近年さまざまな研究が進み、歯・唾液・舌の働きが全身の健康を保つ可能性に注目が集まっています。セルフケアで口腔環境を整えることもできるので、お口の健康をキープしましょう。

手軽なケアで口内環境を整え、口から全身を健康に！

「舌を動かすと唾液が分泌されやすくなり、唾液は虫歯を予防するなど、歯と唾液と舌は口のなかで影響しあっています。40代は歯周病が増え始め、口のなかの環境が変わる時期。口内環境が悪化すると心身の機能が落ちることがわかっています」と歯科医師の槻木恵一さん。

『口』の最新研究により、脳や腸とのつながりや、唾液の新たな働き、効果的なセルフケア法も明らかに。

「定期的に歯科医にかかることももちろん大切ですが、歯や舌を清潔に保ち、唾液を出すケアをすることで、口の環境は整っていきます」

口腔ケアの情報をアップデートして、健康を守っていきましょう。

Q.マスクを外すことに対し「口元・口腔内の悩み」はありますか？

A.口臭や歯の汚れ、たるみの悩みも多数

4人に3人以上が「ある」と回答。口臭や歯の黄ばみ、汚れだけでなく、口元のシワやたるみ、笑顔がぎこちないといった「口の中」以外のお悩みも多数ありました。

※からだにいいこと読者143名が回答

意外と知られていないお口と関係あるキーワード

食べ物だけでなく細菌などの入り口でもある「口」は、「風邪・インフルエンザ」「歯周病」「美肌」「ストレス」「免疫力」「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」など、思っている以上に体に起こるさまざまな症状と関連しています。

お口の健康度チェック

• 日中、口がネバネバすることが多い
• 自分の口臭を感じる、口臭があると言われる
• 歯と歯の間によく食べ物がはさまる
• 口の中が乾く、カラカラする
• 舌苔を掃除していない
• 歯茎が赤くはれている

口内環境の問題は血液を介して臓器に広がる

＜コラム＞災害時や妊娠中などの口腔ケアはとても重要！

災害により水が蛇口から出ない、妊娠中で歯の治療が難しい……。そんなときでも、お茶でうがいをしたり、指で歯茎を刺激して唾液の分泌を促したり、できるケアを行い、口から健康を守って。

口内環境を守るセルフケアと、歯・唾液・舌の最新トピックス

お口はさまざまな研究が進んでいる場所。セルフケアも進化しています。

[歯]よく噛むことが海馬を活性化させる

よく噛んで唾液の分泌を増やすと、唾液を分泌する唾液腺で作られる、神経細胞の増殖や再生を促す成分が増加。この成分が血液を通じて脳の海馬に運ばれ、活性化。 脳のストレス耐性が高まり、うつ病のリスクを下げる可能性があります。

[歯]40代は歯周病が原因の抜歯の割合が30代に比べて倍に

抜歯の原因となるものはいくつかありますが、40代になると「歯周病」の割合がグッと増えます。40代はお口の健康状態が変化し、歯周病が増え始める年代であることの表れでもあります。

歯が抜ける原因の割合を年齢階級別に示したグラフ。埋伏歯とは一部の親知らずのように完全に生えていない歯、う蝕はいわゆる虫歯。

[歯]「歯科金属アレルギー」に関するガイドラインが2022年に策定

歯の治療に使用する金属と、皮膚疾患などのアレルギーとの因果関係がわかってきたことから、診断や治療におけるガイドラインが策定されました。歯科と皮膚科が連携して治療にあたる方針などが示され、今後の効果的な治療が期待されます。

＜歯のコラム＞アプリで歯の治療履歴を簡単管理 ！「DentalDiary」

歯の治療履歴を手軽に記録し、見返せる「カルテメモ機能」が便利なアプリ。口腔状態や適切な治療が行われているかどうかを把握しやすくなります。

【歯のセルフケア】キシリトールガムを食後に噛む

虫歯菌は歯に残った糖を食べ、虫歯の原因となる酸を作ります。食後にキシリトールガムを噛むと酸を作り出せず、虫歯ができにくい状態に。キシリトールガムは、食後に噛むのがもっとも虫歯予防に効果的です。

【歯のセルフケア】朝食前に口を閉じて歯磨きする

日中、唾液によって繁殖が抑制されている口内の細菌は、睡眠時に唾液の分泌が減ることで繁殖。起床後、そのまま朝食を摂ると、食べ物をエサに菌がますます増殖します。歯磨きで細菌を除去してから朝食を摂りましょう。

[唾液]唾液中の抗酸化物質が老化を遅らせる

細胞の新陳代謝を抑制して細胞の老化を早める活性酸素。唾液には活性酸素の働きを抑える抗酸化物質「ラクトフェリン」などが含まれています。唾液の分泌は美容面でもうれしい効果をもたらします。

