内臓脂肪を減らすには?今日からできる食事・生活の5つのポイント
健康診断で内臓脂肪が多いと言われた、減らし方が分からないという方のために、管理栄養士が内臓脂肪を減らす食事と生活を解説。今日からできる5つのポイントを取り入れて、お腹の脂肪対策を始めましょう!
目次
内臓脂肪とは?
健康診断で肥満を指摘された方の中には、「内臓脂肪型肥満」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。メタボリックシンドローム、通称「メタボ」の診断基準の1つにもなっている「内臓脂肪」についてご説明します。
内臓脂肪とは、胃や腸などのお腹まわりの臓器につく脂肪のこと。私たちが食べ物から摂取した栄養は、体を動かすエネルギーとして使われます。しかし消費できずに余ったエネルギーは脂肪として体に貯蓄。
その脂肪がお腹まわりの内臓につき、内臓脂肪になるというわけです。内臓脂肪が増えるとお腹がぽっこりして、リンゴのような形に見えることから「リンゴ型肥満」とも言われています。内臓脂肪が多くなるとメタボの原因にもなり、高血圧や脂質異常症などのリスクが高まります。
内臓脂肪がたまっているかどうかは、腹囲を測る方法で分かります。男性なら、腹囲85cm以上、女性なら90cm以上がメタボリックシンドロームの診断基準となります。健康診断で内臓脂肪を指摘された方は、この基準よりも腹囲が大きい可能性があります。基準より高かったという方は、この後に紹介する方法で、内臓脂肪を減らす生活を送りましょう。
内臓脂肪と皮下脂肪の違い
脂肪には内臓脂肪のほかに「皮下脂肪」がありますが、これら2つは脂肪がつく場所に違いがあります。内臓脂肪は内臓につく脂肪でお腹まわりにつきやすいのに対して、皮下脂肪は皮膚の下につく脂肪で、腰やお尻につきやすいのが特徴。皮下脂肪は、女性の方がつきやすいといわれています。
内臓脂肪は不摂生や運動不足などでつきやすくなりますが、皮下脂肪と比べて実は“減らしやすい”脂肪。そのため、原因となる生活習慣や食習慣を変えることが、ぽっこりお腹改善の近道になります。
内臓脂肪を減らす食習慣と生活
昔に比べて太りやすくなった気がする、という方も多いのではないでしょうか。年齢を重ねるにつれて誰でも筋肉量は落ちて基礎代謝が下がるため、消費できるエネルギー量が減少。そのため、内臓脂肪がつきやすい体になります。
しかし、先にご説明したとおり、内臓脂肪はつきやすく落としやすい脂肪。次からご紹介する食習慣と運動習慣を取り入れると、しっかり継続すれば4カ月程度で効果を感じられるでしょう。
(1) 食事から摂るカロリーを抑える
内臓脂肪の最も大きな原因は、カロリーの摂りすぎです。食べ物から摂った栄養を消費できないと、内臓に脂肪として蓄積します。
そのため内臓脂肪を減らしたいなら、まず摂取カロリーを抑えること。ネットやダイエットアプリで、自分の適正な摂取カロリーを調べて、計算してみましょう。それが分かったら、1日のカロリー摂取量を考えながら食事をしてみてください。
脂っこい食べ物やファーストフード、お菓子はカロリーが高いので控えめに。ご飯と味噌汁、肉や魚の主菜、野菜のおかずといった定食のような食事を心がけましょう。
(2)よく噛み、ゆっくり食べる
早食いや暴飲暴食は食べすぎになりやすく、内臓脂肪を増やす原因になります。そのため食事は、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。
お腹がいっぱいになったと感じる「満腹中枢」が働くには、食事を始めてから15~20分ほどかかるといわれています。適量で満足感を得るためにも、少なくとも20分以上はかけて食事を摂ってみてください。
さらに、よく嚙むことも脳にサインを送り、満腹中枢を刺激する効果があります。食事に時間をかけてよく嚙んで食べることで、カロリーを抑え少ない量でも満足できるようになります。
(3)お酒は飲みすぎない
お酒を飲むのが1日の楽しみという方も多いと思いますが、お酒は高カロリーで糖質も高いため、飲みすぎると内臓脂肪を増やす原因になります。
