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爪に縦線が入る原因は?医師が教える健康な爪になるケアと予防法

指先を見たら、爪に縦線が入っている…。「何かの病気?」と、不安に思う人も多いはずです。そのまま放っておくと割れることもあるネイルトラブル。爪に縦線ができる原因と、健康な爪になる方法を紹介します。

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縦線が入った爪を放置すると割れる?

こまめな手洗いや消毒などで乾燥しがちな手。よく見ると、爪の表面にスーッと細かい縦筋が入っていることはありませんか?

このような爪に縦線が入る症状は、「爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)」と呼ばれ、よくある爪のトラブルです。この状態を放っておくと、爪がもろくなり悪化して割れてしまうことがあります。

爪は皮膚の一部

爪

実は、爪は皮膚の一部。指先を保護する、物を掴む、感触を鋭くするといった、多くの役割を果たす重要なパーツです。爪は、細かく分けると以下の4パーツから成り立っています。

爪甲(そうこう)

爪と呼ばれるプレートの部分が爪甲(そうこう)です。主成分はケラチンで、色はほぼ透明。爪甲の下を通る毛細血管が透けて見えるため、健康な爪甲はうっすらとしたピンク色です。

爪郭(そうかく)

爪甲を囲んでいる皮膚が爪郭(そうかく)です。爪を支えたり、衝撃から守ったりする役割があります。

爪母(そうぼ)

爪の根元で、爪甲を作っているのが爪母(そうぼ)。できたばかりの新しい爪は、爪郭によって保護されます。

爪床(そうしょう)

爪甲の下にあるやわらかい皮膚です。爪にかかった負担を逃がす役割をしています。水分や栄養を送る神経と血管が通っていますが、水分が十分に行き渡らないとその役割を果たせず、縦筋を作る原因にもなります。

爪に縦筋ができる原因

健康的な爪は、薄いピンク色で表面はツルツルしています。これが理想的な状態ですが、なぜ爪に縦筋ができてしまうのでしょうか。次から主な原因について解説します。

手洗いや消毒などによる乾燥

手を洗う

爪に縦筋ができる原因のひとつが、乾燥です。特に、手洗いやアルコール消毒をひんぱんに行うことで手元が乾燥しやすくなります。感じやすいのはカサカサした手の乾燥ですが、実は爪も手洗いのたびに水分が奪われています。

加齢による爪の老化

爪の縦筋は加齢とも関係があり、年齢を重ねるとできやすくなります。肌と同じく爪も年を取るにつれて、水分が減少。肌に弾力がなくなりシワができるのと同じように、うるおいが不足して、爪にも縦筋があらわれるのです。

爪は何層も重なってできており、表面の層は繊維が縦方向に走っています。そのため、水分が減ることで爪に“縦の線”があらわれ、それが次第に目立ってしまいます。

乱れた食生活による栄養不足

爪の状態をあまり気にかけることは少ないですが、実は“健康のバロメーター”となる、重要なパーツです。爪には栄養状態があらわれやすく、縦筋が目立つときは、鉄分や亜鉛、たんぱく質、コラーゲンが不足しているサイン。

外食やインスタント食品が増え、バランスの良い食事ができない日が続くと、これらの栄養素がなかなか摂れません。忙しい毎日でもコンビニやスーパーの惣菜を一品プラスするなど、栄養摂取のためにできることを意識しましょう。

ストレスや睡眠不足

ストレス

ストレスが溜まったり、睡眠不足が続いたりすると、体の血巡りが悪くなり、爪の縦線につながります。血行が悪い体は、必要な場所にうまく栄養を届けられなくなり、爪の栄養状態も悪化。乾燥したりもろくなったりして、縦筋があらわれてしまうのです。

縦線のほかにも起こる爪のトラブル

縦筋以外にもご紹介したような原因によって、さまざまな爪のトラブルが起こります。ここで代表的なものを紹介します。

爪の黒い縦筋

爪に黒い縦筋があるのは、爪母で爪が作られたときにホクロができ、そのまま伸びた状態と考えられ、これを「爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)」と呼ばれます。爪が作られる爪母に、黒色のメラニン色素を作る「メラノサイト」が混ざることが原因です。

ほとんどは過剰に心配する必要はありませんが、中にはごくまれに皮膚がんの可能性も。爪床や爪周囲の皮膚にがんが発症すると、爪が黒く変色することがあります。見た目はホクロと似ていますが、急激に黒い部分が広がったり、線が太くなったり増えたりしているなど、心配な場合は医師に相談を。

