賞味期限切れでも食べられる?迷いやすい食品12選と判断ポイント
買い置きした食品や冷蔵庫の奥にあった食べ物が、気づいたら賞味期限切れだった…。そんなとき、食べてもいいのか迷いませんか? 賞味期限切れでも食べられるのか、食品別に判断基準を解説します。
目次
賞味期限と消費期限の違い
賞味期限と消費期限の違いを知っていますか? 食品は品質が保持できる期間の長さで「賞味」と「消費」が使い分けられています。まずはこの2つの違いを見ていきましょう。
賞味期限とは?
賞味期限とは、定められた方法で保存した場合に、おいしく食べることができる期限。この期限を過ぎてもすぐ食べられないわけではなく、ある程度の品質が保持されています。スナック菓子や焼き菓子、カップ麺、缶詰、びん詰め、真空パックのレトルト食品など、比較的長期保存できる食品に記載されます。
製造日から3カ月を超えるものは「年月」、3カ月以内のものは「年月日」で表示されています。 あくまで開封前の期限を表しているため、一度開けたら期限に関わらず早めに食べることがすすめられています。
消費期限とは?
一方消費期限とは、定められた方法で保存した場合に、保存日数の期限を過ぎたら食べない方が良い期限。食肉やお弁当、生菓子類、惣菜など、賞味期限より短く、製造日を含んで5日以内に消費するべき食品に「年月日」で表示されています。
消費期限も開封前の期限であり、開封後は期限に関わらず早めに食べることがすすめられています。
食べてもいい判断ポイントは? 賞味期限切れになりがちな食品12選
賞味期限切れに気づいても、見た目は問題ないともったいないと感じますよね。食べてもいい判断ポイントを、賞味期限切れになりがちな代表的な食品別に解説します。
(※)保存状態が悪いと賞味期限内でも品質が急速に落ちることがあります。表示されている方法で保存し、基本的には期限内に食べる前提であることに注意してください。
(1)卵
卵の賞味期限は、安心して生食できる期限を示したもの。賞味期限切れだからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。
賞味期限切れになった卵のほか、ひび割れした卵は、十分に加熱すると食べられます。卵ご飯やすき焼きなど、生で使う場合は、賞味期限内でなおかつ、ひび割れのない卵を。賞味期限内でもひび割れがあれば、細菌が繁殖しやすくなるため必ず加熱しましょう。また、保存状態によっても品質が変わります。冷蔵庫には食べ物を詰めこみ過ぎず、8℃以下で保存しましょう。
【賞味期限切れになった卵の判断】
・卵を割ったときに卵黄や卵白が広がり過ぎる場合は処分
(2)牛乳
牛乳の賞味期限は、10℃以下で冷蔵保存した場合の日付。おいしく飲める目安の期限であり、それを過ぎたら飲めなくなるわけではありません。賞味期限切れになったら、見たりにおいをかいだりして確認を。
【賞味期限切れになった牛乳の判断】
・分離している、気泡が現れている
・いつもと違うにおいがする
・鍋に入れて加熱すると徐々に固まる
このような場合は、飲まずに処分してください。
牛乳は10℃以下で冷蔵保存をしても、開封すると賞味期限は無効になります。開封後は2~3日を目安に使い切りましょう。
(3)豆腐
賞味期限切れの豆腐は生で食べるのは避け、十分に加熱を。豆腐は0~10℃以下の冷蔵保存が基本ですが、わずかでも細菌が生存していれば、急激な細菌増殖が起こります。必ず冷蔵保存をしましょう。
【賞味期限切れになった豆腐の判断】
・パックが膨張している
・豆腐や水が黄色く濁っている
・表面に粘膜が生じてぬるぬるしている
・酸っぱいにおいがする
このような場合は、食べずに処分してください。
(4)ヨーグルト
ヨーグルトも未開封で10℃以下での保存なら、賞味期限切れになっても、すぐに食べられなくなることはありません。とはいえ味や風味が落ちることがありますので、なるべく早く食べましょう。
【賞味期限切れになったヨーグルトの判断】
・変色または分離している
・いつもと違うにおいがする
・いつもと違う酸味や苦味がある
このような場合は、食べずに処分してください。
牛乳と同じく、開封したら賞味期限は無効になります。開封後は2~3日を目安に早めに食べ切りましょう。
(5)納豆
「納豆は発酵食品だから大丈夫では?」という方も多いと思います。納豆は保存温度によって風味が変わりやすい食品。おいしく食べるためには、10℃以下の冷蔵庫内で保存します。10℃以上の場所に置いておくと、発酵が進んでアンモニアが発生し、味が落ちる原因になります。
賞味期限切れになると、風味が落ちたり臭いが強くなったりします。おいしく食べるには賞味期間内に。
【賞味期限切れになった納豆の判断】
・茶色っぽくドロッと溶けたような状態になる
・ツンとする臭いや焦げたような臭いがする
・食べるとシャリシャリとした砂を噛んだような食感があり、苦味がある
このような場合は、食べるのを避けましょう。
(6)缶詰・びん詰め
缶詰やびん詰も、賞味期限切れだからといってすぐに食べられなくなることはありません。保管中に新たな微生物が入らない限り、開封しなければ長期保存ができます。ただし、保管期間が長くなるほど、徐々に味が落ちていきます。
