汗が止まらないのはストレスや病気のせい?原因や対処法を紹介!
季節に関係なく汗が止まらなくて困っている方は少なくありません。本記事では、汗が止まらない原因や対策方法を紹介します。汗が止まらないのが病気のせいなのか心配な方は、ぜひ参考にしてください。
目次
汗が出る仕組みとは?
汗には体温を下げる働きがあるため、体温が上がったときに分泌されます。その他にも、緊張やストレスを感じたときや辛い物を食べたときにも汗は出ます。
汗は汗腺から分泌され、汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
体温の上昇やストレスを感じると、脳にある視床下部から汗を出す指令が交感神経へ伝達されます。交感神経からアセチルコリンという神経伝達物質が分泌され、アセチルコリンがエクリン腺の受容体に結合すると、汗が出る仕組みです。
汗が止まらないのは病気のせい?原因について
汗が止まらないのは、多汗症や自律神経失調症、更年期障害、甲状腺機能亢進症などの病気が原因の場合があります。
汗が止まらず困っている方は、以下の病気が自分に当てはまるかどうか確認してみましょう。
ちょっと動くだけで汗が出ることに悩んでいる方に向けて、原因や対策方法を解説します。医療機関を受診する目安も紹介しているので、不安を抱いている方は、ぜひ最後までご覧ください。
①多汗症
多汗症とは、汗が過剰に分泌され、日常生活に支障が出ていると本人が感じている状態です。例えば、手に汗を過剰にかくためにノートや書類がぬれて文字が書けない、手汗が気になって握手ができない、などで困っている方が多いようです。
内服薬や神経疾患、ホルモン異常などの原因がはっきりしているものを続発性多汗症、原因が不明なものを原発性多汗症と呼びます。
②自律神経失調症
自律神経には「交感神経(興奮・緊張)」と「副交感神経(リラックス)」の2種類があり、それぞれがバランスをとって身体の機能をコントロールしています。この自律神経のバランスが崩れた状態が自律神経失調症であり、興奮や緊張した状態が続くことで汗が出やすくなってしまうのです。
自律神経失調症は、強いストレスや慢性的な睡眠不足、環境の変化などが原因と考えられ、自律神経失調症であると自身では気づかないことも少なくありません。
③更年期(ホットフラッシュ)
更年期とは45〜55歳頃、閉経の前後10年程度の期間です。閉経に向かっていく身体の中ではホルモンバランスなどに変化が起こっていますが、身体がその変化に対応できないとさまざまな不調が出てくることがあります。これらの不調や不快な症状が「更年期症状」であり、人によって症状の重さや種類が異なります。
更年期症状の中でもよく見られるのが「ホットフラッシュ」です。ホットフラッシュの場合、顔がほてる・のぼせる、イライラ、動悸、不眠、急に汗をかくといった症状が出ます。
女性の多くが経験する更年期。「ホットフラッシュ」は更年期の代表的な症状です。体がカーッとなって汗がダラダラ止まらないといった症状がいつまで続くのか、不安ですよね。今回は、ホットフラッシュの原因や症状、改善方法について詳しく解説します。
④甲状腺機能亢進症
のど仏の下にある羽を広げた蝶の形をした臓器が甲状腺です。甲状腺は身体の成長や代謝に関与する甲状腺ホルモンをつくっています。この甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうのが甲状腺機能亢進症であり、バセドウ病とも呼ばれています。甲状腺機能亢進症の原因はわかっておらず、女性に多い病気です。
甲状腺機能亢進症の症状には、甲状腺の腫れや眼球突出、動悸や食事をしていても体重が減ってしまう、イライラしたり疲れやすくなったりすることなどが挙げられます。また、暑がりになり、寒くても汗が出る症状も見られます。
汗が止まらない場合の対処法
汗が止まらなくて困っている場合の対処法としては、医療機関で治療を受ける、もしくは漢方や市販薬を使用する方法があります。
治療を受ける
医療機関で受けられる治療は、以下の表の通りです。
治療名 | 治療方法 |
外用薬の塗布 | 塩化アルミニウム(保険適応外)の塗布・密封 エクロックゲル5%(保険適応)の塗布 |
内服薬の使用 | 保険適応の臭化プロパンテリンや漢方薬、適用外のオキシブチニン、コハク酸ソリフェナシンなど |