1日に飲むお酒の目安は、アルコール量で男性は20g、女性は10gとされています。アルコール量20gとは、ビールなら中びん1本、チューハイなら1缶(350ml)にあたります。女性はその半分の量になります(※1)。
また、お酒を飲むときのおつまみも要注意。唐揚げやポテトフライなど、脂っこいものは控え、サラダや焼き魚など、ヘルシーなおつまみを選び、カロリーも気にしてみましょう。
(※1)神奈川県茅ケ崎市役所「【飲酒】お酒を飲むときは「適正量」を心がけよう」
(4)1日3食、規則正しい食習慣
朝食を抜く、夜食をひんぱんに食べるといった乱れた食習慣にも気をつけてください。1日3食規則正しく食事を摂ることも、内臓脂肪を減らすために重要です。
朝食を抜くと、お昼までにお腹が減っておやつを食べたり、昼食を食べすぎてしまったりと、カロリーオーバーの原因になります。また、夜遅い時間の食事は、エネルギー消費ができずに内臓脂肪が蓄積。1日3食をなるべく決まった時間に食べ、夕食は遅くならないように心がけましょう。
(5)適度な運動
内臓脂肪を減らすには、食事だけでなく適度な運動も必要です。食事からの摂取カロリーを減らすと共に、運動で消費カロリーを増やすようにしましょう。
運動をすると、最初に血中脂肪、その次に内臓脂肪が燃えてエネルギーとして使われます。そのため内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、運動で減らしやすい脂肪といえるのです。
また、食事を減らすと脂肪と一緒に筋肉も減るため、筋肉量を維持するためにも適度な運動が重要です。
内臓脂肪を減らすおすすめの食べ物・飲み物
内臓脂肪を減らすためには、カロリーを抑えてバランスのよい食事を1日3食摂ることが大切とご説明しました。ここからは、内臓脂肪を減らすためにおすすめの食べ物と飲み物を紹介します。お腹まわりを何とかしたいという方は、ぜひ今日から食事に取り入れてみてください。
(1) 肉・卵・大豆製品
まずおすすめなのが、肉や卵、大豆食品などのたんぱく質が多い食品。たんぱく質は筋肉をつくる材料となります。筋肉量がアップすると代謝も上がり、内臓脂肪を燃焼しやすい体に。
また、肉や卵、大豆製品はごはんやパンなどの糖質に比べて吸収がゆるやかで、お腹にたまりやすいというのもメリットです。朝ごはんに、納豆やオムレツなどたんぱく質の多い食材を食べるのがおすすめ。日中の活動で、さらに内臓脂肪が燃えやすくなります。
(2)野菜・海藻類
内臓脂肪の減少には、食物繊維が豊富な野菜や海藻類も効果的です。食物繊維といえば腸内環境を整えることが知られていますが、それ以外にも、血糖値の上昇をゆるやかにする、満腹感を高める、コレステロール値を下げるなど、内臓脂肪を減らすためにうれしい働きがいっぱい。
厚生労働省では、食物繊維の1日の摂取量の目標を、18~64歳で男性21g以上、女性18g以としていますが(※2)、どの年代でも目標には達していません。生野菜だと量が多く感じる方は、蒸し野菜にしたり味噌汁に加えたりして加熱するとかさが減ってたくさん食べられます。
(※2)厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
(3)青魚
かつおやさば、さんまといった青魚も内臓脂肪を減らす食べ物のひとつです。青魚には“からだにいい脂”といわれる「不飽和脂肪酸」が豊富に含まれています。不飽和脂肪酸は、脂肪を燃焼する効果があり、内臓脂肪をためにくくする特徴があります。肉中心の食生活になっているという方は、週に2~3回は主菜を魚料理にしてみましょう。
(4)緑茶
内臓脂肪を減らすための飲み物は、緑茶がおすすめです。緑茶には、内臓脂肪を減らすのに効果的な「カテキン」という栄養素が含まれています。カテキンを継続的に摂ることで、肝臓や筋肉での脂肪の燃焼量が上がり、脂肪を燃えやすくしてくれます。内臓脂肪を減らしたいなら、食事と一緒に緑茶を飲む習慣を。
内臓脂肪に影響の少ないおやつ
