月曜が憂うつ…。「ブルーマンデー」を払拭する東洋医学のセルフケア|田中友也さん 季節の養生法
神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は「ブルーマンデー」がテーマ。週末の憂うつな気分や眠りの悩みを改善する東洋医学的セルフケアをご紹介します。
目次
日曜の夜から月曜にかけて起こる心身の不調は「ブルーマンデー」のせいかも?
日曜日の夜が近づいて来ると、「仕事に行くのが嫌だな…」「また一週間が始まるのか…」と、憂うつな気分になる人も多いでしょう。誰にでも起こるその状態は「ブルーマンデー」といわれています。
ブルーマンデーによって憂うつ感や不安、落ち込みといったメンタル不調が起こり、それが影響して寝つきが悪い、中途覚醒するといった不眠が起こります。日曜日の夜、早めに布団に入ったのに眠れない、翌朝の目覚めが悪いといった睡眠トラブルは、ブルーマンデーが原因かもしれません。
また、下痢や食欲不振、だるさ、倦怠感、頭痛などの体の不調があらわれることもあります。日曜の夜から月曜にかけて起こるこのような心身の不調は、自分が悪いのではなく“ブルーマンデーのせい”なのかもしれません。
不調の原因は「ブルーマンデー」による気の滞り・気の不足
ブルーマンデーによる症状を東洋医学的に解説すると、不調の原因は気の滞りと気の不足です。「気」とは体に流れている“エネルギー”のこと。
【原因1】気の滞り
次の日が憂うつ、やる気が起こらないといったストレスを感じると、体に流れている気が滞りやすくなります。気が停滞すると、体が風船のようにパンパンになった状態に。すると、物事を前向きに考えられなくなり、体にもさまざまな不調が起こりやすくなります。
【原因2】気の不足
普段から睡眠不足が慢性化している人や、土日に予定を詰め込んで遊びすぎた人は、気が不足していると考えられます。元気に活動できるのは気が充実しているから。気が不足した状態だと、思考が後ろ向きになったりだるさや倦怠感といった体の症状があらわれやすくなります。
ブルーマンデーになりやすい人・なりにくい人の特徴は?
気が滞りがちで不足気味な人はブルーマンデーになりやすいといえます。例えば、我慢強くて真面目な人、気を遣ってしまう人、言いたいことを言えない人がこれに当てはまります。食が細い人、日頃から睡眠状態が悪い人もブルーマンデーの影響を受けやすいでしょう。
反対になりにくいのは、おしゃべりするのが好きで趣味がある人。内側にこもったストレスを会話や好きなことで上手に発散できているため、気が充実して巡りもよくなります。このような人は日曜の夜でもぐっすり眠れて週明けも元気に過ごせます。
「ブルーマンデー」を払拭する東洋医学的セルフケア
ブルーマンデーは「自分の性格だから仕方ない…」とあきらめる必要はありません。東洋医学の視点で食事や生活習慣を見直すと、影響を受けにくい体質を目指すことができます。効果的な食養生や過ごし方のポイントをご紹介します。
【食養生】自然な甘みのある黄色の食べ物、香りのいい食べ物を
食事のポイントは、不足した気を補い巡らせること。体の元気を補う自然な甘みの黄色い食べ物や、気を巡らせる効果がある香りのいい食べ物がおすすめです。
自然な甘みのある黄色の食べ物…お米、豆類、かぼちゃ、さつまいも、とうもろこし、にんじん、栗など
そのほか元気を補う食べ物…牛肉、鶏肉、卵、きのこ(しいたけ、しめじ)、いも類(さつまいも、じゃがいも)など
香りのいい食べ物…柑橘系フルーツ(グレープフルーツ、みかん、レモン、オレンジ)、パクチー、ミント、春菊、セロリ、そのほか自分の好きな香りの食べ物など
【生活習慣のポイント】週末はダラダラしすぎず睡眠はしっかり
週末は、疲れているからと家でダラダラ・ゴロゴロしているとさらに気が停滞します。かといって予定を詰め込みすぎてハードな土日を過ごすと気が消耗。休日は平日の疲れを癒す2日間です。ゆったりとした気持ちで好きなことをして過ごし、時々散歩やウォーキング、ショッピングに出かけるなどして体を動かすと気の巡りがスムーズに。
また、睡眠不足=気の不足となり、ブルーマンデーに直結します。夜更かしは金曜だけにして、土曜の夜は早めに眠り睡眠時間を確保しましょう。
【メンタルケア】月曜日に楽しい予定を入れる
週明けを少しでも明るく過ごすためにおすすめなのが、月曜日の夜に楽しい予定を入れること。例えば月曜の夜は好きなスイーツを買って帰る、早めに帰宅してドラマや映画を観る時間を持つなど、ブルーマンデーを乗り切った自分に“ご褒美”を用意しましょう。月曜の仕事終わりは自分を甘やかす日にすると、憂うつな気分が軽減するかもしれません。
気の滞りを改善!「ブルーマンデー」に効果的なツボ
気の滞りを改善するツボをご紹介します。気分が落ち込んだときにツボ押しをするのはもちろん、毎日の習慣にするとブルーマンデーが起こりにくい元気な体質を目指せます。
気の滞りを改善するツボ:合谷(ごうこく)
合谷(ごうこく):親指と人差し指の骨の付け根が合わさった、V字になったくぼみ。
押し方:反対の手の親指で人差し指側に押し込み、ズーンと響く強さで押します。横になったままで良いので、ゆっくり呼吸をしながら押してみましょう。
気の不足を改善するツボ:気海(きかい)
気海(きかい):おへそから指2本分下の位置。
押し方:手を重ねて軽く上から押すイメージでやさしくツボを刺激。温めた手をそっと置くだけでも効果的です。
今月の養生ポイント:不安・憂うつな気持ちを紙に書き出して心のお掃除を
日曜日の夜、「朝から会議だ…」「仕事がたくさんあるな…」と、嫌な気持ちがぐるぐる頭を巡っていると思います。「考えてはダメだ」と思えば思うほど不安な気持ちは膨らみ、ますますブルーマンデーが襲ってきます。頭の中で想像しているできごとは、実はすべて「まだ起こっていないこと」。まずはそれに気づきましょう。
そして、ストレスに感じていることを紙に書き出してみてください。「会議が嫌だ」「満員電車に乗りたくない」「明日の仕事量が多い」など、ネガティブワード連発でOK。不安を心の底から吐き出すことで、それ以上無駄な想像を膨らませることなく眠りにつくことができるでしょう。
心の“ゴミ”はため込まずにキレイにお掃除を! みなさんが来週もクリーンな気持ちで月曜日を迎えられますように。
取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ
[ 監修者 ]