発酵のプロが教える 混ぜるだけの「塩麹」の作り方&レシピ
料理にコクと深みを出す万能調味料「塩麹」。手作りはむずかしそう…と思われがちですが、驚くほど簡単! 3つの材料を混ぜるだけだから、失敗の心配もありません。塩麹の作り方&レシピを発酵のプロが教えます。
材料は乾燥米麹・塩・水だけ! 「塩麹の作り方」
ご紹介する塩麹の作り方は、乾燥米麹・塩・水を混ぜるだけ。あっという間に手作り塩麹が完成します。一度にたっぷり作れるので、野菜や肉、魚を漬け込んだり、マリネや炒め物、スープなどに使ったりと、毎日のレシピにどんどん活用できます。
材料(作りやすい分量)
乾燥米麹…200g
塩…80g
水…400ml
撮影で使用した容器は、高さ14cm・直径10cmのガラスビンです。プラスチック素材やタッパーでもOK。
作り方
(1)空きビンやタッパーに材料をすべて入れる
アルコールで消毒した清潔な容器に、乾燥米麹、塩、水を入れる。
(2)スプーンで混ぜる
スプーンでまんべんなく混ぜる。
(3)約1週間常温で保存。1日1回スプーンで混ぜる
ふたをして、約1週間常温で保存。1日に1回、スプーンで全体を混ぜましょう。色がクリーム色になり、とろみが出て、みそのような麹の香りがしてきたら完成です。完成後は、必ず冷蔵庫で保管を。
「塩麹の作り方」Q&A
Q.なぜ1日1回混ぜないとダメなの?
A.蒸した米に麹菌を育成させたものが米麹。これを乾燥させたものが乾燥米麹です。米麹に水を加えて室温に置くことで、酵素が働き、発酵が進みます。毎日1回スプーンで混ぜるのは、均一に発酵させるためです。
Q.混ぜるときはきれいなスプーンの方が良い?
A.水分がついていたり、汚れたスプーンを使用すると、雑菌が入り込んで中で繁殖し、塩麹を腐敗させてしまう可能性があります。毎回、洗ってよく乾燥させたスプーンを使いましょう。
Q.材料の分量はだいたいでも大丈夫?
A.発酵をさせるためにも分量は正確に計ってください。3つのバランスが崩れると、発酵不良による腐敗や悪臭の原因になります。
Q.発酵が進むとどうなりますか?
A.1週間後に完成したあとも常温で保管し続けると発酵が進みすぎて、麹菌が死んでしまいます。これを「やけ麹」といいます。麹菌が死んでしまうと臭いがきつくなったり、味が落ちてしまいます。完成後は麹菌を生かしたままにするためにも、必ず冷蔵庫で保管しましょう。
Q.どのくらい持ちますか?