缶詰やびん詰めは、温度変化の少ない冷暗所で保存します。また、真空に近い状態で保存しているため、ふたがややくぼみ、押しても硬いものが安心して食べられる状態です。
【賞味期限切れになった缶詰やびん詰めの判断】
・缶詰の場合は缶がサビている
・ふたや容器が膨らんでいる
・ふたを指で押すとペコペコとへこむ
このような場合は、未開封でも微生物が侵入していることが考えられます。思い切って処分しましょう。
(7)レトルト食品
レトルト食品は、プラスチックや金属のフィルムを多層にした袋に、調理済み食品を密封後、加圧加熱殺菌したもの。カレーやシチュー、ハンバーグ、お粥、赤飯などがあります。
レトルト食品も、賞味期限切れになると味や香り、色などの品質が少しずつ変化します。
【賞味期限切れになったレトルト食品の判断】
・いつもと違う味や見た目、においがする
・袋が膨張している
このような場合は菌が増殖している可能性があります。食べるのをやめましょう。
(8)インスタントラーメン
インスタントラーメンも、賞味期限切れですぐに食べられなくなることはありませんが、保存状態によっては品質が落ちている場合もあります。
【賞味期限切れになったインスタントラーメンの判断】
・油が酸化したにおいがする
・麺が変色している
このような場合は、食べずに処分してください。
(9)調味料・食用油
調味料や食用油も賞味期限が切れやすい食品です。
・みそ…特有のよい香りや色つやがあるかがポイント。分かりづらい場合は、みそを10倍に薄めて加熱すると分かります。よいみそは水によく溶け、煮たとき長くにごりますが、品質が悪いと上の方が早く澄んできます。賞味期限切れでも食べられますが、風味は落ちます。
・しょうゆ…やや紅色を帯び、透明感のあるものがおいしく使える状態。辛味が強く、苦味がある、風味が悪いものは処分を。
・食用油…口に含んで少しでも苦味や酸味、異臭を感じるものは品質が悪くなっています。住んでいる自治体のルールに従って処分を。
調味料や食用油も、風味のよいうちに使い切るのがベスト。見た目やにおいを五感で判断して本来の風味と違うと思ったら処分しましょう。
(10)スナック菓子
スナック菓子も、期限が過ぎたらすぐに食べられなくなるわけではありません。ただし、開封すると油の酸化したにおいがしたり、湿気ていたら処分しましょう。賞味期限内でも空気が入ると品質が落ちます。おいしく食べるには開けたら早めに食べきるのが基本です。
(11)ペットボトル飲料
ペットボトル飲料の賞味期限は「年月」で表示されています。これはその年月の「末日まで」おいしく飲めるということ。賞味期限切れのペットボトル飲料は、よどみやにごりがあれば飲むのをやめましょう。
(12)市販薬
市販薬には賞味期限でなく、安心して使える期間として「使用期限」があります。未開封でかつ適切な条件下で保管した場合で、製造から3年が目安になっています。
市販薬は時間がたつにつれ、有効成分が分解されるため、期待通りの効果を示さない可能性があります。使用期限を過ぎたり、いつ開封したか分からない市販薬は処分を。びん入りの錠剤や粉薬、シロップ剤などは開封後半年以内の使用が望ましいとされています。
賞味期限切れ食品を食べたらどうなる?
賞味期限が切れたからといって、絶対に食べてはいけないわけではありません。 ただし、表示通りに保存していない食品を口にすると、体調を崩すことも考えられます。賞味期限を目安に、においや色の変化、カビが生えていないかなど、五感でチェックすることが大切。
お弁当やサンドイッチ、ケーキなど傷みやすい食品には消費期限が表示されています。これらの食品は消費期限が過ぎたら品質が落ちてしまうため、食べるのはやめましょう。
賞味期限が書いていない場合は?
塩や砂糖、アイスクリームなどは賞味期限が書いてありません。塩や砂糖は不純物をほぼ含んでおらず、品質が安定していて、通常の保存状態では劣化することが少ないからです。とはいえ、直射日光や高温多湿の場所での保存はさけ、早めに消費しましょう。
アイスクリームや氷菓も冷凍庫で保管した場合、風味や色の変質がほぼ生じないため、賞味期限の記載が免除されています。家庭の冷凍庫で保管する際は、扉の開閉による温度変化が大きく、劣化が早まる可能性があります。こちらもなるべく早めに食べましょう。
賞味期限切れにならないためのポイント
食品ロスを防ぐには、定期的に在庫チェックを行う、冷蔵庫に詰めすぎないなどして買いすぎないことがポイントになります。奥の方に入れっぱなしにして、いつのまにか賞味期限切れになっていた…ということは避けたいものです。(※参考)
(※参考)「消費者庁」ホームページ 食品ロス削減
まとめ:賞味期限切れ食品は無理して食べない
賞味期限とは、おいしく食べられる期限のこと。賞味期限が切れてもすぐに食べられなくなることはありません。
ただし、保存状態などにより、食べられるかどうかは変わります。ご紹介した食材ごとのポイントをふまえて判断しましょう。賞味期限切れ=腐るではありませんが、においや形状の変化が気になる場合は、無理して食べるのをやめて安全を優先しましょう。
「食べようと思ったら消費期限切れになっていた」という経験はありませんか? そんなとき、食べられるのかどうか判断がつきにくく迷いますよね。今回は、管理栄養士が消費期限切れ食材の判断方法について解説します。