「食」に秘められた力を学び多面的に健康をサポート┃ホームドクター(18)
皮膚を“見る”だけでなく、栄養状態を含めた体の内外を総合的に“診る”ことの重要性を見いだした馬渕知子先生。生きることは食べることであり、「食」と健康は深くつながると発信する馬渕先生の思いとは。
「からだにいいことホームドクター」とは?
「この健康法は自分に合っているのかな」「どうしてこんな不調が起きるんだろう」など、自分ではわからないけれど病院に行くほどではない“セルフケア以上、診療未満”のお悩みを、各科の名医と一緒に解決していく、健康応援プロジェクトです。
目次
皮膚科専門でなく、栄養面からもアドバイス
馬渕知子先生が医師を目指し、皮膚科を専門にした理由は?
馬渕先生 町医者だった祖父をはじめ、親族に医療従事者が多い環境で育ち、物心がつくころには「いつか自分も人を助ける医師になる」と心が決まっていました。
料理が好きでシェフに憧れたことがありましたが、親の助言であえなく断念(笑)。医学部に進学しました。見た目に関わる皮膚を気にする人は多いし、手術も好きだったため、皮膚科を専門に選びました。
皮膚科で学んだことは多いですが、次第に“ある疑問”が大きくなっていきました。皮膚科診療は皮膚を見ることが中心で、血液検査まで行うケースはまれ。でも、アトピー性皮膚炎やなかなか治らない皮膚疾患は、体の内側の問題で皮膚に影響が出ていることがあるはずです。それなら、体の内側を知るべきではないか? もっと詳しい血液検査が必要ではないか? と思うようになっていました。そんなときに外科での研修を行える機会を得たんです。
治療にあたるなかで「食」の大切さに気付かれたきっかけは?
馬渕先生 手術を行うには、患者さんの体の状態を総合的に診る必要があります。同時に、同じ条件で同じ手術を行っても、回復具合に差がある場合があることに気付きました。そして、その差を生む要因の1つが“食べることが好きか”によるのではないか、と。
手術前からよく食べ、入院中も食事を楽しんでいた人は回復が明らかに早かったのです。人は口から入るもので生かされ、つくられているのだと改めて実感し、「患者さんの栄養状態を知らずに、その体を知ったことにはならない」という答えにたどり着きました。そして、栄養学の知識を深め、総合的に体を診るクリニックを開院。現在は、管理栄養士や調理師を育てる学校法人の長も務めています。
読者世代の女性が摂るべき栄養素を教えてください
馬渕先生 “健康な脳”と“丈夫な足腰”があることは、楽しく生きるための秘訣だと思っています。だから、体を作る「たんぱく質」、骨や関節の維持に重要な「カルシウム」「コラーゲン」は積極的に摂ってほしい栄養素。また、コラーゲンは細胞同士を結合する役割も。細胞の酸化を食い止める「ビタミンC」もおすすめ。
まずはおいしく楽しくしっかり食べて、足りないと感じるならばサプリメントを検討しても良いでしょう。
そして、何よりも重要なのは水を飲むことです。食事からの摂取も含めて、1日に2~3リットルの水分を摂りましょう。水分を補給することで代謝も上がりますし、肌の潤い維持に役立ちますよ。
ゴルフで心身をリフレッシュ
最近ゴルフを始めたという馬渕先生。
「先日のラウンドの結果はなんと216打(笑)。打数はまだまだですが、自然の中でプレーすることでリフレッシュできます」
取材・文/江山 彩 協力/ウィルウェイ
(からだにいいこと2024年2月号より)
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