効果的に鍛えられる腹筋運動は?部位別メニューと正しいやり方
腹筋運動でお腹を引き締めたい、筋力をつけて美しいお腹を目指したいと思いませんか。お腹にしっかり効かせるにはポイントがあります。パーソナルトレーナーが、腹筋運動の部位別メニューと正しいやり方を解説します。
目次
腹筋運動で鍛えるべきお腹の筋肉は?
腹筋はひとつの筋肉につながっているように見えて、いくつかの筋肉にわかれています。ぽっこりお腹を効率よく引き締めるには、部位ごとに鍛えることが大切です。まずは腹筋運動で鍛えるべき3つの筋肉をくわしく解説します。
腹直筋
腹筋の中でもお腹の前側にあるのが「腹直筋(ふくちょくきん)」です。「お腹が割れる」「シックスパック」などといわれる部位がこの腹直筋にあたります。腹直筋は、肋骨の下から骨盤にかけてついている筋肉です。
腹筋はお腹を丸めたり体を起こしたりするときや、正しい姿勢を維持するときなどに働きます。お腹を引き締めてスタイルアップするだけでなく、体幹を強化して腰痛を予防する働きもあります。
「きれいな線が入った腹筋をつくりたい」というときは、腹直筋がカギを握ります。腹筋運動によって脂肪を落とし、腹直筋に厚みが出てくることで、引き締まった美しいお腹をつくることができます。
外腹斜筋
わき腹にななめに走るようについているのが「外腹斜筋(がいふくしゃきん)」です。外腹斜筋を腹筋運動で鍛えると、くびれ作りに効果的です。外腹斜筋には、体をひねる、横に傾ける、体幹を固定するといった役割があります。
日常生活でも、座っているときに姿勢をキープする、体をひねるといったときに外腹斜筋を使うことが多くあります。そのため、外腹斜筋の筋力が弱くなると腰痛になりやすかったり姿勢が崩れやすくなったりします。
内腹斜筋
外腹斜筋の内側を走っている筋肉が「内腹斜筋(ないふくしゃきん)」です。内腹斜筋が弱いと外腹斜筋とのバランスが悪くなり、筋肉量が減ったり代謝が落ちたりしてくびれが作りににくくなります。
また、内腹斜筋を鍛えると肋骨を引き締める効果も。くびれを作るためには肋骨の動きが重要です。肋骨が引き締まった状態にならないと、脂肪を落してもウエストは太いままです。
そのため内腹斜筋を鍛えることもくびれ作りに有効。腹筋の引き締めと同時にくびれもできると、スタイルアップして見えます。
腹筋の部位別メニューと正しいやり方
腹筋運動でお腹を引き締めるためには、ここまでご紹介した3つの腹筋を、部位ごとに鍛えることが重要になります。お腹の前側の腹直筋、わき腹にある外腹斜筋と内腹斜筋をそれぞれ鍛えるメニューをご紹介します。腹筋運動でバランスよく鍛えることで、ぽっこりお腹の改善やくびれメイクなど、うれしいお腹やせ効果が期待できますよ。
腹直筋を鍛える「クランチ」
腹直筋を鍛えるメニューとして定番なのが「クランチ」という運動です。正しいやり方で行うと、ぽっこりお腹の改善や見た目が引き締まるといった効果が得られます。
【やり方】
- 仰向けになり、足の裏は床につけたままひざを90度に曲げる。手は頭の後ろに添える。
- へそを覗き込むようにして上体を起こす。そのとき足の裏が浮かないようにして、上半身を曲げられるところまで起こす。
- 1に戻って10回繰り返す。1セット終わったら30秒~1分休みをはさんで3セット行う。
【ポイント】
- お腹を丸めることを意識する
- おへそを見る
- 足の裏が浮かないようにする
- 上半身を起こし切らなくてもOK
外腹斜筋を鍛える「サイドクランチ」
わき腹にななめに走る外腹斜筋を鍛えるのが「サイドクランチ」です。サイドクランチは、体を横向きにして上体を持ち上げ、ピンポイントでわき腹の筋肉を鍛える腹筋運動です。きれいなくびれを作るために外腹斜筋をしっかりと鍛えましょう。
【やり方】
- 仰向けになり、足の裏を床につけたままひざを90度に曲げる。
- 体を右側に倒す。左手は頭の後ろに添え、右手は倒れないように床につけてお腹の前で支える。
- 上体を起こしてわき腹を丸める。
- 2に戻って10回繰り返し、1セット終わったら30秒~1分休みをはさんで3セット行う。反対側も同様に行う。
【ポイント】
- わき腹を丸めるように
- 上体を起こしてわき腹を丸めたときに体がぶれないようにする
内腹斜筋を鍛える「バイシクルクランチ」
内腹斜筋は「バイシクルランチ」というエクササイズで効果的に鍛えられます。内腹斜筋は骨盤から肋骨にかけて付いている筋肉。バイシクルランチは、右肋骨と左骨盤を、左肋骨と右骨盤を、同時に近づける動作で内腹斜筋を鍛えます。外腹斜筋とバランスを良くするために行いましょう。
【やり方】
- 仰向けになり、ひざは伸ばして足を20㎝床から浮かせる。
- 両ひじを90度に曲げる。左ひざと右ひじを2秒かけて近づけてタッチ。すぐ体を戻す。
- 反対も同様に、右ひざと左ひじを2秒かけて近づけてタッチ。すぐ体を戻す。これを10回繰り返し、1セット終わったら30秒~1分休みをはさんで3セット行う。
【ポイント】
- ひざとひじを近づけるときに、体がぶれないようにする
- ひじとひざをできる限り近づける。なるべくタッチできるように
- 10回繰り返している間は、足を床につけない
腹筋運動はどれくらいで効果が出る?