おやつがやめられない、甘い物につい手が伸びるという方も多いのではないでしょうか。少量で栄養価の高いおやつなら問題ありませんが、甘い物の食べ過ぎはカロリーオーバーになり、内臓脂肪を増やす原因になります。
1日の間食の目安は、200kcal。おやつを食べるときは、パッケージの栄養成分表を見てカロリーオーバーしないように注意を。
また、ケーキやチョコレート、クッキーにはバターや生クリームが多く、「飽和脂肪酸」といって内臓脂肪につながる油が多く含まれています。どうしても間食をしたいときは、次から紹介するおやつならばOK。栄養価の高いおやつで、内臓脂肪を抑えましょう。
ヨーグルト・チーズ
内臓脂肪が気になるなら、たんぱく質が豊富なヨーグルトやチーズがおすすめ。筋肉の材料となるたんぱく質と一緒にカルシウムも補給できます。
ヨーグルトは1カップ(80g)約60kcalで、とても低カロリー。チーズは三角形の6個入りプロセスチーズであれば、4個ほどが1日のおやつの量、200kclの目安となります。
果物
どうしても甘いものが欲しいときにおすすめなのが果物。果物に含まれる糖分は、砂糖に比べて体に吸収されにくい糖分です。また、食物繊維が豊富で、糖質や脂質の吸収を抑えてくれるメリットも。バナナは1本約80kcal、リンゴ1個で約100kcalと、甘いおやつを食べるよりも低カロリー。内臓脂肪になりにくい間食にはぴったりです。
ウエストのサイズや体脂肪など、ぜい肉に悩んでいる人も多いのでは。お腹周りについた内臓脂肪を減らすには、まず食事を変えることが大切。2週間ほどでスッキリさせる、内臓脂肪を最速で落とす食べ物を紹介します。
内臓脂肪を減らすための運動
内臓脂肪を減らすには食事だけでなく、適度な運動も大事とお伝えしました。内臓脂肪はつきやすい脂肪ですが、一方で運動すれば落としやすい脂肪です。次にご紹介するような運動習慣で、内臓脂肪を燃やしやすい体づくりを!
ウォーキングなどの有酸素運動が効果的
内臓脂肪の燃焼には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的です。有酸素運動は脂肪や糖質をエネルギーにするため、内臓脂肪を減らすことができます。忙しくて時間が作れないという方は、まずは20分程度のウォーキングから。なるべく徒歩や自転車を使うようにする、階段を使うなど、できることから始めていくことが大切です。
筋トレを加えるとさらに効率アップ
有酸素運動に加えて、筋トレを行うとさらに内臓脂肪の燃焼に効果的です。内臓脂肪がつきやすくなる原因に、基礎代謝が下がり脂肪が燃えにくくなっていることがあげられます。筋トレで筋肉量がアップすれば基礎代謝が上がり、脂肪燃焼しやすい体になります。
運動習慣がない方におすすめなのがスクワット。スクワットは太ももやお尻の筋肉を同時に鍛えられる手軽な筋トレです。下半身の筋肉は体の中でも大きく、鍛えると基礎代謝を上げるのに効果的です。仕事の休憩時や家事の合間に5回程度行うだけでもOK。筋肉量アップのために少しずつ生活に取り入れて、内臓脂肪の燃焼を目指しましょう。
まとめ:内臓脂肪を減らすには食事の見直しと運動を取り入れる
内臓脂肪を減らすために効果的な食生活と運動を紹介しました。内臓脂肪はつきやすい脂肪ですが、減らしやすい脂肪でもあります。
食事は1日3食決まった時間に食べるように心がけ、カロリーの摂りすぎには注意しましょう。肉や魚、野菜など、たんぱく質と食物繊維が多い食品を積極的に取り入れると、無理に量を減らすことなく、満足感のある食事を楽しみながら内臓脂肪を減らすことができます。
また、適度な運動も大切です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を基本に、余裕があれば筋トレをプラス。基礎代謝が上がり、さらに脂肪燃焼効果がアップします。規則正しい食習慣と生活を送ることが、内臓脂肪を減らすポイントになりますよ。
健康診断で内臓脂肪が多いと言われた、減らし方が分からないという方のために、管理栄養士が内臓脂肪を減らす食事と生活を解説。今日からできる5つのポイントを取り入れて、お腹の脂肪対策を始めましょう!