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雨の日体調が悪い女性

実はメンタル不調になりやすい梅雨を乗り切るには?|櫻井大典さん(1)

湿気によるジメジメで、心も体も重だるくなる梅雨。無理を続けていると、うつうつしたり、イライラしたり、メンタル不調に陥りやすくなります。漢方家・櫻井大典さんに、元気に過ごすためのヒントを伺いました。

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胃腸の調子が悪いと、メンタルの調子も崩しやすくなる

お腹を心配する女性

梅雨にメンタル不調が起こりやすい理由をお話しする前に、まずは、あなたの胃腸の状態をチェックしてみましょう。「え? 胃腸の状態とメンタルは関係ないでしょ?」と思うかもしれませんが、実は大いに関係しています。

強い緊張や不安、ストレスなどを感じたときに、食事がのどを通らなくなったり、お腹が下ったりした経験はないでしょうか? このように心の状態は、胃腸に影響を与えます。そして、その逆もしかりで、胃腸の状態も心に影響を与えます。だからこそ、メンタル不調を撃退するには、胃腸が元気であることが欠かせないのです。

胃が痛い、胸やけする、便秘気味、下痢しがち……など、明らかな胃腸の不調を抱えている方はもちろん、自分では気づいていなくてもあなたの胃腸は“お疲れ”かもしれません。

以下のうち、当てはまる症状にチェックを入れてみましょう。

【胃腸のお疲れ度チェック】

☑口のまわりに吹き出物が出やすい

☑口の中がベタついたり、口臭が気になる

☑体や顔のたるみが気になる

☑むくみやすい

☑寝起きからだるい

☑朝はあまりお腹が空かない

☑食後に眠くなる

☑低気圧の日や雨の日は体調が悪い

いかがでしたか? ひとつでもチェックがついた方は、ずばり胃腸が疲れています。たくさんチェックがついた方ほどお疲れ度は高め。いますぐ胃腸をいたわってあげないと、いつメンタル不調を招いてもおかしくありません。

梅雨のジメジメした湿気が、胃腸とメンタルにダメージを与える

雨の様子を見ながら体調の悪い女性

では、梅雨にメンタル不調が起こりやすいのはなぜでしょう。それは、梅雨の時季はどんな人でも胃腸の調子を崩しやすいから。

先ほど胃腸と心の状態が深く関係しているとお伝えしましたが、胃腸が“お疲れ”の人ほどメンタル不調を抱えやすく、その不調が深刻化しやすいのです。

私がお伝えしている健康法は、中医学(東洋医学のひとつで、数千年の歴史を持つ中国の伝統医学)をベースにしていますが、その基本に“気血水(きけつすい)”という概念があります。

私たちは、食べたものから“気血水”を作っていて、それらは人間が生きるのに欠かせない以下のような働きを担っているのです。

気血水

“気”=生命エネルギーで、元気、やる気の源。

“血”=血管内を流れる栄養に富んだ赤い液体。メンタルを安定させる。

“水”=体を潤し、溜まった老廃物を排泄する。

この3つの量がちょうどよく、きれいな状態で体内をスムーズに巡っていれば、体も心も健康な状態でいられます。でも、過剰になったり、足りなくなったり、汚れて流れが滞ったりすると、不調につながってしまうのです。

梅雨になると毎日のように雨が降り、湿気が多くなりますね。こうした環境の変化は、人体にさまざまな不調をもたらす“邪気(じゃき)”となります。

特に湿気の邪気を“湿邪(しつじゃ)”といいますが、湿邪にやられると体内に余分な“水”が溜まり、停滞します。その結果、水が停滞する場所によって、頭痛やめまい、耳鳴り、むくみ、全身の重だるさが起こります。最近では、気象病に悩まされる人も多いですが、それも湿邪のせいなのです。

さらに、湿邪は特に胃腸に悪影響を及ぼします。食欲を低下させたり、下痢や軟便を引き起こしたり、消化吸収がうまくいかなくなります。

すると、ただでさえ“水”の過剰でバランスを崩していた体内の状態はどうなるでしょう。食べたものからうまく気血水を作ることができなくなり、体内の気血水のバランスはさらに乱れてしまいます。

気が不足すると、うつうつ、くよくよしやすくなり、気の流れが悪いと情緒不安定になります。血が不足するとドキドキしたり、ビクビクしたり、不安感が出やすくなります。水が不足すればそわそわと焦りを感じやすくなり、水の流れが悪くなれば、だるだるとした重たい気分に。

このように梅雨は“湿邪”の影響で、誰もが胃腸の調子を崩しやすく、そのせいでメンタル不調を抱えやすいのです。

梅雨を元気に乗り切るポイントは湿邪を減らす

憂鬱になりがちな梅雨を元気に過ごすポイントは、できるだけ“湿邪”を減らすことです。

お手軽なのは、除湿すること。むし暑いからと冷房をつけがちですが、体が冷えると気血水の巡りが悪くなります。除湿機能を活用すれば、快適に過ごせます。

サウナよりも湯船がおすすめ

湯舟につかる女性

また、適度な発汗で体内の“水”を減らすことも有効なので、入浴をシャワーですませるのではなく、湯船につかるようにしましょう。好きな香りの入浴剤を入れて、40度くらいのお湯に15分が目安です。

血行を促す、筋肉をゆるめる、副交感神経が優位になりリラックスできるなど、湯船につかる入浴にはさまざまな効能があります。

サウナでととのうのが流行っていますが、過度な発汗は体力を消耗させる場合があります。よほど体力に自信がある人は別ですが、サウナよりも温泉がおすすめですよ。

暴飲暴食などの不摂生は湿邪を増やす

暴飲暴食を我慢している女性

そして、湿度以外にも体の中で“湿邪”を生む大きな原因があります。それは、飲食の不摂生。胃腸に負担をかけるような食事(暴飲暴食、脂っこいものを食べるなど)をしたり、水分を摂りすぎたりすると、体内で湿邪が生まれます。

舌の状態で胃腸の調子を確認することも

今の自分の状態を知るには、鏡で舌を見てみましょう。白いこけが厚くついていたり、黄色く粘つくようなこけの場合は“水”が過剰になり、滞っているサイン。このままの食生活を続けていたら、さらに胃腸が弱り、メンタル不調に悩まされるかもしれません。

連載(2)では、元気な胃腸と心を保つための具体的な食べ方をご紹介します。

さらに詳しい胃腸のいたわり方は、『胃腸をあたためると心の不調が消える ~心も体も自然と元気になる食事と暮らし~』(Gakken)でご確認いただけます。

『からだにいいこと』8月号では、櫻井大典さん監修の「セルフ漢方的お手当MAP」付録付き。

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