ここまで、部位別に腹筋を鍛えるメニューとポイントを紹介しました。腹筋運動の効果があらわれるまでには個人差がありますが早い人で1カ月、遅い人でも3カ月程度はみておきましょう。
腹筋運動を始めてお腹に筋肉がつくまでには最低でも1カ月は要します。また、腹筋運動を始める段階でどの程度の筋力と筋肉量があるかで、効果も大きく変わってきます。
実際に腹筋運動を続けていると、お腹が引き締まってきたり、くびれが作れてきたりして効果を実感できるでしょう。
そして、腹筋運動を行う頻度や回数でも変わります。週に5日以上など、トレーニング頻度が多く、もともと筋肉量が多い方であれば1カ月でくびれができ、引き締まったお腹が手に入るでしょう。
今まで腹筋運動を行ってこなかった方や腹筋の筋力が弱い方は、効果が出るまでに少し時間がかかる可能性があります。
週に3回程度が理想
腹筋運動は週に3回程度がおすすめです。毎日行った方が良いと思うかもしれませんが、実は筋肉は筋トレをしたあと休んでいるときに成長します。
筋肉が完全に回復していない状態で次の腹筋運動を行うと、筋肉がつかなかったり筋肉量の減少につながったります。特に運動習慣がない方は、慣れない筋トレをすると初めのうちは身体的な疲労が回復しにくくなります。
1度腹筋運動を行ったら、完全に回復するまで最低2日は休みましょう。腹筋を休めている間は、下半身や腕などのトレーニングを行ってもOK。他の筋肉も鍛え、代謝を上げてお腹を引き締めやすくします。
腹筋運動を始めたばかりの頃は、2日経っても筋肉痛や疲労が残っている場合もあります。そのときは休んでも問題ありません。しっかりと筋肉を回復させてから腹筋運動を行う方が効果的です。
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腹筋運動で挫折しないためのポイント
トレーニングをやるまでが億劫、翌日の筋肉痛がつらいといった理由で、なかなか継続できない方も多いと思います。初めて本格的にトレーニングを行う方であれば、筋肉痛の痛みや腹筋運動のしんどさは慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。
しかし、きついトレーニングをすることが正しいやり方ではありません。追い込み過ぎると筋肉量の減少につながることもあり逆効果の場合も。
腹筋運動は毎日やる必要はありません。その点、実はみなさんが思っているよりハードルは低いといえます。ここからは腹筋運動で挫折しないポイントをお伝えします。
負荷を上げ過ぎない
腹筋運動を継続して行うために大事なのは、最初から負荷を上げ過ぎないことです。負荷を上げ過ぎると、腹筋運動が初めからきついものになります。
特に初心者や運動に慣れていない方が高い負荷で行うと、精神的にもしんどくなり運動を続けることができません。
まずは低負荷で正しいフォームを心がけて行いましょう。低負荷の基準は、「10回行うのに余力を残して終われる程度」です。
例えば、クランチで10回目を終えた後でも、すぐに起き上がることができたり、すぐ次の行動に移ったりできるくらいが目安。
負荷が弱いと効果がないと感じるかもしれませんが、まずは負荷よりもフォームの方が大切。そのため正しいフォームで適切な回数を行えれば、効果は十分に見込めます
頻度を上げ過ぎない
負荷と同時に、腹筋運動を行う頻度を上げ過ぎないことも大切です。先ほどもお伝えしたように、筋肉は休んでいるときに成長します。頻度を上げ過ぎることで、身体的な疲労がたまり筋肉が付きにくくなります。
その結果、今まで以上にトレーニングがしんどくなり、挫折する原因に。そんなときは、筋トレの頻度を下げて休んだ方が筋肉はつきます。
無理して行うことのメリットはほとんどありません。腹筋運動は頻度を上げ過ぎず、週に3回を目安に行いましょう。
目標を持って行う
当たり前のようで見落としがちなのが、目標をもって行うこと。これはモチベーションにつながる大事なポイントです。
