
- アーモンド
- 卵
- ブロッコリー
- アボカド
- 納豆 など
ビタミンB6
酵素の働きを助ける、補酵素として働くビタミンB6も、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない成分。肌のターンオーバーにも関係しています。
- 豚レバー
- 牛レバー
- まぐろ
- かつお
- 魚肉ソーセージ
- ずわいがに
- うずらの卵
- 焼きのり
- アーモンド
- 納豆 など
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲン生成に必要な栄養素であり、肌質改善をサポートします。また、強い抗酸化作用があり、ストレスによる影響から肌を守ります。野菜や果物に多く含まれる栄養素です。
- アセロラ
- キウイフルーツ
- オレンジ
- 赤ピーマン
- 芽キャベツ
- ブロッコリー など
ビタミンE
血行を促進し新陳代謝をサポートするビタミンEは、ナッツ類や油に多く含まれています。また、ビタミンCと同じく強い抗酸化作用があり、肌の老化を抑制する働きもあります。
- アーモンド
- 落花生
- ひまわり油
- オリーブオイル など
カリウム
カリウムは細胞の新陳代謝をサポートして、皮膚の再生を促す働きがあります。海藻類やドライフルーツなどに多く含まれています。
- さつまいも
- 里芋
- 長いも
- ひきわり納豆
- かぼちゃ
- バナナ
- アボカド など
カルシウム
カルシウムはターンオーバーの正常化を手伝い、肌の透明感をアップするのに大切な栄養素です。
- 干しエビ
- 干しひじき
- 刻み昆布
- 干しわかめ
- チーズ
- ごま
- 干し大根 など
参考:健康長寿ネット 栄養素 より
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-e.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html
食事にサプリをプラスするのもおすすめ
ターンオーバーが正常に行われる健康な肌は、バランスの良い食事を摂ることが基本になります。
しかし栄養素のなかには日常的な食事ではカバーしきれないものもあります。そんなときは、サプリメントの力を借りるのもよいでしょう。食事に加えてさらに効率的に栄養素を摂取することができます。
まとめ:規則正しい食事と生活習慣で肌のターンオーバーを正常に
肌のターンオーバーは、年齢に合った周期をキープすることが大切です。そのためには、しっかり睡眠をとって適度に体を動かしたり、栄養たっぷりの食事を摂ったりしてターンオーバーを整えましょう。
肌のターンオーバーは目には見ませんが、食事や生活を整えていけば、ハリアップやくすみ改善などにつながり、肌の調子があがっていくはずです。体の外からと内側からのセルフケアで、健康な肌をつくりましょう。
文/廣瀬茉理
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