ヨーグルトダイエットはやせる?効果的な食べ方を管理栄養士が解説
腸内環境を整えるヨーグルトは、健康維持に役立つだけでなく、ダイエットにもおすすめの食品です。ヨーグルトをダイエットに活用するときの効果的な食べ方や注意点を、管理栄養士が解説します。
目次
ヨーグルトに含まれる体に良い栄養成分は?
「体にいいから」と、毎日食べている人も多いヨーグルト。手軽に続けられる健康習慣としても人気です。ヨーグルトには、たんぱく質をはじめ健康な体を維持するさまざまな栄養成分が含まれています。ヨーグルトのダイエット効果を知る前に、どんな栄養成分が含まれているのかをご紹介します。
健康な体の基礎をつくる「たんぱく質」
たんぱく質は人間の筋肉や内臓、皮膚、髪などを構成し、体の基礎となる重要な栄養素です。ヨーグルトにはたんぱく質が含まれています。その一部は、乳酸菌によってアミノ酸やアミノ酸が2つ以上つながった「ペプチド」の状態まで分解され、消化吸収されやすくなっているのが特徴。
また、体内では合成することのできない「必須アミノ酸」も多く含まれています。そのため、ヨーグルトを食べることで良質なたんぱく質を摂取することができ、健康維持に役立ちます。
骨や歯のもととなる「カルシウム」
ヨーグルトには、骨や歯の原料となるカルシウムも豊富。ヨーグルトに含まれるカルシウムは、乳酸と結びつき「乳酸カルシウム」という形で存在し、吸収されやすいのが特徴です。
カルシウムが骨や歯に吸収される際には「リン」が必要です。ヨーグルトの原料となる牛乳にはリンが含まれているため、カルシウムを効率的に利用することができます。
さらにカルシウムには精神を安定させる作用も。イライラを抑えてストレスを緩和する効果も期待できます。
脂質代謝を助ける「ビタミンB2」
食品に含まれるビタミンは、13種類存在します。その中で、ヨーグルトは「ビタミンB2」を豊富に含む食品です。ビタミンB2は脂肪を燃焼させ、エネルギー代謝や細胞の新陳代謝を促進する効果があります。
また、たんぱく質の合成にも関わり、細胞の再生や皮膚、毛髪、爪をつくり、全身の成長、維持を助ける役割もあります。これらは若々しさを保つことにもつながるため、ヨーグルトは美容効果も期待できます。
活動のエネルギー源となる「糖質、脂質」
糖質や脂質は太るイメージがありますが、ヨーグルトに含まれる糖質や脂質は、健康を保つための大切な栄養素です。
糖質は活動のエネルギー源になる栄養素。特にヨーグルトに含まれる「乳糖」は、乳に含まれる糖質で、脳や神経のエネルギー源となったり、カルシウムや鉄分の吸収促進、整腸作用も期待できます。
脂質は細胞や血液、ホルモンの材料となります。不足すると発育や皮膚の健康を害することもあり、必要不可欠な栄養素です。
ダイエットはもちろん美容や健康にも! ヨーグルトの体に良い効果
ダイエット効果が期待できるのはもちろんですが、美容や健康にも良いヨーグルト。ここでは、そんなヨーグルトの体に良い効果についてくわしく解説していきます。
腸内環境の改善
人間の腸内には、体に良い影響を与える「善玉菌」、悪影響を及ぼす「悪玉菌」、その日の体調によって善玉にも悪玉にもなりうる「日和見菌(ひよりみきん)」の3種類の菌が存在します。これら3つの菌のバランスが重要で、腸内環境を整えるためには善玉菌を増やす必要があります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は善玉菌です。ヨーグルトを食べることで善玉菌が増えると、悪玉菌の増殖が抑制されます。善玉菌が優位になることで、腸内環境が改善されていきます。
美肌効果
ヨーグルトによって腸内環境が改善されると、体内の老廃物が排出されやすくなり、肌の調子が整ってきます。
さらに、ヨーグルトに含まれるビタミンB2 が美肌のポイント。ビタミンB2によって健康な皮膚や粘膜が維持され、肌の健康を保つことができるのです。ヨーグルトは、ダイエットをしながら美肌効果も得られる、女性にとってうれしい食品です。
免疫力を高める
ヨーグルトには、免疫力を高める作用もあります。体の免疫を担う免疫細胞は、約7割が腸内に存在。そのため、ヨーグルトで腸内環境を整えることで腸内の免疫細胞が活性化します。腸の元気を保つことで、体の免疫力を高めることができるのです。
便秘の改善
ヨーグルトは便秘の改善にも役立ちます。先ほどからご説明しているように、ヨーグルトに含まれる善玉菌は、腸内環境を整える働きがあります。腸の働きが良くなると、内容物を押し出す「ぜん動運動」もスムーズに行われ、便通がアップ。つらい便秘のお悩みにも効果が期待できます。
生活習慣病の予防