爪の横筋

爪

爪の縦線ではなく「横線」が入るトラブルもあります。横線は、爪を噛むクセがある、一時的にうまく成長ができなかったなどの原因が考えられます。

また両手の爪すべてに1本の横線があると、感染症や糖尿病のような病気が影響している場合もあります。気になる場合は病院で医師に相談しましょう。

爪が割れる

爪の乾燥や加齢によって、爪自体がもろくなり割れやすくなります。特に、妊娠中や授乳中は、栄養状態によって体が乾燥しやすく、爪が割れやすくなるため気をつけましょう。

2枚爪

2枚爪とは、何層も重なった爪先の表層がめくれた状態のこと。2枚爪の原因も乾燥や加齢と言われています。乾燥している爪を爪切りで切ると、強い力が加わり先端から2枚爪になることがあります。また、鉄分不足で起こることもあります。

表面がデコボコになる

爪の表面にできるトラブルとして、点のようなデコボコがあらわれる「点状陥凹(てんじょうかんおう)」、横方向に波打つようなデコボコができる「波板状爪(なみいたじょうづめ)」といった症状があります。

点状陥凹は、皮膚が炎症を起こす乾癬(かんせん)や円形脱毛症などの影響で起こることもあると言われています。

爪の縦線を改善するには?

ハンドケア

爪の縦筋は、どんなケアで良くなるのか、気になりますよね。早めに治れば良いのですが、一時的なケアですぐ改善するものではありません。日常的にじっくりセルフケアを続けていきましょう。

ハンドクリーム+ネイルオイルを塗る

爪の乾燥には何より保湿が大切です。うるおいを常にキープすることで加齢や乾燥によるダメージを和らげましょう。保湿は、ハンドクリームとネイルオイルのダブル使いがおすすめ。

まずハンドクリームを全体に塗り、片方の指の腹を使い、爪を含めた指先にもしっかりなじませます。そのあと、ネイルオイルを爪の表面や爪先の裏側、爪の根元などに塗りましょう。ハンドクリームとネイルオイルのWの保湿効果により、爪が丈夫になり縦線を予防できます。

マッサージで血行アップ

爪に栄養を行き渡らせるには、指先のマッサージもおすすめです。手の先まで血行が良くなることで、健やかな爪が育つでしょう。

【爪マッサージのやり方】

  1. 左手の指を、右手の親指と人差し指で1本ずつつまんで、軽く引っ張る。親指から小指まで行う。
  2. 左手の指と指の間4カ所を、右手の親指の腹でグッと押す。
  3. 手を入れ替えて、右手も同様に。

ハンドクリームやネイルオイルで保湿したついでに、このマッサージも取り入れてみましょう。

栄養バランスが整った食事を摂る

健康的な食事

栄養バランスを意識した食事を摂ることも、健康な爪をはぐくむことにつながります。爪の縦線が気になったときにおすすめの栄養素と食材をご紹介します。

亜鉛

亜鉛は細胞の分裂を早める働きがあり、弱った爪を健康的な爪にするために役立る栄養素です。

  • 牡蠣
  • 豚のレバー
  • 牛の赤肉
  • 焼きのり
  • かぼちゃ
  • ごま
  • きな粉 などに含まれます。

参考:健康長寿ネット 亜鉛の働きと1日の摂取量

鉄分

レバー

鉄分も爪を作る上では大切な栄養素。鉄分はレバーに多く含まれています。レバーが苦手な人は、青のりやひじきなどもおすすめです。

  • 豚のレバー
  • 鶏のレバー
  • 青のり
  • ひじき
  • パセリ
  • 大根
  • きな粉 などに含まれます。

参考:健康長寿ネット ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量

たんぱく質

爪の主な成分は、「ケラチン」というたんぱく質。丈夫な爪をつくるためにもたんぱく質を多く含む食材を摂りましょう。1日3食、肉や魚のメインとなる料理を欠かさずに。

  • 鶏のささみ
  • 豚のロース
  • 豚のヒレ肉
  • かつお節
  • いわしの丸干し
  • しらす干し
  • マグロ
  • チーズ
  • 豆腐、油揚げなどの大豆食品
  • 納豆 などに含まれます。

