自然災害や日常の危険から身を守る!自衛隊式トラブル突破法 15
自然災害や不審者の出現、野外での怪我など…日常の危険から身を守る知識とアイテムを、元自衛隊員で防災士の小野寺耕平さんがご紹介。イザというときにパニックになることなく行動できますよ。
目次
身近なトラブルを察知して予防&対処をスムーズに!
普段からの備えの有無が、イザというときの運命を左右します。災害時や日常に潜むトラブルを回避するコツを、元自衛隊員で防災士の小野寺耕平さんに教えてもらいました。
「夏場は特に熱中症や脱水症に注意が必要です。のどが渇いていなくても30〜45分おきに少しずつ水分を摂りましょう。効率よく水分や塩分を補給できる経口補水液がおすすめですが、買わずに手作りできます」
また、女性が気になる防犯対策や夏の防災についてもアドバイス。
「家の周囲にいつもは見かけない人がいる、何かがおかしい……など、違和感に気がつくことが大切。さらに、簡単な護身術を覚えておくと役立ちます。防災の一環として取り入れてほしいのは、家族間だけでやり取りするSNS。情報やメッセージを共有でき、お互いの状況を知ることができます。トラブルに遭ったときにも慌てずに対処できますよ!」
【日常のトラブル】どうしようもないとあきらめるな!
生ゴミのイヤなにおい、簡単に剥がれてしまうばんそうこう……。そんなあきらめてしまいがちな日常の悩みを自衛隊式トラブル突破法で解決します。
(1)生ゴミのにおいがきつい……
耐熱性のポリ袋に生ゴミを入れてラップで包むと、においづらくなります。また、ラップを少し長めに切り端から巻いて作った紐でゴミ袋を縛るのも◎。
(2)ばんそうこうが剝がれる
指先にばんそうこうを貼るときは、左右からガーゼのフチまで切り込みを入れ、写真(2)と(3)のようにクロスさせて貼ってください。テープの部分が重なり、剝がれにくくなります。
(3)火災時に消火器が近くにない
ガスコンロから火が出ているのに消火器がない! そんなときは、コーラなどの炭酸飲料を振って横から火元に向けて放射。炭酸飲料に入っている二酸化炭素と、燃えにくい砂糖で火が消せます。
※天ぷら油の火事には効果がないので使用しないでください。
【自然災害】なんとかできる、大丈夫!
いつ起こるかわからない自然災害。ライフラインがとまったときに、家庭にあるものや、防災バックに入っているもので簡単にできるトラブル対処法を紹介します。
(4)缶切りがない
スプーンの底を外側に向け、缶詰のフチに押しつけます。なるべくフチ側に沿って手首をテコの要領でグイグイと動かすと穴が開きます。穴から中身が取り出せるくらいまで広げてください。
※安全のため軍手を着用してください。
(5)非常食が足りない
昨今人気のオートミールは、小麦粉より火が早く通り、調理が簡単なので防災食としても◎。おすすめは、アメリカ軍が鍬(くわ)にのせて焼いていたという「鍬パン」。香ばしくておいしく、食べ応えバツグンです。
オートミールに塩と水を入れて混ぜた生地を、オリーブオイルをひいたフライパンで両面焼くだけ。右半分にメープルシロップをかけるのが小野寺流。
(6)伝言手段がない
災害時に家族より先に避難する際、ペンがなくてもガムテープがあれば、伝言手段として使えます。壁に「大丈夫」「生きています」など、文字を“書く”ことができます。
(7)お風呂に入れない
レジ袋などのビニール袋に水を入れたら、ボールペンで小さい穴を開けるだけ。お風呂やシャワーが使えない非常時には大活躍。小さめの袋に入れればウォシュレットの代わりにも。
(8)停電してしまった
懐中電灯とペットボトルでひと工夫。懐中電灯のライト部分の上に、水の入ったペットボトルをのせてライトをON。光が乱反射して、周囲を明るく照らすランタンに早変わりします。
(9)お湯がない
高温タイプの使い捨てカイロを使ってお湯を作る裏ワザ。靴下の中に、カイロと水の入ったペットボトルを一緒に入れて2時間ほど待つだけで、40度前後のお湯が作れます。
ペットボトルの底にカイロを1枚当てて靴下の中に入れ、残りのカイロはペットボトルの周りを囲むように、すき間なく入れます。
もし今、地震が発生しても「大丈夫」と言えるくらい準備ができていますか? 新型コロナウイルスの流行により、これからは感染症予防を含めた防災対策が欠かせません。コロナ禍で地震が起きる前に、今からできる災害の備えを徹底解説します。
【野外のトラブル】素早く正しく対処しよう!
野外での熱中症や捻挫などは、すぐに処置することが重要です。アウトドアレジャー中の急なトラブルが起きたときの対処法を紹介します。
(10)熱中症で倒れそう
頭痛や吐き気などの熱中症の症状が出たら、まずは涼しい場所に移動。あお向けに寝て、脚を高くします。熱中症による脳の酸欠状態を回復させる効果が期待できます。
※症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
(11)足をひねった、痛い!
ロシアの武術が発祥の「システマ式」呼吸法。痛みを和らげてストレスを軽減させるといわれています。鼻から息を吸って、口を小さくすぼめ「スー」と長く吐きます。
(12)脱水症になりそう
緊急で経口補水液が必要なときに役立つ簡単レシピを紹介。砂糖20g(ペットボトルのキャップすりきり4杯分)と塩2gを水500mlによく溶かします。水分と塩以外に、その吸収を助ける砂糖も摂ってください。
※症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
(13)虫がブンブン飛ぶ
アウトドアで虫よけ線香がないときに使えるのが、コーヒーかす。乾燥させたコーヒーかすに、防虫効果のあるバジルの粉を入れて燃やすと、煙が出て蚊などの害虫を寄せつけません。
※乾燥バジルの粉は100円ショップでも購入可能。
(1)コーヒーの出がらしを乾燥させる。
(2)小皿に移し、乾燥バジルの粉をかける。
(3)マッチやライターで火をつける。
【防犯】簡単な護身術で撃退!
最後に、不審者から身を守るための護身術を紹介します。覚えておくことで、危険な目に遭ったときも慌てずに対処できます。
(14)突然背後から抱きつかれた
後ろから襲われた場合は、(1)相手の足を思いきり踏みつける。(2)相手がひるんだ隙に顔をめがけて後方に頭突きをする。事前に練習しておくとパニックにならず、安全に逃げ出せます。
(15) 不審者に手首をつかまれた
つかまれた手首を外すときは、相手の指先とのすき間に注目。イラスト(2)のように手首を回転させてひねると、手首とのすき間が大きくなり、手が抜きやすくなります。
イラスト/二階堂ちはる
(からだにいいこと2022年8月号より)
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