効果的なストレス発散方法は?ストレスの原因や影響、診断方法も解説
日々の生活の中で、人はストレスを感じています。うまくストレスを発散できないと、心や体に異変があらわれることも。そこで本記事では、ストレス発散方法について紹介します。
目次
ストレスとは|ストレスを感じる仕組み
普段から何気なく使われている「ストレス」という言葉。ストレス発散方法を知る前に、ストレスの概要や種類・原因について理解しておきましょう。
そもそもストレスとは?
ストレスとは、物理学の用語であり「外部からの刺激に対する応力」のことを指します。一方で医学や心理学では、外部からの刺激による心や体の反応を「ストレス反応」、ストレスの原因を「ストレッサー」と呼びます。
またストレスの原因が同じであっても、自分を良い方向に導いてくれる良いストレスと悪いストレスが存在します。この感じ方は、性格や考え方など人によって異なるため、一概にはいえません。
ストレスの原因となるストレッサーの種類
先ほども紹介したとおり、ストレスは「ストレッサー」と「ストレス反応」が組み合わさることで生じます。ストレッサーとは、簡単にいうとストレス反応を起こす外部刺激のことです。
ストレッサーは、主に下記の3つに分けられます。
物理的ストレッサー | ・工事や自動車などによる振動や騒音 ・人が集中する場所 ・寒暖差や気圧変化 |
化学的ストレッサー | ・たばこなどによる空気汚染や悪臭 ・花粉 ・薬物 |
心理・社会的ストレッサー | ・人間関係による悩み ・仕事上のトラブル |
一般的にストレスと呼ばれるものは、心理・社会的ストレッサーによるものです。対人関係による問題などは、学生から社会人まで多くの方が体験したことがあるでしょう。
ストレスの原因になりやすいできごとの例
日常生活の何気ないできごとでストレスを感じている人も少なくありません。特に慢性化している場合は、自分で気づけずにストレスをため込んでいるケースもあります。
ここからは、ストレスの原因になりやすいできごとを紹介します。当てはまっている方は、早めのリフレッシュを心がけましょう。
全年齢に共通する原因|身の回りのできごと
全年齢に共通するストレスの原因としては、下記があげられます。
- 家庭内の人間関係悪化
- 自分や家族、身近な人のけがや病気、災害を体験する
- 収入減少や投資の失敗など金銭面が悪化する
- 引っ越しや周辺の騒音
20代・30代・40代・50代に多い原因|仕事や職場のできごと
20代〜50代などに多い原因としては、下記があげられます。
- 仕事の量や内容の変化
- セクハラやパワハラなどの対人トラブル
- 仕事のミスや変化などの責任問題
10代に多い原因|学校でのできごと
10代に多い原因としては、下記があげられます。
- 学校生活での人間関係
- 他人からどう思われているかを過剰に気にしてしまう
- 勉強に集中できず進路に不安を抱いてしまう
- 友人に自分のことを本音で話せない
ストレスは心と身体にさまざまな悪影響を及ぼす
ストレスがたまると、心や身体にさまざまな悪影響を及ぼします。「ストレスはみんな感じているもの」と考え、放置しているとうつ病などの精神疾患を引き起こす可能性もあるため、自分と向き合い、ストレスを発散することが大切です。
またストレスが蓄積されると、心や身体に下記のような症状があらわれます。
心の合図 | ・憂うつや悲しい気分が続く ・何をしても不安やイライラが解消されない ・興味が合ったものにも関心がなくなる ・無気力でやる気が出ない |
身体の合図 | ・食欲が出ない ・体重が減ってしまった ・寝つきが悪い ・中途覚醒を起こす |
行動の合図 | ・何ごとにも消極的になってしまう ・対人関係を避けるようになった ・飲酒や喫煙の量が増えた |
このような症状に当てはまる方は、自分なりの方法でストレスを発散しましょう。それでも改善されない場合は、医療機関の受診をおすすめします。
手軽にできるストレス発散方法8つ
なかなかうまくストレスを発散できない方も多いのではないでしょうか。手軽にできるストレス発散方法を知っておくと、より自分らしく生きやすくなるでしょう。