「どうなりたいのか」といった目標がないままレーニングをすると、途中で「何のためにやっているのだろう」とモチベーションの低下につながります。
そのため、トレーニングをやる目的を明確にしましょう。例えば、「スカートが履けるようになりたい」「きれいなお腹を目指したい」など何でもOK。目標を持つことで、つらくなったときの励みになります。
腹筋で腰が痛くなる原因
腹筋運動をすると、中には「腰が痛くなる」という方もいます。正しいフォームで腹筋ができていないと、腰周りの筋肉を過剰に使ってしまい、腰が痛くなることがあります。特に腰の筋肉は背中を丸めたときに張りやすく、腰の骨である腰椎(ようつい)にも影響が出やすくなります。
また、正しいフォームでできていないと、腰への負担だけでなく他の関節にも負担となり、その結果、腰の痛みにつながるという悪循環になります。
腰痛が起こる原因の多くは、腰自体に問題があるのではなく他の関節や筋肉がうまく機能しないことがあります。腰を痛めないためにも、腹筋運動は正しいフォーム、やり方で行いましょう。そして、腰に痛みがでた場合は無理をせずに3日程度、腹筋運動を控えましょう。
たるんだお腹を引き締める方法
腹筋運動を行う目的は「たるんだお腹を引き締めたい」という人がほとんどではないでしょうか。腹筋運動を続けることはもちろん大切ですが、効率よくお腹をやせる方法として、いくつか大事なポイントがあります。
たるんだお腹を引き締める方法をご紹介しますので、腹筋運動と共に取り入れてみてください。
脂肪を落とす
お腹を引き締めるためには脂肪を落とすことが大切です。脂肪は筋肉の上にあるので、どれだけ筋肉を鍛えても脂肪が多いと引き締まったように見えません。
体脂肪率でいうと、15%程度でお腹が美しく見えるようになります。美腹を目指したいなら、まずは15%くらいを目標にがんばってみましょう。
お腹の脂肪を落とすには、有酸素運動と食事の見直しを。有酸素運動とは、酸素を取り込みながら行う運動で、脂肪燃焼効果があります。ランニングやウォーキングが主な方法で、20分以上続けることで効果的に脂肪を燃やします。
腹筋の筋肉量を増やす
たるんだお腹を引き締めるためには、筋肉量を増やすことも重要です。体脂肪を減らしても腹筋に筋肉量がないと、たるんで見えてしまいます。
例えば、体脂肪率が同じ15%でも、筋肉量が多い方だと引き締まって見えますが、筋肉量が少ない場合はたるんだように見えます。また、腹筋の筋肉量が増えると代謝も上がるため、やせやすくなるメリットもあります。
腹筋運動以外にお腹を引き締めるには食事も大切
お腹を引き締めるためには運動だけでなく食事も影響します。ダイエットの基本は「摂取カロリー<消費カロリー」です。運動で消費カロリーを増やすことも大切ですが、摂取カロリーを落とすことも重要です。
そのため、お腹を引き締めるためにはなるべく低カロリーの食事を心がけることが大切です。ポイントは、たんぱく質中心の食事を心がけて、油ものを減らすこと。たんぱく質が多く含まれている食品は低カロリーなものが多く、筋肉をつけるためにも必要です。1食に20g前後のたんぱく質を摂取するように心がけましょう。
まとめ:腹筋運動は正しいやり方で効率よく鍛えよう
お腹を引き締めるためには、腹筋を部位ごとに適切な腹筋運動で鍛えましょう。運動初心者でも腹筋運動を継続するためには、高すぎない負荷で行い、頻度も多くないペースから始めましょう。効果を出すためには、自分のペースで良いので毎日続けることが欠かせません。最低でも1カ月は続けてみてください。
また、腹筋運動のほかに、有酸素運動や食事の見直しでお腹の脂肪を燃やすことも重要です。摂取カロリーを意識した食生活を心がけ、「運動×食事」でぺたんこの美しいお腹を目指しましょう。
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