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怒りやイライラから解放!「生活瞑想」で“心のゴミ”を捨てる
怒りやイライラといった感情があらわれるのは、視野が狭くなっているから。1つひとつの行動を丁寧に行い、五感で楽しむ「生活瞑想」で、心に溜まったゴミを手放しましょう。
目次
生活の中の作業が瞑想の時間に変わる
「人は視野が狭くなると器が小さくなり、怒りやイライラといった“心のゴミ”があふれやすくなります」と言うのは、両足院・副住職の伊藤東凌(とうりょう)さん。
さらに、「あの人が悪い」「この前もそう」と堂々巡りし、自ら怒りの火に油を注いでしまうといいます。
「怒ると信用や人間関係を損なうなど、失うものが大きすぎます。何より、むやみに怒る姿は美しくありません。視野は誰でも広げられるもの。普段から視野を広げておくと、怒りに振り回されにくくなります」
そこでおすすめなのが、家事やお茶の時間を使った「生活瞑想」です。
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「いつもはサッと済ませる行動を丁寧に行い、五感から入る情報を楽しむことで、家事やお茶の時間が瞑想に変わります。『生活瞑想』を続けると、さまざまなことに気付けるように。すると、視野が広がって、怒りに集中せず距離をとれるようになるのです。ただ、心と体はつながっていて、体が疲れると怒りやすくなるもの。体を休めることも忘れずに」
「生活瞑想」を行う際の3つのポイント
家事やお茶の時間を使った「生活瞑想」で、上手に怒りを手放すにはポイントがあります。肩肘を張らず、ゆったりとした気持ちで行いましょう。
(1)五感を使う
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瞑想は「頭を空っぽにするもの」と思われがちですが、それはNG。段ボールからガムテープをはがすときの音、野菜を切るときの感触、お茶の味や香り、色など五感が受け取った情報をじっくり体験しましょう。
(2)プロセスを楽しむ
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あえて1つひとつの動作に時間をかけ、ゆっくりと丁寧に行って。そのときどきに感じたことを楽しんでください。そうすることで少しずつ感覚が研ぎ澄まされ、さまざまなことに気付けるようになります。
(3)がんばりすぎない
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「生活瞑想をしっかり行って、何があっても怒らない自分を目指そう!」などと、がんばりすぎないことも大切。肩の力を抜いて、五感から入って来た情報や気付いたことを楽しむだけで十分です。
“心のゴミ”を捨てる「生活瞑想」のやり方
料理や手洗い、お茶の時間も「生活瞑想」は取り入れられます。いつもならサクッと済ませてしまう家事や動作も、感覚を研ぎ澄ませて楽しみながら“心のゴミ”を手放しましょう。
音や感触を楽しみつつ段ボール箱を開ける「開封瞑想」
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宅配便などの段ボール箱を開けるときは、まず表側のガムテープを端からゆっくりとはがす。このときテープのはがれる音に耳を傾けて。箱を開けて中身を取り出したら、裏側のテープも同様にはがす。最後に段ボールの感触を楽しみながら、箱をきれいにたたむ。
じっと“モノ”を眺めて新たな魅力を発見「眺める瞑想」
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1分間モノを眺める瞑想。ペットボトルなど人工的なモノが◎。じっと眺めると「曲線がきれい」など新たな発見が。眺める角度を変えたり、作った人を想像したりすると、より感覚が開く。
ゆっくりときれいに野菜を千切りする「千切り瞑想」
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いつもどおり野菜を端から4分の3くらいまで千切りしたら、残り4分の1だけ、ゆっくりときれいに千切りする。包丁を握る感覚、まな板と包丁が触れ合う音、野菜のにおいなどを感じて。
手指や泡の触感を堪能して「手洗い瞑想」
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石けんを泡立て、手のひら、手の甲、指先、爪の間を丁寧に洗う。その後、左手の指を1本ずつ右手で握りながら洗っていく。右手の指も同様に。最後に手首を洗う。手指や泡の触感を味わう。
急須を使って丁寧にお茶をいれる「お茶瞑想」
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お湯を沸かして湯のみに注ぐ。次に急須に茶葉を入れ、湯のみのお湯を注ぐ。ふたをして1分待ち、湯のみにお茶を注ぐ。お湯の沸く音や温度、茶葉が開き、お湯の色が変わる様子を楽しんで。
仏教では「怒り=妄想」
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仏教では「人の行動や発言は性格ではなく、条件と環境が生み出す」と考えます。
しかし、人は「Aさんはイヤミな人だから、いつもひどいことを言う」などと勝手に決めつけ、怒ってしまいがち。つまり、怒りは自分がつくり出した妄想です。
怒りが湧いたら「これは妄想」と思い出して。
イラスト/佐藤ワカナ
(からだにいいこと2022年12月号より)
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人付き合いが苦手、細かいことが気になって疲れる……それはHSPとも呼ばれる、“敏感気質”のせいかも? そんな自分の繊細すぎる気質とうまく付き合って、ゆったり楽に生きる方法を教えます!