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不機嫌ハラスメント、通称“フキハラ”「不機嫌」のメカニズム【事例編】
他人の不機嫌で自分まで嫌な思いをしたことはありませんか? ネガティブな感情、特に不機嫌は周囲に伝染します。本記事の事例編では、身の回りで起きる「不機嫌ハラスメント」、通称“フキハラ”のエピソードをご紹介します。
目次
ネガティブな感情は脳波を通じて人に伝わる
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行動制限がなくなって、人との関わりが増え、気疲れしていませんか。「黙っていても感情は脳波を通じて周囲に伝わるもの。特に不機嫌は相手にうつり、感染症のように広がってしまいます」と教えてくれたのは、慶応義塾大学教授の満倉靖恵さん。
街でイライラしている人を見たとき、クレームの電話を受けたり、SNSで悪口を読んだときも同様です。
「自分が気にすれば脳波が変化し、ストレス度が上がります」
他人の不機嫌に振り回される“不機嫌ハラスメント”を満倉さんは「フキハラ」と呼んでいます。
「やっかいなのはフキハラ被害者のほうがストレスを引きずること。この負の感情は気分転換に楽しいことをしても簡単に上書きできません」
さらに、自身が不機嫌なら、フキハラの加害者になる可能性も大。
「30~50代は女性ホルモンの変化もあり、気持ちが揺らぎやすい年代です。自分の感情を客観視するクセをつけ、心の不調を感じたらやることを決めておくようにしましょう」
不機嫌な人のそばにいるとストレスが“伝染”
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荷物が届かないことで不機嫌な人と、その場に居合わせた人の脳波のストレス度を満倉さんが測定。荷物が届き、当事者のストレス度が下がったのに対し、居合わせた人のストレス度はアップしました。フキハラは、被害者ばかりが損をしてしまいます。
チェック! あなたもフキハラしていませんか?
無自覚にやりがちなフキハラ。下の項目に当てはまる人はフキハラ加害者になる可能性大です。
□思い通りにならないと不機嫌になる
□構ってくれないと残念な気持ちになる
□気遣いが足りないなと思うことが多い
□イライラすると周りが萎縮する
□人のうわさ話をしたり悪口を言う
□家庭では完全にオフモードになりたい
□パートナーがいつもイライラしている
不機嫌トラブルありがちエピソード
職場や家庭、街中で不機嫌な人に振り回されることも多い昨今。そんなあなたも迷惑をかけているかも……。
CASE1 身近な人のイライラで周囲が嫌な思いをする
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イライラするといつも貧乏ゆすりをする会社の上司や、無視する夫が身近にいるとその場の雰囲気は最悪に……。周囲のテンションもガタ落ちします。職場なら生産性も下がっていいことなし!
CASE2 外出先でクレーマーに会うと、気分は最悪
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お店や電車内でほかの人に大声で文句を言う人を見て、めちゃくちゃ腹が立つことはありませんか。脳は嫌なことに対して敏感なので、自分に起きたことでなくても負の感情が伝わります。
CASE3 自分が不機嫌なせいで場の雰囲気を壊した
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疲れていたり自分に余裕がないと、不機嫌さを隠せずに夫の気遣いをスルーしたり、人間関係の不和を招いていませんか。自分の「不機嫌」な感情が伝搬し、周囲を深く傷つけている可能性があるので要注意。
イラスト/香川尚子
(からだにいいこと2023年12月号より)