手軽にできるストレス発散方法は、主に下記があげられます。
- 運動やストレッチで体を動かす
- 睡眠をしっかりとる
- 日光を浴びる
- 甘いものを食べる
- 親しい人と話をする
- 趣味に没頭する時間をつくる
- 入浴でリラックスする
- ストレス発散には家族のサポートも必要なことがある
ここからは、上記の発散方法を詳しく解説していきます。ストレス発散に必要なポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
(1)運動やストレッチで体を動かす
運動やストレッチで体を動かすことは、リフレッシュになる上に、筋肉の緊張緩和も期待できます。人間は、ストレスを感じると筋肉が緊張するため、体を動かすことでストレスを軽減できます。
職場や学校などで椅子に座っている状態でも、腕を伸ばしたり、腰をひねったりなどすることでストレッチにつながります。ストレッチをする際のポイントとして、呼吸は止めずに深呼吸をしながら行うと効果的です。
(2)睡眠をしっかりとる
ストレスや疲労を感じたら早めに布団に入り、しっかりと睡眠をとりましょう。睡眠は、肉体を休めるだけでなく、脳を休めて自律神経やホルモンバランスを整える効果も期待できます。人によって必要な睡眠時間は異なりますが、6時間以上8時間未満を意識しましょう。
また睡眠時間の確保に加え、睡眠の質も大切なポイントです。背中のS字カーブが保てるやわらかすぎないマットレスや自分の首・肩に合った枕を選ぶのがおすすめです。
(3)日光を浴びる
日光には、幸せホルモンと呼ばれている「セロトニン」を分泌する効果があります。セロトニンが分泌されると、精神が安定したり、脳が活発になったりなどの効果が期待できます。
反対にセロトニンが不足すると、ストレスや疲れが感じやすくなる傾向にあるため、意識的に日光を浴びましょう。特に寝起きは、カーテンを開けて積極的に日光を浴びるのがおすすめです。
(4)甘いものを食べる
人間は、甘いものを食べると快楽中枢が刺激されて「エンドルフィン」という物質が生成されます。エンドルフィンには、リラックスや気持ちを落ち着かせる効果があるといわれています。
実際に甘いものを食べるとリラックスできるといった医学的結果も出ています。職場や学校でストレスを感じる方は、チョコレートやクッキーなどを持っていくとよいでしょう。
(5)親しい人と話をする
ストレスを感じた際は、1人で抱え込まずに、親しい人に打ち明けるのもおすすめです。他人に打ち明けることで、気持ちが楽になった経験をしたことがある方も多いでしょう。
また親しい人と対話をし、たわいない話で笑うこともストレス発散には効果的です。人間は、笑うと副交感神経が優位になり、安らぎを感じるようになっています。親しい人との時間を過ごし、ストレスを発散しましょう。
(6)趣味に没頭する時間をつくる
仕事や人間関係を忘れて、趣味に没頭する時間をつくるのもストレス発散方法のひとつです。スポーツ観戦をしたり、ゲームを楽しむなど何か好きなことに夢中になることで、リフレッシュにつながります。
さらに好きなことに没頭することで、仕事や学校とのオン・オフをつけやすくなります。オン・オフを切り替えられるようになることで、仕事や勉強への意欲向上も期待できるでしょう。
(7)入浴でリラックスする
ストレスを発散するには、入浴でリラックスするのもよいでしょう。ぬるめのお湯にゆっくりとつかることで体の芯まで温まり、筋肉や神経の緊張がほぐれてストレス発散を期待できます。さらに入浴には、副交感神経の働きを高めてくれるといった効果もあります。
夏場は38℃、冬場は40℃を目安にし、ゆっくりと入浴しましょう。アロマオイルや入浴剤など香りをつけることで、よりリラックスできます。
(8)ストレス発散には家族のサポートも必要なことがある
ストレス発散は、自分だけでなく、家族のサポートが必要になることもあります。家族に話を聞いてもらったり、寄り添ってもらったりすることでストレスが解消され、心が安定するケースも少なくありません。ストレスに悩んでいる方は、1人で抱え込まずに家族に相談してみましょう。
こんなストレス発散方法に注意!やりがちだけどダメなこととは?
