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老眼の女性

「老眼」が始まる原因は?目の若返りに東洋医学のセルフケアを|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は「老眼」がテーマ。老眼の予防や目の若返りに効果的な東洋医学的セルフケアを紹介します。

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老眼は「肝」と「腎」の弱りが原因

目のピントが合いにくくなった、文字が読みづらいなど、40代以降に感じ始める「老眼」の症状。東洋医学で老眼の原因は、五臓六腑の「肝(かん)」と「腎(じん)」にあると考えられています。

肝は血の貯蔵庫といわれ、血を貯蔵し、血流量を調節する役割があります。目は、この肝の血=「肝血(かんけつ)」を材料にして働いているため、不足すると老眼をはじめ、眼精疲労、かすみ、ドライアイなどさまざまな目の不調があらわれます。

古代中国には、「目の状態を観察することで肝の状態を知ることができる」という意味の「肝は目に開竅(かいきょう)する」という言葉があります。それほど昔から、肝と目は関係が深いとされてきました。

スマホやパソコンの使用で目を酷使している現代人は、若い世代でも「肝血」が不足しやすい状態。「肝血」は、目だけでなく脳も使いすぎると消耗します。マルチタスクに追われ休む暇なく働いていることも、肝を弱らせて老眼を早める原因になっています。

もう一つ原因となるのが、生命エネルギーを司る「腎」の弱りです。腎は肝と関係が深く、肝の消耗が激しいと腎もそれに引っ張られてエネルギー不足に陥ります。

このように東洋医学の考え方では、肝と腎の両方が弱る「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」の状態が続くことで、老眼が起こると考えられています。

「老眼予備軍」に多い目の症状とは?

まだ老眼ではないものの、次のような目の不調があれば、あなたは「老眼予備軍」かもしれません。

老眼予備軍チェック

□目が乾燥しやすい
□目の疲れを感じる
□目が疲れて痛みを感じる
□視野がぼやけることがある
□前よりも見えづらいと感じることがある

ただし、症状があっても睡眠をとって回復するようならば問題ありません。体を休めても目の不調が改善しない場合は、老眼に一歩ずつ近づいている可能性があります。

また、東洋医学的には目の不調以外に、次のような症状がある場合も肝と腎が弱っていると考えられます。

肝と腎の弱りチェック

□めまい
□耳鳴り
□集中力の低下
□物忘れ
□白髪
□抜け毛・薄毛
□髪のパサつき
□腰痛・ひざ痛

老眼を予防する東洋医学的セルフケア

上記のチェックに1つでも当てはまった人は、次から紹介するセルフケアを取り入れることをおすすめします。肝と腎と労わり早めに対策することで“老眼デビュー”を先送りにしたり、老眼が始まっても進行を遅らせたりすることができるでしょう。

【食養生】おすすめは“食べる目薬”といわれるクコの実

食べ物で老眼対策をするなら、クコの実がおすすめです。赤い食べ物は血を補う働きがありますが、その中でもクコの実は“食べる目薬”といわれるほど、目の健康にいいとされています。肝血の不足や、腎の働きを補ってくれます。

スープ

クコの実は、スープに入れる、そのまま食べるなどして、1日10粒程度を目安に取りましょう。スーパーの中華料理・食材や、ドライフルーツ・ナッツ類のコーナーなどで手に入ります。

また、菊の花を乾燥させた「菊花茶」も老眼対策に効果的。菊花茶にクコの実を入れて飲むと、老眼にいい最強の養生茶になります。

【食養生】肝と腎を補う食べ物で老眼対策を

クコの実のほかにも、肝と腎の働きを補う食べ物があります。ブルーベリーなどのベリーは肝、木の実類は腎にいいとされています。

肝にいい食べ物…ブルーベリー、いちご、桑の実などのベリー、なつめ、赤味肉、レバー、ほうれん草、にんじんなど
腎にいい食べ物…ゴマ、くるみ、松の実、ひじき、山芋、イカなど

【セルフケア】ホットタオルで目を温める

目は使いすぎると血流が悪化します。そのため老眼対策には目元の血流を改善するセルフケアが効果的です。例えば、濡らしたタオルをレンジで30秒程度加熱し、ホットタオルをつくり目を温める、湯船につかりながらお湯で濡らしたタオルを目元にのせるなど、目の周りを温めてみてください。

疲労感や痛み、かすみなどの症状がなくても、目は疲れています。1日1回、目の温めケアを夜のルーティンにするのも良いでしょう。

【NG習慣】近距離スマホ、歩きスマホは目を酷使する

老眼対策には、やめたほうがいい習慣もあります。現代人が手放せなくなっているスマホの使い方です。暗い部屋でスマホを見る、近距離でスマホを使う行為は、目を疲れさせるため、東洋医学的にも肝血を消耗させるNG習慣といえます。

また、歩きスマホもNG。揺れている文字情報を一生懸命見ようとすることで脳がパニックになります。目はもちろん、脳も酷使させて、肝血を消耗。目の老化防止のためには、「暗闇スマホ」「近距離スマホ」「歩きスマホ」には気を付けましょう。

「老眼対策」に効果的なツボ

老眼を予防するには、血流が大事とお伝えしました。目の周りには血流を促進させるツボが集中しています。ご紹介するツボを指で押して、目の若返りを目指しましょう。老眼のほか、眼精疲労の改善、花粉症による目のかゆみにも効果的なツボです。

魚腰(ぎょよう):瞳の真上、眉毛の上。

押し方:眉山(眉の中央)を、やや下から押し上げるように刺激します。

太陽(たいよう):眉尻と目尻の中間にあるこめかみのくぼんだところ。口を閉じたり、開けたりしたときに、ややへこむ場所。

押し方:イタ気持ち良い強さで押しましょう。

睛明(せいめい):目頭と鼻の付け根の骨の間にあるツボ(目が疲れたときに無意識に押さえてしまう部分)。

押し方:人差し指と親指の腹で、左右の睛明をつまんで、ぐっと押しこむように刺激します。

承泣(しょうきゅう):目の真下、下まぶたの中央。

押し方:下から押し上げるように刺激します。

これらのツボを全体的に覆うように、ホットタオルで温めることもおすすめです。

今月の養生ポイント:「目と脳の休み時間」で情報をシャットアウト

「スマホ老眼」という言葉もあるほど、スマホの普及と共に老眼が若年化してきているといわれています。スマホやタブレット、パソコンなどのデジタル機器は、生活に欠かせないツールとなり、私たち現代人が1日に受け取る情報量は「江戸時代の人間の一生分と同じ」といわれているそうです。目から絶え間なく入ってくる情報を脳が必死に処理している――。そう考えると、夜になって「ぐったり、もう動けない…」となるのも納得です。

目の老化を予防するためには、意識的に目と脳を休める時間を持つことが大切。丸一日スマホを使わないのは難しいので、例えば2時間だけ電源を切って本を読む、電車移動中はスマホを見るのをやめて景色を眺める、寝る1時間前はスマホを触らないなど「目と脳の休み時間」をつくってみてください。

どうしてもそれができないという人は、睡眠時間を確保して強制的に情報のシャットアウトを。自分に必要のない情報を目や脳に入れないことも、心と体を守る大事な養生の一つです。

取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ

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