ボツリヌス菌の注射(ボトックス注射) | ボツリヌス菌の毒素を注射 脇のみ保険適応で受けられる |
イオントフォレーシス | 手のひらや足の裏を水の入った容器に浸し、電流を10〜20mAで30分間流す 保険適応で受けられる |
交感神経遮断術 | 胸部の交感神経を除去・焼く 保険適応で受けられる |
ミラドライ | マイクロ波を皮膚の上から照射し汗腺を破壊 保険適応外 |
医療機関で受けられる治療には、1回では効果が期待できないものや保険適応外で高額な治療費がかかってしまうものなど、複数の選択肢があります。そのため、どの治療方法が自分に合っているのかわからない方は、まず医師の診察を受けて相談すると良いでしょう。
漢方薬や市販薬を服用する
市販の漢方薬や制汗剤などの外用薬を使用する方法もあります。
漢方薬は自分の体質に合ったものを選ばなければ、効果が得られないことがあります。そのため、漢方薬に詳しい薬剤師や登録販売員に相談し、自分の体質や症状に合った漢方薬を選んでもらうと良いでしょう。
しかし、汗が止まらない原因が何らかの病気であった場合は、先に原因となる病気を治療しなければいけません。そのため、汗が止まらなくて悩んでいる方は、まず病院で原因となる病気がないかどうか検査してから、市販薬で対応することをおすすめします。
汗が止まらない際の受診目安とセルフチェック!
汗が止まらない際の受診の目安とセルフチェックのポイントは、以下の通りです。
- 急に大量の汗をかくようになった
- 気温に関係なく汗が止まらない
- 顔が熱くなり汗が吹き出してくる
- 手のひらや足の裏、脇に大量の汗をかく
- 書類やパソコンなどが汗でぬれて生活に支障が出ている
- パジャマやシーツが寝汗でぬれて目が覚める
もともと汗をかきやすい体質の方は、受診を迷うことが多い傾向にあります。しかし、汗が止まらないことで日常生活に支障が出ている場合は、早めに病院を受診しましょう。
受診先の候補としては皮膚科や婦人科、心療内科などがあります。何科を受診すれば良いのかわからない場合は、内科が良いでしょう。受診の際には、いつから汗が気になるようになったか、汗の量はどのくらいか、特に汗が気になる部位はあるか、体温や体重の増減、発汗のほかに気になる症状があるかどうかを伝えましょう。
汗が止まらない人に関するよくある質問
汗が止まらない方に関する、よくある質問と回答をまとめました。汗が止まらなくて同じような疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
汗をかきやすい体質と多汗症を区別する方法はありますか?
汗をかきやすい体質と多汗症を区別する方法は「日常生活に支障が出ているかどうか」です。
汗をかきやすい体質自体は病気ではありません。しかし、汗をかくことで日常生活に支障を来している場合は、多汗症として診断される可能性があります。
汗が止まらないのは基礎代謝が良いサインですか?
基礎代謝が良くても悪くても、汗が止まらない場合があります。
運動不足や冷え性、隠れ肥満、食事内容が原因で、代謝が悪くても汗をかきやすい方はいます。そのため、汗が止まらないことが基礎代謝が良いサインとはいえません。
脇汗だけが止まらない原因と対策方法はありますか?
脇汗だけが止まらない原因には多汗症や気候、服装などが挙げられます。原因に合わせた対策方法を以下の表にまとめました。
脇汗だけが止まらない原因 | 対策方法 |
腋窩多汗症(えきかたかんしょう) | 医療機関での治療や市販薬の使用 |
気温・湿度が高い | 制汗剤の使用 |
合成繊維やタイトな服、暗い色の服 | 綿や麻などの天然素材使用のゆったりした服、明るい服を着る |
脇汗だけが止まらない原因を考え、原因に合わせた対策を行いましょう。
まとめ
汗が止まらない原因には、多汗症や自律神経失調症、更年期障害、甲状腺機能亢進症などの病気の可能性が考えられます。原因となる病気を治療すれば過剰に汗をかく問題が解決するため、汗が止まらないことで日常生活に支障が出ている場合は、早めに病院を受診しましょう。 汗が止まらない原因が病気ではなかった場合、漢方薬や制汗剤の使用、服装を工夫するなどの対策があります。汗が止まらない原因を知り、原因に合わせた対策を行うと快適に過ごせるようになるでしょう。