[唾液]大腸がんを誘発する悪玉菌の増殖を防ぐ

「フソバクテリウム」は通常口内に存在し、唾液に混ざって大腸がんの進行を促すとみられる菌。つまり、口内の環境を整えて菌を減らすことで、大腸がんの発症や進行を抑制できると考えられます。

＜唾液のコラム＞唾液で更年期障害の進行度がわかる

エストロゲンの分泌が減ることで起こる更年期障害。エストロゲンは唾液にも含まれるため、唾液で更年期障害の進行度を調べる検査も始まっています。

【唾液のセルフケア】唾液腺マッサージ

口の周囲に3つある唾液腺。それぞれマッサージすることで、唾液の分泌が促されます。唾液腺マッサージを習慣にして、働き者の唾液を作り出しましょう。3カ所すべて行わなくてもOK。

耳下腺：耳の舌の少し前側を、円を描くように。

顎下腺：あごの下に入れたこぶしを首から手前へ。

舌下腺：親指であごの下をやさしく押し上げる。

【唾液のセルフケア】ヨーグルトと緑茶でIgAが増加！

IgAは唾液中に含まれる代表的な抗菌物質。虫歯やインフルエンザなどを予防する役割があり、唾液中に高濃度で含まれるほど効果的。1日あたりヨーグルト100gの摂取、ぬるいお湯で抽出した緑茶を飲むことで増やせます。毎日摂り続けましょう。

[舌]舌を鍛えると呼吸が深まり、自律神経が整いやすくなる

舌の先端は上あごについているのが正しい位置。口がポカンと開かないので口内が乾燥しにくく。口呼吸ではなく、鼻呼吸をしやすくなるため、呼吸が深くなります。自律神経を整えるためにも、日ごろからよく動かし、舌の筋力を高めておきましょう。

【舌のセルフケア】舌の先端を常に上あごにつける

食事をしているとき、会話をしているとき以外は、舌の先端を上あごにつけるように意識しましょう。それだけでも、舌のトレーニングに。口を動かしたり、口のなかで舌を動かしたりするのも効果的です。

【舌のセルフケア】週に１～２回は舌苔を取りのぞく

舌苔は舌の表面についている苔状のもの。細菌が豊富についているので歯ブラシや専用グッズを使い、定期的に除去しましょう。完全に取れるものではないので、ケアしすぎて舌を傷つけないように注意。

口臭予防やホワイトニングに！編集部イチオシ６選

日々進化する口腔ケア、セルフでも効果的に口内環境を整えられるアイテムを編集部が厳選しました。自分用にはもちろん、プレゼントにもおすすめ！

ホワイトマウス デンタルヘルス マウスウォッシュ リフレッシュミント

ホワイトマウス デンタルヘルス マウスウォッシュ リフレッシュミント 400㎖
¥1,430／ステラシード　TEL.03-6804-5584
口をゆすぐだけで歯の表面をコーティングし、着色汚れの付着を予防。歯本来の白さを保ちながらネバつきもスッキリ洗い流す。

デイヴィッズ タングスクレーパー（写真上）　ソラデー5（写真下）

（写真上）デイヴィッズ タングスクレーパー
¥3,960／It’s so easy　TEL.03-3400-0340
丸みを帯びた形状が舌に優しく、なめらかな使い心地。医療用ステンレス素材で舌苔を効果的に取りのぞく。お手入れも簡単。

（写真下）ソラデー5
¥2,750／シケン　TEL.0120-00-5212
光があたると電子を発生させ、ブラッシングで歯垢を効率的に除去。手に持ちやすく、磨きやすい。替ブラシ方式で本体は長持ち。

デンタフローラ

デンタフローラ 31粒入り
¥2,780／フジッコ　TEL.0120-15-2425
お口の善玉菌「L8020乳酸菌」入りタブレット。舐めるだけなので続けやすい、歯磨きにプラスの新習慣。さわやかなレモンミント味。

ポリリンEX-W パーフェクトケアセット

ポリリンEX-W パーフェクトケアセット
＜セット内容＞
薬用ポリリンジェルEX-W 60g 1本
薬用ポリリンデンタルリンスEX-W 500ml 1本
¥6,990／リジェンティス　TEL.0120-46-6182
ジェルで歯を傷つけずに汚れをしっかり落としたあと、リンスでコーティング。セット使いでキレイなお口の好循環が生まれる。

UHAシタクリア 液体はみがき フレッシュシトラス

UHAシタクリア 液体はみがき フレッシュシトラス 500㎖　
¥1,078／UHA味覚糖　TEL.0120-557-108
特許成分「DOMAC」を配合。舌表面の汚れ、歯、息をトータルケア。刺激感が苦手な人でも安心して使用できる。防災時にも◎。

撮影／国井美奈子　取材・文／馬渕綾子　イラスト／川原瑞丸
（からだにいいこと2023年10月号より）