A.冷蔵庫で保管して、半年以内には使い切りましょう。
手作り塩麹レシピ5選
和・洋・中問わず幅広い料理と相性抜群の塩麹。塩麹を活用すればコクや深み、うま味が加わり、簡単に料理がワンランクアップ! ただし、使い方によっては、せっかくの料理が台無しなんてことも。塩麹を使う際の注意点も覚えておきましょう。
【注意点】
米やじゃがいも、春雨など、でんぷんの多い食材と組み合わせる時は注意が必要です。麹菌に含まれる酵素がでんぷんを分解してしまうため、おにぎりはバラバラに、ポテトサラダや春雨サラダは水っぽくなってしまいます。
ただ、塩麹を一度70度以上に加熱すれば、デンプンを分解する酵素の働きが失われるため、これらの食材と組み合わせても大丈夫。電子レンジなどで温めてから使えば問題ありません。
反対にその性質を利用してチャーハンを作れば、パラパラになりやすいので、上手に仕上がりますよ。
パラパラ塩麹チャーハン
504kcal(1人分)
材料(2人分)
ごはん…1合分(大盛り2膳分)
ねぎ…1/2本
ハム…4枚
卵…2個
塩麹…大さじ2
ごま油…大さじ1
ブラックペッパー…適量
作り方
(1)ねぎはみじん切りにする。ハムは5mm角に切る。
(2)ボウルに卵、塩麹を入れて混ぜ、ごはんを入れまんべんなく混ぜる。
(3)フライパンにごま油を入れて熱し、(2)を入れ、パラパラになるまで切るように炒める。ねぎ、ハムを加えてさらに炒め、仕上げにブラックペッパーを振り入れ、器に盛り付ける。
トマトとエビの塩麹マリネ
263kcal(1人分)
材料(2人分)
トマト…1個
アボカド…1個
玉ねぎ…1/4個
殻付きえび…4尾
A
|塩麹…大さじ1と1/2
|酢…大さじ1
|オリーブオイル…大さじ1
|ブラックペッパー…少々
作り方
(1)トマトとアボカドは一口大に切る。玉ねぎは粗くみじん切りにする。えびは殻付きのまま背わたを除いて洗い、耐熱皿に並べ、ラップをして1分間レンジ(600W)で加熱する。冷めたら殻をむき、半分に切る。
(2)ボウルにAを入れて混ぜる。(1)を加えて和え、器に盛り付ける。
ホタテの塩麹豆乳スープ
160kcal(1人分)
材料(2人分)
長ねぎ…1/2本
チンゲン菜…1株
ホタテ缶(小)…1個
卵…1個
水…200ml
豆乳…200ml
塩麹…大さじ1と1/2
こしょう…少々
ラー油…少々
作り方
(1)長ねぎは小口切り、チンゲン菜は2cm幅に切る。
(2)鍋に水、ホタテ缶、塩麹を入れ、沸騰したら(1)を加えてさっと煮て、豆乳を入れて温める。
(3)沸騰したら溶き卵を入れてかきたまにし、こしょうを加えて混ぜる。器に盛り付け、仕上げにラー油を加える。
キャベツと豚肉の塩麹蒸し
365kcal(1人分)
材料(2人分)
キャベツ…1/4個
豚バラスライス…150g
塩麹…大さじ2
水…大さじ3
A
|しょうゆ…小さじ2
|酢…大さじ1
|ラー油…少々
作り方
(1)キャベツは大き目に切る。豚バラ肉は5cm幅に切り塩麹を全体にまぶす。
(2)フライパンにキャベツ、豚肉、キャベツ、豚肉と重ね、水を入れてふたをし、7分間蒸す。
(3)Aを合わせてつけだれを作る。(2)を器に盛り付けて、つけだれを添える。
塩麹ガーリックシュリンプ
187kcal(1人分)
材料(2人分)
殻付きえび…10尾
マッシュルーム…1パック
にんにく…2片
塩麹…大さじ2
オリーブオイル…大さじ1
ブラックペッパー…少々
パセリ(みじん切り)…少々
レモン…2切れ
作り方
(1)えびは背中をハサミで切り、背わたを除いて洗い、塩麹と和えておく。マッシュルームは汚れを落とす。にんにくはみじん切りにする。
(2)フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて香りが上がるまで炒め、(1)のえび、マッシュルームを加えて炒める。ブラックペッパーを加えてさらに炒め、仕上げにパセリを加えて和える。
(3)器に盛り付け、レモンを添える。
手作り塩麹の材料は、「乾燥米麹、塩、水」の3つだけととってもシンプル。しかも混ぜるだけで自然と発酵するのでとにかく簡単です。
発酵調味料である塩麹には、乳酸菌をはじめとした善玉菌が多く含まれているため、腸内環境を整える効果が期待できます。さらに健康・美容に欠かせない必須アミノ酸をはじめ、ビタミンB群などの栄養もたっぷり。
ぜひ塩麹作りにチャレンジして、手作りならではの生きた麹本来の味わいをおウチで楽しんでみてくださいね。
撮影/阿部吉泰
[ 監修者 ]