腸内の悪玉菌は、毒性の強いアンモニアや有害物質を増やして腸内環境を悪化させます。すると代謝が低下して太りやすくなったり、生活習慣病のリスクが高まったりと、体に悪影響を与えます。
一方、善玉菌によって悪玉菌の増殖を抑えることは、腸内環境の悪化を防ぎ、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防にもつながります。
さらに、ヨーグルトの上澄み液である「乳清(ホエー)」には、血糖値の上昇を抑える効果があるとされ、糖尿病の予防効果も期待できます。
ダイエット効果
ここまで述べてきたように、ヨーグルトは腸内環境の改善に有効です。腸内環境が整うと、ぜん動運動が高まり、基礎代謝が上がります。基礎代謝とは、生命活動を維持するために消費されるエネルギーのこと。基礎代謝を上げることで太りにくくやせやすい体へと変化し、ダイエット効果を得ることができるのです。
さらに、便秘の改善もダイエットに影響します。便秘になると悪玉菌が増加し、腸内環境を悪化させる原因に。すると、むくみやすくなったり、代謝が落ちて太りやすい体質になります。つまり、ヨーグルトを食べることで便秘を改善できれば、ダイエットにも良いというわけです。
ヨーグルトダイエットのやり方
ヨーグルトは体にいいたくさんの効果があり、ダイエットに役立つことがわかりました。では、ヨーグルトダイエットを行う場合、どのようなやり方がよいのでしょうか。ここでは、ヨーグルトを食べるタイミングや一緒に食べると良い食品など、効率的なやり方を紹介します。
食べるタイミングは目的によって変える
ヨーグルトダイエットは、食べるタイミングによって得られる効果が変わってきます。脂肪の分解、腸内環境の改善、食べ過ぎの防止など、求める目的により食べるタイミングを変えることで、効率的にダイエット効果を得ることができます。
ただし、どのタイミングで食べる場合も空腹の状態は避ける必要があります。胃に食べ物が入ると、強い酸性の液体である「胃酸」が分泌されます。胃酸は食べ物と混ざり合うことで徐々に酸性度が弱くなります。
食事のはじめにヨーグルトを食べると、胃酸によって善玉菌が死滅し、良い作用を十分に得ることができなくなるのです。ヨーグルトを食べる際は食後に食べるか、先に白湯を飲んで胃酸を和らげてから食べましょう。
糖質、脂質の分解を促進したい場合は朝食に
ヨーグルトに含まれるビタミンB2には、糖質や脂質の代謝を促進させる効果があります。朝食でヨーグルトを摂ることで、糖質と脂質の分解をスムーズにし、ダイエットに役立てることができます。
ビタミンB2 の効果を十分に得たい場合は、軽く水や白湯を飲み、その後にヨーグルトを食べましょう。朝食前の習慣にしてみてください。
効果的に腸内環境を改善したい場合は夕食に
腸内環境の改善を最優先したい場合は、夕食後にヨーグルトを食べることをおすすめします。夜は活動量が減って副交感神経が優位になることから、腸の働きは活発になります。ぜん動運動もスムーズに行われ、腸内環境を整えるのに好都合な時間帯です。
さらに、善玉菌は寝ている間に活発に働くため、就寝2時間前までに食べるのが効果的。寝る直前に食べるのは胃腸の負担となるため控えましょう。
食べ過ぎを防止したい場合は間食に
ダイエット中、間食のお菓子などはできる限り控えたいところ。そこで、間食にヨーグルトを食べることで食べ過ぎを防ぐことができます。必要な栄養補給もできるので、体に良い間食になります。
甘味が欲しいときには、はちみつをプラス。善玉菌のエサとなる「オリゴ糖」を含み、さらに腸内環境に働きます。
1日に食べる量は100~200g
体に良いヨーグルトでも、カロリーはあるため食べ過ぎると太る原因になります。1日に食べる量は100~200gが適量。一度にまとめて食べても、数回に分けて食べてもどちらでも構いません。適量を守って食べるようにしましょう。
少し温めてから食べる
冷たいヨーグルトは腸を冷やし、栄養素の吸収を悪くする場合があります。腸の冷えを防ぐためにも、少し温めてから食べましょう。温かい食べ物は胃腸の働きを活発にするため、代謝が上がりダイエット効果も高めることができます。
ただし、ヨーグルトは温めすぎてしまうと乳酸菌が死滅するため注意が必要です。目安は人肌程度での約40℃が理想的。50℃以上の高温にならないようにしましょう。
【ホットヨーグルトの作り方】
- 耐熱容器に100g程度のヨーグルトを入れる。
- ラップはかけずに500Wの電子レンジで約40秒加熱する。
- レンジから取り出し、軽くかき混ぜたら完成。
2週間以上継続する
どんなダイエットにも共通することですが、短期間ではやせ効果があらわれません。ヨーグルトダイエットも最低2週間以上は続けることをおすすめします。スタートから2週間ほどで、次のような変化があるかを確かめてみましょう。