自分に合ったストレス発散方法を持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、発散方法によっては、かえってストレスを悪化させる恐れもあります。やってはいけないストレス発散方法は、下記があげられます。
- 深酒をする
- やけ食いをする
- 衝動買いをする
- 日中を寝て過ごす
- タバコを吸う
やりがちなストレス発散方法のため、すでに実践している方は他の方法を探しましょう。
ここからは、なぜ上記のストレス発散方法がNGなのかを解説していきます。
(1)深酒をする
過度な飲酒は、身体への負担がかかるため、おすすめできません。長期間続けると、健康を損ねるリスクも伴います。またアルコールは、睡眠の質を下げて自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こす恐れがあるため、深酒は控えましょう。
ただし、適度な飲酒量であればリラックス効果やストレス発散を期待できます。適切な摂取量を守ることを心がけましょう。
(2)やけ食いをする
ストレスを感じると、ジャンクフードや甘いものをやけ食いする方も多いのではないでしょうか。ジャンクフードなどは身体に良くない上に、血糖値の急激な変動を引き起こします。血糖値の急激な変動は、疲労感や抑うつなどの原因になる場合も。また甘いものを食べすぎると依存状態になり、やめられなくなるケースがあるので、摂取量には注意してください。
他にもやけ食いによって、肌荒れや体重が増加してしまい、新たなストレスが生じる可能性も。そのため、やけ食いはできるだけ控えるのがおすすめです。
(3)衝動買いをする
ストレス発散に、衝動買いをする人は少なくありません。
衝動買いは家計を圧迫することで生活を困窮させる恐れがあるため、他のストレス発散方法を探しましょう。ただし、うつ病や不安症の症状のひとつとして衝動買いが生じる可能性もあります。
(4)1日中寝て過ごす
休息のためには睡眠が欠かせません。ストレスを感じても、寝ることでリフレッシュできる方も多いでしょう。
しかし、1日中寝て過ごしている方は注意が必要です。1日中寝た場合、平日と休日で体内時計が乱れ、時差ボケのような状態に陥ってしまいます。うまく睡眠がとれなくなったり、日中に眠気が生じたりする可能性があるため、睡眠時間は長くても8時間程度にしましょう。
(5)タバコを吸う
タバコは、健康被害を損ねるため控えましょう。タバコを吸うことで、ストレスを発散できたり、リフレッシュできたりする方も少なくありませんが、実際にはニコチン不足が解消される離脱症状によってストレスが緩和されるだけです。
禁煙に成功した方は、離脱症状から開放されて、ストレスがより低減することがわかっています。このようにタバコは、ストレッサーになりかねないため、禁煙を目指すのがおすすめです。
こんな人は注意!ストレス発散が苦手な人の特徴
ストレス発散が苦手な人もいます。1人で抱え込んでしまい、精神疾患を引き起こす可能性も考えられます。自分では認識できていなくても、抱え込んでしまうケースも少なくないため、自分自身を知ることが大切です。
- 自己肯定感が低い
- 真面目で完璧主義
- 自己主張ができない
- 周囲の目を気にしてしまう
- 交友関係が狭い
上記に当てはまる人は、ストレス発散が苦手な傾向にあります。ストレスをため込まずに自分らしく生きるためにも、一度自分を見つめ直してみましょう。
自分のストレス度はどのくらい?セルフ診断しよう
無意識にストレスをため込んでいる人も少なくありません。ストレスを軽減させるためにも、ストレス度のセルフチェックを行いましょう。
- 1 よく風邪をひく、風邪が治りにくい
- 2 手・足が冷たいことが多い
- 3 手のひらや、脇の下に汗をかくことが多い
- 4 急に息苦しくなることがある
- 5 動悸がすることがある
- 6 胸が苦しくなることがある
- 7 頭がすっきりしない(頭が重い)
- 8 目がよく疲れる
- 9 鼻づまりすることがある
- 10 めまいを感じることがある
- 11 立ちくらみしそうになる
- 12 耳鳴りがすることがある
- 13 口の中が荒れたり、ただれたりすることがよくある
- 14 のどが痛くなることが多い
- 15 舌が白くなっていることが多い
- 16 好きな物でも食べる気がしない
- 17 いつも食べ物が胃にもたれるような気がする
- 18 腹が張ったり、痛んだり下痢や便秘をすることがよくある
- 19 肩がこりやすい
- 20 背中や腰が痛くなることがよくある
- 21 なかなか疲れがとれない
- 22 このごろ体重が減った
- 23 何かするとすぐに疲れる
- 24 気持ちよく起きられないことがよくある
- 25 仕事のやる気が起こらない
- 26 寝つきが悪い
- 27 夢を見ることが多い
- 28 夜中に目が覚めたあと、なかなか寝つけない
- 29 人と付き合うのがおっくうになってきた
- 30 ちょっとしたことでも腹が立ったり、いらいらしそうになることが多い
1項目を1点とし、いくつ当てはまるか数えてみましょう。
0〜5点 | 正常 |
6〜10点 | 軽度ストレス |
11〜20点 | 中度ストレス |
21〜30点 | 重度ストレス |
正常範囲の方は、ストレスとうまく付き合えているため、問題ありません。しかし、軽度〜重度の人はストレスをため込んでいる傾向があるため、注意が必要です。
軽度の人は、休息をとり自分に合ったストレス発散方法でリフレッシュを行いましょう。中度や重度の人は、ストレスを強く感じている状態です。抱え込まずに、医療機関を受診することをおすすめします。
出典:大田区ホームページ
まとめ
ストレス反応とストレッサーが組み合わさることで、ストレスが生じます。ストレスの原因は、さまざまなものがあげられますが、職場や学校などの対人関係によるものが多い傾向にあります。
ストレスをため込んでしまうと、精神疾患などを引き起こす可能性もあるため、自分に合ったストレス発散方法を見つけることが大切です。
日光を浴びたり、睡眠をしっかりとったりなど簡単に実践できるものも多いため、自分に合ったストレス発散方法を模索しましょう。