参考:健康長寿ネット 三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量

ビタミンC

キウイ

ビタミンCには、爪を作るために必要な「コラーゲン」を合成する役割があります。また、ほかの栄養素をサポートする働きも。

  • キウイ
  • いちご
  • 赤ピーマン
  • ブロッコリー
  • じゃがいも
  • 緑茶
  • アセロラジュース などに含まれます。

参考:健康長寿ネット ビタミンCの働きと1日の摂取量

ストレスをためない生活を送る

爪の縦筋には血行不良が関係しています。血行をスムーズにするにはストレスをためないことが大切です。モヤモヤ、イライラ、不安など、メンタルがお疲れ気味のときは自分がリラックスできる時間を持ちましょう。

例えば、ゆっくり湯船に浸かって一人の時間を作るだけでも気持ちが落ち着きます。ストレスを感じたら何もしない日をつくって心を休めるのも良いでしょう。ときには人やサービスに頼り、仕事や家事を上手に片づけて日々の負担を減らすことも必要です。

睡眠の質を上げる

睡眠

睡眠不足も爪の縦線の原因になるとお話しました。そのため日々の睡眠も大切にしましょう。

睡眠の質を上げるために、まず夕食を就寝3時間前には済ませます。就寝中に消化活動が行われると、内臓が働きっぱなしになり、睡眠の質が低下。寝ても疲れが残ってしまいます。そのため寝る前にある程度消化が終わっていることがポイントになります。

よく眠るために、睡眠環境を整えることも大切です。暑すぎたり寒すぎたりすると体温調節がうまくいかず、寝つきが悪くなることがあります。季節にあわせて眠りやすい室温や湿度に調整しましょう。

また、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、光の刺激を受けて脳が覚醒します。寝る1時間前はスマホやパソコン、テレビなど強い光を避けて薄暗い部屋で過ごすことをおすすめします。

爪の縦筋を予防する方法

上記の方法で縦筋が目立たなくなったら、今度は日ごろから予防して美しい爪を保ちましょう。

こまめにハンドクリームを塗る

手洗いや水仕事などで手が濡れた後は、急速に乾燥が進みます。ハンドクリームをこまめに塗って1日に何度も保湿しましょう。

指先のうるおいを常に保つことで、縦線だけでなく他の爪のトラブルも防ぐことができます。

水仕事はゴム手袋を使う

食器を洗う

お風呂掃除や食器洗いで使用する洗剤には、界面活性剤という成分が含まれています。この界面活性剤は、付着した油をすっきりと落とす働きがある一方で、大切な爪の油分も奪ってしまいます。そのため、爪の保護にはゴム手袋をして水仕事をするのが良いでしょう。

爪切りではなくヤスリを使う

実は、爪を挟んでカットする爪切りは、かなりの負担をかけています。縦筋だけでなく爪割れなどを引き起こす可能性があるため、爪切りではなくヤスリでケアするのがおすすめです。

【爪ヤスリの使い方】

  1. 爪ヤスリを爪の先端部分に当てる。
  2. 一方向にヤスリを動かして、爪の先端部分を好きな長さになるまで削る。
  3. 爪の両サイドの角に、45度になるようヤスリを当てる。
  4. 一方向に動かして、角を整える。

除光液はノンアセトンを選ぶ

マニキュアを落とすときに使う除光液には、「アセトン」という成分が入っており、マニキュアとともに爪の油分や水分も奪ってしまいます。

そのためマニキュアのオフには、アセトンが入っていない除光液の使用を。ノンアセトンで保湿成分入りの除光液は、爪に優しいのでおすすめです。

爪の表面を磨くのはNG

爪の表面をヤスリで磨くとピカピカになり、美しい指先になりますが、あまりおすすめできません。爪が全体的に薄くなり、割れる、欠けるといったトラブルの原因になります。時間が経てば自然に伸びる爪の長さとは異なり、厚みは一度薄くなった部分はそのまま伸びていきます。

また、爪の縦筋があるときは、できるだけジェルネイルもお休みを。ジェルネイルで爪のアラを隠したい気持ちになりますが、かえって爪に負担をかけることになります。

まとめ:爪の縦線を改善するにはまず保湿が大事

爪に縦線が入ると、見た目はもちろん作業するときにも気になりますよね。縦線を改善するには、ハンドクリームやネイルオイルで保湿したり、ネイルマッサージで血行を促したりしてケアをしましょう。

また、体の中から爪の健康を守ることも大切です。バランスの取れた食事や十分な睡眠で、生活習慣を整えることも忘れずに。 日々の習慣が爪の健康にあらわれます。

指先が健康できれいな人ほど、ケアが行き届いている印象に。マニキュアを塗ったりネイルアートで飾ったりと、指先のオシャレを楽しむために、縦線のない丈夫な自爪を育てましょう。

文/廣瀬茉理

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