薬に頼らず食事で不調改善!胃腸&メンタルにいい食材|櫻井大典さん(3)
胃腸を元気にしてメンタルを安定させる食べ方の基本は、冷たいものを避けて胃腸をあたためることですが、薬膳食材を摂るのも効果的です。漢方家・櫻井大典さんに、胃腸とメンタルにいいおすすめ食材を伺いました。
サプリメントや薬より、食べ物で不調を改善しよう
鉄や亜鉛などのミネラル類、葉酸、ビタミンB群、トリプトファン。いずれも一般的に、メンタルを整えるのに効果があるとされている栄養素です。意識してサプリメントなどを摂っている方も、いらっしゃるかもしれませんね。病院で鉄剤を処方されて飲んでいる方もいるでしょう。それで症状が改善していればいいのですが、そもそも胃腸が弱っていたら、吐き気が起きてうまく吸収できないこともあります。
サプリメントや薬にばかり頼るのではなく、胃腸や心の不調の改善や予防のために日々の食事で対策をしてみませんか。
中医学の薬膳の考え方では、食材はそれぞれ体にどんな作用をもたらすかという性質で分けられており、さまざまな効能を持っています。食材には西洋医学的なたんぱく質やビタミンといった栄養素だけではなく、“血(けつ)を補う”“気(き)の巡りをよくする”などの中医学的な効果があるのです。
今回は、胃腸を元気にする食材とメンタルが安定する食材をいくつかご紹介するので、日々の食事に取り入れてみてください。
胃腸を元気にする3つのおすすめ食材
消化吸収を促進し、食欲不振や疲労感、むくみ、便通などを改善し、元気のもとになる気を補う働きを持つ食べ物には以下のようなものがあります。消化吸収しやすくなるように、加熱調理した上で、よく嚙んで食べましょう。
かぼちゃ
胃をあたためて消化を促進する。気を補って疲労を回復し、下痢や便秘にも効果的に働く。ビタミンA、C、Eを多く含み、特にビタミンEが豊富で抗酸化力に優れており、美肌効果も期待できる。
りんご
胃腸の働きを助けて、消化不良や下痢を改善。潤いを生む働きも強いので、便秘にも効果的。お腹の調子を整える水溶性食物繊維のペクチンも含有。ひと口大に切って電子レンジで加熱し、はちみつをかけて食べよう。
豆腐
弱った胃腸を癒して整える。気と水を補い、胃の不快感や便秘を解消。大豆は消化しにくいが、豆腐に加工されると吸収率が格段にアップ。湯豆腐や鍋がおすすめ。冷奴で食べる場合は、あたためる作用のあるしょうがやねぎを添えて。
メンタルが安定する3つのおすすめ食材
中医学には“養心安神(ようしんあんじん)”という言葉があり、文字通り“心を養い、精神を安ず”という意味です。その効能を持つ食材は、精神不安や不眠の改善に効果があるとされているので、メンタル不調を感じている方はもちろん、睡眠の悩みを抱えている方も、お試しください。
鶏卵
メンタルの安定やよい睡眠に欠かせない血と潤いを補うので、気持ちが不安定になりやすい人の強い味方。不眠症状やめまいも改善。必須アミノ酸がバランスよく含まれ、吸収しやすい鉄分も多い、手軽で優秀なたんぱく源。
あさり
こもった熱を冷まし、心を安定させてくれる働きも持つので、怒りやイライラで熱がこもり、気分の浮き沈みが激しいときに最適。体内のドロドロの不要物を取り除き、体全体の巡りをよくする働きもある。
なつめ
気と血を補うので、イライラや不安感といった血の不足によるメンタル不調や不眠に効果的で、気力の落ち込みも改善する。食物繊維、鉄分、ミネラル、葉酸なども豊富。粒の大きなものを選ぶとよい。
以上、6つの食材をご紹介しましたが、注意点があります。それは、ひとつの食材ばかりを毎日大量に食べ続けないこと。それは偏りを生んでしまいます。
中医学ではバランスが何より大切と考えます。旬のものを選ぶ、昨日とは違うものを選ぶ、といったことを意識していろいろなものを食べたほうが、体内のバランスが整いやすくなります。
今の自分に合う食材、必要な食材をさらに詳しく知りたい場合には、体質チェックと食材事典がついた『胃腸をあたためると心の不調が消える ~心も体も自然と元気になる食事と暮らし~』(Gakken)をご参照ください。
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