【ヨーグルトダイエットの効果】
- 便秘や下痢が改善された
- 腸のハリがなくなった
- 肌トラブルが改善された
このような変化を感じた場合には、ヨーグルトダイエットの効果が出てきている証拠です。引き続き継続することをおすすめします。
一方、変化を感じない場合は乳酸菌の種類が自分に合っていない可能性があります。たくさんの商品に記載があるように、ヨーグルトに含まれる乳酸菌はさまざまな種類があります。乳酸菌の種類によって得られる効果が異なるため、自分に合った乳酸菌を探してみましょう。
【乳酸菌の種類と効果】
- 便秘解消:ラブレ菌、ビフィズス菌Bifix、BE80株、LG21、ガゼリ菌SP株、ビフィズス菌SP株、R-1
- 血中脂質の改善:クレモリスFC株
- 体脂肪を減らす:CP1563株
- 内臓脂肪を減らす:ガゼリ菌SP株
- 免疫力を高める:クレモリスFC株、ラブレ菌、ガゼリ菌SP株、ビフィズス菌SP株
ヨーグルトダイエットのおすすめの食べ方
ヨーグルトは、一緒に食べる食品によってダイエット効果を高めることができます。おすすめの食べ方を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。ヨーグルトだけで食べるよりも栄養価がアップ。体にとって有益な効果を得ることができます。
果物
果物には食物繊維やビタミン、オリゴ糖など腸内環境を整える栄養素が豊富に含まれています。ヨーグルトにも同様の作用があるため、相乗効果が期待できます。
特におすすめなのは、食物繊維の多いりんご、バナナ、キウイフルーツ。ドライフルーツも果物ですが、糖分が多いためダイエットには向きません。食べる際には生の果物を加えたヨーグルトに、少量のはちみつをかけて食べるのが良いでしょう。
きな粉、おからパウダー
きな粉とおからパウダーは、どちらもたんぱく質と食物繊維が豊富な大豆からできています。
たんぱく質は筋肉の材料になるため、食事量を制限するダイエット中でもしっかり摂りたいところ。ヨーグルトに混ぜて食べることで、良質なたんぱく質を補うことができます。
シナモン、すりおろし生姜
シナモンや生姜には、代謝を高めたり血流を促進したりする効果があります。ヨーグルトに加えることでダイエット効果が期待できます。
器に入れたヨーグルトに適量のはちみつをかけ、その上からシナモンパウダーやすりおろし生姜をかけるだけで完成。ダイエットだけでなく、腸内環境の改善や美肌効果もあるので、ぜひ試してみてください。
ヨーグルトダイエットの注意点
ダイエット効果が期待できるヨーグルトも、正しい方法で取り入れなければ効果を得られないばかりか、逆に太ってしまう場合もあります。最後に、ヨーグルトダイエットを行う際の注意点を解説します。
脂肪分や糖分の少ないヨーグルトを選ぶ
市販のヨーグルトの中には脂肪分や糖分の多いものがあります。特に、砂糖や果物が添加されたヨーグルトは糖分が多くカロリーも高いため、おいしさはありますがダイエットには向きません。ヨーグルトダイエットを行う場合は、無糖、低脂肪、脂肪分ゼロの商品を選びましょう。
トッピングを加え過ぎない
ヨーグルトは無糖や低脂肪のものを選んでいても、トッピングを加え過ぎることで高カロリーになる場合もあります。特に、ドライフルーツは少量でも多くの糖分を含むため食べ過ぎに注意。トッピングは加える量に気をつけましょう。
ヨーグルトのみの食事にはしない
ヨーグルトダイエットを行う際は、食事をヨーグルトだけにするのはNG。健康のためにもバランスのとれた食事を摂り、それにヨーグルトを追加しましょう。
ヨーグルトは栄養価の高い食品ですが、それだけで必要な栄養素を補うことはできません。ヨーグルトだけの食事にした結果、栄養不足や基礎代謝の低下によって太りやすい体質になってしまうこともあります。
食事は主食、主菜、副菜をそろえることが基本です。その上で健康的にやせたいならば、主食となるご飯やパンの量を減らし、代わりにヨーグルトを食べる方法をおすすめします。
まとめ:ヨーグルトはダイエットに効果的! 正しい方法で食事に取り入れよう
ヨーグルトは体に良い影響を与える乳酸菌を含み、ダイエットに効果的な食品です。腸内環境や改善や美肌効果など、習慣にすることでたくさんのメリットが得られるでしょう。
ダイエット目的でヨーグルトを取り入れる場合は、食べるタイミングや食べ方によって効果が変わります。今回ご紹介した中から、目的に合った方法を選んでみてください。自分の腸に合うヨーグルトを見つけて食生活に取り入れ、健康的でスリムな体を目指しましょう!
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