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トイレにいる女性

排尿時の痛み、残尿感…。「膀胱炎」になりにくい体質をつくるには?|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は「膀胱炎」がテーマ。東洋医学のセルフケアで体質改善をして、繰り返しやすい“尿のお悩み”から解放されましょう。

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「膀胱炎」の原因は“湿熱”の発生と免疫力不足

尿の回数が増える、にごった尿が出る、排尿時に痛みがある、残尿感がありすっきりしないなど、不快な症状があらわれる膀胱炎。トイレをがまんしたり、冷えたりすることも膀胱炎に関係しています。

東洋医学で膀胱炎が起こる原因は2つあると考えられます。1つ目は膀胱に発生した“湿熱(しつねつ)”。湿熱とは、ベタベタ・ネバネバした汚れのことで、余分な水分に熱が加わることで起こります。その代表が暴飲暴食やお酒の飲みすぎ。また、東洋医学で脂っこいものや甘いものなどをあらわす「肥甘厚味(ひかんこうみ)」の食事も原因になります。

湿熱は健康であれば尿や便で排出されますが、体のバランスが乱れていると排出されにくく、膀胱が炎症を起こす原因に。排尿時のヒリヒリ感、尿のにごりなどの症状としてあらわれます。

2つ目は免疫力の低下。人間の体には「衛気(えき)」といわれる“バリア機能”が備わっています。しかし睡眠不足や疲労などが続くとこの働きが低下。外から入ってくる“邪気”を防御できず、細菌に感染しやすくなります。免疫力低下による膀胱炎は慢性化しやすいのが特徴。治っても繰り返す人はこのタイプといえます。

また、バリア機能が低下している人は膀胱炎だけでなく、風邪をひきやすい、疲れやすい、皮膚トラブルが多い、ストレスが多いなどが原因で、“腎”の働きが弱っています。腎は生命エネルギーを司り、膀胱との関係も深いため、尿トラブルが慢性化しやすくなるのです。

「膀胱炎」になりにくい体質をつくる東洋医学的セルフケア

膀胱炎になりやすい、繰り返しやすい人は、食養生や生活習慣を見直して、根本から体質改善することで予防ができます。

※ご紹介するのはあくまでセルフケアの方法です。症状が続く場合は、早めにお近くの医療機関を受診しましょう。

【湿熱が原因の場合】利尿作用のある食べ物が効果的

湿熱による炎症が原因と考えられる場合は、はとむぎや緑豆、あずき、大豆、もやし、緑茶、きゅうりや冬瓜(ウリ類)などを食べましょう。これらは利尿作用が高いため、体にたまった湿熱を追い出す働きがあります。ベタベタ・ネバネバした汚れの湿熱は、暴飲暴食によっても発生しやすくなります。腹八分目を心がけて、脂っこい食事は控えめに。

【湿熱が原因の場合】トイレをがまんしない

湿熱による膀胱炎対策の基本は、トイレをがまんしないこと。また、ふだんから体を動かして代謝のいい体をつくることで、尿が出やすくなり、膀胱炎を予防できるでしょう。

トイレが終わった女性

【免疫力低下が原因の場合】自然な甘みのある黄色の食べ物が効果的

バリア機能の“衛気(えき)”を取り戻すには、自然な甘みのある黄色っぽい食べ物がおすすめです。代表的なのは、お米、豆類、かぼちゃ、さつまいも、とうもろこし、にんじん、さつまいも、栗など。これらを食事に取り入れてみてください。味付けはシンプルに、素材の甘味を味わいながらいただきましょう。

【免疫力低下が原因の場合】疲れやストレスをためない生活

疲労の蓄積やストレス過多な生活は、免疫力低下に直結。慢性的に膀胱炎を繰り返す人は、体を守る防御力が落ちています。たまった疲労を回復させるために、まず休む時間の確保を。休日は何もしない、早めに布団に入るなど、自分の体に優しくしてあげましょう。

膀胱炎対策に効果的なツボ

膀胱炎対策にはツボ押しも有効です。症状があるときはもちろん、予防のためにふだんから習慣にするのも良いでしょう。

中極(ちゅうきょく)

中極

中極(ちゅうきょく):おへその下側で、人差し指から小指までを合わせた指幅4本分下がった位置。

押し方:両手の人差し指と中指を重ねて置き、垂直に5秒ほど押し、それを5回繰り返します。ツボ押しのときは、あお向けに寝て行うのがおすすめです。

今月の養生ポイント:気を消耗させないために“温める”より“冷やさない”生活を

“冷えは万病のもと”といわれますが、膀胱炎も冷えで起こりやすい尿トラブルのひとつです。体は冷えを感じると、元の適切な体温まで戻そうとがんばります。そのときに「気」をたくさん消耗してしまい、エネルギーが不足してしまうのです。気の不足は、疲れやすい、風邪をひきやすい、落ち込みやすいなど、さまざまな不調の引き金になります。

冷え対策として、お風呂に入る、カイロを貼るといった外から温める“温活”はもちろん良いですが、それよりも心がけて欲しいのが“冷やさない”生活。寒い日は一枚羽織る、靴下で足首を守る、首元が出ない服を着る、腹巻をこっそり着用するなど、自分の体温を逃がさない工夫を。

また、座りっぱなしで筋肉を動かさない生活も冷えを悪化させます。こまめに立ってトイレに行く、ストレッチをするなどして巡りをアップさせる習慣を。今日から“温める”前に“冷やさない”生活を意識して、寒い時期を乗り越えましょう。

取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ

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